射命丸文は伝えない   作:夢見 双月

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サブタイトルがこれなのに、作者は一息すらまともにつけてません。
ツライです。でも1日投稿頑張ります。

そういえば、作者の名前のそのまんまでツイッターやってます。
軽く進捗を報告したり、投稿報告したり、わけわからんこと呟いてます。ので、よければフォローの方よろしくお願いします。(唐突なフォロワー稼ぎ)



『一息』吐く

それはいつもの日常の一部に過ぎない。

 

藤原妹紅にとっては、なんでもない日常の1ページ。

 

……の、はずだった。

 

 

いつものように妹紅は起床し、生活リズムを狂わせない程度に活動していた。基本的には迷いの竹林の案内を務め、案内を終えるとぶっきらぼうに去っていく。

背中で受ける感謝の言葉にも随分前に聞き飽きてはいるが、嫌な気分にはならない。

 

今日も見えないところでかすかに微笑み、帰路についた。

 

異変。というのはここでは大きな意味で捉えがちだから、この場合は一風変わった事としよう。それが起きたのは夕方頃。

 

夕飯の用意をするため、人里に向かおうとしていた頃である。

 

 

「……ん?なんだあれ」

 

赤く染まった空から、黒い流星が飛来していた。

遠いからか飛来したものの正体は分からないが、不思議と嫌な予感はなかった。

むしろ……ちょっとした、面白そうな予感がしていた。

 

「見てくるか」

 

 

妹紅という少女は不老不死である。

蓬莱の薬を飲んだ事により永遠を生きる体に変化してしまったのだ。

だが、この事は別に暗い話でもなんでもなく。不老不死ならアイツもだし。

 

ただ、毎日似たような事をやっていれば、それすらやがて飽きるだろう。

 

 

 

要するに、刺激が欲しかった。

それだけの理由と好奇心で妹紅は墜落するだろう地点に向かっていった。

 

 

 

「おーい、誰かいんのか?」

 

向かう最中に衝突の轟音が鳴り響いた。先ほどの何かが落ちた音だろう。

 

「おおっ、クレーターか!?なんで、って……!」

 

なんで?見たときはそこまで大きく見えなかったけど、といいかけて、息がつまる。

墜落地点の中心に、知らない男が倒れていたからである。

 

 

後先考えずに、気づいたら青年に向かって走っていた。

 

滑るように降りて、駆け足で近づく。そしてすぐさま耳を心臓に近づけた。

 

 

 

どくん、どくん、と一定のペースで鼓動が聞こえてるのを知り、知らずのうちに息を吐く。

 

いつものぶっきらぼうを装い、「大丈夫かー?おーい」と声をかけるが反応はない。

 

飛んできたのに当たったか、またはこいつが飛んできたか。どちらにせよ、生きているなら聞き出せるだろう。

 

「仕方ねぇ、とりあえず運ぶか」

 

仰向けの青年の腕を取り、肩まで持っていく。そしてそのまま担ぐ。

 

 

ふと、後ろに目をやる。確かに人間にはないものがそこにあった。

 

「ん?」

 

こればかりは、さすがの妹紅も驚いた

 

「ええー?なんだお前」

 

 

 

「なんでお前の翼、片方にしかついてないんだ?」

 

改めて見ても、右にしか黒い翼が生えていない。

 

妖怪か?それとも人間?

 

すこし悩んだが、早々に考えを打ち切った。

考え事は自分の性に合わない。それより体を動かす方がいい。

 

「ま、いっか。……てか、死んでないよな?大丈夫だよな?……アイツに借り作りたくないから無事であって欲しいんだけど……」

 

もっとも、そんなことを言ってられないぐらいには重傷ではある。しかし、幸いにすぐ死にそうな気配はない。

 

「……」

 

しばらく人の怪我と自分の無いに等しいプライドを天秤にかけて。

 

「……後で慧音に相談してみるか」

 

結局、保留になってしまう。

やっぱり、考え事は性に合わない。

 

 

 

目覚めれば、字は木造の天井を見ていた。

何があったか、頭の中で思い返す。

 

あの花との死闘。

 

俺を迎え入れるような、異世界からの暖かい光。

 

突如、空に投げ出される俺。

 

 

……。

 

…………。

 

……どう考えても原因は空に投げ出されたこと以外にないな。

 

 

おそらく、俺は急な状況の変化に耐えきれずに思考停止し、そのまま落ちてしまったのだから記憶の整理がいまいちつかないのだろう。

 

 

……ところで、ここはどこなのだろうか。

 

正直、『ここは死の世界です☆』なんて言われたら目も当てられない。それなら橋立さんの言った通りに向こうの世界にいた方が良かった。

 

 

「いや……。違うな」

 

 

結局、自分自身の覚悟は変わらなかったはずだ。こうなるとわかっていたとしても、俺は進んでいたろう。

 

 

 

なんにせよ、これが夢ではないのなら介抱してくれた人がいるはずだ。

 

探そうと決心して体を動かそうとするが、うまく動かせない。

むしろ全身に痛みが走り、体を強張らせる。

 

「ぐぅっ……!落ちた痛みは分かるが……!それ以上に動きづらいな……!俺はどうなっている?」

 

布団の中で寝かされているために、全身の様子が分からない。痛みに悶え苦しみながら、動きづらい体で掛け布団を剥がす。

 

 

全身が露わになった途端。納得すると同時に呆れ返った。

 

「包帯で、ぐるぐる巻きになってやがる……」

 

助かったことには感謝しかないが、これに関してだけはこれしかやりようがなかったのか問い正したくなった字だった。

 

 

 

詳しい時間は分からないが、障子に映っていた赤い光が無くなり、暗くなってから随分経った。今は大体午後8時から9時の辺りだろうか。しばらくは睡魔に身を任せたりしていたが、一向に誰も来る気配がない。

包帯が暑苦しい。かといって水も周りにないので、水分補給もままならない。助けてくれた人は今まで介抱した覚えはないのだろうか。少々放置しすぎだと思う。

 

 

それからもうしばらく経った頃、外が白み、日が昇った頃にようやく辺りに人の気配が出始めた。どこの部屋からか、会話が聞こえてくる。

 

「その為にわざわざ私を呼んだのか?」

 

「ま、まぁ。一応私よりは詳しいだろうから、診てもらいたくてな」

 

「……ふぅ、つまらない意地で人一人を見殺しにしようとしないでくれ」

 

「分かったよ。次からは永遠亭に直接行く。なんかアイツの顔がよぎると無性になぁー」

 

「それでもだ。全く、なんのために私は博麗の居候に寺子屋を任せたと……」

 

「あ、そうか。今日寺子屋あったか」

 

「あったわ戯け」

 

「ごめん」

 

「構わない。友からの頼みだ」

 

二人の間で交わされる会話のようで、共に低めの女性の声だったが印象はだいぶ違った。一人は堅い印象があり、もう一人は奔放な印象を受けた。

 

奔放な方が堅い方を呼びつけたらしい。それでいておそらく俺を助けてくれた人だろう。と考える。

 

 

そして、障子が開かれる。

 

目と目が合う。

 

 

その上で、目の前にいる女性が硬直した。

 

後ろにいた全体的に赤い女性が「目覚めてたのか」と目を丸くした。

 

俺が「この包帯を外してくれ」と言おうとした瞬間、目の前の怒気に触れて何も言えなくなる。

 

間違いなく、女性が怒っていた。心なしかツノが見えるぐらいに。

 

「この包帯は?」

 

「……け、慧音?」

 

「誰が、やったんだ?」

 

友人らしい女性の急な変化にタジタジになる赤の女性。

 

「わ、私だけど……?」

 

 

そう答えた瞬間、女性は噴火した。

 

 

「このッバカヤロウ!!!」

 

 

猛烈な頭突きが赤の女性にクリーンヒットした。

 

 

 

 

字は楽になった体で布団の上に座りながら、水を飲む。

 

その隣で気絶している赤の女性こと、藤原妹紅。

 

字の目の前で友の代わりに土下座をしている女性、上白沢慧音。

 

なんとも言い難い空気になりながらも、仕切り直す三人(内一人気絶)。

 

「すまなかった。妹紅は応急処置などの治療には滅法疎くてな。苦しい思いをさせた」

 

「確かにそれはそうだが……。何はともあれ、助けてくれたのはそちらだ。感謝することこそあれ、文句を言える立場ではない。現に今、生きているのなら、それで問題はないよ」

 

「そういってくれると助かる。改めて、上白沢慧音という。そっちは藤原妹紅」

 

「字だ。名字はない。負傷していた理由はここに来る際の事故だ」

 

「ここに……。やはりあなたは外来人なのだな」

 

「外来人……?」

 

「外来人とは、外の世界から来た人間の事を指す。来たという事は、意図的に入ってこられたという事になるな」

 

「そうか。なら俺は外来人だ」

 

「わざわざ幻想郷に入りに来るとは。何か目的があるのか?」

 

「幻想郷……?ここはそう呼ばれているのか。とにかく、俺の目的は人探しだ。以前出会った少女を探している」

 

「少女?」

 

「ああ。文と呼ばれる少女だ」

 

「文?鴉天狗の事か」

 

「俺のペンダントの中に彼女の写真がある。それを見てもらえればいいんだが……まだ包帯の中に埋まってるな」

 

「今巻いてる包帯はテーピングに近い役割を担っている。無理に外すと骨折箇所が余計痛むぞ」

 

「わかった。何にせよ、まずは回復だな」

 

「それがいい。少し待っていてくれ。妹紅を起こす」

 

「起こす?何故だ?」

 

「私も奥まで行くと迷いかねんからな。妹紅はこの辺り一帯、迷いの竹林と呼ばれる場所の案内人なんだ。ナビゲーターは必要だろう?」

 

「何処へ行くつもりだ?」

 

 

 

「永遠亭。凄腕の医者がいるところだ。その程度のキズ、すぐに治してもらいにいくぞ」

 

 

 




幻想郷は今日も平和。

字の人探しは始まったばかりだが。

名前が明らかである以上、再会の時は近い。かも。

次回、永遠亭訪問。
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