どうも、ちゃるもんです。
ようやくメインヒロインが登場ですよ皆さん!!
ぶっちゃけ、このキャラのことをあまり知らないのですが、まあ、なんとかなるでしょう。
季節は廻り、雪が降る今日この頃。はい、冬です。と言いたいところだが、悲しいことに今年は異常も異常の異常気象。月で呼ぶなら二月後半に当たる今日は、北の大地でもないにもかかわらず大雪に見舞わられていた。
「いやー、さむいっすね」
「そうだね。これじゃあおちおち本も読めやしないよ」
「最近ではお客さんも結構増えてきてたんですけどねぇ」
「そうだね。私としてはそちらはどうでもいいのだがね」
場所は人里にある一つのお店。我がバイト先である鈴奈庵。締め切った扉に目をやり、曇りガラスから見える銀世界に思いをはせる。
ちらほらと増えつつあったお客の姿は店の中にはない。紅魔異変が過ぎ、洋食や中華というものが各家庭でも作られ始めた。それに伴って、農家の作る作物の幅が増えた。
つまりは、少なくない外の技術が人里に溶け込んだことになる。面白いのはガス灯ならぬ霊力灯が出現したこと。レミリアたちによって持ち込まれたカンテラが妖怪の山の一勢力、河童たちの技術によって姿を変えたものである。カンテラは油等の燃料を使用し光を灯すという器具だが、人里での油というものはまだ貴重なもの。更に付け加えればカンテラ自体も数が少なかった。
提灯や蠟燭よりも安定した光源の供給。提灯、蠟燭が絶対に必要ではなくなった訳ではないものの、選べる種類が多いに越したことはない。
そこで選ばれた燃料の代わりになったものが霊力であった。油の代わりに霊力、あるいは魔力を浸透させ、数時間ほど光源の代わりにするというものである。
欠点としては、青い光になるため慣れるまでは見づらい。そして、一度消したら再点火ができないという点。妖力を使用した場合は赤黒い光になるため光源としては不十分らしい。
そんな器具が東西南北の入り口に二つずつの合計八つ。まあ、夜を安全に過ごすためなら当然だわな。
さて、少し話が脱線したが、鈴奈庵はそれなりに店としての体裁を保っていたのだ。紅魔勢の介入により洋食、中華の登場。さっきはここで話が逸れたが、要するにだ。外の本もそれなりに扱っている鈴奈庵ならそっち方面のレシピもあるんじゃね? といった、短絡的な考えのもとに各家庭の台所番たちがやってきたからだ。
どこの世界であろうと、奥様方は流行がお好き。そういうことっすよ。
「なにか面白い話でもしてくれたまえよ。外の話とか」
「最悪殺されるんで遠慮します」
「けち」
「けちと言われるだけで命が助かるなら儲けものだぁ」
くだらないやり取りを駄目店主と繰り返す。机に膝をつき、くたびれた本を読んでいる姿が無駄に様になっていて無駄にムカつく。
何読んでるんです? と、聞いてはみても、単なる歴史書だよ。読んでみるかいと差し出された中身は達筆すぎて読めなかった。そのことを素直に言ってみれば盛大に笑い飛ばされたので、代わりに拳でぐりぐりしてあげた。
「にしても、雪、やまないっすね」
「人の財産をぞんざいに扱っておいて、その態度。少しは心が痛まないのかい?」
「そんだけ反論できるってことは、店長の財産は守られたってことだ。良かった良かった」
うんうん、と頷きながら外を見る。依然として降り止まない雪はゆっくりと確実に積もっていく。異変解決組は既に動いているのだろうか?
今回の異変に顔を突っ込むつもりはない。紅魔異変が想像以上のモノばかりだったのと、自身の実力があまりに低いことを実感したためだ。まあ、それを抜きにしたとしても参加するつもりはなかったが。
だって、俺空飛べないし。
人外じみた移動方法を取っていたとしても、霊力の使い方を知っている奴が少し練習すれば上手い下手いの差はあれど、大体似たようなことができる。
もっと言えば、幻想郷の主要人物は大体空飛べるからこんな非効率で危険な移動をしなくてもいい。
ただ、不思議なことに里の住人達はこの便利なものにあまり興味がなかった。よく分からないから、別にいいかなといった具合だ。面倒ごとに首を突っ込むような真似をしたくはないってことだろう。
だとしても、空を自由に飛べるって結構魅力的なことだと思うんだがなぁ。
あの空を、なにものにも縛られないあの世界を自由に駆ける。それを実現するために幾万のもの人間が挑戦してきたはず。それを達成することのできる一番近い場所にいる。一部の人からしたら発狂もの間違いなしだな。
「飛ぶ……ねぇ」
「ん? 博麗の巫女でも来たのかい?」
「いや、そういうことじゃないんですけど。飛べたら色々楽しそうだなあって」
「ああ、外から来た君からするとそういう考えに至るのか」
「なんか含みのある言い方っすね」
「なに、空を飛べるということはそれ相応の実力者。つまりは天狗を筆頭に幻想郷の有権者たちに目を付けられるって事なだけだよ。君だって、悠々と空を飛んでいただけなのに天狗に連れ去られたり撃ち落されたりはしたくないだろう?」
「それはー……いやっすねー……」
なるほど……、それなりに身近にあるものだから興味がない。のではく、あまりに大きすぎる障害があるからこそ諦めるに至ったが正解なのか。
「だから、空を飛んでいるのはある程度自分自身を自衛できる、あるいはただの命知らずな能天気者の二者に分かれる。私は後者だね」
「店長の自分自身を包み隠さずさらけ出してるの、嫌いじゃないっすよ」
「それはどうもありがとう」
てか、この駄目店主飛べるのか。いや、原作キャラだから当然と言えば当然なんだろうけど……人が来なけりゃ、本に涎垂らしながら寝落ちしてたり、腹を出して昼寝してたり…………。こんな奴でも空って飛べるんだなって。
「にしても、止みそうにないどころか段々と勢いを増してきているわけだが、どうする? 帰るなら今のうちだが。泊まるって言うなら追い出したりはしないが、変な気は起こすなよ?」
「仮にも夫候補相手にその物言いは酷くないっすかね。まあ、泊まりませんけど。家が潰れてないか心配なんで」
「そうか、それは残念だ。てか、豪雪といったほどでもない雪で潰れる心配をしないといけない家って……それは、流石に心配になるんだが」
「俺もそう思う。まあ、死んだら化けて出てくるんで。そん時は優しく迎え入れてやってください」
「はっはっは。お断りしておくよ」
それでは、お疲れっしたー。と、軽く挨拶をして店を出る。
外に出るとほんのりと冷たい風が頬を撫でる。風は春風と呼ぶに相応しいものなのに、景色はまさしく冬。しっとりと積もった雪を踏み固めながら人里の通りを進んでいく。ちらほらと外出している人はいれど皆足早に建物の中に入っていく。何時、何が起きるか分からない状況。こうして悠々と外を歩いている自分の方がおかしいのだと思い知らされる。
ふと、空を見上げる。薄暗い空模様。雲の隙間から、というよりはどこか違うところから飛んできた雪を手の平に受けてみる。雪の形はどれ一つとっても同じものはないと聞いたことがあるが、手の平に乗ったそれは日本人ならよく見た花の花弁。桜の花びらにそっくりだった。
「これが、一人のお嬢様の我がままってんだから笑えるわな」
寒い寒い冬を超え、気温こそ多少温かくなったものの、雪は降り続ける。文字におこせばそれだけのこと。だが、農業だったり、人間の身体はそんな簡単に調整できない。
「なんとも、はた迷惑なお嬢様なこって」
手の平に乗った雪の花弁を息で吹き飛ばし、再び歩き出す。少しだけ溶けた雪がくたびれた靴に染み込んで、なんとも不愉快な触感となる。草履などの方がよかったりするのだろうか。
家に帰ったら、取り敢えず火を起こして暖を取ろう。水を沸かしてお湯をと、保存しておいた漬物と、お手伝いで貰った米を炊けばそれなりに腹も膨れるだろう。
入り口を守っている担当門番の人と軽く雑談。雪止みませんねー、そっすねー。その後、人里を出て帰路に就く。ここから先、安全な場所はない。通いなれた道とは言え、いつ襲われても可笑しくはない。懐に隠してある拳銃の位置を確認し、軽い足取りで進んでいく。
まあ、人が頻繫に通る道は妖怪も不用心に近づくことも少ないのだが。警戒しておくことに損はないだろう。
「それこそ、空を飛べたら楽なんだろうが。あんな話を聞いちゃあ、素直に手を伸ばすことはできないよな」
自宅がある森の近くまで来て、少しだけ強くなった雪の勢いに小言を漏らした。
さ、帰りましょうか。
誰に言うでもなく、心の中で呟く。そして、見たくないものを見てしまった。
「ええぇ…………。なんでこんなとこで死んでんのぉ…………」
薄汚れた青い髪に、あまりにボロボロな服。差し押さえの札で補強してあるものを衣服と呼んで良いのかは甚だ疑問だが、まあ布を着ているぐらいにしておこう。靴は履いておらず、血に濡れ、直視するのも躊躇ってしまうほどの光景。ズボンやスカートの類は履いておらず、これまた継ぎ接ぎの下着が丸見えになっていた。
丸見えの脚は骨が浮き彫りになっており、餓死しているようにしか見えなかった。
「これ、埋めたがいいのか……? てか、本当に死んでるのかこれ?」
口元に手を当ててみると、微かにだが呼吸していることが分かった。細い腕、もはや骨と皮だけになっている腕を握ってみると、脈も感じられた。
「……見た感じ、俺の知らない原作キャラ…………っぽいよな。連れて帰るしかない、か」
重力に従わせるだけで折れてしまいそうなその体を、極力刺激を与えず、優しく抱きかかえる。にしても、本当に軽いもので、アニメの表現の一つ、羽のように軽い。まさにそれだった。こんな形で味わいたくはなかったが。
「なんかで聞いたことあるけど、餓死寸前の人間に一気に飯をやっちゃダメなんだっけ。わっかんねぇ」
折角助けたのに死なれたら後味悪いし、なんて悠長に記憶を探り、家の中へと連れ込む。永遠亭が存在しているのは、薬売りのお姉さんがいることから分かってはいる。が、流石にそこまで連れていける時間もない。
取り敢えず家の中を温めなければと、貰い物の火鉢をに炭をくべる。火をつける火打石も貰い物だ。というより、家財道具のほぼすべては、古くなって買い替えるものを頂いたものだったりする。
少量の藁に火打石で火をつけ、炭のその炎を移す。最初こそ藁に燃え移った炎が立ち上がるが、直ぐに収まり、炭からパチパチと炎が弾ける音がし始めた。炭もそうだが、藁とかを部屋で燃やすのはとても危険なので真似しないように。
火鉢を部屋の中央にセットし、その間に寝具の準備をする。これも勿論貰い物。
布団の上に少女を寝かせ、その上に毛布をかぶせる。布団は人里のゴミ捨て場に捨てられそうになっているものを譲ってもらい、毛布は紅魔館から貰ったものだ。これがなかったkら今年の冬は確実に越せなかった。
後はお湯を沸かして、飯の準備。
帰ってきたとたんにやることが押し寄せ、少しばかし気合を入れる。みるからに重要人物な少女。もしかしたらどこかとの縁が作れるかもしれないし、今後の異変で有利に事が運ぶ可能性もある。
「あした、永遠亭に行って……それより、鈴仙さんに来てもらった方がいいか。明日動けるようになるとも限らないし、無理に動かして死なれても困る」
薄情な物言いかもしれないが、正直とても面倒だという気持ちの方が大きかったりもする。けどまあ、やるだけやってみるかという気持ちも確かにある。ようはツンデレってことですよ奥さん。男のツンデレとか誰得だよ……。
そうこうしているうちに、温めておいた水からほんのりと湯気が立ち上る。あんまり熱くてもあれだからと、早々に火から急須を離す。茶碗に水を注ぎ、少女の口元へ、ゆっくりと流し込んでいく。咽させたら多分終わる。そんな予感をひしひしと感じながら。
ゆっくりと水を飲み込む少女を前に一つ確信したことがある。
ああ、すくなくとも、今日一日は眠れそうにないな……。
お読みいただきありがとうございます。
瀕死のヒロインって可愛くない?(錯乱)
まあ、なんか設定見てたら基本食べ物に困ってる感じだったので間違ってはいないのかなーっと。
では、次は年末か、年始。皆様忙しい時期だとは思いますが、その頃にお会い致しましょう。
風邪には気を付けてね!!