【Another Story】仮面ライダー大戦GP 仮面ライダー3号 作:結城亮亮
劇場公開時の感想を書き留めていたものが出てきたので、
それをベースに書いてみようと思いました。
※要するに「俺得 仮面ライダー3号」です。
尺とか対象年齢とかを抜きにしたときに、
仮面ライダー3号がこういう作品だったらよかったな、という
個人的な感覚で書いていきます。
※※※原作以上に、敵味方が複雑になります。
また、それ故にライダー同士が殺しあう場面も多く、
死亡するライダーも少なくありません。
そのような描写が苦手な方はブラウザバックを推奨します。
「仮面ライダーBLACK!!」
そう名乗った黒い戦士はその場で跳躍し、ドライブとの距離を一気に詰めた。
そして透かさず鋭い拳と蹴りを次々に叩き込んでいく。
数撃の内にハンドル剣を弾かれ、ドライブは重い右ストレートを腹部に受けて
数メートル吹っ飛んでしまった。
BLACKは追い打ちをかけようと、さらに攻撃を仕掛ける。
ドライブはそれを何とか回避するが、BLACKの拳や蹴りは隙間なくドライブを襲い続けている。
霧子の目に写る光景は、あまりに一方的なものだった。
洗練されたBLACKの動きに対し、ドライブはギリギリでかわすのみである。
しかしドライブから攻撃をしないのは、単にBLACKが強いという理由のみではないことに、
霧子は、そしてBLACKもまた気がついていた。
BLACKが右腕の裏拳と左フックを放ち、ドライブはそれを順に受け止める。
「どうした?何故戦わない?シオマネキングを殺したんだろ。
俺のことも同じようにしないのか?」
「あんたこそ何故こんなことを!?あんたも仮面ライダーなんだろ?
仮面ライダー同士なら、俺たちが戦う理由なんてないはずだ!!」
ドライブは必死な声色で抗議した。BLACKの攻撃に触れたドライブは、
彼が邪悪な敵に思えなかった。
これまで戦ってきた敵と全く違う何かを、ドライブは感じ取っていた。
しかし、ドライブの抗議は図らずもBLACKの怒りを誘ってしまった。
「ふざけるな!!!」
自らの拳を押さえていたドライブの腕を振りほどき、
BLACKは強烈な右ストレートをドライブの胸部に打ち込んだ。
ドライブは先ほど以上に大きく吹っ飛び、地面を転がった。
「……そうだ、俺は仮面ライダーだ。お前たちイーヴィルライダーとは違う。」
BLACKは後ろを振り返った。視線の先では少年たちが手に汗を握って
BLACKを見守っている。BLACKは再びドライブに視線を戻した。
「子どもたちの夢を守り、希望の光を照らし続ける!!それが仮面ライダーだ!!!
イーヴィルライダーであるお前は、決して仮面ライダーではない!!!」
ドライブは膝をつきながらどうにか立ち上がる。
「仮面ライダーではない」という発言には、流石の進ノ介も頭に血を上らせていた。
「何なんだ……何故そんなことを言われなきゃならないんだ!
さっきから、『イーヴィルライダー』って一体何なんだ!?」
しかし、ドライブの再度の抗議は中断されてしまった。
タイガーロイドが戦闘に参加し、砲撃を炸裂させたのである。
またしても地に膝をつくドライブ。
それを見て、BLACKは必殺の一撃を放つ準備をした。
「とどめだ!」
BLACKは前方に向かって大きく跳躍し、右の拳に力を集中させた。
エネルギーを蓄えた拳は、真っ赤に光を放っている。
「ライダーパンチ!!」
そのとき、ドライブを救いに仮面ライダーマッハが駆けつけた。
マッハは専用バイク、ライドマッハーをジャンプさせると、
BLACKに横から突進した。BLACKは大きく吹っ飛んだ。
「剛!」
霧子の声に答えるよう一瞥すると共に、マッハはライドマッハーを停めた。
そして視線をドライブに移した。
「進兄さん、大丈夫?結構危なかったみたいだね」
「剛……すまない、助かった」
「『助かった』って言うにはまだ早いでしょ。とりあえずは……」
マッハはシグナルバイクを取り出し、変身ベルト、マッハドライバー炎に装填した。
<シグナルバイク!シグナル交換!トマーレ!>
マッハはBLACKとタイガーロイドに向けて光弾を撃ち出した。
着弾した光弾は停止の道路標識のような形になり、2体の動きを止めた。
「今の内に退却だ、進兄さん。姉ちゃんも」
そう言うと、マッハはライドマッハーにドライブを乗せて、
霧子の乗り込んだトライドロンと共に、その場から脱出した。
仮面ライダーマッハ=詩島剛は霧子の実弟であり、ドライブ=進ノ介が頼りにする仲間である。
廃工場に逃れた3人。ドライブとマッハは変身を解き、適当に腰かけた。
「泊さん、大丈夫ですか?」
「ああ……何とか」
霧子の労りに答える進ノ介。幸い、大きなダメージは受けていないようである。
「BLACKに遭遇してその程度で逃げきれたんだから、進兄さんの悪運も大概強いよね」
茶化すような口振りの剛。しかし進ノ介は、
剛がBLACKを知っているかのように話すことの方が気になった。
「剛。お前、あのBLACKとかいう仮面ライダーのこと、何か知ってるのか?」
「ほんのちょっとね。仮面ライダーBLACK、
デストロンで一番強いんじゃないか、とも噂されるベテラン戦士らしい。」
「デストロン?」
進ノ介は聞き慣れない単語について聞き返した。
「今、世界を統治している組織だよ」
進ノ介と霧子が困惑の表情を見せる。剛はそれを確認してから説明を続ける。
「1971年、世界に最初の仮面ライダーが生まれた。2人いたらしい。
仮面ライダー1号と2号。2人はショッカー、ゲルショッカーとかいう
世界征服を目論む秘密結社と戦っていた。
そして、1973年2月10日、2人はゲルショッカーを壊滅させた。
でも、その戦いのあと、2人は消息を絶ったらしい」
「え?どうしてだ?」
進ノ介が質問を挟んだ。剛は「知らない」と言う代わりに首を横に振った。
「そんな中、ゲルショッカーとライダーの不在を狙っていたかのようなタイミングで、
姿を現した組織がある。それがデストロン。
そしてデストロンは瞬く間に世界を征服して今に至る、って訳だ」
「ちょっと待って」
霧子が口を挟んだ。納得いかない、という様子だった。
「1973年からデストロンが世界を支配してる、なんて
私の知ってる歴史と違いすぎる。
デストロンなんて名前自体、今初めて聞いたぐらいなのに……」
「じゃあ、例えば『歴史が変わった』としたら?」
「……は?」
自分の反論に対し斜め上の返答をされて、霧子はさらに困惑した。
「全くあり得ないことでもないでしょ。もう慣れたもんだけど、
俺たちが普段遭遇するロイミュードや重加速だって、
初めてのときは信じられない話だったでしょ?でも実在してる。
同じように、今、日本が既に俺たちが知ってるのと別物になってる事実を踏まえたら、
歴史が変わっててもおかしくないと思うよ」
「それは……そうかもしれないけど……」
霧子はまだ納得しきれていないようだが、剛の意見はもっともだった。
ここで、何かに気づいたのか、今度は進ノ介が口を挟んだ。
「でも、歴史が変わったなら、何で俺たちは本当の歴史を認識しているんだ?
俺たちの存在だけ、この歴史において不自然すぎる」
進ノ介の疑問に、また剛が答える。
「それなんだけど、進兄さんや姉ちゃんのとこに、
見覚えのないシグナルバイクとかシフトカーって来なかった?」
そう聞かれて、進ノ介と霧子は顔を見合わせた。2人には覚えがあった。
緑色の光に呑まれる直前に現れた、あのシフトカーとシグナルバイクである。
「その様子だと来たんだね。……俺のとこにも来たんだ、初めて見るシグナルバイクが。
で、『何だコイツ?』って思ってる内に、世界がおかしくなってて、
それに気づいたときに、そのシグナルバイクはいなくなっちゃった。
2人のとこにも来たってことは、間違いない。
たぶん、あのシグナルバイクが俺を助けてくれた。俺の正気を保ってくれたんだと思う。」
進ノ介も霧子も沈黙した。剛の見解は、一応の筋が通っていた。
「ただ、助かった仮面ライダーが他にいればありがたいけど、望みは薄いだろうね」
「?どういうこと?」
新たに剛が放った一言に、霧子が疑問を返す。
「今、この世界で『仮面ライダー』という名前は、デストロンの社会を守る戦士の称号になってる。
BLACKみたいのが他にもいるんだ。体制に反発するライダーは『イーヴィルライダー』、
つまり悪のライダーと呼ばれて、怪人や仮面ライダーの標的になってるのさ」
「!……そんな」
霧子はショックを受けた。進ノ介と霧子は、BLACKや少年たちの言葉の意味をようやく理解した。
体制に反発する以上、自分たちは悪のライダーなのだ。
少年たちにとって、正義は怪人の方にあって、怪人を倒すライダーは悪の象徴なのだ。
さらに、それはつまり……
「……あの場にいた子どもたちは、俺をイーヴィルライダーと呼んで拒絶していた。
つまり、仮面ライダーだけじゃなくて、人々の心も」
「……デストロン寄りだね。この世界では、デストロンに従うのが正義。
警察も農業も工業も、デストロンやそれに従う人々の役に立つことが正しい。
デストロンの入隊試験に合格して、立派な改造人間にされるのが幸福なんだってさ」
「改造人間!?」
進ノ介は「信じられない」と言わんばかりに聞き返した。
「そうだよ。怪人にされる、人間でなくなるのさ。みんなそれを幸福だと思ってる。」
「……」
進ノ介は無言で、怒りに震えていた。あんな子どもまでが、人間であることを奪われ、
デストロンのために戦うだけの兵器に作り替えられる。
しかも、それを幸せだと思い込まされていて、自ずからそれを目指していく。
そんなのは間違っている。人々には、平和な日々を人間として生きる権利があるはずだ。
その権利を騙して奪い取るような、デストロンの在り方を許してはいけない、
進ノ介の中にそんな思いが募っていた。
「……俺が調べて、ちょっと考察したことはこんなもんだよ。
それで進兄さん、これからどうする?」
今度は剛が進ノ介に質問した。
「決まってる。デストロンを野放しにはできない。」
「それで?まさか俺たちだけで挑む、とか言わないよね?」
「わかってる。仲間を探すんだ。BLACKは『お前たちイーヴィルライダー』と言っていた。
共に戦えるライダーは間違いなくいる。それを見つけるんだ」
進ノ介の目は本気だった。剛はそれを見てニヤリと笑った。
「決まりだね。それならすぐに出発しよう」
と、そのときだった。3人の足元で火花が散った。見ると、廃工場の入口で、仮面ライダーG3-XがGX-05 ケルベロスを、仮面ライダーバースがバースバスターを構えていた。
「やれやれ、また新しい追手かよ」
「霧子、安全なところへ」
「はい!」
進ノ介と剛は、ベルトを腰に装着する。
「進ノ介、相手は仮面ライダーだが、今度は戦うのかね?」
「ああ。世界を正し、人々を守るためなら、俺も覚悟を決める!」
進ノ介と剛はそれぞれシフトカーとシグナルバイクを装填し、変身ポーズをとる。
「レッツ」
「「変身!!」」
<ドライブ!タイプスピード!>
<シグナルバイク!ライダー!マッハ!>
変身した2人はドア銃とゼンリンシューターを手に、それぞれG3-X、バースに向かっていく。
ドライブがG3-Xのガトリングを避けて間合いを詰めると、G3-Xはケルベロスを捨て、
左腕に備えた短刀、GK-06 ユニコーンでドライブの迎撃を図る。
その近くでは、ゼンリンシューターで攻撃を仕掛けるマッハを、
バースがバースバスターで迎え撃っていた。
「うわっ!」
ドライブが背中に斬撃を食らった。
背後を見ると、仮面ライダーイクサ バーストモードがイクサカリバーを手に佇んでいた。
「イーヴィルライダー、その命、神に返しなさい」
そう言うとイクサは、ドライブに追撃を試みて攻撃を仕掛けた。
ドライブは武器をハンドル剣に変え、2人の敵の太刀筋に立ち向かう。
「くっ!」
一方のマッハも、新たな敵に苦戦していた。
仮面ライダーザビー ライダーフォームがマッハを襲っていた。
ザビーはライダーより軽武装の部隊、ゼクトルーパーを4人率いていた。
余談だが、このゼクトルーパーはスーツに黄色いラインが入った
、ザビー直属部隊、シャドウの隊員であり、ザビーの意のままに行動する。
「各員、バースと俺の攻撃の隙間を埋めるように撃ち続けろ。反撃の隙を与えるな」
「了解!」
ザビーの格闘攻撃を弾き、ゼンリンシューターでの近接攻撃をしながら、
マッハはバースを狙って引き金を引く。
ゼクトルーパーは装甲の強さが中途半端のため、
まともに攻撃すればまず間違いなく死なせてしまう。
それを懸念したマッハは、ゼクトルーパーの攻撃もかわしつつ、
しかし、攻撃はザビーとバースに集中せざるを得なかった。
2人の仮面ライダーに追いやられ、ドライブはマッハと分断されて廃工場の外にいた。
1人ずつならば互角以上に渡り合える自信がドライブにはあったが、
そのレベルの敵を2人同時に相手をするとなると、流石に苦戦は免れなかった。
イクサカリバーを回避し、そこを狙ってユニコーンを振るうG3-Xの攻撃を弾き、
ドライブは自分の攻撃を確実に当てていく。
それでも、2人の連携による隙の少なさに、ドライブはあまり反撃できないでいた。
「くそっ、形勢逆転の隙が無さすぎる!それにあの青い仮面ライダー、
あいつも警察のライダーなのか……いよいよ身内に追われてるようでやりきれないな!」
ドライブはG3-Xの胸部に光る旭日章を睨みつけていた。
「……ん?」
ドライブ、イクサ、G3-Xはふと、こちらに近づく車両の走行音に気がついた。
3人が音のする方を振り返る。すると、白地に赤いラインの入ったスーパーカーが、
こちらに向かってきていた。
スーパーカーには太いマフラーが6本と、フロント部左右にガトリング砲、
フロント部中央にミサイルランチャーを搭載している。
スーパーカーのガトリング砲が、イクサとG3-Xを狙い撃つ。
まともに食らい、2人はドライブの後方に大きく吹っ飛んだ。
同時にスーパーカーは砲撃を止めて、ドライブの眼前で停車する。
「今度は何だ?味方なのか?」
警戒するドライブの前に、スーパーカーの運転席から何者かが降りてきた。
それは、昆虫の触覚のような構造を持つ紺色のヘルメットをした、
黄色の複眼、黄色のマフラー、青銅色のアーマーを身に纏う戦士だった。
つづく