決してFGOのメインストーリーを進めるのに躍起になって忘れていたなんて過去はありません事よ?
永遠亭を退院した俺は、サディスティックスマイルこと八意永琳に見送られながら迷いの竹林を後にした。
迎えには萃香が付き添ってくれて、約一ヶ月と半月ぶりに土の感触を確かめた。
体に多少の違和感は感じはするものの、日常生活を続けているうちに元に戻る。と言っている女医さんをガン無視で土の感触を全力で味わってた。安心感すごいねこれ。
里を通っては畑の手伝いに行っているジジババ達や寺子屋の子供たちに囲まれ、なかなか愛されてるもんだと実感。
そうしていると、慧音先生と小鈴店長に捕まり説教。小一時間ほどへいへいすんませんと嬉しいやら恥ずかしいやらでニヤニヤしながら聞いていた。
とはいえ、ずっとそのばに二人の説教を聞いているわけにもいかない。萃香の助け舟もあり、二人から脱出することに成功。その後は特に何事もなく帰路につくことができた。
一ヶ月。短くはないその時間が経っていたとしても、見慣れた光景というのは実に心が落ち着く。住処にしている森じたいにはあまり良い思い出があるわけではないが、それでも、不思議と嫌な気持ちはなかった。
森に入り、獣道を進んでいく。草木が生え変わり、多少戸惑いながらもただ一点を目指して歩く。萃香がいるから安心安心。森に入る前はそう思っていたものも、気が付けば萃香のこと自体が頭からすっぽ抜け、歩いていた足はやがて速くなり走り出していた。
ずっと、ずっと通ってきた道をがむしゃらに走り抜ける。目の前にはボロボロの小さな家。小さな家というより、小屋に近い。
壁や屋根には幾重にも張りなおされた板。
慣れない大工仕事でなんども指を挟んだ。尖った木片は何度も皮膚を貫通した。
そりゃそうだ。だって、最初は道具すらもなかったのだから。金槌のかわりに大きめの石。木の板は里で売られているような立派なものではなく朽ちた倒木。縛るためのロープや縄は木の皮や蔦を集めて。
最初は一人。幻想郷に来てそう長く経っているわけでもないが、人肌が温もりが何もないというのは、とても寂しかった。
紅魔異変が落ち着き、終わらない冬が訪れた。そんな日に、一人の少女を拾った。
そこからは、まあ、生活する相手が増えたってだけ。最初は俺自身嫌がっていたけど、そうだな、すくなくとも、嫌なことからは目を背けられる程度には忙しくなったんだと思う。
余裕なんてものは後からでも付いてくるんだって。
それに、あんなに必死に生きようとしてるやつを見ててこっちの余裕が無くなるってもんよ。矛盾しているように見えるけど、そういうもんなんだなこれが。
それからは、二人で壊れたところをトンチンカンってね。その頃には、道具も多少はマシになってたし、食糧にも昔ほど困ってなかった。人脈ってのは大切なんだ。
そうして得た、一人の家族ともいえるべき存在。出かけているとき以外はだいたい一緒。退屈も、寂しさも感じなかった。ただ、純粋に毎日を過ごせた。先のこと先のことって、切羽詰まることが減っていった。
一緒に過ごした時間は、一番長い。必然的に俺の拠り所ってやつになってたわけだ。
だから、嬉しかった。家に帰ってこれたことが。紫苑の元へと戻ってこれたことが。嬉しかった。
里の知り合いたちに会ったのも、慧音先生や小鈴店長の説教も全部嬉しいかった。萃香が迎えに来てくれた時だって、泣きたくなる気持ちを抑え込んでいた。
だが、だがそれ以上に紫苑に会えるという喜びは、唯一無二の同居人に会えるという喜びを超えるものはない。
目の前の家の戸を勢いよく開ける。中には着替え途中で半裸の紫苑。喜びが現実になった。驚いた紫苑の顔。いてもたってもいられず、土足のまま家の中へと駆け込み紫苑の体を抱きしめ抱え、
「見ないうちに随分肉付きがよくなりやがってやっぱ博麗の巫女さんのお守りの効果も出てたりすんのかな人里にいったらしいけどどうだ友達になれそうな奴とか見つけられたか慧音先生とか小鈴店長にはもうあったか? まだ? それなら明日にでも会いに行こうどうせならレミリア達にも会いに行ってみるかなかなか面白い奴だぞっとその前に博麗の巫女さんにお礼を言いに行かないといけないのかお土産何がいいと思うやっぱ酒かなレミリア達に頼んでワインとか貰って持っていってもおもしろそうだけど素直にお菓子とかぐらいの方がよかったりするのか博麗の巫女さんの好みがわかんねぇから決めようがなまああとで決めればいいかそうだまだ日も高いしどうせなら人里に飯でも食べに行くか何が食べたいって聞いても分からんだろうからあっちに行って決めることにしようぜ紫苑が俺のいない間どのくらい人里に行ったのか知らないけどそれでも俺の方がまだ先輩だからな色々案内してやれるきっと驚くぞ団子にうどん蕎麦すき焼きラーメン餃子お好み焼きにパスタやカレーどれもこれも独特な進化をしている途中だが大外れはそうそうない外れはあるけどレミリア達のおかげで洋食中華を中心にいろんなもんが増えてきてるさあ行くと決まれば即実行いっくぞー!!!!!!」
顔面に肘を食らいましたなんでや。
家主である俺は居候である紫苑相手に正座をし、本日二度目となるありがたーい説教を聞かされていた。
「嬉しいのはわかるけど、いきなり抱き着かれると驚くからやめましょう。おへんじは?」
「はい。すいませんでした」
この居候、俺が入院中の間、人里でかなりお手伝いをしていたらしい。主に寺子屋。
食べ物などであれば多少なりの備蓄もあるし、魚や山菜は取れるが、日用品ともなると里に出る必要があった。が、しかし、我が家に金銭的余裕などあまりなく、どちらかと言えば物々交換という肉体労働で食費等を賄っている状況。
加えて、それらの交渉は俺が全部やっていた。服が欲しければ服屋でバイト、食糧が欲しければ農家、金が欲しければ雑貨屋。ってなぐあいに日雇いみたいな感じであっちにふらふらこっちにふらふらしてたわけだ。
おかげで古着だったりの中古品を貰う頻度も増え、少しずつ貯金も出来ている。とは言っても、せいぜいが一度の買い物で軽い贅沢ができる程度だが。
そして、生活の要ともいえる俺が入院。消耗品や壊れてしまった道具類を買い直す事ができなくなってしまった。
取り敢えず里に出てみよう人一杯だしお金なんて持ってない、そもそも買い方を知らない。取り敢えず色々見て回ってみようってな感じで里を見て回っていたそうな。
そして、里を物珍しそうに回っていたところを慧音先生に捕まり、そのままお手伝いとして受け入れてもらっていたとかなんとか。
まあ、そんなこんなで生まれたのが
「大体なんでそんな大けがを負うようなところに行ってみようなんて思ったのか……。しかも、これが初めてじゃない? 馬鹿なんですか阿保なんですか死にたいんですかあなたが死んだら私は一体どうしたらいいんですか」
目の前でぷりぷりと怒っていらっしゃる新生紫苑ちゃんなわけですね。あの頃の無邪気な紫苑は一体いずこへ……。
口調まで変わってしまって……。これは慧音先生に抗議しなきゃ。
「はぁ……。取り敢えず、真っ先に言うことがあるとおもうんだけど、ね、マツリ?」
「ん、ただいま」
「…………おかえりなさい」
すこしの沈黙の後、彼女は満面の笑みで答えてくれた。
男子ですら三日もすれば変化するのだ、一か月もあれば神も変化しようというもの。
けれど、目の前には一切変わらない、温もりがあった。眩しさがあった。家族がいた。
この一時を決して離したくない。失いたくない。お互いの無事を確認しあうように自然と抱きしめあう。
その体温、息遣い、鼓動、全てを感じて、お互いに生きていることを確認しあう。
「お前を拾った当初はこうやって暖を取ってたっけか」
「そう、昔の事でもないのに、すっごい懐かしい」
「それだけ今が幸せって事だろ。良いことじゃねぇか」
紫苑の抱擁が強くなる。それに合わせて力を入れる。絶対に離さないと返すように。
そう、絶対に離さない。
「それはそれとして、萃香!! 酒盛りっすぞぉ!!」
「お、終わった? 私だけ蚊帳の外にするなんていい度胸してるじゃぁないか。今夜は寝かさないから覚悟しなよ」
「え? え? 今のこの状況からそういう話になるの?」
「うるせぇ!! 病み上がりがなんぼのもんじゃい里に飛び出てさかもりっすっぞぉおお!!」
「おおおぉおお!!」
「そ、それはわかったからせめてはなして!! あだめだ話聞いてない!!」
紫苑を抱え上げ、家の外へと飛び出す。来た道、帰ってきた道を萃香と共に全力疾走。少なくとも病み上がりの死にかけ男がする行動ではない。
でも、腕の中にいる紫苑の顔は笑っていた。なら、それでいいのだ。
そう、決して慣れないことをして恥ずかしがっているわけではないのだ。
照れ隠しなんかじゃないんだからね!!
この後、萃香共々民衆の真ん中で説教されたことを追記しておく。
……なんか以前似たようなことあった気がするけど、気にしたら負けだね!!
お読みいただきありがとうございます。
三日程度で書いたわけですか、なかなか楽しくかけて満足満足。
オチが一緒?んなもんしらねぇえ!!
FGOにうまぴょいに原神にOW(回線落ち酷くてシルバーに落とされた)にAPEXにDBDに少しだけヴァロラントその他もろもろやってたら時間がなかったんだよ。
取り敢えずFGOもアヴァロンルフェがもうすぐ終わるので多少は余裕ができると信じたい今日この頃。
んじゃまた来月お会いできるのを楽しみにしております。
ばいちゃー