戦闘描写がかなり苦手っぽいです。
頑張らないといけないですね。
それではどうぞ。
霊魔が言う。
「奴さんは完全に本気。移動形態から変態して、根を張ってナワバリ化した花の化け物に対し、俺は策はあるか?……そう言った」
「だから、あると言っている」
「むしろ好都合なんて言うお前の作戦、しくじったらぶっ飛ばすぜ?」
「俺が考えた作戦には、貴方達の力が必要だ。最も、それが出来るかはどうかは分からないが、伝える価値はあると思うぞ」
「聞かせてみろ」
「簡単に説明すれば、ラフレシアの花自体が本体なのだから、花に直接文字を当てる。具体的には鏡のように反転させた文字を手のひらに書いて、版画、又はスタンプのように押し付ける。当然『火』は対称の文字だから、別の字を仕込んだ」
「……『爆』の字か」
「これなら、花本体が『爆』の字の効果で消し飛んでなくなろうが、なくなるまいが戦闘不能になるだろう」
「どう言うことですか?」
「つまりは、本体消し飛ばせる効果なら勝ち、効果で消し飛ばなくても
「そういう理屈で、さっき書いたこの右手の文字が相手に写せれば勝ちになる」
「字さん。私達はどう動けば?」
「文は同じように俺を運んでくれ。そしてあなたと向こうの魔女なんだが、聞きたいことがある」
「なんだ?」
「高火力の照射型の武装はあるか?もし使えれば、ヤツは必ず全身全霊で防御に回すだろう」
「生憎だが魔理沙の奴が使えるし、俺にもその手の攻撃に覚えがある。大幣が壊れるかけるから使いたくねぇが」
「……頼む」
「わかってるさ。……しかしなるほどねぇ。よく考えりゃ動かないヤツに向かって最大火力ぶつけんのは道理だ。任せとけ」
「ああ。文、射線にぶつからない場所に回り込もう。タイミングは任せる」
「あいよ。……死ぬなよ」
「もとよりそのつもりだ。これ以上大事な人を泣かせる訳にはいかない」
「……ほーん、大事、ねぇ」
「霊魔さん。その顔はなんです?」
なんでもねぇから、さっさと行け。
そう言って締めた霊魔は、文と字が移動したのを見送った後魔理沙に合図を送って呼び戻した。
その後の事の二人は見ていない。ラフレシアの射程距離が長いために、かなり大回りで移動しなくてはならないためだ。
字は文に注意を促しながら、敵の様子を伺う。
「わかってると思うが今は無理に近づかなくていい。合図を待ってから慎重に行くぞ」
「分かってますよ。至って私は冷静ですので!」
文は飛びながらもそう答えた。文は字の分かりきった忠告が単純な意味ではなく、心を落ち着かせるものであるという認識だった。
なにせ、大事な人間も危ない所まで移動させなければならないのだから。今の文は字の足である。自分が動けなくなる事は字も動けなくなる事に直結するためだ。
手に力が入る。彼の方を見ると、字は文を見つめていた。
少し見つめあった後、字が微かに微笑んだ。
突然の事ではあった。
霊魔と魔理沙の方向から、二つの光線がラフレシアを照らした。
ラフレシアもそれに対応するように蔓を巧みに操り、最小限の被害で済むように蔓を酷使させた。
攻守が拮抗するその光景こそ、二人の行動開始を意味する。
踏み出しだけで10数メートル先まで到達し、そこから翼を開いて突貫する文。
大半が防御に回されているにもかかわらず、ラフレシアは未だ多くの余力を残しているらしい。未だ無数の蔓が伸び、二人の道を阻もうと立ち塞がった。
躱した事ですぐ下を通った蔓を蹴り、速度をより速めて行く。
あらゆる方向から襲い来るものを躱し、いなし、潜り抜ける。
幻想郷一の速さを謳う種族なのだから、これぐらい切り抜けられずに何が鴉天狗か。
文は自分にそう鼓舞し、遂にラフレシアまで目前に迫る。
そして。
字が仕掛けを打とうと手を伸ばしたその時。
その手は、花に触れる直前で止まっていた。
「……ごめんな……さい……!」
……字さん。
漏れるような声で文はそう告げた。
それは、蝶が蜘蛛の巣にかかるように。
ラフレシアは罠を張っていたのだ。
火が吹いて全身を覆った時、字がした事は分かっていない。しかし、分かったのは右手とその羽根に何かをされると燃える事だけはわかっていた。そして、至近距離で行わなければならない事も。
ならば確実に仕留めに来る字の為に罠を張り、ひたすらに待つ。字さえ抑えてしまえば、今この場所で自分に勝てる存在は存在しない。
そう思った故の、行動。
文は左足首と腰、さらに首も締め付けられていたため、まともに発声する事も出来ない。
腕を使って足掻こうにも、字を抱えている為にそれだけは出来ない。
万事休す。ここは字だけでも逃げて欲しい。そうでなくとも、文字を使ってなんとかする事は出来るはず。
そう考え、字を見つめた。
「もう十分だ」
ふと、そう言った。
何を言ったのか理解出来てない文を横目に腕の中で微笑みながら、彼は文の頰に羽根を走らせる。
その字は『退』。
「待っ……て……!あっ……さ……!!」
文の身体が光り始めたのは、言い終わる直前だった。
文はその場から消えた。
実際には、瞬間移動のようなものではあるだろう。
字は文を逃したのだ。
文が消えた為に重力に任せて落ちて行く字だったが、羽根ペンごと右腕を吊られてしまう。宙吊りのまま、罠にかかり捕まった事を悟る。
もう、書く事は出来ない。
このまま、トドメを刺されれば終わりである。
「ああ。だから俺の勝ちだ」
左手に握りしめた木片を花に向かって放った。
「蝶番って知ってるか?主に扉に使われる部品なんだが、なかなか面白い役割でね。壊れた家屋から出る時に隠し持っておいたんだ」
奥の手は最後まで隠しておくもの。
直接触れずとも、ただ近づけばいいだけのもう一つの策。
「こんな風に蝶番を開かせて、
書く事は出来ない。する必要も無い。
行動は既に終わっているのだから。
「講義は終わりだ。『爆』ぜろ。化け物」
その爆発は一帯を巻き込み、爆炎に包まれる。
この後、数多の蔓はその殆どが爆発と同時に枯れ始めた。
幻想郷で起きた、巨大な植物の暴走。
この騒ぎは近くにいた字をも巻き込んだ爆発により、事態は収束した。
次回、最終回。