ありがとうございます!!!
でも、それとは相反するようにちょっぴりスランプ気味……。
ですが、頑張って行きます。
申し訳ないです。
「あの植物の化け物は単純な接触程度なら感知出来ない。ロボットに乗ったパイロットのように、異常が起きないとアイツは対応出来ない筈だ!」
「分かりました!しっかり掴まってて下さいよぉ!!」
字は唯一動かせる右腕に羽根ペンを持ちながら、文の肩を掴んで踏ん張る。
文も負傷した字を気遣いながらも巨人に近づいていた。
しかし、字は既に重体に等しい状態であり、常人ならば死んでいてもおかしくない程である。文がどう考えて動き回ろうが痛みは字を蝕み続けているだろう。さらに字は永遠亭に行く際にも指摘された通り、痛みや苦しみを極限にまで顔に出さない傾向があるため、字が幻想郷にいる事で動揺を隠せない文が気づくことはない。
そして、黒い羽根ペンの使い手として、字が書かなければ効果は発動しない事が分かり、かなり辛い条件となる。
これは先の作戦会議の時に試して分かった事である。
つまりは、時間との勝負。
植物の巨人を倒せるか、字が気を失うかの戦いであった。
そんな事も露程も知らない文が、後方から足元に到着する。
「今です、頼みますよ!」
「ああ!」
即座にペンを走らせる。書く文字は四画の一字。ほんの少し時間は取るが、一息に書けるレベルのカンタンな字だ。
「書けた!離れろ!」
「はい!」
やがて離れた後の文字が光り、その効果が現れ始める。
ここで一つ、能力の細かい説明が必要になるだろう。例えば、先程文に見せた「砕」の字を大きい岩にでも書いたとする。そうすると、岩が文字通り砕ける事になるだろう。これはつまり、『書いた対象をどうするか』を文字に書いている事になる。それによって、『岩が砕けた』という理屈だ。
ならば、『どうするか』以外の漢字を用いるとどうなるか。具体的に言えば、漢字一文字で書ける物質や生き物を書いた場合がこれにあたる。
結果を言えば、『書かれた対象が、それに変化する』事になる。
「書いた字は『火』。一本の蔓がどう伸びてるのかなど分からないが……仮に力不足で元の蔓に戻ったとしても、その間に燃え移る時間は十分にある」
瞬間、巨人に明るい線が一本なぞられた。その蔓は書いた左足から胸の方にかけて燃え盛る。
巨人が叫んだように暴れ散らす。身体を激しく揺れ動き、消化しようとするが、火自体は元の蔓の為、次々と身体を構成する別の蔓に燃え移って行く。
「やった……!字さん、これなら……」
「文、避けろ!!」
「えっ!?わぁ!!??」
ほんの一瞬の油断で蔓が掠める。避けたと思うのも束の間、無数の蔓があらゆる方向に伸びていた。
この一本一本が鋭く伸び、まるで槍のように貫かんと迫ってくる。
文がこの時、万全な状態だったなら難なく躱す事の出来る攻撃ではあった。しかし、今は手負いの字を抱えて飛んでいる状態。
僅かなズレがより大きなズレを呼び。
ついに、無理な体勢から、字を取り零した。
「……!?字さん!!」
「なっ……!?……くぅっ!!」
あの巨大な人型になっていたぐらいである。本数にしても多く、また一つ一つが太い。
少なくとも、この中のたったひとつにでも直撃すれば、字は満身創痍になってしまう。
咄嗟に字は黒の羽根ペンを身体に取り込む。未熟な半妖化に戻り、赤目と片翼の姿を取り戻し、翼を器用に羽ばたかせて軌道修正で避けていく。
文は字の変化に驚いた。それと同時に何故字がこの幻想郷に来れたのか分かった気がした。
彼は人間でありながら、既に人間ではなくなっていたのだ。
「字さん!!」
「コイツは……ぐぅう!?」
速度の減衰や滑空で難を逃れていた字だが、数には勝てない。
さらに、無理な翼による方向転換などに身体が悲鳴をあげ、終始真顔に近かった顔全体に脂汗が流れる。
一瞬動けなくなった字にタイミングよく当てに来たように蔓が飛んで……。
「射命丸。コイツは貰っていくぞ!」
その蔓は空を切った。
「霊魔さん!!」
「もう少し離れるぞ。奴の様子がおかしい。第2形態の登場だろうな」
そう言って、長いお祓い棒片手に蔓を弾きながら抱えられた。霊魔は当然字の傷の詳細は知らない為、文よりも字を粗暴に扱いながら後退した。
「男ならもう少し頑張れよ。何、女の子に担がれてんだ」
「あなたは……あの時、文を迎えに来た人か……!あの時はワガママを言って悪かったな」
「射命丸を……?……ああ!お前、あん時の青年か!?アイコンタクトだの変なその翼だの、イメチェンしてるから気付かなかった。すまねぇな!」
「別にいい。初対面な上にそこまで親しくもなかったしな。それより……」
「ああ、やっと本気モードってヤツか?」
巨人の身体は解け、花弁を中心に蠢き始める。
先程の字によって焦げた箇所や燃えている箇所は早々に千切って捨てられた。
花弁の下には大きな木の根が現れ、それが地面に突き刺さる。
つまり、ここら一帯が根城になった事を意味していた。
「字さん、大丈夫ですか!?」
「……問題ない」
「……さて、どうするか」
顎に手を当ててすぐ、こちらを見てから空にいる少女に声をかけた。
「おい魔理沙!」
「なんだよ!」
箒に乗った少女は言葉を発しながらも、襲い来る攻撃に魔弾で牽制して敵の行動を抑制してくれていた。
「時間稼げ!!すぐ終わらせる!!」
「1分は確実に稼いでやる!!さっさと終わらせろよっ!!」
そう言って、植物の巣窟に一人で向かっていった。
「さて、策はあるよな?えーっと、字さん?」
「ああ」
「任せておけ。むしろ、あの状態は好都合だ」
本来はここには台詞のような物しか入れてなかったのですが、この話だけ分割扱いにしてしまった(のが我ながら悔しい)ので、小話をひとつ。
基本的に小説のストーリーが思いつくのが、曲を聴いている時なんですが、キャラクターの方向性を決める時も曲に依存している部分が作者にはあるんですね。つまり。
この作品のイメージソング的なものがあるという事になります。
(あくまで作者のイメージが入っております)
この作品では藍井エイルさんの『MEMORIA』という曲から、イメージを膨らませていました。
気になる人は聞いてから読み直すと面白いかもしれません。
それではまた会いましょう。