この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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再投稿。





二章王都
10話


 

 

 ※

 

 

 人、人、人。

 王都の夕暮れは人でごった返す。

 いつの時代も、どこの世界も、大都市の早朝と夕方は人まみれだ。

 

 

 

 カン、カン、カン。

 

 

 日が沈む。

 その直前に鳴り響く警鐘。

 王都に設置されている鐘はいくつかの音によってそれが意味するものを伝え分ける役割を持っている。

 そして、今聞こえたのは最もよく使われ、また、最も危険性の高い音だった。

 

 

 

『魔王軍の襲来です。都民の方は速やかに避難して下さい。また、冒険者の方は規定に従って配置について下さい。』

 

 

 訓練された民衆はその放送が流れる前に避難を終える。あれだけいた人間が、通りから消えていた。

 その中を動くのはレベルが様々な冒険者と衛兵。

 今日もまた、命懸けの『戦争』が始まる。

 

 

 

 ※

 

 

 城壁の上に座り、城門の外で行われる大規模な戦闘を見学する怪人黒マント。

 それがこの俺、ゼロである!

 

 

 いやね、俺も早速魔王軍か!と喜び勇んで飛び込もうとしたのよ。

 そしたら放送が流れてくるじゃん?

 その中で『冒険者の方は規定に従って』とか聞こえてくるじゃん?

 

 …俺は冒険者じゃないから規定に従わなくてもいいのか?はたまた、冒険者じゃないやつはお呼びじゃないのか?そもそも規定って何だよ。初めて聞いたわ。それに違反するとなんか罰則とかあるんじゃね?魔王軍と必死に戦ってそれで罰とか馬鹿馬鹿しいにも程があるだろ。

 

 

 

(というわけでおとなしく見学しますかね。まあ危なくなったら突っ込みゃ良いだろ。)

 

 

 それに俺の出る幕は無さそうである。高レベルの冒険者が揃っているのか、魔王軍は完全に押されている。やはり人類はしぶとい。この戦闘を見れば分かる。まだまだ滅びはしないだろう。

 

 魔王よ、一言いっておこう。

 

 人類(にんげん)無礼な(なめるな)

 

 

 ーーいいたかっただけである。

 

 

(そんじゃ、そろそろ宿に向かいますかね…ん?)

 

 

 立ち上がって伸びをしたせいか、少し遠くまで見える。

 魔王軍の中央を割って最前線へと進む一騎の黒い騎士をみる。

 

 

 体に電流が走る。なんだあれは。明らかにレベルが違う。強さが違う。下にいる連中では勝てない。

 おそらく今この場であれの相手をできるのは自分だけだと理解し、デュランダルを鞘から引き抜いた。

 

 

 

 ※

 

 

 その騎士はこの軍を率いていた。

 通常、将が戦場に出るなど言語道断の所業である。

 だが、これ以上この訓練の足りん雑魚に任せていたらいつまで経ってもあの門を突破するなど出来ん。

 ドス黒い殺気を放ちながら前線へ赴く。その殺気に当てられて部下が前に道を開く。この光景だけは好きだ。これが無ければ軍を連れ歩くなどゴミを引き摺るに等しい。

 乗っていた騎馬から飛び降りる。

 その騎士は片手に()を持ち、片手で大剣を構え名乗った。

 

 

 

「俺は魔王軍幹部、デュラハンのベルディア!我こそはという者はかかってくるが良い!」

 

 

 

 

 

 

 突然の幹部の台頭に戸惑ったのはほんの数秒。

 高レベルの冒険者が次々と剣を、槍を、弓を構え一斉に殺到する。

 なるほど、どいつも粒が揃っている。これではいくら雑魚が集まろうがなんてことはないだろう。

 

 頭を上へ、放り投げる。

 

 

 それに気をとられて視線を向ける者も数人いるが、大多数は脇目も振らずこちらへ来る。

 まあそれが目的ではないから関係ないのだが。

 

 

 猛然と振るわれる武器はことごとく宙を切る。

 戦場の全てを把握したように僅かな隙間を縫って進む。

 そろそろ落ちて(・・・)来る。タイムリミットだ。

 頭の中でカウントして剣を両手で握り力の限り横薙ぎにする。周りにいた奴らの腹部周辺を切り裂いた。

 

 

(む…)

 

 

 流石にレベルが高いだけはある。一撃では決まらなかったようだ。

 頭を片手で受け止めながら間近に転がる冒険者に大剣を振り下ろそうとしてーーー

 

 

「ぬう⁉︎」

 

 

 咄嗟に横に盾にするように構える。

 脳で認識するより先に身体が反応した。幾多もの戦場を渡り歩いてきたベルディア特有の直感が命運を分ける。

 

 

 直後、轟音と共に赤黒い弾丸が飛来し、大剣の盾ごとベルディアを吹き飛ばす。

 とんでもない衝撃だ。ただの剣ならば何の抵抗にもならなかっただろう。

 

 

 

「…何者だ。名を名乗れ。」

 

 

 普段のベルディアならまずあり得ない敵から名を訊くという行為は知らず、目の前のこいつ(・・・)は、自分に匹敵、或いは凌駕するだろうことを確信しての物だった。

 

 

「ドーモ、ベルディア=サン。ゼロ=ニンジャデス。」

 

 

 手を合わせながら腰を折り、にこやかに言う自らと同じ超越者(・・・)

 

 

 

 …………ふざけてんのか、こいつ。

 


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