射命丸文は伝えない   作:夢見 双月

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そろそろね、モチベがね、辛いのよ。

ふしゅう、とやる気が抜けてく感じなんだけど、この感覚はあまり好きじゃないね。やる気がなくなってくのも自覚出来ちゃう分自分に嫌気がさしちゃうのがね。

でもそれ以上に嬉しいのが皆さんが読んでくれること!
UA2000突破!!ありがとうございます!!

ちゃんと感想も見させてもらってますし。(というか見つけ次第即返信ですよ)
みんながどの時間にどれぐらい見てくれてるのかとかも確認してます。(ある意味エゴサ)

それでは、どうぞ!


『東』の幻想の地

 昨日はどっ、と疲れた。

 あれからかなり怒られたし、より厳しく動けないようにされた。

 

 原因は分かっている。

 

 妹紅が尽く罠にハマったその元凶、因幡てゐという少女に会った事だ。

 

 

 

 因幡てゐは妹紅から仕置きとばかりに軽く燃やされた後日、ぴんぴんしながら字の部屋に通りがかった。

 

 ちなみに元気な理由は永琳の治療によるものである。これには字も羨ましく思った。

 何しろ山奥だからなぁ、と珍しく表情に出してしまうほど。

 

 ともかく、てゐが字に気付いたのはたまたまであった。

 

「誰?」

 

「ん?」

 

 割と患者自体に興味を示さないてゐだが、自分の記憶にない人間が永遠亭にいるのは気味が悪く感じていた。

 知らないのは無理もなく、その時に丁度妹紅の怒りを被っていたのだから。

 

「昨日からここで世話になっている者だ。名前を聞いていたなら、字と呼んでくれればいい。君は確か、因幡さんだったか?」

 

「うどんげとこんがらがっちゃうからてゐでいいよ。それよりどんな怪我をしたの?」

 

「ふむ……。実はよく分かっていない」

 

「なんだそれ」

 

「いや、分かっているんだ。だが難しい専門用語ばかりで説明するとなるとな……確か永琳が細かい内訳を何処かに記してくれていたはずだが」

 

「あー、そういう事。別にいいよ、そこまで興味ないし。簡単に言えばいいさ」

 

「なら、打ち身や打撲、それによる骨折だ。思いっきり全身をぶつけてしまったんだ」

 

「ふぅん」

 

 そう聞くと、しばらく考えるそぶりをした後にてゐは何事もなかったかのように別の質問をし始めた。

 

「ところで、その首についてる飾りは何ウサ?」

 

「これか、大切なものだ。中に写真が入っていて、その人を探している」

 

「どれどれ。わたしに見せてくれれば一発ウサ!」

 

「そうか、有難い。今首から外すから少し待っててくれ」

 

 そう言って、字はペンダントを渡した。

 てゐは受け取り、そのまま病室から出て行った。

 

「……もう分かったのか?……いや、でもまだ中を覗いてはいなかったが……?」

 

「字さん!?」

 

「ん?」

 

 てゐの行動に不思議に思っていると、鈴仙が焦ったように入ってきた。

 

「どうした鈴仙?昼ご飯の時間ではなかったと思うが……」

 

「えっ?いや、てゐがここから勢いよく出て行くのを見て、もしかしてイタズラをしたのかと思ったんですが……」

 

「いや、それらしき事はしてないハズだが」

 

「そうですか。なら……いいん……です…………って、字さん?あのー、アレは?」

 

「アレ?」

 

「師匠の触診の時にすら外さなかったペンダントは?」

 

「ああ、さっきてゐが持って行ったな。なんでも人探しを探してくれるそうだ」

 

「騙されてますやん!!」

 

「ますやん……??」

 

「じゃなくて!あいつはすぐ嘘をついて騙すんです!!字さんが動けない事をいい事に盗んだんですよ!!」

 

「盗まれたのか。なら……取り返さないとな」

 

「今すぐてゐを探してきますから!ちょっと待っててくださいね!」

 

「いや、いい」

 

「えっ?」

 

 

 

「俺が行く」

 

 

 

 

「楽勝過ぎて欠伸が出るわ。よくあんなホイホイと渡せるのかねー」

 

 てゐは迷いの竹林の中を歩きながらペンダントを手からぶら下げていた。驚いた様子もなかったし、信じ切ってるのかも知れない。とんだお人好しだ。

 

「ま、いっか。中の写真見てブサイクな奴だったら捨てちゃえ。『風で飛ばされちゃったー♪』って言っておけば信じるでしょ」

 

 そう独り言を漏らし、ペンダントを開ける。

 

「は?」

 

 流石のてゐも硬直するほどには驚いた。

 

「えっ、こいつって、鴉天狗のブン屋じゃないか。探すも何も新聞取ってたらすぐ会えるじゃん。……つまり、あいつ外来人か?でもなんでブン屋と外の世界で……??」

 

「案外真面目に探してくれているようで安心だが、写真を見たなら返してくれないか」

 

「!?」

 

 てゐが後ろを振り返ると、外には出られないハズの字がいた。

 

「はぁっ!?お前、動けないんじゃ!?」

 

「怪我してるだけで、動けないワケじゃない。返すか返さないか決めてくれ。返さないなら実力行使だが……構わないな?」

 

 

 

「ふんっ、捕まえてみろ、バーカ!!」

 

「決裂と判断しよう。逃がさん!!」

 

 

 因幡うさぎの長である因幡てゐという少女は竹林を知り尽くしている。案内人をしている藤原妹紅と同等、又はそれ以上に迷いの竹林を把握している。

 さらに、地を駆ける速さは幻想郷のなかでも一二を争うスピードを持っている。少なくとも「地を駆ける」という点ではてゐより素早い者はほとんどいない。

 

 速さ比べでてゐと同等に速いものと言えば。

 

 鴉天狗ぐらいのものである。

 

(さっきから見られているハズなのに、全然足音が聞こえない……!何処にいる!?)

 

「そこだ!」

 

「くっ!」

 

 上空から襲ってきた字に対して、間一髪のところを跳躍で回避。

 

 避けられたのは単純に声に反応しただけに過ぎないが、その襲い方が人間としては異常過ぎて、思わずてゐは声を荒げていた。

 

「な、なんだよ今の!?なんでお前、空から降ってくるんだ!?」

 

「飛んでいただけだが?」

 

「飛んだって……!というか、お前なんかさっきと雰囲気違うだろう!?目も赤くなってるし!!」

 

 

 

「どういう事だ?目の充血という事か?」

 

「自分が今どうなってるのか知らねーのか!?とんでもねー馬鹿だな!!大体、その後ろの黒い翼はなんだよ!?お前、本当に外来人か!?」

 

「翼?俺にそんなもん生えてるワケないだろ」

 

「お前の頭にはお花でも咲いてんのか!?よく後ろを見ろ!!」

 

 

 

「?」

 

「何、後ろ見てんだよ!?普通背中見るだろ!!」

 

「うるさいし、何が言いたいのかもよく分からない。大丈夫か?」

 

「お前の頭がな!!いい加減にしろ!!」

 

 

 

 

 この後もしばらく追いかけっこは続き、苦しんだフリをした字を本気で心配したてゐが捕まり、ペンダント騒動は終結した。

 

 

 あとで鈴仙が「なんで珍しく怪我を心配したの?」と聞くと、「アイツだったら本当にやりかねないと思った」と言った。

 

 よくわからなかった鈴仙だが、目が赤くなったり黒い翼が片方だけ生えていることを永琳に指摘されるまで気付かなかった姿を見て、鈴仙はてゐの言った事が少し分かった気がした。

 

 

 

 それから数日経ち。

 

 永琳が示した完治予定日丁度に、字は無事回復。

 庭で軽いリハビリを送ったあと、別れの挨拶をするために永遠亭を歩いていた。

 

 

「永琳先生にはお礼は言えたし、てゐの奴は見かけたついでに言えた。だが、鈴仙だけが見つからないな。何故だ?」

 

 考えるが、彼女が勝手に永遠亭からいなくなるとは思えない。見つけられていないだけか、出かける用事があるか。少なくともここには病室で過ごした事ぐらいで殆どの事を知らないため、それぞれがどんな生活をしているかは把握していない。

 

「これなら、永琳先生に聞いておけばよかったか。部屋の方も探してみよう」

 

 色んな場所でノックをして、中を覗く。そうしてるうちに、全く鈴仙を見ないどころか迷ってしまっていた。

 

 流石にこれはマズイ、と困り気味に辺りをうろついていると、離れたところに大きな家屋を見つけた。

 

 ここにいる事を賭けるしかないと意気込み、障子の前に立って軽くノックをする。

 

 反応を伺うまでもなく「どうぞ」という声がした事を確認して、中に入る。

 

 

 しかし女性の声ではあったが、鈴仙の声はこんなだったろうか?

 

 

 その疑問は時すでに遅く。

 

 中にいた永遠亭の主と邂逅を果たした。

 

 

「永琳?何か面白い事でも……あら、どなたかしら?」

 

 見目麗しい女性が、目の前に居た。着物をベースにした衣服を纏っていて、それでも尚お淑やかな雰囲気を持っている不思議な女性だと感じた。

 

「失礼した。鈴仙を探していたのだが……女性の声だけで鈴仙と勘違いをしてしまい、入ってしまった。人騒がせをしてしまい申し訳ない」

 

「いいわ。そういう事もあるでしょう。あなた、名前は?」

 

「ああ。字という。名字がないから、字と呼んでくれ」

 

「そうなの。字さん、何故鈴仙を探しているのかしら?」

 

「先程やっと怪我が完治したので、ここを出ようと思ってな。世話になった人達に挨拶をしていた。後は鈴仙だけだったんだが見つからなくてな……」

 

「鈴仙は人里の方で薬を売りに出かけたわ。帰ってくるのはもう少し後でしょう。私からよろしく言っておくから安心して」

 

「助かる。えっと、ありがとう」

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

 どうせですしもう少しお話に付き合ってもらってもいいかしら、と目の前の女性は続ける。

 

「正直、今少し悲しい気持ちになっているの」

 

「何故……ですか?」

 

「これでも絶世の美女と呼ばれた事があったし、魅力もあると自負はあったのだけど……。あなたには届いてないのね」

 

「つまり、あなたを女性として見ていないと?」

 

「そうよ。あなたは興味がないだけ?それとも、相手がいるのかしら?」

 

「……正直、この気持ちがその類なのかは分かっていない。ただ、その人に会うためならなんでも出来る。そう思う」

 

「素敵ね。あなたみたいな人に想われているなんて」

 

「あなたも俺とは釣り合わないぐらい美しいと思う。とても綺麗で……なんて言えばいいか……まるで、かぐや姫のようだ」

 

「ふっ、あっははは!」

 

「……!?」

 

 褒めただけなのに笑われるとは思っていなかった字は、何故彼女が笑っているのかが分からない。

 もしかすると何か失礼な事を言ったのか、と字は少し考え込んだ。

 

「ふふふっ、困らないで字さん。そうね、私の名前を言ってなかったわね。蓬莱山輝夜よ。ありがとう、お話出来て楽しかったわ」

 

 

 

「まさか、本物だったとは……世間が狭い、というよりもとても貴重な経験をしている、という感覚だな。そもそも、こんな場所で世間なんて言葉は合わなそうだ」

 

「どうかしたか?」

 

「ああ、改めてここは凄いところだと分かっただけだ、妹紅」

 

「ふーん。そんなものか?」

 

「俺から見れば綺麗な世界だよ。ここは。」

 

 

 

「何処へ案内すればいい?迷いの竹林からは出してやるが、遠過ぎるところは流石に嫌だぞ」

 

「そうだな」

 

 

 

 

「……人里へ。ここに住む人達を一目見たいんだ」

 

「……人探しはどうするんだ?」

 

「人に聞きながら自分で行くよ。妹紅達には厚かましくて頼めない」

 

「そうか。お前がそういうならいいさ。だが、会えたら今度紹介してくれ。お前の好きなヤツは興味がある」

 

「ん?……妹紅に俺の探してる人が女と伝えたか?」

 

 

 

 

「馬鹿。お前みたいな真っ直ぐなヤツが人探しなんて、それしかないだろ」




色んな人に出会った。

恵まれた環境でなくとも、生きてこられた。

きっと、どんな事があっても。

自分は支えられているから。

死ぬ事になったとしても、諦めない。




命の灯火が、僅かに揺れた。
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