すごかったよ(語彙力)
そのうち、ダクソの主人公(超強化)でもぶち込んで無理やりなハッピーエンドを書きたいなと思ったり思ってなかったり。
それはさておき、月一度の待たれているかは分からないけど読んでってね。
やあ、みんな、絶賛迷子なうの茉裏くんだよ。
こっちは小走りであっちは負傷者二人を抱えてる。あの中国人どんな歩く速度してんだよ……。なーんて悪態をついている暇があるくらいなら歩くべし。
中国人こと紅美鈴さんを見失ったのはおおよそ十分ほど前のことだろうか。
博麗霊夢がレミリア・スカーレットの死合に颯爽と現れ、圧倒的実力を持って博麗霊夢にとどめを刺そうとしていたレミリアを鎮圧して見せた。
端的に言えば紅魔館の門番ちょうつえーである。
そうして、呆気に取られているあいだに紅美鈴さんは二人を担いでどこかへと行ってしまった。いや、さっきも言ったけどちゃんと追いかけたんだよ。最初なんか全力疾走だったんだぜ? マジでマジで。
まあ、見失ったんですけどねはい。
身体能力向上に脚力集中、あと足の運び方とかでも違ってくるもんなのかね。
ひとしきり歩いたところでふと足を止める。ちょっと顔を横に向ければ茶色のドア。耳をすませば中からは小さな足音が聞こえてきた。はたから見たら完全に犯罪者なわけだが、そこは気にしないでおこう。
「十中八九目的地は大図書館なわけで、私は絶賛迷子なう。いや、普通に適当な部屋に入って目的地を聞けばよかったのでは? まっつりちゃん天才かよ」
もはや正気を失いつつあることを自覚しつつ、目の前にあるドアにコンコンッと二回ノック。中からは可愛らしい声ではーいと、それと同時に扉が開く。
「ん? 見ない顔ですね。どちら様でしょうか?」
出てきたのは黒いスーツを見事に着こなした一人の女性。今目指している大図書館の主の秘書……になるのだろうか。
「紅魔館の主、レミリア・スカーレットの友人、茉裏って言います。パチュリー・ノーレッジって方が居るところまでの道のりをお聞きしたいのですが、分かりますでしょうか」
「パチュリー様の所へ? 確かにわかりますけど、一体何用で?」
「端的に言いますと、迷子でして……。恐らくなのですが、そこに紅美鈴さんがレミリアさんと博麗の巫女を連れて行っているはずなんですよ。両方ともに負傷してまして、二人とも顔見知り以上の立場とすれば行かないわけにもいかず」
「なるほど……。さっきからとんでもない妖力が流れてきていたり、すっごい大きな音がしていたのは」
「レミリアさんと博麗の巫女が殺り合ってたからですね」
「分かりました。まだ完全に信用してはいませんが、この館に入れたということは美鈴さんが許しているってことでしょうし、ご案内させていただきます。逆らっても勝てっこないですしね。私は小悪魔、紅魔館書庫を管理するパチュリー様の下僕です。以後お見知りおきを茉裏さん。様の方がいいですか?」
「いえ、さんのままでお願いします。様はむず痒いので。よろしくお願いします、小悪魔さん」
差し出された手を握り返す。改めて目の前の女性、小悪魔の姿を見る。腰まで伸びた赤い髪。頭と背中から悪魔の象徴とでも言うべき一対の蝙蝠のような羽が生えている。レミリアの羽に比べるとかなりスリムでコンパクトだ。文字通り悪魔的美貌ではあるが、大人版レミリアのように近づき難い高根の花というよりは、思わず手を出してしまいたくなる魅力。いや、そこまで節操のない男じゃないけど、まあそんな印象をもった。原作とは違いサラリーマンが来ていそうなスーツを身に纏っている。クソかっこいい。
小悪魔の後に続き、廊下を進んでいく。その間彼女と雑談していたわけだが、途中からパチュリー様はですねーと、ただの自慢話を聞き続けるだけの役になっていた。まあ、美人の嬉しそうな横顔を見れただけでも役得ということか。
「あ、次の角を曲がればもうすぐですよ」
俺より数歩先を歩いていた小悪魔さんが曲がり角で後ろを振り向く。
そして、小悪魔が眩い黄緑色の光に飲み込まれ蒸発した。
………………
事は少し遡る。
場所は紅魔館書庫。またの名を大図書館。紅魔館の地下に位置する広大すぎるその図書館には古今東西の魔導書を始めとする数多くの本が鎮座している。部屋の広さは紅魔館自体を埋め込める程度にしているわとはこの地下空間を維持している大図書館の主、パチュリー・ノーレッジの言葉だ。
さて、そんな地下に鎮座する大図書館に招かざる客が一人、新しい従者の手によって連れてこられたのが十分か二十分前。
「遊び相手にってことね。まあ、死なない程度に頑張って頂戴」
「アイテテ……。ここは、いったい」
呑気に頭を掻きながら立ち上がる白黒の女、霧雨魔理沙を中心に大図書館の半分を包み込むほど大きな結界が形成される。捕まったと霧雨魔理沙が気付いた時にはもう手遅れだった。
「こんにちは。私はこの書庫を管理しているパチュリー・ノーレッジよ」
「上の奴のお仲間って訳だ。私は霧雨魔理沙、よろしく頼むぜ」
頼むぜ、と同時に魔法を展開、五本の黄緑色のレーザーが拡散、パチュリーを飲み込んだ。はずもなく、ビクともしない結界に阻まれ霧散した。
「とんでもない強度だな。これだけの規模だ、消費している魔力もばかにならないんじゃないか?」
「種族と年の功ってやつよ。さて、貴方は何か勘違いしているようだけど、私には関係ないこと。この館をこの書庫ごと規模を一切変更せずにこっちの空間を捻じ曲げながら無理やり持ってきて疲れているの。けれど、たった一人の親友からのお願いのために、すこーしだけ働くことにしたわ」
パチュリーは魔理沙から視線を外し、魔法で形成した大きめの椅子に深く腰掛ける。そして、軽くため息を吐いた後、魔理沙とは違う名前を呼んだ。
「フラン、あんまり汚さないようにしなさい。魔力の維持もタダじゃないのよ」
そう言うと同時に、軽く手を振る。魔理沙の目の前の空間が歪み、その中から可憐な少女が姿を現した。首元まで伸びた眩い金髪を片側だけ括り、服装は色合いこそ違うものの上で見た奴と同じに見える。
ああ、なるほど姉妹って事か。
背は魔理沙と同じくらいか少し高いくらいで、背中には木の枝のようなものに水晶のようなものが光を反射し色を変えながらぶら下がっていた。
「あそぼうか」
瞬間、後ろに飛びのいた。目の前の空間が捻じれるように歪み小さく爆発した。もしあれをまともに食らっていたら。恐らく皮、肉、骨、全てが捻じれ内側から爆発していたことだろう。
淡々と処理を行う脳に対し、背中には嫌な汗がじっとりと服を体に張り付けていた。
「今の分かるんだね。ちょっと嬉しいかな。お姉さまやパチュリーには敵わないし、美鈴は躱すだけで相手にすらしてもらえない。ほかのメイド達だと今度は弱すぎて話にならなくてつまんないんだ」
「まるで、私のことを玩具か何かと思ってるみたいな物言いだな。イラつくぜ」
「ちがうの?」
コテンと首をかしげる。
「ああ、そうだ。私ね、フラン。フランドール・スカーレット。貴方は?」
「霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ」
「そっか。よろしくね、マリサ」
フランの手にグネグネに歪んだ時計の針のようなものが握られる。けして戦闘向きには見えないそれを軽く手の中で弄んだあと、目の前からその姿が消えた。
?
宙を舞っていた。地面から足が離れ、肺から空気が絞り出される。蹴られた。それに気が付いたのは自身の身体が重力に従い地面に激突した時だった。
クソがッ
遠くに離れた箒を魔法で手元へ引き寄せ空へと逃げる。感覚的にあの天才かそれ以上。慢心あり。というよりかは、ただじゃれ付いているだけ。最初に言った通り遊んでいるだけ。
「霊夢よりは勝ち目がある……か」
未だ痛む鳩尾をさすりながら、狭い範囲でひたすら滅茶苦茶に飛ぶ。体への負荷はすごいが直撃は避けられるはずだ。速度を落としたら死ぬ。意地でも進み続けろ。上へ下へ右へ左へ前へ後ろへ斜めへと、直角に緩やかに円を円を描いて障害物を避け逃げることに専念しろ、下手な攻撃は恐らく通用しないだろうから。
実際そのハチャメチャな動きはフランにはとても有効だったようで、ほほを掠める拳、腹横の服を引きちぎる足先、箒の先端をぐにゃぐにゃした針が叩き切った。芯が冷える攻撃ばかりではあるが、直撃だけは免れていた。
魔理沙は服の隙間に隠してある小瓶を取りだし、緑色の中身を口元へと運び一気に喉へと流し込む。体にかかる負荷と相まって意識が飛びそうになるのを踏ん張りながらなんとか飲み込む。ドクンッと心臓が飛び出す感覚と一緒に、喰いしばった歯の隙間から紅い液体が。口の中は鉄臭さで充満していた。
それに意識を持っていかれてか、ほんの一瞬動きが止まる。魔理沙にとっては一瞬の停止だったとしても、フランにとっては絶好のチャンス。魔理沙の両足をフランの右足が打ち砕いた。
「──────ッ!!!!」
叫びたかった。だが、叫ぶほどの暇さえなかった。そんな暇があるのであればさっさと動けよ私の身体!!
魔理沙が二本目、三本目と先ほどと同じ小瓶を取りだして一気に煽る。体の内側から炙られているような度し難い感覚、心臓を直接握りつぶされているかのような圧迫感、血管は破裂しそうな程に膨れ上がり、肌は不自然なほどに赤くなっていた。
たかが人間、玩具がと思っていたものが、両足を折られ、あまつさえ自ら死を選ぶような事をしているとあれば気味が悪く動けなくなっていた。
「貴女、馬鹿なの?」
意識朦朧としている相手に言葉を投げかける。戦意喪失……とまではいかないが、この薄気味悪いものの正体が分からないまま終わらせるのは癪に感じた。
「ああ、私は相当な馬鹿らしい。よく親友からもそういわれてるぜ。お前も一杯どうだ?」
四本目の小瓶をフランへと投げ渡す。その行動をフランは怪訝そうにしながらも受け取った。そして、受け取って気付く、中身の色が違うことに。魔理沙の顔が嫌らしく笑っていることに。
全身の毛が逆立つような嫌な感覚、即座に手に持つ小瓶を投げ捨てようとするがその前に小瓶が弾け中身が飛び散る。ツンッとした刺激臭と共に体の感覚が失われていく。
「お前みたいなやつは、私みたいな格下相手にはお遊びで向かってきてくれる。なんで格下相手だとそう見下す奴が多いんだろうな?」
魔理沙はそう言いながら五本目の小瓶を取りだし、一度、息をついて、その中身を飲み込んでいく。
「ぷはぁ。まっずいなこれ」
遂に血管がはち切れ、目や耳、毛穴からも血が滲み始めた。
「魔力回復薬。自家製なんだけどな、味は滅法まずいが効果は私が一番理解してる。四本も飲めば、魔力過多になってこのまま死ぬことも。けど、あくまでそれはこの状態のままだったら、って話なわけだ」
手に持つそれは八角形の何か。その中央に魔力が集まっていくのが分かる。
「霊夢の奴は勝てたのかな。それ以前にここまでしたのは初めてだし、生きて帰れるかどうかも怪しいか。ま、悪運だけはいつも強いし、どうにかなるか」
もはや勝ちを確信しているのか、目の前で動けないままのフランを見てすらいない。事実、フランは動けないでいた。魔力や妖力などを乱す効果もあるのか、肉体の強化すらできない。
「ここまでの量になると、私も生きているかどうか、だな。反動で消し飛びそうだ」
そして、眩い光がフランを襲う。せめてもの抵抗にと漏れ出た妖力を針に纏わせぶつけてみるが意味をなすはずもなく、赤黒ぐろい妖力の塊は魔力の奔流にいとも容易く飲み込まれ、霧散した。
死んだ、助からない、負けた、ただの人間に負けた。
そっか、私、負けたんだ。
それと同時にフランの意識は迫る魔力の奔流から逃れるように、その意識を手放した。
………………
目の前の光景に動けないでいた。小悪魔を飲み込んだ緑色の光は壁をぶち破り、吹き抜けになった廊下には涼しい夜風が吹きぬいていた。
手を伸ばせていれば、もしかしたら助けられたのかもしれない。
どうあがいても無理だということは分かり切っているのに、そんな後悔が浮かんでは消えないでいた。
「びっくりしたぁ」
だから、目の前に何事もなく普通に立っている小悪魔の姿を見た俺の顔は酷く滑稽なものだったことだろう。
「ど、どうして……? いま、たしかに」
「むう、羽が掠ってヒリヒリします……。え? ああ、私影の中なら自由に移動できるんですよ。ほら」
ほらと言って自身の影に潜っていった。そして、ね? っと言って俺の影から這い上がってきた。
何はともあれ無事だというのであればそれに越したことはない。
「心配してくれたんですか?」
「そりゃあするでしょ」
いや、まじでよかった。目の前で人が死ぬのを目の当たりにするだけでトラウマものだし、原作キャラが生きていたという意味でもマジでよかった。
「そんなもんですか」
「そんなもんじゃないですよ。ほんとに……」
「それは申し訳ないです。さ、随分と見晴らしがよくなっていますが、この先が大図書館です。行きましょうか」
そう言って小悪魔さんが先導し始める。その後を慌てて追いかける。その時チラッと見えた。
恍惚とした表情で舌なめずりをするその横顔を。
あ、こいつ淫魔系のやばい奴だな。
その結論に至るのは容易いことであった。
それと同時に、この悪魔とは出来るだけ二人きりにならないようにしよう。そうしよう。
そう、固く心に誓ったのであった。
お読みいただきありがとうございます。
戦闘シーンってなんであんな難しいん?(二回目)
まあ、精進しろってことなんやな。
はあ、小鈴とのほのぼのやり取り書きたい。
では、また来月お会いしましょう。
次で紅魔異変完結です(予定)