糸の先に繋がれた人形のお話   作:ちゃるもん

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皆様1年と……何か月ぶりだ? 分からないけど私は元気です。
パソコンの故障だったり、単純に忙しかったりで筆を執る時間が短くなっておりましたがようやく帰ってこれました。

ぶっちゃけ前回の話よく覚えてないけど、まあ、まともなものができたんじゃないんかなと。

それでは、どうぞ!


第6話 不安しか残らないけど僕は元気です

 皆は急に親に会えなくなるってなったらどうする? 別れの挨拶? 最後の親孝行? まあ、やる事は沢山あるだろう。言葉が少ないだけでな。飯に行くでも、観光に行くでも。家で一緒に過ごすのも、捉えようによっては親孝行になるんだろうさ。

 

 けど、そういうのってのはさ、結局は会えなくなるってのが分かった時にしか無理なんだよ。

 

 親と仲が悪かったり、DVでもされていればお願いしたい程の事なんだろうけど、俺は違う。もし、もしも親が父と母が、家族が殺されれば俺はそいつを殺しに行く。警察に捕まろうが、世間から非難されようが、殺したやつを殺して、そいつの家族を皆殺しに行く。

 

 溺愛って程でも、マザコンやファザコンってわけでもない。ただ、両親は俺の両親で、ずっと支えてくれた大切な両親で、きっと、俺が五十を超えてもまだ生きてるんだろうなって、根拠の無い確信と、もし急に死んだらどうしようと言う不安を抱く、大好きで、正直になかなかなれない両親なんだ。

 

 そして、それはきっと向こうも同じなんだと思う。

 

 今頃、俺の元いた世界での俺は行方不明者として扱われているんだろう。そもそも、俺の元いた世界がまだ実在しているのかすら分からないからなんとも言えないけど。

 

 

 この世界に、今俺が立つこの世界に『福岡県』は存在しない。

 代わりに『福義県』なんて聞いた事もない県がそこには存在した。

 

 

 これを紫様から聞いた時は頭が可笑しくなりそうだった。だって、可能性の話とはいえ、両親に別れの挨拶とか、元気だよとか、心配かけてごめんねとか……言える可能性があったんだぜ? それが、日本地図を見れば俺の住んでいた『福岡県』も、街も無くなっちまってた。

 

 幻想郷に迷い込んだわけじゃなかった。俺は異世界に迷い込んでた。

 

 だから、今でも不安に思う。真っ暗な暗闇の中、外の風が時折強く吹く度に、俺はこのままどうなっちまうんだろうなって。ずっと、そんな考えがぐるぐるグルグル巡って廻って……、ぼんやりとした意識のまま朝を迎える。

 

 睡眠を取れているのか分からない、ただ、何処と無く疲れは取れている気がするから無理矢理に身体を動かす。前の世界のようになあなあで過ごすだけでは生きては行けない。

 

 小さい小屋の中で一度大きく伸びをして、外へ出る。朝日が登り始めた頃、今の季節は春か夏か……少なくとも梅雨には入っていないだろうから春だとは思う。いや、実は梅雨はとっくの昔に過ぎ、幻想郷の夏が涼しいだけでと言う可能性も捨てきれない。ここは異世界なのだから。

 

 さて、ぐだぐだと暗いことばかり考えてしまうが気を変えて。天狗との接触後一週間。よく良く考えれば俺乗せられてたんじゃね? と思わなくもないこともないと信じたいけど私は今日も元気です。違うそうじゃない。問題は天狗からの再接触がないこと。やっぱ乗せられてるじゃないですかヤダー。

 

 まあ、うん……。あれだ。前に比べると食料事情も改善されてきた。やっぱ不定期とはいえ肉が手に入るのは有難い。なんてことも無く、その後鴉が籠をぶち壊して行きやがりましたはい。最近は釣り出来ないかなーと思案なう。

 取り敢えず射命丸は〇ねと思うね。うん。え? 報復? そもそも本当に射命丸か分からんし、勝てるわけないから(ヾノ・∀・`)ムリムリ

 

 取り敢えず何をしようか。人里に行って籠とかを買ってくることが出来ればいいのだが、如何せんお金がない。物々交換出来るものもない。さらに言えば食料を確保する時間が無くなる可能性も高い。

 

 え、ぱって行ってぱって帰ってくればいいだろうって? 何時どこからライオンの群れが襲ってくるかも分からないところを堂々と進めますかあん畜生。

 

 つまりはそういう事なのです。森を抜けてさえしまえば人里も半刻ぐらいでつく程度の距離なんだよ。少なくとも一刻までは行かないと思う。森だってそんな広くないからこっちも半刻で抜けられるんだが。

 いやー、餓鬼ってやべわ。一体二体ならまだしも三体になると勝てません。逃げるしかねぇや。餓鬼ならまだいい。昆虫系の妖怪が一番厄介。腕ぐらいの大きさの百足とか、どうしろと? あ、全長がじゃないぞ? 体の横幅がだ。あと、口が某ハザードわんちゃんよろしく四つに裂けてた。流石にこの辺のあからさまにやべぇ奴は少ないけど、それでも両の指が埋まる程度の種類は見かけた。

 

 まあ、武器もあるし? 頑張れば殺せるんじゃなかろうかー? って希望的観測は出来るな。一体なら。一体かつ準備を万全にしてれば。

 多分だけど、餓鬼は低級、百足は中級ぐらいだと思うのよね。大きさとかにもよるんだろうけど。少なくともクソ天狗とか吸血鬼ほどの威圧感は感じないし。

 

 この結界付近、感覚的に半径二、三百メートルくらい? もうちょい狭いか? には、こいつらって基本近寄ろうとしないのよねー。多分、てか十中八九八雲印の結界のお陰なんだろうけど。いやほんと、水辺がこの結界内で助かったよね。マジで……。

 

 とまあ、食糧事情に外敵事情はこんなもん。釣りはまだしてないけれど、魚影は見えたし、沢蟹を捕まえる罠の要領で工夫すればどうとでもなるだろうと思いたい。

 

 ただ、やっぱり人里とかに行く手立ては立てとかないといけませぬ。お金なんて持ってないけれど、幻想郷のお金事情は知っておきたいところ。

 一度偵察には行ったけど、中には入れてないのよねー。近くを通るのなら何度か。装いは洋服和服ごっちゃな感じだから、今の見た目でも小汚い奴が来た程度で済むと思うし。

 

 うん。人里に行こう。捨ててある木材とかなんかそーゆうのあれば拾ってこようっと。あわよくばあっきゅんこと稗田阿求か上白沢慧音とお知り合いになっておきたいところ。あと、博麗神社の詳しい場所も知っておきたい。

 

 うん、やることっていうかやれる事はこんなところでしょ。

 

「そうと決まれば善は急げ。思い立ったが吉日。万全を期していざ参らん!」

 

 タコ糸と桶があれば嬉しいなぁ~っと、おんぼろ拠点から森の中へ。茂みに隠れ木に隠れ妖怪達の視線をかいくぐりながら森を抜けていく。

 相変わらず大ムカデはデカいし、餓鬼はあっちにフラフラこっちにフラフラしてるし、なーんで妖精とかいう癒し要素は居ないんですかねぇ。

 ただ、結界って凄いなって思うことがあって、どの妖怪もおんぼろ拠点の方向には進んでいかない。結界ってスゲー。いや、冗談抜きですごいわ。べーわべーわ。

 

 そんなこんなで森を抜けました。まあ、妖怪はちらほらと見つけはしたけど普通にやり過ごしてたからね。草木に紛れて。動画的に言うのであれば見所さんがいないというやつです。

 森を抜ければさあ街道なんてご都合主義は存在しない。さらにはやり過ごしてた時間だけが無駄に長くて既に半刻は経っている気がする。とは言え、人里までもう少し三十分も歩けばもう人里に到着する。空を飛ぶ事ができればもっと楽なのだろうが、そんな霊力ありません。練習すれば飛べたりするのかしら。まあ、なんにせよ練度だけの問題とは思えない。やはり現代っ子は貧弱というわけですな。

 

 森を抜ければ妖怪の数は減り、逆に妖精の姿がちらほらと。背丈は大きいもので小学校低学年程度から幼稚園児ぐらい。背中には蝶の羽のようなものを一対。というわけでもなく、形状、大きさ、数とそれぞれ違っている。分かりやすいので言えば、炎のような羽を持っている子や、木の枝が絡み合っているような羽を持つ子がいる。おそらく某⑨もこの手の類なのだろう。

 てか、炎って危なくないのかね。と、思っていたが物体はすり抜けるみたいである。べんり。たまに目の前に飛んできてわちゃわちゃしているのを軽く追いかけてあげたりすると喜んで逃げていく。完全に事案である。通報まったなし。

 

 幻想郷はロリコンの天国だった……?? 

 

 なんて冗談はさておき、要請を適当にあしらいつつ人里へと訪れた。人里周辺にはだいたい大人の肩ほどの高さで塀が作られており、入り口は東西南北計四か所。それぞれの門には二人の若者が日ごとに選ばれ見張りをしている。人口はおよそ千を下回る程度。完全には把握できていないようだが、貧困層がいないためか、はたまた妖怪という共通の敵が存在するためか犯罪という犯罪はないようである。あって軽い窃盗や、酔っ払いによる不法侵入といったところ。

 

 村ほどの大きさはないが、小さいというほどでもない。そんな里である。

 

 里に入る方法は簡単で、人型を取っていれば顔パスよろしくすんなり通してもらえる。何故かというと、人里の中で人間を殺すことができないからだ。そういったルールが有る無いの話ではなく、物理的に無理なのだ。幻想郷の中で唯一安全が保障されている場所。博麗の巫女の加護と、八雲紫の庇護下にあるそこで殺しなどの、秩序そのものが崩れ去る出来事は発生しえない。

 連れ去ることは出来るが。人里の外にさえ連れて行けば嬲ろうが殺そうが解体しようが好きにしてよい。それが幻想郷である。人里はあくまで人間同士で売買を行い、生活する場所。畑や家畜を飼育している場所に八雲紫の肥後は無く、襲われたとしても自己責任となる。そこで襲われ、行方知れずになったのを俺や博麗の巫女が捜索するといった感じだ。故に山菜取りや木こりは重宝されている。

 

 さて、人里の中は明るい話声や活気のある客引きの声が響いているわけだ。住人たちの服装はかなりバラバラで、かなり現代に近い洋服を着こなす老人もいれば、昔ながらの和服に身を包む若者もいる。これなら東方projectの主要キャラたちの奇抜な格好にも納得できる。

 里の人間たちを観察しながら、環境の違いがあるのかは定かではないが、サトウキビのようなものを育てていたりしている。サトウキビって沖縄の奴だから熱いところでしか育たないのではないのか。なんて思ったかがよくわかんね。後は米、麦、蕎麦その他野菜類。環境的にこれってあり得るの? 農業に詳しくないワタクシメにはちんぷんかんぷんである。

 

 摩訶不思議な農地を見て、家畜は牛や豚、鶏など物珍しい動物は飼われてはいない。規模もそれほど大きくはなく、一番大きなところでも乳牛が二十頭ほどだという。

 

 金銭面においてだが、昔のお金のはずなのにそれがどの程度の価値があるのかは何となく理解ができる。恐らくは紫様が何らかの術を俺自身か、里全体に施しているのだろう。多分後者だと思ううん。特に理由はない。

 

 そして私の現所持金はZERO。なにもできないでござる。

 しかし、私は諦めない。お金がないのならバイトをすればいいできれば日払い、もしくは住み込み。ご飯が出ればなおよし。

 

 と、なると欲を言えば東方projectの主要キャラのところにお暇したいのだが……。王道にそってけーねてんてーの所だろうか。だが、小学校のようなものとはいえうまく教えられるかの自信はない。それに、見ず知らずの人間が教鞭を取らせてほしいとアポなし出来たらどう反応するだろう。僕なら追い返しますねうん間違いなく。

 なれば、あっきゅんの所だろうか? 詳しくは知らないがあっきゅんこと稗田阿求は人里の貴族的立ち位置。というか人里を纏め上げているお家柄だそうな。後はもうお分かりだろう。門前払いで済めばいいなぁ……。

 

 二つの候補はまあほぼほぼ勝ち目はない。後は香霖堂などの人里の外にある店。給料払いは兎も角、香霖堂であればお手伝いくらいはさせてくれそうではある。男同士で気楽そうでもあるし。

 しかし、それではわざわざ人里まで来た意味がない。さてここで私の目の前にある一つの貸本屋。その名は鈴奈庵。本居小鈴が営むその小さなお店には彼女以外の従業員はいない。

 

 つまりは狙い目! 暖簾をくぐりいざ対面!! 

 

 店内は昼間にしては薄暗くほこりっぽい。

 

「流石は本の虫。人里からそう認知されているだけのことはあるってことか」

 

 里の者曰く、外の本を多く集めており、知識量だけで言えば里内でもかなりのものだという。人付き合いも悪いわけではなくむしろ友好的。

 しかし、一つ欠点があるとすれば一度本の世界に入り込むとなかなか帰ってこないらしい。心配になって様子を見に来たら倒れていたなんてことがしばしば……。

 本の世界に入り込んでいたとしても、何度か話しかければ戻ってはくるらしい。のだが、話しかける者がいなければ鈴奈庵は廃墟と化す。

 

「本好きとして、本屋の主人として本の管理を怠るのはどうなんっすかね」

 

 城壁ならぬ本壁を覗く。その中央で横になっている一人の少女。緋色の髪を鈴のついた髪留めでくくったツインテール。よく今まで女として見られてきたなというレベルの格好に軽く引いてしまった。涎垂らしてぴくぴくと痙攣しながら白目向いている少女にどうやって欲情しろと? 

 

「生きてますかー?」

 

 軽く声をかけつつ少女を抱き起す。どことないカビ臭さが鼻を貫く。もはやこれはキノコの媒体なのではと疑っている。

 

「店の奥まで運ぶわけにもいかねえよなぁ。カウンターの椅子に座らせておいて、起きるまで一緒にいるしかないか」

 

 そろばんなどが散乱しているカウンター、一経営者として確実に真似をしてはいけないと胸に刻みつつ椅子に座らせる。

 そして、ここで働くのはやめておこうかと思案する。それだけ酷い惨状なのだ。

 

 片付けをするにも家主が寝ている状態でしていいものか分からないし、確実に埃がすごくなる中で少女が一人寝かされている状況もよろしくない。

 

「結局おとなしく起きるのをまっているしかないのか……」

 

 適当にその辺の本を手に取り読みふけることにした。年代は様々で昭和の雑誌が多いように思える。現代の雑誌、図鑑など種類、年代に法則はないようだ。サバイバル教本とかキノコ図鑑ないかな。

 

 しばらく本を読みふっけており、体感時間にして一時間ほどか。本居小鈴が目を覚ました。

 

「……み……、みず」

 

 人の気配に反応したのだろうか、かさついた唇がゆっくりと動き飲み物を求める声が。外の井戸に水を取りに行き、めんどくさいからこの中にぶこんではいけないだろうかという衝動を何とか抑え込み水差しに入れる。

 介護職の方はこれより大変なのかと自分で飲もうとしない小鈴の口に水差しをぶち込む。ものすごい勢いで水は減っていき、おっさん臭い声が小鈴から零れた。

 

「ぶっつつっはぁああ!!! 生き返るぅううう」

「うへぇ……女の威厳皆無かよ。いや、人の生き方にいちゃもんはつけないけどさ」

「ふぃいい、いやぁ助かったよ。ありがとね。ところで誰?」

 

 今までいろんな出会い方をしてきたけど、ここまでがっかりする出会い方は初めてだなぁ。

 

「あ、ども。茉裏っていいます。ここで働かせてもらったなぁって思いまして」

「ふーん。私は本居小鈴。上の名前を言わないのは何か理由でも?」

「ま、そんなとこです」

「分かった。まあ働いてもいいんじゃないかな? お給料払えるか分からないけど」

 

 けらけらと笑う少女に酷い後悔の念を覚える。だが、里になじむためにはこれが一番早いし。こんなのでも一応は原作キャラ。親しくしておいて損はないはず。

 

 不安がぬぐえないながらもお仕事ができました。

 不安しか残らないけど僕は元気です。

 




小鈴ちゃんがただのおっさんに……。

嫌いじゃないわ!!

ところで、前作のように1週間1,000~3,000文字程度か、1か月で5,000~10,000文字程度だとどっちがいいのでしょうかね。
まあ、物は試しで月一投稿でやってみようかなと。週一投稿がいい場合はメッセージなり感想なり飛ばしていただければ対応するかもしれないです(希望的観測)
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