黒猫ほんわか攻略日記   作:菜音

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今回はかなり本気です!
縛り攻略?知らないです‥‥


秋に見る夢は黄昏へと part1

 

 

 

「う、うん‥‥」

 

アイテテ‥‥ここは‥‥?

 

マスターこと彼は重たい体を起こす。

 

 

ここはいつものマンションの一室‥‥

 

 

「ここどこ?」

 

 

ではなかった。見知らぬ草原が広がっていた。

 

「あれ?どうしてこんな所にいる?あれてか、これ俺の服じゃないし!」

 

俺は何故かクロマグの学生達の着る制服を着ていた。

 

 

「ハハハ‥‥ワケわからん。」

 

俺は軽くパニクっていた。

 

本来はもっと混乱するところだけど俺の頭がオーバーしたおかげで逆に冷静だった。

 

 

「落ち着け、こんな時はパニックになったら死ぬ!これが小説とかでの定石!」

 

まずは理由だけど、たしか最後に覚えてるのは‥‥

 

 

「そうだ!ウシュガ!俺はアイツにスタンガンで!」

 

 

あの野郎‥‥帰ったら絶対に覚えてろ‥‥

 

 

「次はここは?」

 

見たことのないどこまでも続く草原

 

少なくとも家の近所ではない。

 

 

「俺、一応地理得意だからわかるんだけど、ここまで何にもない草原って日本にはない気がする。」

 

日本の平地はほとんど土地利用されてるからこんなに広い所はまず残らんしあったら観光名所ものだよ。見たところ人の気配はなし。

 

 

なら海外か?

 

ヨーロッパとか‥‥

 

いや、どうやって来たんだよ。

 

 

寝て起きて気付けば知らない土地なんてまるで黒ウィズあるあるじゃんそれ‥‥まるで異世界に行くみたいな‥‥

 

 

あ‥‥

 

もしかして‥‥そもそもここは地球じゃない?

 

 

普通なら馬鹿だと思ってそうは考えない。

しかし、現にその世界の住人達には日頃から会ってる。

 

 

「はは、リアル異世界移動かよ‥‥まさか実際に体験する日が来るなんて‥‥」

 

これで俺も正式に魔法使いってか‥‥

 

嬉しくないな‥‥

 

 

「だとしたらなぜ学生服なんだ?」

 

俺は自分の服装を確認する。

 

その時だった。

 

「おわっ!?」

 

突然画面が開いた。黒ウィズのゲーム画面だ。

 

 

「おいおい、それじゃあまるでゲームだよ。あれか?ここはデスゲームか?」

 

レベルやランクはない。

 

あるのは合成、売却、進化、デッキ、魔力、ゴールドくらいか?初期の黒ウィズみたいだな。

 

ゴールドはゼロ

 

試しに強化合成を開くが精霊は一体もいない。

 

 

「これでどうしろと?」

 

さて、ここがどこの異界から知らないけど、黒ウィズの異界なら魔物ないしそれに順するモノがいるはず。

 

ここにいつまでもいるのは危ない。

 

「だって魔法使いみたいに魔法は使えんし、ウィズ師匠みたいな相談相手もいないしね。」

 

 

俺はとりあえず人のいる場所を求めて歩いた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ほどなくして町にたどり着いた。

 

 

「町並みは近代ヨーロッパのそれか?」

 

ヨーロッパ風ファンタジー世界に近代を取り入れたような町‥‥そして町行く人々、これは明らかに地球じゃないな。これは俺の私服だと悪目立ちしてたな。

 

 

少し人気のない噴水のある小さな広場

 

ここで腰を掛けた。

 

 

「ふう!歩いた歩いた。なんとか町に着いた。」

 

さて、これからどうするかな‥‥

 

どうにかして帰る手立てを考えないと、あと見つかるまでの身の振り方を‥‥

 

ああ‥‥頭が痛い‥‥‥

 

 

「夕方か‥‥」

 

うっ、今日はあれだけ歩いたから疲れたし腹も減った。

 

 

「宿とかあればいいけどねぇ。いや、そもそもこの世界の金ないし。」

 

参ったな‥‥と考えたてた時だった。

 

 

「あれ?なんか大通りが騒がしい何かあったのか?」

 

俺の疑問は直ぐに答えられた。

 

 

「グガガガガガ!!」

 

突如として現れたそれは‥‥

 

「ロ、ロストメア!?そ、そうか!ここはメアレスの世界か!」

 

て、考えてる暇はなし、逃げるんだ!今の俺に勝てるわけがないよ!

 

 

俺はロストメアに背を向け逃げの姿勢に入るが、

 

 

「ぐぎぎぎぎ!」

 

「げっ!」

 

なんと進行方向からも別のロストメアが!

 

さらに四方、八方と周りは既に囲まれており逃げ道はなかった。

 

 

「う、嘘だろ‥‥」

 

いきなり異界に飛ばされていきなり詰むなんてなんてついてないんだろう。

 

「ま、まだ死にたく‥」

 

「グガガガガガ!!」

 

「うわああああ!!」

 

もうダメだ!俺は目をつむる。

 

 

「はぁ!」

 

しかし、最後の時は訪れなかった。

 

目を開けるとロストメア達は薙ぎ倒されたいた。

 

 

「大丈夫?マスター」

 

「うん?大丈夫‥‥ってマスター!」

 

俺はその女性を見た。

 

「そう、ならよかった。」

 

俺を助けたその精霊、彼女はよっぽど心配してくれたのか無事を確認するとかなり安心していた。

 

彼女はイザヴェリ・ヘイズである。あれ?

こんなに優しい人だったっけ?

 

 

あ、もしかしてこのイザヴェリは今週のデイリーのやつか?て事は二人目だから性格が変わっちゃった?

 

ウシュガ現象が発生してるなこれ。

 

 

「助けてくれてありがとう。けどお前どうしてここに?」

 

「わかりません。私も気が付けばと言った感じなもので。」

 

ふーむ、彼女もわからないか。

試しに画面を見たけどイザヴェリが入ってる。

 

それに満タンだった魔力が減ってる。

 

「黒ウィズにfate要素が加わった感じだな。」

 

「!マスター、考えるのは後です。来ます!」

 

イザヴェリが構えた。

 

 

すると先ほどの何倍もの数のロストメアが襲ってきた。

 

「コイツらはロストメアじゃない!悪夢のかけらだ!どこかに本体が‥‥」

 

イザヴェリがなんとか防いでくれてるうちに本体を見つけなくては‥‥

 

すると屋根の上に人、いやあれはイザヴェリ!?

 

イザヴェリ?「‥‥‥‥」

 

いや、何故かわかる。

アイツはロストメアだ!

 

 

「しかし、イザヴェリの姿をしたロストメアか、イザヴェリの夢か何かか?」

 

「しまった!マスター!」

 

振り向くとさばききれなかった敵の一体が突破してくる。どうやら俺を狙ってるようだ。

 

 

「くっ!」

 

避けられない!俺は左腕を捨てる事にした。

 

 

「利き手で防御しなかった点について誉めてあげるわ!」

 

上の方から声が!

 

敵は弾の雨にやられて消滅した。

 

 

「これはもしや!」

「ねぇ君達、見ない顔だけどお困りかしら?なら手を貸すけど?もちろん報酬は山分けで。」

 

「繋げ、〈秘儀糸(ドゥクトゥルス)〉!」

 

今度はイザヴェリが相手していた大群に雷が迸る!

 

敵は一撃で全滅した。

 

 

「にしても、やけに数が多いわねぇ。これがアイツの能力かしら?」

 

「なら、手数で勝負するまで。」

 

 

リフィルにルリアゲハ!

 

やっぱりメアレスか!

 

 

二人を見るとロストメアは逃げ始めた。

 

 

呆然と二人を見ていた俺をリフィルの瞳が捉えた。

 

 

「ついてきなさい。話はその後で聞く。」

 

 

「いいの、リフィル?戦ってた子はともかく、この子もロストメアとの戦いに巻き込んじゃうわよ。」

 

 

「あれに襲われいながら防御はできてた。普通なら身動きできない。それにアイツの事を知ってそうだし。」

 

 

「そういえば、そうね。なら、問題ないか。」

 

「待ってください!マスターを危険な目に合わせるなんて」

 

「わかった。行くよ。」

 

「ですよねって!マスター!」

 

「俺もアイツが気になっ仕方がない。」

 

「う~、わかりました。マスターが仰るなら。」

 

「いくぞ!」

 

 

 

俺たちは、逃げるロストメアを追って、

家屋の屋根を飛び石代わりに跳躍していく。

 

時折、悪夢の夢達が行く手を阻んだが、敵ではなかった。

 

 

「悪夢のかけらくらいならどうとでもなるのね。それにしても君、しっかりついて来てるし体力ある方?」

 

屋根の上を並走しながら微笑むルリアゲハに、俺は少し息を上げながらも返事した。

 

「まぁね!これも日頃の鍛練の成果だよ。」

 

まさか部活で鍛えた体力と走力を活かす日が来るなんて

ね!

 

 

「ルリアゲハさん!そこに伏兵!」

 

「お、ありがとさん!」

 

敵は屋根や煙突などの模様に完全に擬態して待ち受けていた。敵は悪夢のかけらの形状を自由に変えられるようだ。

 

そして、何故か俺には敵の位置が丸わかりだった。

 

 

「君を連れて来て正解ね!」

 

 

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「見えた!」

 

逃げるイザヴェリ似のロストメア

 

 

「変ね!門はあっちじゃないのに。」

 

「それは後にしろッ。墜とせッ、ルリアゲハッ!

 

 

「ちょうどそうする1秒前よ!」

 

答えた直後、響く銃声。弾ける銃火。

 

 

「これがルリアゲハさんの早撃ちか!」

 

撃った、と遅れて気づくほどの早撃ちだった。

 

 

その弾はロストメアの背面にある翼に直撃する。

体勢を大きく崩し、空から地へと叩き落ちた。

 

 

「繋げ、〈秘儀糸(ドゥクトゥルス)〉!」

 

続けて、リフィルが叩き込む!

 

「修羅なる下天の暴雷よ、千々の槍以て降り荒べ!」

 

リフィルがすばやく糸を繰るのに呼応し、人形の指が複雑怪奇な印を結ぶ。すると人形の眼前に無数の小さな印が浮かび、そのすべてが迅雷の槍となってほとばしった!

 

 

「イザヴェリ!スキルだ!」

 

俺達も!負けられない!

 

 

「了解!カオティックフォーム!」

 

リフィルの雷撃とイザヴェリのアンサースキルがロストメアを襲う。

 

 

声にならない断末魔を叫ぶロストメア。

 

しかし、一瞬であるがはっきりと聞こえた。

 

 

 

私達は忘れてない

 

 

なんだ‥‥今のは‥‥

 

 

本体の消滅により残りの悪夢のかけら達も消滅した。その際に俺のボックスに大量のモブロストメアのカードが入ってきた。

 

 

「へぇ、魔力を回収する能力ね。」

 

「あなた達、何者?」

 

 

魔力、そう言えばコイツら魔力だったな。

 

たしかこれを売ったりものできるって。

 

これを今の俺に当てはめると魔力はカードでお金はゴールドだな。

 

 

 

「俺は‥‥」

 

どうしょう。俺のアカウント名で名乗るわけには‥‥もしこの世界がそうなら俺が魔法使いだとばれると色々話が壊れそうだし。

 

 

「私はイザヴェリと申します。こちらは私のマスターです。本名は‥‥クロム様です。」

 

「え?」

 

小声「バレると不味いんでしょう?できたら偽名しかないかと。丁度クロムマグナの学生の姿ですし。」

 

小声「なるほど、ナイス!」

 

「クロムにイザヴェリね。二人ともメアレスなの?」

 

「じゃないと思うけど、なあ?」

 

「はい、私はそもそもガチャで引かれたばかりなので夢自体まだないです。」

 

うん?

 

イザヴェリに夢がないのだとすればじゃあ、あのロストメアは一体なんなんだ?

 

 

 

「メアレスじゃない?なのに戦えるの?」

 

「本当に何者なの。」

 

 

「ええっと‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

 




今回はリアル異世界移動!
数ヶ月温存してたシナリオをどうぞです!

感想をお待ちしております。

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