はっぴーにゅーいやー!!!!
いやー、年を超えました。
この作品どこで完結するのでしょうか作者にも分かりませんふしぎだなー(゜-゜)
朝チュンである鳥が憎い。
目が覚めると、全身を襲う疲労感に加え酷い腰痛。
服は着ておらず持ち上げた上半身は産まれた時と同じ。恐らく布団の下の下半身もそうだろう。
ちらりと横に視線を映せば、無防備にも一糸まとわぬ姿で寝息を立てる我が主様こと八雲紫。金色の髪が障子から漏れている朝日を反射してとても眩しい。
藍様は部屋の隅で正座をしたまま不動。彼女とは事を起こしていないが、途中から横でやり方を指南し始めたの忘れてねぇえからな。なーにがなかなか立派なものをだ駄狐様コノヤロー。
八雲紫と寝た。
状況で言えば間違いなく不可抗力なのだろうが、それでも事実は事実として残っている。
部屋の中に漂う汗臭さ、他人の家で一体何をしているのだろうかと悲観する。
幸いなのは部屋への侵入はされていないだろうということぐらいか。部屋全体を覆っていたお札は剝がされているものの、障子の破れや、戸と戸の間の小さな隙間などの場所には覗かれ防止の為にかお札がまだ残っている。
別に紫様の事が嫌いだとかって訳じゃない。むしろ、好きだ。ただ、その好きというのはlikeの方でloveではない。
嬉しくないのかって問われれば、そりゃあ勿論嬉しいさ。とんでも美人が俺を好いてくれて抱かせてくれる。願ったり叶ったりだわ間違いない。
ただ、普通に好きな、愛する相手がいる。素直に喜べねぇだろばかやろー……紫苑になんて説明すればいいんだよマジで。
てか、俺の手に負えないんですってこの八雲紫って存在は。ちょーっとえいって扇を振っただけで山を両断させるんだぞ? なんならちょっとデコピンしただけで山一つが消えるんだぞ?
いやー……キツイッす……何が一番キツイかって、もう後戻りなんて出来ないのが一番キツイっすね。
だってよ? どう頑張っても逃げられないんだぜこのとんでもご主人様から。
紫苑を殺して俺も死ぬ!! そして二人は地獄だか天国だかでハッピーエンド!! 八雲紫から逃げられて愛する人とずっと一緒勝ったながはは!! ……魂握られてますやんオレ。死んでもそのまま回収されますやん。そもそも紫苑は貧乏神だから記憶なくして生まれ直すだけだし。そもそも地獄にも天国にも行こうと思えば行ける世界だし。その辺の定義曖昧だからよくわかんないど、旧地獄とか三途の川はあるから、物理的にも捕獲される。
……もーいや、考えたってどうしようもないですわ。あてくしむずかしいことわからなくてよ。
少し冷えた体を再び布団の中へ。少ししっとりとした布団の中は程よく気持ち悪く、思考を逸らすには持って来いだった。
まあ、逆に考えれば? 愛想つかされたりしなければ? 寿命こそ分からないけどほぼ不死身みたいなものだし? 全部が全部悪い事じゃないわけだし? もうむりふて寝しよぐぅ。
考えることを放棄し、隣で未だ可愛らしく寝息を立てるご主人様を恨めしくも思いながら瞼を閉じた。
思考を落とす直前、それでいいのかお前とか聞こえたけど、ぼくちんなにもわるくないし なにもしらないばーか。
「ってことがありまして今にいたります」
「そんな話を久しぶりの出勤だというのにさめざめと語られている私の方が可哀想だとは思わないのかい?」
場所は変わって鈴奈庵。ワタクシメのバイト先である。
目の前にはちびっこ店長こと本居小鈴が、カウンターに頬杖を突きながらジト目で睨んでいた。
「ここ……どのくらいかも忘れたけれど、定期的に長期の無断欠勤。確かに? 週に何回だとか、何曜に出てこいだとかってのは決めていなかったさ。君の後ろにただならぬ事情があるのも察していた。だから、深くは踏み込まなかったし、心配していてもそれを表には出してこなかった。けれど、けれどだよ?」
ゆっくりとカウンターから立つ小鈴店長に、すこしだけ尻込みしてしまう。身長差が30近くはあるというのに。
やがて、彼女は俺の前に立つ。しゃがめと言わんばかりに地面を指しながら。
「……ウッス」
抵抗する気力も起きず、静かに憤慨する彼女の前に膝をつく。さながら、親の説教を受ける子供だろうか。
「そんだけ汗臭くてヤッテきましたって臭い漂わせながら堂々と店の敷居を跨ぐんじゃないよ。わかったらさっさと水浴びでもして出直せ」
「…………ハイッ」
下手な怒号よりもよっぽど怖い怒声にちびりそうになりながら、いそいそと店を出る。店の外、流石に共同井戸に行く勇気も今現状あるはずもないので、近場の川で体を流す。きっと完全に消えるなんてことはないだろうが、しないよりはマシだろう。
さて、どうやって暖を取ろうか。火打石持ってないし、体を濡れて寒いし、濡れたまま服きれないし。なんて思っていると、小枝の束を抱えた小鈴店長がとてとてと歩いてきた。
「……大方、なんの準備もなしに川に飛び込んでいるだろうと思っていたけど、流石にそこまで理性が飛んでいるわけではないようだね」
「全面的に俺が悪いんで強く出れないっすけど、流石にその評価には遺憾を示しますよ店長」
「遺憾を示しているのは私の方だよ変態」
小鈴店長は手慣れた手つきで枝を組み上げ、火打石で火をつけた。ものの十秒程で煙が上がり、枝に火がつきごうごうと燃え始める。
ついでとばかしに上着を脱ぎ、川で洗う。近くの石を持ってきてそれに被せ火のそばへ。その隣に腰を下ろし、既に座っていた小鈴店長と向き合った。
「で、だ。一店員の茉裏くん」
「はいなんでしょう小鈴店長」
「なぜ君はわざわざ解放された後に私の所へときたんだい。それに、先の話を聞いて思ったことだが、よく返してもらえたね?」
「えーっと、まあ、その色々ヤッた後に二人して起床したあと、お互いなんやかんや顔を合わせづらくまた来るからと言い残して帰られました。はい」
「想像以上に初心なんだねぇ……。いや、生きている存在である以上そういうこともあるだろう。で、だ。なぜ私の所に来たんだい?」
「いやー、だって素直に帰ろうにもこれじゃあ帰りづらいっじゃないっすか。ねえ?」
そうかそうかと小鈴店長は何度か頷いた。どうやら俺の心境を分かってくれたようである。えがったえがった。
だって、色んなヤバい臭いを残したまま家に帰ってみんしゃいよ。もう、おこだよ? 紫苑ちゃんおこになっちゃうよ? 今度こそ俺死んじゃうかもじゃんイヤじゃんそんなの。
だからというか、まあぶっちゃけどこでも良かったんだけど、なーんか一番気が楽に突撃かませそうなのがここだったわけで特に他意はない。立地とかを度外視すれば小鈴店長かレミリアのどっちかなのは違いないけど。
うんうんと一人かってに頷いていると、おもむろに小鈴店長が焚火を突いた。火の調整かなと代ろうとした時、炎に燃やされ炭となった小枝の欠片が胸元へと飛来する。
「うおぁったちゃあああああああ!!!」
「今回はそれで許してあげよう。次はない」
このアマやりやがった!!
慌てて川へ飛び込む。一瞬にして燃え上がった体温はこれまた一瞬で冷却される。立ち上がった時に吹いた風はより一層体を冷やし、同時に自分が酷く惨めに思えた。
「やあ、おかえり」
「ああ、ただいまこのやろう」
「一瞬だったのだから跡が残るほどでもないだろうに。大げさな」
「だったら今からでもアンタの顔面に擦り付けてやりましょうか???」
「責任を取ってくれるのであれば構わないよ」
ほらと顔を差し出してくる。
長いまつ毛に潤った唇。こちらを真っ直ぐに見つめてくる瞳は緋色に近い橙色。焚火に当てられ少しだけ上気した頬はいやに艶やかだった。
そして、昨夜の出来事がフラッシュバックする。己が腕の中で喘ぐその姿を。見境なしだし、せめて姿くらい変えろよ俺……。 どっちにしろ最低か。
小鈴店長の鼻先をつまみ、少し赤くなったところで離す。
「ぷえー」
「寝言は寝て言いやがりませ店長」
「まったく、酷いじゃないか。そもそも私たちの年齢こそせいぜい四つ五つ違う程度だろうに」
「寝言は寝て言いやがりませ店長」
「確かに年に対して成長は乏しいが……それでも私は20をだぞ? やはり胸か」
「曲がりなりにも20になる女性が男の前で恥ずかしげもなく胸を揉み始めるんじゃないよ」
はあ、と一つため息。
この世界に来てもう、四年ぐらいは経つのか? 一時期はカレンダーもなかったから詳しく覚えてねえなぁ。
「ねえ、店長」
「なんだい店員」
「結局のところ、どうやって帰ったらいいと思います? 隠し通せるかな?」
「そんなもの私が分かる訳ないだろう。それと、隠すのはやめておいた方がいいんじゃないかな? 彼女の場合だと特に。少し前のアレが里でも起きるのは御免だぞ」
「っすよねぇ」
ごもっともな回答に頭を抱える。下手に隠して紫苑が妖怪の山の時のようになったのであれば、きっと今度こそ紫様が出てくる。不幸という不安定なものを処理するのは面倒。出来ないではなく、面倒。つまり、面倒さえ考えないのであれば悠々と処理できるということ。それこそ、昨日、妖怪の山を消した時のように。
幻想郷は紫様にとって宝箱だ。だが、今現在、その上に俺が立ってしまっている以上、事が起きらないとは限らない。
「素直に話して、謝り倒すのが吉……なんですかねぇ」
「君の双肩に里の、幻想郷の未来が掛かっているんだ。無暗な行動だけは起こさないでおくれよ。と、言っても……もう遅いかもしれないが。検討を祈る」
唐突に顔を青ざめさせ立ち上がり去っていく小鈴店長に疑問符を、そして背後に気配。あ……(察し)
いやいや、紫苑な訳がない。だって、萃香が見ているんだぞ? 抜け出せる……酔っ払って寝た? いやいやいやそんな訳wwwありえる……ありえますねぇ……。
後ろを振り向く。ギギギッ、まるで油を指していない機械を動かすように。しかして、それは拒まれる。万力のごとき力が顔に加えられ振り返ることを拒否された。
耳元で囁かれる。ひどく、つめたく、するどく、怒気と殺気もいりまじった、声が。
「はなして、クレルよね?」
「…………ヒャイ」
拝啓 こっちのお父様 おんなのひとってとってもこわいですね いつかまた いきてあえることをおいのりしていてください
視線を正面から横に移す。人間としての心理なのか、後ろを見ようとしてしまう。してしまった。
視線が交差する。光を拒絶した深淵のごとき瞳と。
お読みいただきありがとうございました。
多分、多分だけど今年中に完結するとおもいますん……タブンネ
何はともあれ、今年も何卒宜しくお願い致します。
この時期は人混みがすごいから風邪やらコロナやらには気を付けるんだぞ!!
では、また来月だ!!
ばいちゃー