今回はAクラスで何があったのかについてですが、肝心の明久の出番は少ないのです
「・・・・・・はぁ」
俺は今、屋上で一人考え事をしていた。そして決まりきった結論が浮かび上がり思わずため息をつく
「雄二よ、ここにおったか」
「んぁ?なんだ、秀吉か」
寝転がって再び思考の世界に落ちようとしたところで少し慌てた様子の秀吉がやってきた
「なんだではないのじゃ。明日はBクラスとの試召戦争じゃというのにお主がなんの指示も出さんからみな困っておる」
そういえばそうだったな。言った本人が忘れてたぜ
「・・・すまん、少し別のことを考えたんだ」
「別のこと・・・もしかして明久のことかのう?」
「あぁ・・・」
秀吉の言った通り、俺が考えたのは明久の事。そう、昨日のDクラス戦の後、Aクラスでの出来事だ
~回想~
「あ、明久?何でお前がAクラスに・・・いや、それよりもこの状況は何なんだ」
「何って、見ての通り(模擬)試召戦争が終わった後だけど・・・ねぇ? 」
『〜♪』
その問いかけに明久の頭の上で垂れていた召喚獣が答える
「それは見りゃ分かる!そうじゃなくて、なんでお前と隣の奴以外が全滅してんだって聞いてんだ」
「それはアタシから説明してやるさね」
声がした方を向くといつのまにか
「ほう、ババア長も一枚噛んでるわけか」
「誰がババアだって?随分生意気だねクソガキ。それで、聞くのかい?聞かないのかい?」
生徒クソガキ呼ばわりとはコイツホントに学園長か?
「雄二よ。ここはしっかり聞くべきだと思うがの?」
「・・・同感」
「そうだな。んじゃババア長、納得いく説明を頼むぞ」
「さ、坂本君・・・」アハハ
「まったく口の減らないジャリだね・・・まぁいい、それじゃ最初から説明するよ。」
「「「・・・・・・」」」
「そうだね、まず始めにお前さんたちはなんで吉井がAクラスにいると思う?」
唐突に投げられる質問。でも確かに俺も気になっていた。学園始まって以来初の『観察処分者』になるほどバカな明久がなんでAクラスにいるのか
「ふむ、誰も分からないって顔だね。いいかい、吉井はそもそもバカじゃない。表の顔は『観察処分者』としての姿。そして裏、本当の顔は当校始まって以来の天才、歴代でも主席の実力者だよ」
「なっ!?」
「それは本当なのかの!?」
「本当さね。だから吉井がAクラスにいるのは何の不思議もないんだよ」
あの
「おーい明久ー」
「あ、妹紅に幽香、いらっしゃーい」
「お邪魔してるわ」
「ねーねー明久、私頑張ったよ?褒めて!」
「フランは頑張ったよ、ありがとね」
「えへへー」
「妹様、明久、あちらで座って待っていましょう。妹紅達も」
「「「はーい」」」
とまぁ自分の話題だってのに随分マイペースだ。どうやら事は学園長に丸投げらしい。しかし明久が主席とはな・・・ん?それならなんでアイツは・・・
「あの~」
「ん?なんだい姫路」
「いえ、吉井くんの事なんですけど。吉井君が学年主席ならなんで観察処分者なのかなって」
姫路の疑問は俺と同じものだった。観察処分者ってのは本来、成績が悪く学習意欲欠ける問題児に与えられる肩書であって、本当に明久の学力が優秀なら観察処分者になんかならないはずだ。何か別の理由があるのか?
「あぁ、そのことかい。ま、確かに成績にはなんの問題もないよ、ただ問題だったのは生活態度の方さね。吉井の一年時の行動、一緒にいたアンタらなら分かるんじゃないのかい?」
「それは・・・」
「なるほどのう、だんだん分かってきたのじゃ」
「・・・明久は俺達と一緒によく問題を起こしていた」
「そういうことさね。後、吉井本人の希望でもあったんだよ」
「は?明久の?」
「確か没収品を奪い返そうとした時だったね」
あぁ、あの時か
「あの後吉井がアタシのところに来てね、『先生方の役に立つことは出来ないか』って言ったのさ。誰から言われたのでもない、自分から手伝いたいと言ってきたんだ。いきなりで迷ったけど、アタシは吉井に観察処分者にならないかと提案した。頭は良くてもバカばかりやってた吉井は教師の間でも問題になっていたからちょうどよかったんだ。利害の一致ってやつかね、そんなわけで吉井は観察処分者に任命された。理解できたかい?」
なるほど。今まで明久が観察処分者になったのは文字通り『バカ』だからだと思ってたがそういう訳ではなかったらしい。誰かの為に、か。底なしのお人好しなアイツらしい
「明久がAクラスなのと観察処分者になった経緯は分かった。それじゃあ最後の疑問だ。今のAクラスの惨状、俺達が試召戦争をしていた間に何があったんだ?」
「それは簡単な話だよ。アンタらが新学期早々戦争をしていた間、ココではクラス内の模擬試召戦争をやっていた」
「は?模擬試召戦争だと?なんでまたー」
「ねえ坂本、模擬試召戦争って?」
続きを促そうとすると島田が口を挟んできた
「模擬試召戦争ってのはそうだな、お試し版の試召戦争とでも思えばいいだろう。細かい違いはあるが基本は試召戦争と変わらない。ペナルティの設備交換なんかもないから気軽に出来るってメリットなんかもあるな」
「へー、そうなんだ・・・ん?でも戦争は2クラス間でやるものよね?」
「そこが細かい違いってやつだ。試召戦争は設備がかかってるから原則2クラス間でのみ成立するが、そういったペナルティがない模擬戦での原則は2者間の対決であること。つまりクラス内で行うことも出来るんだ」
「ほぉ、さすがかつて神童と言われただけあるね。よく調べてるじゃないか」
「使えるものは何でも使わねぇと話にならないクラスなんでね。それで、俺らが来た時には明久と隣にいた・・・スカーレットだったか?以外は戦死してたようだが、いったいどんな対戦カードを組んだんだ」
「僕とフラン対Aクラス全員だよ、雄二」
「「「・・・は?!」」」
唐突に会話に入ってきた明久(背中にスカーレットが垂れ下がっている)の発言は一瞬俺たちの思考を停止させた
「そ、それは本当なのか明久!?」
「・・・2対48」
「うん、といっても、頑張ったのはフランだけどね」
「嘘は良くないぞ、どうせ明久が8割方やったんだろ」
「お、妹紅正解!でも私だって頑張ったんだよ!」
「あぁ、妹様の無邪気なお姿・・・///」
「帰ってきなさい駄メイド長」
コイツらホント自由だな。こっちはまだ話してるってのに
「し、信じられんのじゃ」
「いくら吉井君の点数が高くても流石に人数差が」
「それは僕の腕輪のおかげ。まあ詳しくは言えないけどね」
「もう聞きたいことは無いかい?無ければさっさと帰んな。もうすぐHRだよ」
どうやらからり長いこと話し込んでたようだ。いつの間にか帰りのHRの時間になっていた
「え?あ、あぁ。それじゃお前ら、引き上げるぞ」
「んじゃ明久、またなー」
「邪魔したわね」
「うん、また後でね」
「バイバーイ!」
それぞれが疑問を抱きながらも今はどうしようもないということで進まない足をFクラスに向けた
~回想終了~
「俺は今回の試召戦争で観察処分者の明久をジョーカーだと思ってた。だが実際にはジョーカーどころか敵のキング、誤算もいいとこだ。正直、今の俺にはAクラスに勝つビジョンが見えない。どうすれば明久の率いるAクラスに勝てるのか分からねぇんだ」
「珍しく弱気じゃのう。勝てるかどうかではなくどうやって勝つかを考えるのが普段の雄二ではないかの?ムッツリーニもそう思うじゃろ?」
「は、ムッツリーニ?」
どうやらムッツリーニも陰で聞いていたらしく、呼ばれて出てきた
「・・・同感。常にどっしり構えて策を巡らせるのが俺の知っている坂本雄二だ。」
秀吉、ムッツリーニ・・・ハハッ確かにそうだ。やる前から弱気になるなんてらしくねぇ。少しビビりすぎてたな
「すまねぇ秀吉、ムッツリーニ。おかげで吹っ切れたわ」
「・・・礼など無用」
「その通りじゃ。それで、方法はあるのかの?流石に勝てる手段なんてものは期待できんが、可能性ならあるのではないか?」
「・・・確かに可能性が無いわけじゃねぇんだ。明久曰くな」
「明久が自分からヒントを出した、ということかの?」
「あぁ、昨日の帰り際、明久からヒントを貰ったんだ『雄二たちはここを目指すんでしょ?それならなら少しだけヒントをあげるよ。僕とフランは2人であって2人じゃない、ちょっと難しいけど雄二ならこれで答えにたどり着くと信じてる。頑張ってね』ってな」
「2人であって2人じゃない・・・ふむ、いったいどういうことじゃろうか」
「これの意味が分かれば勝利に少なからず近づけると思うんだが、よく分からなくてな。頑張って答えを見つけるしかねぇ。そしてもう1つ、次のBクラス戦だが、どうやら代表は根本らしい」
「根本というと『あの』根本か?」
根本恭二。カンニング・相手に一服盛った・喧嘩に刃物はデフォなどろくな噂がない男だ
「あぁ、『あの』根本だ。色々と黒い噂が絶えないやつだし、充分警戒して望む必要がある」
「策はあるのかの?」
「そっちは考えてある。さて、そろそろ教室に戻るか。クラスの奴らにもBクラス戦の説明をする」
「「了解(じゃ)」」
明久のヒント、Aクラス戦までに見つけられるだろうか。いや、見つけなくちゃならねぇ。俺の目的を達成する為、Aクラスに勝つために
「待ってろ明久。必ず答えを見つけて、お前達を倒してみせる!」
拳を空高く突き上げて宣言し、俺たちは屋上を後にした
次回、キャラ設定(の予定)