【Another Story】仮面ライダー大戦GP 仮面ライダー3号 作:結城亮亮
劇場公開時の感想を書き留めていたものが出てきたので、
それをベースに書いてみようと思いました。
※要するに「俺得 仮面ライダー3号」です。
尺とか対象年齢とかを抜きにしたときに、
仮面ライダー3号がこういう作品だったらよかったな、という
個人的な感覚で書いていきます。
※※※原作以上に、敵味方が複雑になります。
また、それ故にライダー同士が殺しあう場面も多く、
死亡するライダーも少なくありません。
そのような描写が苦手な方はブラウザバックを推奨します。
橘朔也はデストロン支配下の世界で生まれ育った。
彼は兵器の研究・開発機関であるBOARDの職員として、
デストロンの指示に従って活動していた。
ブレイド、カリス、レンゲルとの出会いもBOARDに所属したことがきっかけだった。
しかし、橘がギャレンとして反抗勢力と数回戦った頃、彼は心身の不調を自覚するようになった。
橘が症状について相談したのは、大学の同期生にして、当時の恋人だった
深沢小夜子という女性だった。彼女は優秀なエンジニアであり、
裏ではデストロンの機密情報すら盗み出すほどのハッカーでもあった。
故に、小夜子はそのときも容易く目的の情報に辿り着いた。
しかし、彼女がその情報を直接橘に伝えることは叶わなかった。
彼女はハッキングに気がついたデストロンの刺客に殺害されてしまったのだ。
小夜子の死は事故として処理された。橘は彼女の遺品をいくつか受け取った。
だが、これが橘の運命を変える。橘は遺品の中からあるものを見つけた。
それは、橘が彼女に送った記念品のパズルのピースだった。
「いくら何でも不自然だ……なぜ小夜子はこのピースを持ち歩いていたんだ?」
そう考えた橘は、ピースを調べた。すると、ピースには小夜子の残したデータが、
専用の機械を通さないと視認も読み取りもできない加工でプリントされていたのだった。
橘はそのデータから、大きく2つのことを知った。
1つは、彼の不調が恐怖心の増大から来るライダーシステム特有の症状であること。
そしてもう1つは、デストロンの悪事、デストロンが仮面ライダーたちを利用して
非道な行為を繰り返していることだった。
「……小夜子の仇、ピーコックアンデッドは俺が封印した。」
ギャレンは、ダイヤのJのカードを取り出し、ブレイドたちに見せる。
「だが、小夜子は生き返らない。それだけじゃなく、
ピーコックアンデッドに抹殺を命じたデストロンは、今なおライダーや市民を欺いている。
俺が恐怖なんかに囚われて小夜子に相談しなければ……
もっと早くデストロンの正体に気づいていれば……」
ギャレンの声は静かながらも怒りと悔しさを含んでいた。
その声に一層の動揺をブレイドは見せている。
「それがどうした?」
レンゲルが口を開いた。ドライブとブレイドは驚いてレンゲルを見る。
「反体制派は処分される。この世界で誰もが知るルールだろ?
その女は反逆者だったからデストロンに裁かれた。それだけのことを何故騒ぐ?」
レンゲルは冷たく言い捨てた。しかし、ギャレンは冷静だった。
「睦月。今のお前もまた、デストロンの悪事の証拠だ」
「何?」
「お前と出会ったのは、お前がまだBOARDの研修生だった頃だ。
だが、お前がデストロン本部に呼ばれ、レンゲル一式を授かって俺たちの上司になってから、
お前は人が変わった。上城睦月という人間は、人が1人殺されたことを
『それだけのこと』と言える奴じゃなかったはずだ!」
「!?」
思い当たることがあるのか、ここでレンゲルが初めての動揺を見せた。
「馬鹿な……俺が……俺が操られているというのか……?この俺が……?」
さらにギャレンは、カリスに視線を移す。
「始。お前だってそうだ。お前にはデストロンの仮面ライダーカリスである以前に、
人間、相川始としての自我があったはずだ。だが、それは今抑圧されている。
始も睦月も、カテゴリーAの力を強化されて操られているんだ!」
「……」
カリスは無言でギャレンと視線を交えている。
だが、ブレイドとレンゲルは完全に動揺している。
「今、同じようなことが世界中で起きている。俺たちよりも遥かに非力な人たちまでもが、
デストロンに騙され、利用され、人生や生命を奪われている。
それを止められるのは、戦う力を持つ俺たち仮面ライダーだけだ!
俺たちは、戦えない全ての人のために、デストロンと戦うべきなんだ!!」
そう言うと、ギャレンはブレイドに向かって手を伸ばす。
「剣崎!俺に手を貸せ!始と睦月からカテゴリーAを回収し、2人を解放するんだ!」
「!?」
ギャレンがブレイドに呼びかける。ブレイドはなおも困惑している。
しかし無意識か、ブレイドの足はギャレンに向かおうとしていた。
「ブレイド!!!」
ギャレンに引き寄せられつつあったブレイドを、レンゲルが非常に強い口調で呼び止める。
「奴の口車に乗るな!ギャレンを拘束するんだ!!」
「!!」
ブレイドは、今度はレンゲルの言葉に動揺していた。
「俺の命令に従え、ブレイド。ギャレンの言葉が真実か戯言かは、この際どうでもいい。
後でじっくり聞いてやる。だが、ここで奴に負けたり、逃げられたりしたら
それも叶わないんだぞ?わかったら奴を拘束しろ!!」
ブレイドは俯き、葛藤している。
「剣崎!!」
「ブレイド!!!」
「……橘さん、すみません!」
ブレイドはブレイラウザーを握り、ギャレンに斬りかかった。
ギャレンはブレイドの攻撃を回避して、ブレイドを撃つ。
「剣崎!!考え直せ!!デストロンの思う壺だぞ!!」
カリス、レンゲルもギャレンに攻撃を試みる。
それをドライブと3号が遮る。3号がギャレンを振り返った。
「ギャレン、残念だが条件に従ってもらう。今、これ以上続けても無意味だ」
「……わかった」
ギャレンはクローバーの9のカードを取り出した。
<スモッグ>
ギャレンがギャレンラウザーの銃口をブレイドたちに向けると、
銃口から煙幕が吹き出し、ブレイドたちの視界を奪う。
その隙に、ドライブ、3号、ギャレンは研究所を脱出した。
「ブレイドたちと話す隙を作るためとはいえ、
騙したことは申し訳ないと思っている。本当に悪かった」
逃亡し、変身を解いた橘は、進ノ介と黒井に謝罪した。
「もういいさ。あんたの気持ちはわかったから。
それに、今度は本当に仲間だと思っていいんだろ?」
進ノ介は橘に頭を上げるよう促しながら言った。
「ああ。力を合わせて、デストロンに立ち向かおう」
「ならばすぐにでも出発するぞ。同盟の奇襲作戦決行まで、それほど時間はないんだ」
黒井はそう言って、トライサイクロンでの先導を再開した。
その後ろを、トライドロンとレッドランバスが追っていく。
それを遥か後方から、またしても長髪の男が見ていた。
剛、霧子、侑斗、デネブが反デストロン同盟に参加してから数日が経った。
一行は怪人たちと戦闘中だった。
「はあっ!」
クウガ ライジングドラゴンフォームがゴ・バダー・バと対決している。
ライジングドラゴンロッドとバダーの格闘戦術が一進一退の攻防を続けている。
その近くではシンが改造兵士レベル3と組み合っている。傍で響鬼が困っていた。
「お前ら似すぎ!もっとわかるようにしなさいよ!……おっと」
突如飛びついてきたサイコローグを避ける響鬼。
サイコローグはそのまま響鬼と戦闘を開始した。
その他、V3はウヴァと、ガタックはグリラスワームと、オーズはバッタヤミーと、
バロンはホッパー・ドーパントと交戦し、残りのライダーは大量の戦闘員と戦っていた。
戦闘員はデストロン規格のみならず、ワームのサナギ体や屑ヤミーも多く紛れている。
「くそっ、数が多すぎる!」
ゼロノス アルタイルフォームが悪態をつく。
彼もデネブも多くの戦闘員を倒しているが、それでも戦闘は終わる気配を見せなかった。
「本当、どんだけいるんだこいつら!」
マッハも敵の数に呆れて悪態をついた。
そのときだった。マッハの眼前で10体ほどの戦闘員が、
どこからか飛来した矢に射抜かれて倒れた。マッハは周囲を見回す。
すると、高台から、風のエルが戦闘員に向けて矢を一斉発射していた。
さらに、風のエルの後ろから水のエル、地のエルが姿を見せる。
水のエルが腕を上げる。
「行け。不浄なる者共を始末せよ」
そう言って水のエルが腕を下ろすと、色とりどりのジャガーロードやトータスロード、
クロウロード、そして大量のアントロードが一斉に姿を現し、戦闘員を襲い始めた。
驚くことに、新たに現れた怪人たちは、誰一人としてライダーを襲わなかった。
「何これ?何がどうなってんの?」
マッハが素直な驚きを口に出した。
「み、味方なのか?」
鎧武も戸惑っている。
「ひとまず、戦闘員を殲滅するぞ」
メテオが全体に指示を出して交戦を再開させた。
<1><2><3>
「ライダーキック!」
<ライダーキック!>
「「おりゃあ!!」」
クウガのライジングスプラッシュドラゴンとガタックのライダーキックが炸裂し、
吹っ飛ばされたゴ・バダー・バとグリラスワームが空中で接触して爆散した。
その場にいたデストロンの怪人と戦闘員は全て処理されていた。
残っていたのは反デストロン同盟のライダーと、
3体のエルロードが率いる新手の怪人軍団のみであった。
V3が、エルロードに近づく。
「救援、誠に感謝する。それで、お前たちは何者だ?」
V3が尋ねた。それに対し、水のエルが口を開く。
「我らはマラーク。貴様たちの言葉で言うところの、『神の使い』である」
「神だと!?そんなものが実在するのか!?」
バロンが食いついた。
「左様。我らは本来、主の御意志に背き殖えるアギトを滅する者である。
だが、人間はアギト以上に不浄なる存在を生み出し、醜く進化を進めている。」
「アギト以上の不浄?デストロンのことか?」
V3が聞き返す。風のエルが引き継いだ。
「左様。主は怒り、悲しまれている。そして主は我らに命じられたのだ。
デストロンを滅ぼせ、と」
再び水のエルが口を開いた。
「貴様たちは人間の側からデストロンを滅ぼさんとする者であるのだろう?
ならば我らに手を貸せ」
ライダーたちは驚き、顔を見合わせた。
言っていることは理解できるが、相手は自分たちから見れば怪人である。
信用していいのか、確かな判断は難しかった。
「どうする?V3」
響鬼がV3に判断を委ねた。他のライダーもV3を見る。
彼らはV3の判断に従うことにした。
「……お前たちの話に偽りがないと、お前たちの主に誓えるのだな?」
V3は水のエルに問いかける。
「もちろんだ。主テオスに誓って、全て真実である」
水のエルは答えた。V3はまた少し考え、それから返答をする。
「わかった。手を結ぼう。私たちはデストロンの拠点に奇襲をかける。
このまま行けば決行は予定通り明日になる。そこで共闘してもらうことはできるか?」
「よかろう。では明日、また会おう」
水のエルがそう言うと、マラークと名乗る者たちは急に発生した霧に包まれて姿を消した。
V3に判断を任せたライダーたちは、この場で起こったことについては何も言わなかった。
その日の夜。反デストロン同盟のメンバーは洞窟にゼロライナーを隠して体を休めていた。
デネブが作る和食の献立がライダーたちに供給され、
栄養補給が済んだライダーたちは休眠に入っていく。
しかし、侑斗は妙に寝つけないでいた。
「……」
侑斗は起き上がり、外で風を浴びることにした。
ゼロライナーの外に出ると、洞窟の入口にV3が立っていた。
「脳以外機械化しているから、眠らなくていいのか?」
侑斗はそんなことを頭に浮かべながらV3に近づいてみた。すると、剛もいることに気がついた。
「剛、寝なくていいのか?」
侑斗が声をかける。
「寝つけなくて。侑斗も同じじゃないの?」
剛が尋ねた返した。侑斗は小さく「まあな」と言って、今度はV3に話しかけた。
「V3。まだ聞いていなかったことがる。
今回の奇襲作戦は、どうしてこんなところの拠点なんだ?
都心から離れて寂れているようだし、デストロン本部ってわけでもないんだろ?」
侑斗に質問を受けて、V3が2人の顔を見る。
「今回の奇襲作戦は、オーズから聞いた『本来の歴史』の話がきっかけだった。
そして君たちからも『本来の歴史』の話を聞いて、
俺はこの奇襲作戦がデストロンを倒す決め手になると確信している」
「「!?」」
V3の言葉に驚く2人。侑斗がさらに尋ねる。
「何故確信しているんだ?」
「それは、今回攻撃する拠点には、『歴史改変マシン』なる装置が確認されているからだ!」
つづく