この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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なんかまた寒くなるそうなので皆さん体調にはお気をつけ下さい。
作者は予防接種を受けていたのにインフルに罹ってしまったので、受けている方もくれぐれも油断なさらぬように……。






造ってワクワク!

 

 

 

 ※

 

 

「カーズマくーん!あーそびーましょー!」

 

 

 またうるせえ奴が来やがった。舌打ちしながら居留守を決め込む。

 誰が外に出るもんか。大体あいつも他の奴らも在宅業を誤解している。彼らはしっかりと働いているのだ。それを外に出ないというだけで引きこもりだのニートだの失礼極まりない……いや、引きこもりは合ってるのか?

 

 

「お前それ絶対に外に広げんなよ、風評被害もいいとこだぞ。

 在宅業の人は色々な契約の問題でむしろ外に出ることも多いんだからな。お前みたいに待ってりゃ契約相手が家に来てくれるなんて甘っちょろい事は現実じゃあり得ん」

 

「おまわりさーん!おまわりさーん!不法侵入者!許可なく勝手に人ん家に入って来た犯罪者がいますよ!

 つーかお前どうやって入って来たんだよ!鍵も締めてたし窓だってこんな事もあろうかと全部閉じ切ってるはずだぞ!」

 

 

 どのようにしてかいつの間にか屋敷に入って来て呆れ顔をしているゼロに噛み付く。

 まさか窓を割ったりドアをブチ破ったりしてないだろうな。もししてたらーー

 

 

「アクアに入れてもらいました」

 

「おいゴルァ、アクア!ちょっとこっち来い!」

 

 

 あんの馬鹿、知らない人を家に入れんじゃありません!

 

 しかし俺の声色から怒られる事を察したらしいアクアは一向に姿を見せる気配がない。

 覚えてろよ、後でお仕置きしてやる。

 

 

「あ、アクアはもういないぞ?

 俺がここに来た時、ちょうどアクアが外出するためにドアを開けてな。その隙間を見逃さず、するっと入って←今ここ」

 

「それは入れてもらったんじゃなくて勝手に入ったって言うんだよ!結局不法侵入じゃねーか!」

 

 

 何さらっとさも当然の如く言ってんだ。これ法廷に出たら10対0で俺が勝つぞ。

 

 

「よお、そんな事よりジャイアントトードが繁殖期に入るんだよ。良さげなクエストをルナさんに英雄権限で止めてもらってあるから小銭稼ぎに行こうぜ。

 俺もそろそろ休養明けて本格的に活動したいからな、身体の調子を見るのにうってつけだ」

 

「………はぁ、お前も懲りないよな、どうせまためぐみんになんか言われたんだろ?」

 

 

 もう入ったものはしょうがない。こいつに力で勝とうなんてバカな事はアクアでも言い出さないしな。

 

 疑問系ではあるが、これはまず間違いないだろう。アルカンレティアの一件から、こいつはこうやって度々俺に外に出て冒険者として活動するように催促してくるようになった。

 恐らく、以前めぐみんから依頼を受けたと言っていたからその延長ではないだろうか。

 

 

「……そりゃ分かるか、白状するとその通り。

 アルカンレティアから帰って以降またカズマが引きこもるようになったーってわざわざギルドまで来てチクチク嫌味言ってくるんだよあいつ。

「あなたは一度私から依頼を受け、報酬も受け取っているはずです。なのにこのまま放置して知らんふりをするのはどうかと思いますけどね!」ってな」

 

 

 確かに言いそうではある。

 

 しかし先も言ったように、俺には危険な目に遭う必要がまるで無い。

 冒険者として頑張ってモンスターを倒して僅かな金を稼ぐよりも、こうして日本での知識を活かして作った物を売った方が遥かに楽に大金が貰えるんだからこんな馬鹿な話もあるまい。

 めぐみんやダクネスには悪いが、冒険者としてはたまに刺激が欲しくなった時に活動するくらいでちょうど良い気がしている俺である。

 

 

「大体だな、あんなデカいモンスターとそんな細っこい剣でやり合おうっていうお前らがおかしいの。

 俺はモンハンではボウガン系しか使わないんだ、その他のアクションゲームでも遠距離からチクチクやるのが性に合ってるんだよ。

 強力な魔法も使えない俺が刀一本で冒険者やってもすぐにおっ死ぬのが関の山だって」

 

「お前弓使えるんだろ?弓は遠距離武器じゃねえのかよ」

 

「曲射が無い弓は弓とは認めん」

 

「2ndG勢に怒られるぞお前………」

 

「ワールドでは復活するからセーフ」

 

 

 俺は常に最先端を行く男なのだ。

 

 ゼロが何と言ってこようとその瞬間に反論が出来るように、頭の中でゼロの次の発言を考える。

 どう言おうと俺は外に出る気は無いんだからさっさと諦めて帰ってくれないだろうか。

 

 

「最先端ねぇ……」

 

 

 しかしゼロもしばらく何かを考えるように顎に手を当て。

 

 

「………うん、よし。なら造るか」

 

 

 と、呟く。

 

 

「……作る?何を?」

 

 

 予想していた物とは完全に異なる類の言葉に困惑しながら聞き返すとゼロは、

 

 

「だから自分で造るんだよ。遠距離武器、もっと言やあ『銃』をな」

 

 

 自信満々にそう言った。

 

 

 

 ※

 

 

「散らかっちゃいるが足の踏み場くらいはある。適当にその辺に座っててくれ」

 

「お、おう」

 

 

 言われるがままに部屋に入り、置いてあった椅子に腰掛ける。

 本人はそう言うが、別に散らかってはいないように感じる。精々が部屋の隅にモンスターの素材と思われる物体が整理されずに放置されている程度だ。これならば普段からアクアの部屋を見慣れている俺にとってむしろ片づいているとさえ言えよう。

 

 

「……何だこりゃ。糸?が束ねて……蜘蛛の糸か?」

 

 

 何とは無しにそのモンスターの物らしき素材、その中の白い糸の様な物が気になって近寄ろうとすると。

 

 

「あ、おい。そこに置いてあるもんには触るなよ、毒がまだ残ってるかもしれん」

 

「どど、毒⁉︎そんなもん床に置いとくなよ!」

 

 

 何やら奥でビンに入った液体を鍋に移し替えているゼロが注意を飛ばして来たので急いで離れる。

 

 前々から思っていたんだがこの世界危険物の管理が杜撰過ぎるだろ。日本みたいに免許制にしないとその内事故起こすぞ。免許持ってない奴は危険物その他諸々全処分、みたいな。

 

 

「そうなるとお前の刀や弓も銃刀法違反で没収だな」

 

「そんで、何でお前はいきなり料理始めてんだ」

 

 

 二十本程のビンの中身を鍋に入れ、火にかけ始めたゼロに突っ込む。

 

 俺は『銃』という単語に興味を抱いたのであってこいつの料理の腕には一欠片も興味が無いのだ。本題に入らないというのなら帰らせていただきます。

 

 

「まあ待てよ。俺だってなにも料理の腕自慢するためにお前呼んだんじゃねえんだ、これは銃造りに必要な事なのさ」

 

 

 ゼロが鍋の蓋と鈍い銀色をした金属の棒、それに携帯用のコンロを持ってそれを俺の前の机にゴトンと置き、自分は俺と向かい合う形で椅子に座る。

 

 必要だと言っていた鍋自体は火に掛けっぱなしだ。

 

 

「さて、話に入る前に確認だ。銃の定義……どんな物が『銃』と呼ばれるのか。分かるか?」

 

「定義ぃ?そりゃお前『銃』ってんだから、火薬の力で弾丸飛ばすのがそうなんじゃねえの?」

 

「お、90点。A判定をやろう」

 

「残りの10点どこ行った」

 

 

 アクアもたまにこの表現するけど結局最後まで残りの点数の正体を言わないんだよな。あれ絶対適当に言ってるぞ。

 

 しかしそこはゼロ、アクアとは格が違った。

 

 

「正確には『銃』は火薬に限らず何かの力で弾を射出する筒の事を言う。これは今も昔も変わらずな。

 点数の理由としちゃ全体の90%はお前の言った通り火薬の力で撃つ銃だからね。残りは空気圧だったり、珍しいのは電磁力だったりするな」

 

「……なるほど」

 

 

 納得はした。けどそれが今何の関係があるんだよ。いや今から造るんだから関係はあるのかもしんないけどさ。

 

 

「その通り、関係は大有りさ。何せ今から造るのはその残りの10%の方なんだから」

 

 

 残りって事は……空気圧?まさか電磁力では無いだろう。もしこの中世風の世界観で電気が自由に引けるんならもっと色々物が普及していないとおかしい。

 

 

「今度は残念、火薬でも空気圧でも、もちろん電磁力でもない。正解はこちら」

 

 

 コトン、と軽い音がして机にビンが乗る。色形からして先ほどゼロが鍋にぶち込んでいた物のようだが。

 

 

「これは俺がよく使ってる、ウィズの店でしか取り扱ってない衝撃を加えると爆発するポーションだ。ちなみにお値段は一本一万エリス」

 

 

 結構高いな。

 正解はこちらと言っていたがまだ話が見えてこない。これを一体どうすると言うのか。

 

 

「うん、火薬があれば手っ取り早いんだが、この世界は火薬に相当する物が存在しない、または発見されてないと来てる。

 まあ火薬なんて消耗品に頼るより爆発魔法や炸裂魔法に頼った方が効率も良いからなぁ。

 人間ってのは一番効率の良い方法を見つけたらそれ以外の面倒臭いやり方には見向きもしない生き物だからしょうがねえんだけど………あ、たまにいる物好きは例外としてな?」

 

 

 それはそうだろう。使うと無くなり、一々補充しなきゃいけない物体よりも燃料が魔力で一定時間経てば自然回復する上、威力も高い魔法の方を優先するのは当然だ。

 それこそ手間を掛けるのが好きだと云う一部の物好き以外は大多数の人間がそうするはずである。かく言う俺も出来るなら楽な方法があるならそれが一番。

 

 

「まあそういう訳だからこいつを火薬の代わりにしようと思ってる」

 

「これを?液体じゃねーか」

 

 

 ビンを持って振ると中身が波打つ。爆発すると言うなら推進力は得られるのだろうが、こんな物でどうやって弾丸に指向性を持たせるというのか。

 火薬は固形だからこそ一方向に固定出来るが、液体だとどうなのだろう。試してみないと分からないな。

 

 

「はい、ここで店で買った爆発ポーションに俺が一手間加えた強化版、炸裂ポーションをどうぞ」

 

 

 もう一つビンが机に置かれる。

 

 今度の物は固形というよりグリースの様な状態になっているようだ。

 

 

「そいつは爆発ポーションの水分を飛ばして濃度を上げて作る。

 濃縮されてるもんだから威力は跳ね上がるけど、難点を言やあ炸裂ポーションをその一瓶分作るのに普通の爆発ポーションが二十個必要になるんだよなあ。コスパ超悪いの」

 

 

 ………水分を飛ばして作る。

 

 

「……なあ、もしかしてあそこで煮てるのって……」

 

「うん、そのポーション。作るの面倒だけどアルカンレティアでも世話になったし、出来れば数個は確保しときたいから暇な今のうちに作り溜めしてるの。

 これが無かったらハンス倒せなかったまであるからなぁ」

 

「……………」

 

 

 これ一応爆発物なんだよね?それを火に当てるとか正気かこいつ。急に爆発とかしたらどうすんだ。

 

 

「だからそいつは衝撃に反応するポーションで、それ以外の方法じゃ爆発なんかしねーんだってば。落としたらヤバいけどあれくらいなら平気へっちゃらよ。

 これを弾丸自体に塗るか銃本体の薬室に入れるかして、撃鉄みたいなのを作れば威力は充分稼げる」

 

「それならまあ良いけど。これで火薬の代わりはOKとして、じゃあ次はいよいよ銃そのものを造るのか?」

 

「いや、悪いけど本体は無理だよ。俺鍛冶スキル持ってる訳でも無いし、本職に頼るしかねえわ」

 

「は?舐めてんのかお前、偉そうに銃造るかとか言っといてそんな寸止めが許されるとでも思ってんの?あの時の俺のワクワクに対してどう責任取ってくれんの?」

 

「……そんな楽しみにしてたの?悪かったよ、でも銃身を造るのはマジで難しいぞ。

 曲がってちゃもちろん駄目だし熱と衝撃にも強くなきゃいけない。おまけに今言った撃鉄的な機構も組み込まなきゃならんとなると、この世界じゃ本職でも難しいかもな」

 

 

 ゼロは王都で顔が利くらしいし、当然王都の鍛冶屋もある程度知っているはず。それでも尚難しいと言うのならまあそうなんだろう。

 

 

「なんとか出来そうな鍛冶師に当ては無いのか?」

 

「ふむん。まあいっちゃん可能性が高いのは紅魔の里に行く事かな」

 

「紅魔……確かめぐみんの故郷だったよな。魔法使いが多いって聞いたけど、それと鍛冶屋に何の関係があるんだよ」

 

「魔法使いが多いからこそだ。あそこの鍛冶屋は普通の鍛冶スキルとは別に特殊な魔道具を使って色んな物を作れる。

 この…………」

 

 

 ゼロが言葉を続けながら何も無い背中に手を回し、しばらく空間をさすったかと思えば。

 

 

「この……今は亡き俺のマントもそこで作ってもらって……俺のマント………」

 

 

 非常に悲しそうな声でまた手を戻す。

 こいつが常に身に付けていためぐみんのローブと良く似た色合いのマントはアルカンレティアで色々あってマントとしての体裁を保てなくなったので処分したと聞いている。

 この様子を見るに相当大切にしていたようだ。お気の毒様。

 

 

「そ、それはともかく、火薬の他にここで俺が示してやれるのは弾丸の造り方くらいだ」

 

 

 弾丸か。そういやそれはどうするんだろう。

 現代の銃弾は到底再現出来ないだろうし……。

 

 

「そこはそれ、温故知新ってな。古き良き伝統的な銃弾の造り方はこの世界でも出来そうなんでね」

 

 

 するとゼロは机に置いてあったコンロに火を付け、鍋の蓋と金属棒をそれぞれの手に持つ。

 ゼロが金属棒をコンロの火に当てると見る内に金属棒が赤熱し、先端が溶け始め、しばらくすると熱された部分が滴となってポトリと落ちた。

 木製の机にあんな物が落ちたら火事待った無しと冷や汗をかいたのは一瞬、落ちる前に滴を鍋の蓋でキャッチし、バランスを取りながら円を描くように蓋を動かしていく。

 蓋の上でコロコロと転がる溶けた金属は形を整えられ、段々と冷えていきーー、

 

 

「……………よし、完成」

 

 

 熱された赤から冷えて元の鈍色に戻った金属を机に転がす。形はかなり球形に近い。

 

 

「デデン!これが現実的な範囲で製造可能な銃弾である!」

 

「随分単純だな……。そもそもこれ何で出来てるんだ?」

 

 

 ゼロが手に持つ残りの金属棒を指差しながら問う。

 

 

「こいつは鉛だよ。鉛は融点が300℃前後でな、普通の火でもあっという間にドロドロになる。

 この弾丸の造り方は昔の猟師……マタギって呼ばれた奴らが実際にしてたんだ。あいつら基本的に山奥に住んでるから、市販されてる物を買う為に街まで降りる手間を惜しんで弾は自作してたんだとさ。

 現代じゃ別に球形じゃないのに銃弾の事を鉛『玉』って呼ぶだろ?それはこの頃の名残なんだよ」

 

「ふーん………」

 

「これで弾と火薬が揃った訳だ。まあ問題は山積みだけどな。

 これだと弾の大きさや形がバラバラになっちまうし砲身の経口に合わない可能性もある。

 使う炸裂ポーションだって素材になる爆発ポーションの絶対量が少ないせいであんまり作れないし、銃本体はポーションの爆発の衝撃に耐えられる頑丈なヤツを造らなきゃならん。そいつは俺じゃどうしようもないからどっかから優秀な鍛冶屋を引っ張ってくるってのも必要か。それでも要望通りにモノが出来るかなんて保証も無い。

 そして仮に全部揃えたとしても弾の形が形だから精度は多分ゴミそのものだろうな。威力に関してはポーションの量で調節は効くだろうが、そうすると今度は鉛玉が耐えられない可能性も出て来る」

 

「めっちゃ早口で喋ってそう」

 

「……しょうがねえだろ、まさかこの世界で銃なんて代物を造ろうだなんて考えもしなかったからな、俺もちょいとテンション上がっちゃったよ」

 

 

 バツが悪そうにコンロや残りの鉛を片付け始める。多少恥ずかしかったらしい。気持ちはわからんでもないから構わないのに。

 

 ………しかしサラリとやって見せるけどこれ結構革命的な事じゃないか?

 もしこいつが挙げた問題点を全部解決して、一般にも出回るようになれば、それこそ普通の市民でもモンスターに対抗出来るようになる。

 弓矢などよりも遥かに強く、速く、精度も高い、そんな夢のような武器。

 俺としては何故この知識がありながら今まで造ろうともしなかったのか不思議で仕方がない………

 

 

「ふはは!そりゃお前よく考えてみろ、そんなちっこい弾ブッ放すよりただ殴った方が強い俺に銃なんざ必要あるかよ」

 

「…………………」

 

 

 忘れてた、こいつこれでも化け物みたいに強いんだった。

 

 

 

 

 







※よい子は真似して作ろうとしないで下さい



FGO:


贋作イベお疲れ様でした。今回はインフルダウンと作者のやる気の影響で合計30箱くらいしか開けられなかった……。証も骨も塵も八連双晶も足りないのに……!

まあその他は軍師が過労死して大英雄が流星と散る、おおむねいつも通りのイベントでしたね。



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