今年も今年とて、マイページに進めていく所存でございますちゃるもんです、
何かと忙しい月でしたので、結構短いです。
箸休め程度の話だと思って、軽く読んでいただければなと。
では、どうぞ。
目が覚めた時、私は一人だった。
確かな記憶はなく、ただ、自分自身のことが知識として存在していた。
貧乏神。
自分を含めたすべてを不幸にしてしまう存在。それが、私。
この世界で目が覚めて、日が入れ替わったのが十回ほど。まともな食事はもちろん、雨風を凌げる場所で寝たところはない。そんなところで寝ようものなら、間違いなく何らかの不運に巻き込まれることが直感できたから。
誰かに頼る。そんなことも出来っこない。誰かに頼るというのは、頼った相手もまた、この地獄を味わう羽目になるということに他ならないのだから。
きっと、わたしはこの体質のせいで何度も死んで、生まれ返しているのだろう。
そして、記憶を失い、無駄に生き永らえようと足搔いている。それが無理だということは分かり切っていても。足掻くだけなら、ただなのだから。
白いふわふわが積もり、歩くのを邪魔する。
足袋なんて高級品、持っているはずもない。
冷たい風と、冷たいふわふわで体の体温が奪われていく。きっと、この辺りが潮時なのだろう。どうせ、死んでも記憶を失うだけなのだから、さっくりと諦めてしまおう。
心が何の拍子もなくぽっきりと折れたのが分かった。今までの私がどのようにして死んだのかは定かではないものの、それなりに長生きできたんじゃないかなと思う。本当に死に物狂いで生き続けた。空腹を少しでも和らげるために、黒いカサカサしたのや土や草。水はこの白いふわふわで補って。誰かの食べ残しや、野良猫の餌を奪ったこともあった。
ゆっくりと、体から力が抜けていく。白いふわふわは体を受け止めるには脆すぎて、冷たく固い地面に体が打ち付けられた。
だんだんと視界がぼやけ、それと一緒に睡魔が襲ってくる。勿論、抵抗の一つも出来るはずもない。むしろ、受け入れる様に瞼を閉じた。
体に変な重みを感じた。その感じたことのない違和感に、自然と瞼が上がる。
まず目に入ったのは、古びた木製の屋根。そして、視界の端をちらつく明るい光。
重みを感じたのは、自身に布がかけられていたから。背中にも違和感を感じたが、それもそのはず、今まで触ったことすらない敷布団なるものが敷いてあったから。
どこ、なぜ、いきてる、しんでない、なにが、なんで、うれしい、うれしくな
情報が処理しきれず、色々な感情が波のように寄せては引いていく。
ただ、一つ、確実に、そして明確にしておかないといけないことがある。
誰かが私を助けた。
だとするならば、私は早々にこの場所から離れなければならない。
そう思い、布団から抜け出そうとするも体は言うことを聞いてはくれない。挙句の果てには、起きたのに気付いて私を助けたであろう人物から声までかけられた。
「目、覚めか? ちゃんと俺の声聞こえるか?」
矢次に飛んでくる質問に小さく頷く。ならよしと、満足げに大きく頷き、私の前に木彫りの小さなお椀を差し出した。
「少し、体を起こすぞ。もっと栄養のあるもんを食わせてやりたいところだが、生憎おれもそんなに裕福って訳じゃないんでな。粥、ここにはお前の脅威になるもんなんて一つもない。だから、安心してゆっくり食べな」
受け取った器の中には白い湯気をもうもうと上らせている真っ白のかゆ。それが一体どういった食べ物なのか、私には分からない。これ以上、助けてくれたこの人に迷惑をかける訳にもいかない。一緒にいてはいけない。
だけど、生まれて初めて、温かいものに触れた。この感動を前に、そんなものは霧散して、気が付けば私は頬一杯に器の中身をかきこんでいた。
「ゆっくり、っていってもそりゃ無理な話か」
口を、喉を、胃を、腹を、体、全身、そして折れていた心も、ただ、一度の食事でじんわりと暖かくなっていくのが分かる。
たった一回、ただ一口、食糧を得るために血反吐を吐きながらもがいてきた日々。温かいものを口にしたのも初めてならば、口いっぱいに食べ物を含んだことさえ初めて。もごもごと、口を動かす私に、助けてくれた人はただ呆れたように笑って見せた。
さて、ガリ骨少女が目を覚ました。日が傾き始めたこの時間、冷めきったかゆを温めなおし、現状を把握しきれていないであろう少女が落ち着くのを待つ。
どうあっても逃げれない状況だからか、特になにすることもなくその様子を伺っていた。
にしても、見れば見るほど痩せこけているのがよくわかる。毛布を被せているわけだが、ほんらいあってしかるべき人の形の膨らみが殆どできていない。
それに、起き上がろうとしたのだろう。身じろぎをしたが、毛布の重さに負け諦めていた。
そこまで元気なら、話しかけても大丈夫だろうか?
「目、覚めたか? ちゃんと俺の声聞こえるか?」
小さく頷く少女に、取り敢えず大丈夫そうだと安堵する。
取り敢えずいくつか質問してみた。とはいっても雑談的なものでやれ好きなものはだとか、どこから来たのかだとか、なぜ倒れていたのかだとか。食欲はあるかだとか。おそらく質問の意図を理解できていないのであろう少女は、ただ静かに頷くだけだった。
ま、問題ないならそれでよし。
「少し、体を起こすぞ。もっと栄養のあるもんを食わせてやりたいところだが、生憎おれもそんなに裕福って訳じゃないんでな。粥、ここにはお前の脅威になるもんなんて一つもない。だから、安心してゆっくり食べな」
少女の身体を軽く起こす。お粥を器によそい、それを差し出した。少女は器を受け取り、その中身をしばらく見つめた後、ゆっくりとお粥を口に運んだ。
それによって、意識が覚醒したのか、緊張の糸が切れたのか、お粥を口いっぱいに頬張っていた。
ちなみに、裕福云々は一部嘘だったりする。貧乏なことに変わりはないが、干し肉なり野菜、漬物など、食べる物には現状困っていなかったりする。ただ、極度の飢餓状態の相手に過剰な栄養与えたら危ないんじゃね? なんかそんな戦話あったきがする。ぐらいの、ふわっとした理由での選択がお粥なだけで。
ま、実際、病人にはお粥食わせとけって感じのお約束はあるし、問題はないだろう。多分。
「ゆっくり、っていってもそりゃ無理な話か」
いっぱいに頬張りすぎて、ずっと咀嚼を繰り返している少女。いや、お粥でそこまでなるってどゆこと? ああ、でも、顎の力とか弱くなってたりもするんだろうか? それなら、会話をするのも結構時間がかかるかもしれないか。
空になった器を名残惜しそうに手渡してきたので、お粥をよそってみる。すると、少女の目は輝き、食べてもいいのかとこっちに視線を送ってきた。
「結構作っちまったからな。腹を壊さない程度に食べな。余った分は俺が食べるし、明日の飯は別に用意する。気にすんな」
そういうと、少女は意を決して、お粥に再び手を付け始めた。先ほどとはちがい、味わうように、ゆっくりと。
ま、今ここで死なれても面倒だし。あからさまに原作関係のキャラだろこれ。ここで逃げられて情報が手に入らなくなる方が俺としては痛手なわけで。
ただ、俺の中でこんなキャラクターいたかなーどうだったかなー? 状態なのがなー。
そもそもとして、俺の知識としてある程度具体的な内容までわかるのが聖白蓮復活を目的とした宝船異変の星蓮船まで。名前が分かるだけならクラウンピースとか、サグメ様とかが出てきたところまで。能力はよく分からん。
ただ、その中にこのガリ骨少女は見当たらない。それ以降の作品となるわけだ。
実際、人里には薬屋の鈴仙・優曇華院・イナバや草の根妖怪ネットワークの今泉影狼や赤蛮奇なども見かけているため、これより先の異変の首謀者、あるいは、解決のための味方がいるのは何らおかしなことではないのだろう。
ならば、一体なぜ、死にかけていたのか。原作キャラが、本来登場するよりも前に死ぬことが果たしてあり得てよいのか。茉裏というイレギュラーがいるからあり得ても可笑しくはないから、この辺りは確認しておきたい。
そもそもの話として、この少女の素性は何なのか。妖精か、妖怪か、人間か、はたまた神か。
まあ、なんだ。身なりを見ればなんとなーく予想は出来るものなんだけど。確認って大事だよねってことで。
「今日は遅いし、あの様子だと行くところもないんだろ? どうせ俺も独り身だから、しばらくの間はゆっくりしていきな。色々と聞きたいこともあるし。アンタの正体についても、なんとなく察しがついてる。んで、この家の中にいれば、アンタの悩みも多少は緩和されてるだろうから」
ま、信じるか信じないかはあんた次第ってことで。既に外は暗く、白い雪が降り続けている。異変の解決は一体いつになる事やら。
少しだけ開けていた玄関の戸を閉め、火鉢の火を消す。今日の寝具は藁です。藁を適当な布で包み、寝具の代わりにする。少しチクチクとして痛くはあるものの、それなりに寒さは防げる。
「それじゃ、おやすみ」
聞いているかは分からないが、少女に一言かけ目を閉じる。
明日は明日でやることが多くなりそうだ。
それはそれで退屈しなくて済むから、わるくは、ない、のかな。ぐぅ
お読みいただきありがとうございます。
次回、妖々夢編終わりとなります。
先に話しておきますと、飛行しなければ参加できないような異変等には一切参加しない予定です。そこででたキャラたちとの絡みは、別で書いていきたいとは思って今すが。
ではでは、また来月にお会い致しましょう。
じゃね~