話の進み具合が遅く、とても焦っていますが私は今日も元気です。
では、どうぞ。
皆様おはようございます。
時刻はおそらく午前六時。朝日が顔を出しコンニチワしている。怠惰に時間を過ごしてもいいのだが、そんなことも言っていられない。
鈴奈庵で働くうちに人里にも慣れ、顔も覚えられ始めた、というより割といろんなところに駆り出されている。某銀髪の何でも屋のような扱いである。仕事があるだけましなのかもしれないが。
さて、最近の食糧事情なのだが……、以外にもこれが解決しつつある。
何故か? お手伝いしたら色々もらえんだよマジで。少なくとも一人で食べていくには問題ない程度には。
大根、白菜、ジャガイモ、山芋のクズ。日持ちしない物もあるので農家のおばちゃんたちに漬物の漬け方を習いに行く必要がある。
さて次に鈴奈庵についてだが、繁盛こそはしていないものの物珍しさからかちらほらと本を読みに来る若者が増えてきた。決して薄い本を読みに来ているわけではなく、単純に興味本位だそう。
それに伴って閲覧可能な本の選別を始めた。幻想郷に電気という概念はなく、夜の明かりは蠟燭、提灯などといったものが主だ。
そんな中で雷や風を使って明かりを生成できるなんて知識が与えられたら技術革新なんてレベルの話ではなくなり、幻想郷のパワーバランスも崩れてしまうためである。
故にそれらを閲覧してよいのは、幻想郷のパワーバランスを理解、維持できる存在に限られる事となった。要は人間寄りの原作キャラ達だけ読めるよってこと。
だから、現状鈴奈庵で取り扱ってるのは単行本だったり歴史書が主。
確か、幻想郷のエネルギー事情は風神録辺りから触れられていた気がするのでそのあたりから徐々に出していけたらなとも。河童の技術レベルがどのベクトルにどの程度進んでるか次第だよなぁ。
少なくとも地霊殿ではエネルギー関係は確立してたはず。
てか、紅魔館の時点で入ってきてもおかしくないのがネックなのよねぇ。先が読めないでござる。
そもそもの話、紅魔勢が早く来てくれないとコレ!! って 行動がとれないのよねぇ。
旧作の知識はもち合わせておらぬ故、今がどの時代なのかもわからないし。取り敢えず梅雨はまだ来ていないということだけは農家のおばちゃんから聞いている。
さて、ここが皆様にとってある意味一番重要かもしれないポイントとなるのだが、慧音先生は割と強引である。
幻想郷には絶対厳守といった法律のようなものはない。が、子供は十を超えるまでは酒を口にしてはならないといった暗黙の了解は存在している。
まあ、何が言いたいかって言うと……。
酒場が腐るほどあるんですねぇ!!
酒蔵の数世帯数のおよそ四割! 居酒屋に至っては飲食店のほとんどが夜は居酒屋へと変貌する。
更には、酒蔵でもない家だとしても酒を造っているのは普通ときた。種類もかなり豊富で、日本酒は勿論のことワインまでもあるってんだから訳が分からない。日本酒とワインって同じ製造法なんデスカ? あ、もちろん一般家庭で作られている大多数は果実酒らしいです。
お酒飲んだことなかったからワインと果実酒の違いがよく分からない茉裏ちゃんなのでした。
これだけ酒というものが身近にあるのであれば、原作でもあれだけ酒があふれ出てくるわけだ。なるほど茉裏納得。
そして、これだけ酒というモノが身近にあればアルコールにもかなり強いようで泥酔するといった人間はそうでないらしい。
少し話が脱線したが、上白沢慧音。彼女も幻想郷のいち住人としてアルコールにはかなり強い。しかし、アルコールが入った彼女の舌は止まることがない。
酔ってはいるが酔っぱらってはいない。だが、タガは外れ質問攻めにあう。
いや、もしかしたら泥酔というモノを俺がよく知らないだけで、あの状態が泥酔状態だったという可能性も……。けど、足取りはしっかりしてたし受け答えもしっかりできてたんだよなぁ。
その日は寺子屋に止めてもらっていたけど、その日も仕事をもう少し進めてから寝る。先に寝ておけと普通に机に向かってたし……。 幻想郷って不思議。
あ、けいねてんてーおはよーございます。
「ああ、おはよう。 よく眠れたかな?」
「おかげさまで頭が痛いです」
「初めてならそんなものだろう。子供たちがくるまでもう少しある。顔でも洗ってきたらどうだ?」
「うっす。そうします」
慧音先生に返事を返し外の井戸に向かう。ん? なんで慧音先生の家にいるのかって? その日が昨日のことだから当たり前だろう? 何を聞いているんだねチミ。
さて、ここは寺子屋。この人里唯一の教育機関である。教員として働いているのは上白沢慧音ただ一人で、その生徒の数は妖精や人化を可能とする妖怪を含め百を超える。
それを一人でこなすのは到底無理なように見えるが、教えている科目が読み書きと計算の二つ。登校は三十の交代制なのでどうにかなっているらしい。
通っている子は六歳、七歳で、一年で卒業となる。妖精、妖怪は例外とされ定期的に人里で生きていく上での知識を得るために通うこととなる。特に妖精は死んだら記憶等を失うことも少なくないため卒業することはまずないらしい。
「おはよーございます!!」
「はいおはよう。お嬢ちゃん随分早いね」
「大ちゃんとおいかっけこしてきたの」
「そっかー。その大ちゃんって子はずいぶん遠くにいるみたいだけど」
「あたいったら最強ね!!」
どうゆうことだってばよ。
顔を洗い縁側で軽く涼んでいると青色のワンピースに氷の翼。原作キャラのなかでもトップクラスで有名な存在。氷の妖精⑨……もといチルノが走りこんできた。
元気いっぱいのあいさつに返事を返してみたのはよいのだが結果はご覧のとおりである。
「アタイはねチルノって言うの!! おじさん誰?」
「おじさんはねー茉裏っていうんだよー」
「そっかー」
そういってチルノは大妖精のほうへと走っていった。さっすがは子供、行動が読めないぜ。
チルノは大妖精と合流し、原作キャラであろうルーミア、リグル達と遊び始めた。まっていつの間にいたの君たち?
「茉裏。こんなところに居たのか」
「少しばかり涼んでおりましたっと。ろくに役に立つかは分からんが手伝えることがあれば言ってくださいな」
「む、そんなに気を使わなくてもよいのだが……。そうだな。せっかくだから少し楽をさせてもらおう。今日の授業で使う教材を教室に運んでいてくれ。教材はさっきの部屋に置いてある。運ぶのはこの先の教室だ。私は教室の片づけをしておくから、よろしく頼む」
「任されました」
慧音先生に頼まれた通り、さっきまで寝ていた部屋へと向かう。いわゆる職員室に当たるのであろうその部屋の机の上。今日の授業は算数のようだ。小学生低学年レベルの問題が書かれたプリントが十枚程度束になっていた。
「紙質……。これ結構外のに近い。幻想郷の文明レベルが分からぬ」
羊皮紙というわけでもないし、ノート程のきれいさでもない。歴史書に使われてるような少し茶色っぽい紙をもう少し綺麗にした……。
自分でも何を言っているのか分からなくなってきたのでこれ以上考えるのはやめておこう。
少しずつ増えてきた児童たちに絡まれながら教室へとプリントを持っていく。こら、服を引っ張るんじゃあない。慧音先生の夫でもないし、パパでもないさっさと外で遊んで来い。拳固するぞ。
拳を握りしめてみると生徒たちはキャーっと黄色い声をあげながら外に走り去っていった。
「この部屋か。まあ、教室らしい部屋が一つしかないから間違いようがないんだけど。慧音先生、頼まれたもの持ってきましたよ」
木の扉の小窓からは声に反応した慧音先生が手を振り返した。片手は完全フリーなため手を振り返してみる。なんてこともしてみたいがそんな暇もないので普通に教室へと入る。
「すまないな。教卓の上においてもらえると助かる。子供達にはもうあったか?」
「おかげさまで散々いじくられましたとも。けいねせんせーのこいびとなのー? てなぐあいに」
「まあ、見た目だけは私も若いからな。悪い気はしないさ。だが、恋愛というモノはもうあまりしたくないものでね。すまない」
「わーいこくはくしてもいないのにふられたぞやったぁ!!」
割と傷つくことをサラっと言いやがるぞこの世界の住人達。巡視無垢な少年の心をもてあそんでそんなに楽しいか!? そんな年でもないだろうにって? はい、そうです……。現実は悲しいなぁ。
「こんな年増に色目を使うくらいなら他の町娘の一人でも捕まえた方が有意義だとおもうぞ。それで、今日は授業の見学もしていくのか?」
「いや、そこまでは。子供たちも見知らぬおっちゃんから後ろで眺められてたら勉強に身が入らないだろうし。何度かお邪魔して子供たちが違和感なく受け入れられるようになってから見学させてもらいます」
ついでに少しばかし聞きたいことがありましてですね……。
寺子屋を後にし人里へとやってまいりました。しかし今回の目的地はあ人里ではありません。あ、薬屋さんどうもー。
被った笠からはみ出るウサギ耳に、お尻に膨らんだ謎の丸。あれで人だと変装しているつもりなのだから可愛いものである。いまのは誰かって? そのうち紹介することになるだろうから少し落ち着きなさいな。
さて、少し脱線したが今向かっているのはこの世界の核となる場所。そう、博麗神社である。
まあ、主人公には挨拶しとかないとって思ってね。一モブとしても、仕事仲間としても、そして八雲としても、ね。
んで、慧音先生には博麗神社までの道を聞いてたってわけ。
ただまあ、何というか……、道のりがわりと険しいのですよこれが。
場所は幻想郷の端。厳密には博麗大結界という幻想郷を確立させている結界の外。つまりは幻想郷の外に位置するわけだが、まあこれはさして問題じゃない。設定もうろ覚えだしね。
人里を中心に真上から見て、左上に妖怪の山、その右隣に魔法の森が広がって、その間くらいの人里寄りに俺の拠点があるわけですな。博麗神社は魔法の森の右下。人里から見て右端。
で、問題なのが、妖怪がどちゃくそ出やすいってとこ。妖怪の山と魔法の森を追われたはぐれ妖怪が多く住み着いてるそう。博麗神社の参道自体は厄除けの結界が張られているらしく安全らしいのだがその参道前の野道に普通に湧き出てくるのである。
なので、博麗神社に行くときは大人五人でいくのが普通だそう。
まあ、僕は一人なんですけどね!!
何が楽しくてこんな自殺行為をしなきゃならんのだ……。つい数十分前の自分を殴りたい。
多少は整備された野道を真っすぐと進んでいく。
すぐ横を向けば妖怪が飛び出てきそうな雑木林。たまに見かけるお地蔵さんにお祈りをしてみたり、特に意味もなく雑木林を覗き込んでみるが妖怪が出てくる気配はない。
「まだ日が高いからか?」
妖怪はなんとなく夜行性のイメージがあるが、実際のところは分からない。このままどこからともなく人ならざる何かが伸びてきて引き込まれても可笑しくはないが、覗きたくなってしまう脳が人間の性というもの。
「いや、何もないんですけどね?」
目の前に広がるのは依然として変わりようがない雑木林。そんなほいほい非日常は現れてはくれないのです。外の世界の人間としては、幻想郷にいる時点で非日常の塊みたいなものなんですけれどね。
てこてこてこてこ歩いていると長い階段が姿を現した。石畳の階段は優に百は超えていそうなほどに長い。
「これを毎回上ってる人里の住人ってすげぇなおい。てか、空飛びてぇ……」
だが、ぼやいても階段は縮まらない。勿論だが空も飛べるはずがない。翼は生えないのだよ。
なんで階段になると途端に上るのが辛くなるのか……。
「迷いの竹林で竹でも取って水筒かなんか作ったがいいかなこれは。のどがカラカラじゃぁ」
現代っ子らしくヒイヒイ言いながら階段を上り、上り切ったころには汗で服が張り付いていた。坂道とか凸凹のみ日は住んでいる所の関係上慣れているんだけれど、久しぶりに階段を上るとやっぱきついね。
「ふぅ……。ここが博麗神社か。思ったよりもデカいんだな」
なんか、もっとこうこじんまりとしたものを想像していたが、移住スペースもあるためか想像の倍はある。あとは赤い鳥居に狛犬、賽銭箱や手水舎といったって普通の神社である。
そして、参道の落ち葉を竹箒で集める一人の少女。暗めの茶髪に赤い巫女服。そして、圧倒的ともいえるその存在感に思わず息をのんでしまう。これは、あれだ、紫様と似たナニカの雰囲気に似ている。
「一人で参拝は感心しないわね。魔除けはしてあると言え今度からは複数人で来るようにしなさい」
博麗霊夢。この幻想郷を維持する博麗大結界を維持しているこの世界の核となる少女。
紛れもない、この世界の主人公だ。
お読みいただきありがとうございます。
霊夢さんの口調をどうするかで未だ悩んでいる今日この頃。
クール系にするか、お姉さん系にするか、おっとり系でもありだと思うんですよねぇ……。悩みどころである。