12月25日。クリスマス。こんな特別な日でも多くの人間は普段と変わらない一日を過ごす。照りつける太陽。建ち並ぶ高層ビル。絶えず行き交う人間。そう、現代では当たり前のいつも通りの光景
「(・・・つまらないわね)」
そんな気持ちを覚えながらも私はベンチに座りながらその光景を眺めている。彼らは毎日毎日同じことを繰り返す。あんな生活送りたくないなと思いながら再び人混みを眺めていると一人の少年・・・いや少女が目に留まった。私は何故かその娘から目が離せなくなった。まるで吸い寄せられるように、こちらが眺めているだけなのに何かに包まれるような感覚に襲われた
「(何故かしらね。不思議と嫌な気分じゃないわ・・・)」
私がずっと見つめていたからだろう。少女もこちらに気付き駆け寄ってくる・・・え?駆け寄ってきた?そんなはずはない。私の周囲には結界が貼られているから人間が私を認識できるはずないわ。でも少女はまっすぐこちらに向かってくるから間違いなく気づかれている。結界を越えてくるなんてこの子は一体・・・?
「おねーさん、何してるの?」
少女は私に話しかけてきた。やはりこの子には私が見えている・・・いや結界が効いていないというのが正しいのか?いえ、それは一先ずおいておきましょうか
「私はこの景色を眺めていただけよ」
「そっかー!ところでおねーさんはどこから来たの?」
「私はね、幻そ?!・・・いえ何でもないわ。おねーさんは遠いところから来たの」
あぶない、私は今なんてことを言いかけたんだろう。普段口を滑らせたりしないのに。この子の前では何故か無条件に本音が出てしまいそうになる
「遠いところかー。私が知らない場所かな?うーん・・・あ!そうだおねーさん名前は?なんて言うの?」
「・・・紫、八雲紫よ」
「紫さん?うん、覚えた!もう忘れないよ!」
やっぱり思ったことをそのまま言ってしまう。この子には隠し事はできそうにないわね。聞かれたらすべて答えてしまいそう・・・
「ふふふ、ありがとう。ところで、あなたの名前はなんて言うのかしら?」
「あ!まだ言ってなかった。あはは!私は明奈!吉井明奈だよ!」
「明奈・・・いい名前ね」
「うん!えへへ」
明奈、明奈か。本当に言い名前ね。にしても、この子は気づいないのだろうか?それとも受け入れているのだろうか?
「ねぇ明奈、私から何か感じるかしら?」
まぁ気づいてないだけでしょうね。私は明奈との会話を始めたときから少しだけ妖力を出している。人間は妖力に恐れて私達に近づこうとしない。だからもし近づいてくる者がいればそれは妖力に気づいていないだけだ
「うん、なんかぶわーって。でも嫌じゃないよ」
「!?」
気づいてたのしかも妖力を嫌わないなんて・・・もしかしたらこの子になら
「ねえ明奈、あなたは・・・神や妖怪っていると思う?」
我ながらとんでもないことを聞こうとしているとは思っている。それでも聞かずにはいられない。私の理想の理解者になってくれるかもと感じてしまったから
「かみさま?ようかい?うーん、よくわかんないけどもしいたら楽しそう!みんなで遊んでみたい!」
明奈は無邪気な笑顔で答えてくれた。やっぱり、この子ならそう言ってくれると思った。みんなからは無謀だなんだと言われてきた私の理想の完成形。この子がいれば作り上げられるかもしれない
「なら・・・会ってみたくない?神様や妖怪に」
まぁ私も妖怪だから既に会ってるのだけど
「え?会えるの?」
「えぇ、私に着いてきてくれるのなら」
あれ?これってなんだか誘拐のセリフっぽい?そう感じたのは私だけかしら
「うーん・・・わかった!紫さんと一緒にいくよ!」
「そう、それじゃあ行きましょうか。最後の楽園『幻想郷』へ」
そう言って私は明奈を連れてスキマを開き中へ入った
~幻想郷、マヨヒガ~
「明奈、着いたわよ」
「ここがげんそうきょう?」
「えぇ。人間、妖怪や神々が住まう最後の楽園『幻想郷』よ。そしてここは私の家があるマヨヒガ」
それから私は明奈に幻想郷についていろいろと説明した。私の説明が良かったかは分からないけど明奈は理解してくれたみたいね
「私はね明奈、人間と妖怪が本当の意味で共存出来る世界を望んでいるの。あなたは私の夢は無理だと思うかしら?」
「よく分からないけど、紫さんがやりたいことは私も応援するよ!」
「そう?ありがと。それじゃあそろそろ移動しましょうか。幻想郷を回ってみましょう」
「うん!」
この子がいれば、いつか私の理想は現実になる。そんな確信が私にはあった。私が素を隠せないような不思議な子。どうか私の理想をこの子が導きますように
いかがだったでしょうか?今作はプロローグだけ先行投稿なので次回はしばらく空くと思います。詳しいことは活動報告にあるので見ていただけると助かります。それではまた!