【Another Story】仮面ライダー大戦GP 仮面ライダー3号   作:結城亮亮

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「スーパーヒーロー大戦GP」をリメイクする二次創作小説です。
劇場公開時の感想を書き留めていたものが出てきたので、
それをベースに書いてみようと思いました。

※要するに「俺得 仮面ライダー3号」です。
尺とか対象年齢とかを抜きにしたときに、
仮面ライダー3号がこういう作品だったらよかったな、という
個人的な感覚で書いています。


最終話 Who's That Guy?

2015年 3月某日。

ドライブがロイミュード 102に勝利した場所に、進ノ介と霧子は立っていた。

その場から見える都市の風景は、2人がよく知るものだった。

「……この場所と日付に戻っているってことは、歴史は修正されたんでしょうか?」

「見た限り、そうみたいだな」

 

と、そのとき、強い向かい風に飛ばされてきた新聞紙が進ノ介の顔面に張りついた。

進ノ介は突然のことに驚き慌てふためく。

「………………………………ぷはっ!」

どうにか新聞紙を剥がす進ノ介。彼の視線は、ある記事の見出しに留まった。

「泊さん?」

霧子が記事を覗き込む。

「!」

霧子は掲載された写真を見て息を飲んだ。

「……『凄腕レーサー 謎の失踪』って、以前話題になった事件ですよね。

姿を消したと思われる日に重加速反応はなくて、未だに捜査が進展していないっていう……

どこかで見覚えがあると思ってましたけど、

まさかこれが今回のことに繋がっていたなんて…………」

霧子がそれきり黙り込む。

2人は写真に写る人物、黒井響一郎の顔をじっと見つめていた。

「…………黒井」

 

歴史は確かに修正された。

しかし、歴史改変マシンの破壊によって修正できるのは、

マシンの効果によってねじ曲げられた歴史のみである。

故に、黒井響一郎がショッカーに捕らえられたこと、

ショッカーが彼を改造したことは覆らなかった。

黒井の存在は、マシンの効果で1973年へ移動を試みた時点で消滅した。

その上歴史が修正された今、彼の末路を知るのは電王など特異点と呼ばれる存在と、

シフトトライサイクロンやシグナルサイクロンの影響を受けた

進ノ介、霧子、剛など、限られた者のみであった。

 

「……守らなきゃな、あいつの遺したものを」

進ノ介が沈黙を破る。霧子は進ノ介を見つめた。

「黒井の話の通りなら、この時代にはまだショッカーの残党が活動をしていることになる。

歪んだ歴史と共に仮面ライダー3号は消えた。

けど、その生き様は俺の心にちゃんと残ってる。

俺が意志を継いでショッカーを倒せば、あいつは歴史の闇になんか葬られない」

進ノ介は、真っ直ぐ前を見据えていた。

「……特状課に戻ろう」

進ノ介が霧子に微笑んだ。

「はい」

2人はその場を後にする。並んだ2つの背中が遠ざかっていく。

 

 

 

泊進ノ介=仮面ライダードライブはこれからも戦い続けるだろう。

少なくとも、機械生命体 ロイミュードとの死闘に決着がつく、その日までは。

その途上で待ち受けるものが如何なるものか、彼らはまだ知らない。

しかしそれが何であれ、進ノ介は走り続けるだろう。

人間の自由を守る仮面ライダーとして。

 

「……泊さん」

「ん?」

トライドロンに乗り込むなり、霧子が尋ねた。

「私たちの歴史はどこへ行くんでしょう?

戦いを繰り返して、私たちはどこへ行くんでしょうか……?」

「……さあな。でも、行けるとこまで行くさ」

 

 

 

2人を乗せたトライドロンが走っていく。

 

 

 

真っ直ぐ、走っていく。

 

 

 

 

 


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