血の渇望者   作:河竹

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生贄

依頼された建物を目指して歩きを始めること数分。

 

俺達は背の高い伸びきったトウモロコシ畑の中を進んでいた。

当分の間刈られてないのか、伸び放題になったトウモロコシの下にはさらに枯れたトウモロコシがフカフカな絨毯ように敷き詰められていた。

施設内の設備は別段大きく壊された痕跡はなく、発電機などは幾らかメンテナンスや整備が必要そうだが、建物自体にこれといった目立った外傷はなかった。

 

 

それからしてすぐに俺達は敷地内にある建物につき、二つのグループに分かれた。

俺を含む、エンジニア系の技術を持つ、コールとノートル。

それと探索系の得意なアークとベーゼ。

この二つに分かれて調査を開始した。

 

俺達はエンジニア系グループは建物の中にある機械系統の設備の調査を開始した。

電線は何故か今も通っているようで、外にある発電機を使えばなんとか電力は確保できそうだ。

他にも、何かに使えそうなロッカーや木の板などが数個あり、少しの老廃に目を瞑り清掃してやれば今からでも何とか稼働できそうなほど施設の中は整っていた。

 

まるで、誰かがここにいたかのように。

 

それから数分調査し、グループの2人と共に集合した。

 

「ノートル、そっちはどうだった?」

 

短めに刈りそろえた金髪とそばかすをもつ、少し目つきのキツイ青年のノートルに尋ねる。

 

「こっちもそんなに壊れてねーよ、なんなら今からでも動くぞ」

「コールの方は?」

「こっちも似たようなものです。ただ......」

 

コールは一旦そこで止め少し考えてから発言した。

 

「ただ?」

「...!..ただ、ちょっとおかしな点がいくつかあります」

「おかしな点?」

「えっと、ここって十数年前には閉鎖したはずですよね?」

「あぁ、与えられた情報が正確なものならそうだろうな」

「それなら尚更おかしいです。ここ、明らかに生活感が残りすぎなんですよ」

 

そう言って不安の色を見せたのはコール。茶髪を肩口に切り揃え、笑った時のえくぼの似合う女性だ。

だが、今そのえくぼの似合う彼女の顔には、いつもの笑顔ではなく何か強張ったものがあった。

 

「どうゆうことだよ」

 

コールの推測にノートルが疑問を表す。

 

「えっと、なんて言えばいいか......」

 

答えかねているコールの代わりに俺が答えた。

 

「確かに。数年前に出て言ったにしては生活感がありすぎるな。それに、道中に見かけた罠。あれは数年前に使われていたなんてことはない。おそらく数ヶ月とかそのあたりだろう」

「ですよね、隊長。それに私、さっき向こうの方でカチカチカチッて音がしたんです!まるで誰かが」

 

そこまで言った時だった。

 

「ギヤァァァァァァァァァァァァ!!!!罠がァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

金属同士の激しくぶつかり合う音と共に、何かを粉砕した音と耳をつんざくようなアークの悲鳴が聞こえてきた。

 

「ちっ、何ヘマしてんだよ!?」

「わからん!確認しに行くぞ!」

「あっ、隊長!待ってください!」

 

悲鳴が聞こえた瞬間、脳裏に嫌な予感が浮かんだが、俺はその予感を頭の隅に置いて駆け出した。

 

少し走ると、トウモロコシ畑に呆然と突っ立っているベーゼがいた。

 

「おいっ、ベーゼ!何かがあった?」

「...ぁ...あぁぁぁぁ...ぁぁあ.....」

 

肩を掴み振り返らせると、そこには恐怖を顔一面に孕んだベーゼの顔があった。

 

「ベーゼ!何があったの!?」

 

コールが必死に語りかけるもベーゼの返事はない。

 

「お、おい、どうしちまったんだよ?」

 

再度、ベーゼと親しいノートルが肩を揺らしながら聞くと、ベーゼはカタカタと歯を鳴らしながら答えた。

 

「ぉ、ぉとっ!でっでっかい男がっ!罠に挟まったアークを連れて行きやがっ......」

 

そこまで話してベーゼは泡を吐きながら倒れた。

 

「くそっ、しっかりしろ!男...だと?ノートル、任務にそんな情報が書いてあったか!?」

「な、何言ってんだよ!あるわねねーだろ、んなもん!」

「だよな。だがこのベーゼの様子、これは明らかにおかしい」

 

普段のベーゼはちょっとしたことで恐怖などを感じない。むしろ嬉々としてその恐怖を味わいに行く。

こと戦闘においてはそうである。

そんな奴がこの有様である。

明らかにおかしすぎる。

 

「た、隊長!見てくださいこの罠!」

 

見ると、そこには先程アークを挟んだであろう、血塗れのベアートラップが置いてあった。

 

「もしかしたら、私がさっき聞いたカチカチ音って」

「あぁ、十中八九これだろう」

「つ、つまり、誰かがこの罠を設置していたってこと。ですよね?」

 

額に冷や汗を浮かべながら、強張った様子で聞いてくる。

 

「そうだろうな。そしておそらく、その罠を仕掛けた奴がいまベーゼの言っていた大男だろうな。こんな罠、普通の人間が簡単に仕掛けられるような代物じゃない」

 

「な、なら、あの噂も本当なんですか!?」

 

「噂?なんだよそれ」

 

「知らないの?このマクミラン地所には」

 

その時だった。

 

「ギヤァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

再度、耳をつんざく悲鳴が聞こえてきた。

 

「説明は行きながら話すっ!」

 

そう言い、俺は走りながら噂の内容を話す。

 

「な、なんだよそれ!先に言えよ!」

 

「仕方ないだろ、お前らは技術はあるが経験が少ない。緊張すればするほどお前らの技術は本来の力を発揮できなくなる」

 

「それは、そうだがよ。。。」

 

煮え切らない表情で答える、

 

「とりあえずいまそんな話をしても仕方がない。急ぐぞっ」

 

そう言い、俺たちは仲間の救出へと向かった。

 

 

 

 

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