【Another Story】仮面ライダー大戦GP 仮面ライダー3号 作:結城亮亮
劇場公開時の感想を書き留めていたものが出てきたので、
それをベースに書いてみようと思いました。
※要するに「俺得 仮面ライダー3号」です。
尺とか対象年齢とかを抜きにしたときに、
仮面ライダー3号がこういう作品だったらよかったな、という
個人的な感覚で書いていきます。
※※※原作以上に、敵味方が複雑になります。
また、それ故にライダー同士が殺しあう場面も多く、
死亡するライダーも少なくありません。
そのような描写が苦手な方はブラウザバックを推奨します。
国立サーキットの外。多くの一般市民が、大型スクリーンに映るレースの模様を見守っている。
スクリーンに映るトライサイクロンが、並走していたトライドロンの前に出る。
すると、市民たちの中から大きな歓声が上がった。
ただ、市民の全員が喜んでいるわけではなく、
また、歓声を上げる市民の多くは不自然なほど大袈裟に騒いでいた。
サーキットの内部ではトライサイクロンが首位、すぐ後ろをトライドロンが走り、
そこからかなり後ろを4台のマシンが走っていた。
先頭2台がコーナーを曲がる。直後の直線でトライドロンが前に出る。
すると3号の操作でトライサイクロンのガトリング砲がトライドロンを狙い撃つ。
僅かながらトライドロンの走行が不安定になり、その隙にトライサイクロンが再度、首位を奪う。
今度はトライドロンから、マックスフレア、ミッドナイトシャドー、
ファンキースパイクのタイヤが放たれ、トライサイクロンを襲う。
高い攻撃力を持つタイヤをかわすことを強いられ、トライサイクロンに隙が生じる。
そこを突いて、トライドロンが前に出ていく。
「くっ……行かせない!」
3号が車内のスイッチを1つ押す。トライサイクロンのミサイル砲が数発のミサイルを発射する。
コーナー直前だったトライドロンは思うようにミサイル回避ができず、まともに浴びてしまった。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
爆炎の中、トライドロンは大きくスピンし、炎を抜けるとフェンスにぶつかって停止した。
「うっ……ぐあぁ…………」
車内で呻く進ノ介。トライサイクロンを停車した3号が近づいてドアを開け、
片手で進ノ介を引きずり出す。3号が手を離し、進ノ介はアスファルトに倒れ込んだ。
「……どうだ。変身できないお前など、この程度だ。」
3号が進ノ介を見下ろして言い放つ。
「俺はこのまま、ライダーグランプリをも制覇する。勝って勝って勝ち続ける」
3号は振り返り、トライサイクロンに戻ろうとしていた。
「……まだだ」
「……」
3号が再び進ノ介に目をやった。進ノ介は体を起こし、トライドロンに手をついて立ち上がる。
「俺は絶対あんたを勝たせない……
本当は、もう勝ち続けたくないあんたを、勝たせはしない……」
「何だと?」
進ノ介の言葉に、3号は耳を疑う。
「元々されていないのか、どこかで解けたのかはわからないが、
あんたは今、脳改造状態にない。違うか?」
「!」
進ノ介が問い詰める。3号は返答しないが、進ノ介の問いにどこか焦りを見せている。
「ライダーたちを倒す前後で、あんたの手はいつも震えていた。
そしてあんたはそれを抑え込んでいた。
あんたは本当は、ライダーたちを手にかけることを後悔していた!
ライダーたちを殺したくないと思っていたんだ!!」
3号は沈黙を続ける。
「でも、あんたはライダーを倒し続けた。1号と2号を倒してしまったことを肯定するために、
ライダーに勝ち続けて頂点に君臨する道を選んだんだ。
そして、ライダーを倒す度に引き返せなくなって、今のあんたは、その罪に苦しんでいる」
「黙れ!!」
堪えきれず、3号が進ノ介を怒鳴りつける。そのまま3号は進ノ介に迫る。
「だからどうしたんだ?俺の罪だと?そんなものはわかっている!
だが、勝つことを止めて何になる?それでこの罪が償えると言うのか?笑わせるな!!!」
3号は進ノ介の胸ぐらを掴んだ。
「負ければ歴史の闇に消える。それが嫌なら勝ち続けるしかないんだ!!」
3号が威圧する。しかし、進ノ介は怯まない。
「歴史の闇が何だ、大切なのは今だ!!!今何をするかだ!!!」
3号よりも力のこもった声で、進ノ介はそう言った。
その様子に、観客席も場外の市民も圧倒されていた。
「1号と2号を倒したとき、それはその場のあんたにとっての『今』だったはずだ。
あんたが変えたのは『歴史』じゃなくて『今』だったんだ。
だったらまた、今度はこの『今』を変えればいい!!
償えないのなら、戦えばいい!!デストロンと!!自分の運命と!!!」
進ノ介の胸ぐらを掴む手の力が弱まる。
3号の複眼越しに、進ノ介と黒井は互いの目を真っ直ぐ見ていた。
「……言わせておけば!!」
3号は進ノ介を突き飛ばした。進ノ介はトライドロンに背中を打ちつけ、再び地に伏す。
その間に、アクセルガンナー、ヘルダイバー、ジャングラー、
ローズアタッカーがその場を通過していく。
「そこまで言うなら証明してみろ!!
このレースに勝って、お前の言うことが正しいと、俺に見せてみろ!!」
3号はそう言い捨てて、トライサイクロンに乗り込み、先を急いだ。
残された進ノ介は、どうにか立ち上がろうとする。
しかし体が重く、すぐには立てない。
黒井の心を動かすには、彼の言う通りこのレースに勝つしかない。
しかしこのまま立ち上がれなければ、それも叶わない。
どうにか立たなくては、そう進ノ介が思ったときだった。
「立って!!!泊さん!!!」
進ノ介は自らを呼ぶ声に気づき、声のした方を向いた。
「霧子……」
少し離れたところで、霧子がフェンスに身を乗り出していた。
「V3が言ってました!仮面ライダーは人間の自由のために戦うって!
泊さんなら、きっと人間の自由を取り戻せるって、私信じてます!!
仮面ライダーである泊さんなら!!」
「霧子……」
いつの間にか、進ノ介は痛みを忘れて立ち上がっていた。
「行って!!仮面ライダードライブ!!!」
歴史が変わって以来一度も呼ばれなかった名前を呼ばれて、
進ノ介の中でギアが入った感覚があった。
進ノ介は霧子の目を見て頷き、トライドロンに乗り込んだ。
レースはいよいよ終盤。
先頭は、既にトライサイクロンが奪還していた。
その後ろを、4台のマシンが追っている。
「ん?何だあれ」
観客の1人が呟く。他の観客たちも、視線を走るマシンの後方に移した。
そして一同は目を丸くした。
左右にレーシングカート型のマシン、ライドブースターを合体させたトライドロンが、
高速で飛行して追いついてきたのである。トライドロンの飛行形態、ブースタートライドロンは
猛スピードで上位集団との距離を詰めていく。
「大変だ!サーキットの外で暴動が起こっている!」
「何だって!?」
「札幌支部から連絡、そっちも暴動が」
「大阪支部も!」
「名古屋支部もだ!」
観客席が急激に騒がしくなっていた。
サーキットの外では、あちこちで暴動が起こっていた。
進ノ介が3号に向けた言葉が、中継で聞いていた市民の心を動かしたのである。
もちろん、触発されたのは全ての市民ではない。中には体制に賛同する者もいた。
しかし、大半の市民は我も我もと暴動に加わり、全国のデストロンの手を焼かせることとなった。
サーキットで観戦中の戦闘員も、暴動鎮圧に出ていってしまった。
残された非戦闘員は、デストロンに従順な者は慌てふためき、
密かに反体制の意志を抱いていた者はレースに釘付けになっていた。
ブースタートライドロンが着陸を試みる。
しかし、斬月のウォーターメロンガトリング、アクセルガンナーのガイアキャノン、
ZXの手裏剣や爆弾がそれを許さない。
その隙に、トライサイクロンは速度を上げて独走していく。
進ノ介は先を急ぎたいが、ライダーたちの集中攻撃を前に、為す術がない。
「くそっ、埒が明かない!……ん?」
進ノ介はトライサイクロンが去った後ろ、
自らや4台のマシンの少し先に飛び込むオーズ タトバコンボの姿を目視した。
オーズは手にメダルを握っていた。
「……真木博士からくすねたこのメダル、今の俺に使えるかわからないけど……一か八か」
オーズはそう呟くと紫のメダルを3枚、オーズドライバーに装填してスキャナーを通した。
<プテラ!>
<トリケラ!>
<ティラノ!>
<プ・ト・ティラノ・ザウルス!!>
オーズの身体が変化し、白と紫の姿、プトティラコンボとなる。
オーズは直ちに、背中のマント状器官、エクスターナルフィンを肥大化させ、
翼竜の翼のごとく羽ばたかせた。その羽ばたきは強烈な冷気を一直線に飛ばし、
ジャングラー、ヘルダイバー、ローズアタッカー、そしてアクセルを
一瞬にして凍てつかせてしまった。
オーズはブースタートライドロンを見上げて手を振った。
「オーズ……感謝する!」
進ノ介はオーズの背後でトライドロンを着陸させ、黒井を追っていく。
残されたアマゾン、ZX、斬月は動かなくなったマシンを降りることを余儀なくされた。
「ここを通りたかったら、俺を倒してください。でも俺、負けませんから」
オーズはアックスモードのメダガブリューを構えた。
トライサイクロンが淡々と、サーキットを進む。
「……来たか」
3号がバックミラー越しに確認する背後から、トライドロンが現れ、一気に距離を詰めてくる。
瞬く間に、2台は今一度並走するに至った。
2台がそのままコーナーを曲がる。トライドロンが前に出た。
3号はミサイル砲のスイッチに手を伸ばし、しかしスイッチを押すことなく
ハンドルを握り直した。
トライサイクロンがトライドロンに寄り、2台の側面がぶつかる。
進ノ介が怯む隙にトライサイクロンが前に出る。
進ノ介もまた、3号の意図を汲み取り、タイヤによる攻撃をせず、
速さと技量でトライサイクロンに食らいつく。
一進一退の攻防が続く。2台はそのまま最終コーナーを曲がった。
2人の目にゴールが飛び込む。
進ノ介はシフトブレスに装填されたシフトフォーミュラを3回操作し、
同じタイミングで3号はミサイルとは別のスイッチを押した。
トライドロンのエンジンがフル稼働し、その隣でトライサイクロンのマフラーが一斉に火を吹く。
2台のマシンが急加速し、ゴールに向かって一直線に進んでいく。
トライサイクロンが前に出て、トライドロンが前に出て、2台が接触して……
なおも続くデッドヒート。どちらが勝ってもおかしくないまま、2台は遂にゴールに至る……
最後の一瞬、一瞬だけトライドロンが前輪まで前に出て、その状態でゴールに先着した。
その瞬間が、静止画としてスクリーンに表示される。
ライダーグランプリを制したのは、泊進ノ介だった。
サーキットの外で大歓声が上がり、サーキットの中まで届いていた。
最後まで頂点を争っていた2台のマシンは、少しずつ速度を落とし、ほぼ同じところで停車した。
マシンを降りた3号は静かに青空を仰いでいた。
「負けてみた感想はどうだ?」
進ノ介が声をかける。
「案外悪いもんじゃないだろ?」
「……そうかもな」
3号の声はいつになく穏やかなものだった。
「面白いものを見せてもらった」
「「!!」」
突如聞こえた首領の声に、進ノ介と3号は驚いた。
「ただの見栄でなく本当に3号に勝利し、その上世論まで動かすとは……
敵ながら見事だったぞ、泊進ノ介」
首領が重みを含みながらも愉快そうな声で進ノ介を称えた。
「さて、3号よ。デストロンの一員に敗走は許されない。
だが、貴様の功績がデストロン随一なのも事実である。
故に、貴様にはこれからもデストロンに貢献してもらおう。……私の肉体として!」
首領がそう言うと、赤い球状のエネルギー体が飛来し、3号の体内に入り込んだ。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
3号が苦しみ出す。
「3号!!」
進ノ介は3号の身を案じるが、3号の身体は赤い稲妻を帯びていて、
生身の進ノ介が近づける状態ではなかった。
その内、3号の身体に変化が見られた。
胸部のプロテクターにはデストロンエンブレムと同じサソリのマークが黒く浮かび上がっている。
また、複眼が黄色から黒へ変色し、触角が消失し、ヘルメットの色は紺から白に変わった。
その顔は髑髏を連想させるものとなった。
最後に赤いマントが身体を包み、黒井の声は止まった。
「……3号?大丈夫か?」
進ノ介が近づく。
「……フン!」
進ノ介が近づいたその相手は右手をかざし、念動力を放って進ノ介を弾いた。
「うわぁ!」
進ノ介は地を転がった。
「……フハハハハハハ!!遂に手に入れた!!肉体も!!歴史改変マシンもだ!!」
「その声……首領か!?何で3号から首領の声が!?」
進ノ介は突然のことに驚いた。
「3号の自我は消えた。この肉体は私、デストロン首領の器となったのだ!
随分と待たされたが、これで残り1回の歴史改変も、
私の思うままというわけだ!!フハハハハハ……」
首領は勝ち誇り、大いに笑っていた。
「……なるほどな。ようやく全部繋がった。
首領が俺を殺さなかったのも、ライダーグランプリを最後まで実行させたのも全部、
最初からこうするつもりでの余興だったというわけか」
進ノ介が状況を察する。
「如何にも。そして私は歴史改変マシンの力をもって、この世界を完全に我が物にするのだ!」
「そうはさせるか!」
首領の言葉に間髪入れずして、3号の声がした。
首領と進ノ介が驚くと、今度は首領が苦しみ始めた。
「ぐぬぅぅぅぅぅ!……何故だ!何故消滅せぬのだ!!」
「進ノ介に負けた以上、俺もあんたと戦わなきゃならないんでな!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
首領が膝をつく。頭部のみ、3号に戻っていた。
「歴史改変マシン、最後の1回も俺が使わせてもらう!
最後の歴史改変……それは、仮面ライダーの復活だ!!
人間の自由のために戦う仮面ライダーたちよ、在るべき姿で、甦れ!!!」
3号の胸の奥で緑色の光が灯る。
さらにそこから同心円状に光の波が広がり、進ノ介を含め周囲を呑み込んで広がっていった。
眩しさに一度目を逸らした進ノ介は、再度3号を向き直る。
「これで首領は歴史改変を行えない。俺の自我もこれで本当に消されるだろう。
進ノ介、この肉体ごとマシンを破壊し、首領を倒せ!
仮面ライダーの歴史と人間の自由を取り戻してくれ!」
「黒井!!」
叫ぶ進ノ介の前で、3号はまた苦しみ出し、その場で項垂れた。
瞬く間に、頭部が首領のものに戻っていた。
「おのれ……3号め!最後に余計な真似を……」
立ち上がった首領が進ノ介を睨みつける。
そのまま首領は黒いエネルギー弾を進ノ介に放った。
避けようにも弾速が速く、進ノ介は直撃を覚悟して目を瞑った。
「……?」
覚悟とは裏腹に着弾しない攻撃を前に、進ノ介は目を開いた。
すると自身と首領の間に、眩い光に包まれた2人の戦士が赤いマフラーを靡かせて立っていた。
2人の戦士は拳を前に突き出していて、
進ノ介はその拳がエネルギー弾から守ってくれたのだと悟った。
2人を包む眩い光が徐々に消えていく。はっきりしてきた戦士たちの姿に、首領が反応する。
「まずは貴様らから甦ったか……1号、2号」
「!!じゃあこの人たちが……」
首領の言葉から進ノ介は、その2人が噂に聞く
仮面ライダー1号、仮面ライダー2号であることを理解した。
そんな進ノ介の左肩に、誰かが手を置いた。
「ごめん、進兄さん。かなり待たせちゃったね」
進ノ介が左を向いた。仮面ライダーマッハはいつもと変わらない様子でそこにいた。
「……剛!!」
それから進ノ介は、自らの背後にあるたくさんの気配に気がついた。
振り向く進ノ介。彼の目に入ったのは甦った仮面ライダーたちだった。
V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、
BLACK RX、シン、ZO、J、クウガ、アギト、龍騎、ブレイド、カリス、レンゲル、響鬼、
カブト、電王、NEW電王、キバ、ディケイド、W、フォーゼ、ウィザード、鎧武……
その圧倒的な存在感に、進ノ介の胸も高鳴っていた。
そして最後に進ノ介は、自身がいつの間にか右手に何かを握っていることに気がついた。
その感触は、進ノ介が一番会いたかった存在のものだった。
「進ノ介、君のお陰で私も戻ってこられたよ!本当にありがとう!」
「……ベルトさん!!」
「おのれ……仮面ライダー共め……」
ライダーたちを睨みつける首領。一同も首領を注視した。
「こうなれば、全員この場で始末してくれる!!!」
「ふざけるな!茶番はここまでだ!」
首領の宣言に進ノ介が反発した。1号と2号が間を空け、そこから進ノ介が最前列に立った。
マッハとライダーたちの間にファイズ、ギャレン、ゼロノス、オーズも合流した。
「首領!絶対にお前を倒して、歴史と人間の自由を取り戻してやる!
俺たち仮面ライダーがな!!!」
進ノ介はベルトを装着した。
「OK!Start your engine!」
シフトスピードをシフトブレスに装填し、進ノ介がポーズをとる。
「変身!!」
<ドライブ!タイプスピード!>
進ノ介の身体が赤いアーマーに包まれ、胸部にタイヤが組み込まれて
仮面ライダードライブへの変身が完了する。
「デストロンの怪人軍団よ!!かかれ!!!」
首領の合図でどこからともなく怪人軍団が現れ、仮面ライダーたちに向かってくる。
「皆、行くぞ!!!」
「「おう!!!」」
1号の号令で仮面ライダーたちも怪人に挑んでいく。
かくして、仮面ライダーとデストロンの最終決戦の幕が開けた。
つづく