この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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今期は色々と女の子が主人公のアニメが多い印象ですねえ。嫌いじゃないわ!

ゆるキャン、宇宙よりも遠い場所、スロウスタート、CC桜、etcetc……。
あと女の子主人公じゃなくてもりゅうおうのおしごととか、案外デスマ次郎も好きですよ。
ポプテピピック?一話見てトラウマになったのでNG。





この種が芽吹くのはいつになるのか。全然分からん!

 

 

 

 ※

 

 

「ほい、そんじゃその炸裂ポーションを一本、サンプルとして譲ってやるから色々試してみな。

 ちなみにその量が全部爆発したらお前の屋敷でも一部屋は丸々消し飛ぶだろうから、実験する時は外に出てなるべく開けた場所でしろよ」

 

「サンキュー。もし造れるようになったらお前にも見せるから」

 

「うーい。期待して待ってるよ」

 

 

 カズマに炸裂ポーションについての注意点を教えて別れる。

 

 炸裂ポーションは今述べた通り破壊力に関しては群を抜いている。必然的に実験をするには屋外の拓けた場所が必要になり、カズマも引きこもってばかりはいられないって寸法よ。めぐみんの一日一爆裂に付き合ったついでにでも模索すると良いさ。

 どうよこの頭脳プレイ、結果的にカズマの引きこもりを解消した事になるのだから、これでめぐみんに対しての義理は一応果たしたと言えなくもなかろう。

 

 さて、俺はウィズのところにでも行きますかね。

 バニルからカズマと共同で作った商品の試作の件で呼ばれてるし、カズマにくれてやった分のポーションの補充もしたいからな。

 

 

『にしてもお前よくあんな昔の銃弾の作り方なんて憶えてたよな。あんなもんそっち系の職業に就いてなきゃまず出てこねえだろ、オレだってお前が言わなきゃ多分永遠に思い出さなかったぞ』

 

 

 ジャックが感心した、と言うように頷く。

 

 俺もあんなにすらすらと出てくるとは思ってなかったんだが、そういや俺って何かを思い出そうとして詰まった事ってあんまり無い気がする。

 自分が完全記憶能力を持っているなんて自惚れはしないけどこの辺りはどうだろう。俺の特殊な生い立ちと関係あったりするんだろうか。

 

 

「一応銃身の事も教えてやったけど、お前どう思う?あいつ、いつか銃とか造れるかね」

 

『いつかと言わず、そのうちに近しい物までは辿り着けるんじゃねえかな。

 お前がそんなに心配する必要はねえ。日本人ってのは制限された中で物を作るのに特化した人種だ、基礎知識さえありゃ何とかするさ。

 自分で出来ないことは他人の力を借りて、他人に出来ないことは自分の力を貸して。そうやってオレ達は文明を発展させて来たんだよ。

 オレは日本人至上主義を掲げるつもりは毛頭無いしそれに値するとも思ってないが、そこんとこは日本人に対して素直に凄えと思える数少ない箇所だ』

 

「………そうか」

 

『そうさ』

 

 

 こいつは特に他意なく言っているのかもしれない。

 ただ、今のオレ達という言葉には日本人ではない俺は含まれていないと考えると、少し、寂しいかもしれないな。

 

 

 

 ※

 

 

 まあそれはさておきウィズの店である。

 

 

「おーすバニル、来たぞー」

 

 

 最近はエプロン姿の大悪魔がすっかり手慣れた様子で店番をしている事が多いので名前を呼びながらドアを開けると、目立つ仮面を身に付けた大男が立っていた……りはしなかった。

 

 

「あ、ゼロさん!いらっしゃいませ、お久しぶりですね!」

 

「………………」

 

 

 無言で引き返して空を仰ぐ。

 

 ……快晴、雲一つ無い青空が広がっている。これは不思議な事もあったもんだ。

 

 

「………?あの、なぜ店に入ったのにわざわざ外に出ているんですか?上を見ていらっしゃるようですが……」

 

「いや、ウィズがいつもみたいに店の奥で黒焦げになってないから、季節外れの雪でも降るんじゃないかと」

 

「ひどい!私だっていつもいつもバニルさんに怒られたりはしてないんですよ!

 それにバニルさんは今日、新しい商品の契約がどうとかで留守にしてるんです」

 

 

 ぷりぷりと怒るウィズの言葉を聞いて得心する。

 

 そりゃ怒る奴が留守にしてるならそんな事件は起きないわな。

 誤解を招かないように言っておくと、俺はウィズをからかってこんな事を言っている訳ではないのだ。単に事実を述べているだけなのである。

 引っ切り無しに変なモノを仕入れるのを理由に、基本的に訪れる度にウィズはバニルに殺人光線だか破壊光線だかソーラービームだか分からん魔法で真っ黒になってそこら辺に転がっているものだから、俺が珍しい物を見たように感じるのも理解して頂きたい。

 実際店にはよく来るのにまともなウィズを見たのは久しぶりなのだからその頻度たるや。

 

 

「というかバニルの野郎、人を呼び出しておいて自分は留守にするとかどういう了見だ。

 せっかく新商品の試作品が完成したって聞いたから見に来てやったのに」

 

 

 あとはついでにマジックスクロールの礼も言いたかった。アレは間違いなく切り札として相応しい活躍をしてくれたからな。

 

 俺が正当な文句を垂れ流していると、ウィズがポンと手を打つ。

 

 

「新商品!新商品のことなら私が聞いていますよ!バニルさんが、ゼロさんが来たら見せるように。ゼロさんなら見ればどういう物かわかるから、と。

 こちらなんですが、何に使う物かご存知ですか?私はまだ教えてもらってはいないので……」

 

 

 と、バニルから受け取ったらしいソレを手渡してくる。

 

 手に収まる小さな細長い箱。上部には穴が空いていて、そこから何かが出てくるのだろうというのが容易に想像できる。

 そして特徴的な形の火打ち石。ギザギザした円形に削られた火打ち石がその穴の付近に設置されている。

 なるほど、これは日本人なら知らない人間などいなかろう。バニルが俺が見ればわかるというのも道理だ。

 

 

「これはライターだな。こんなモン作れる技術があったのかこの世界」

 

 

 そう、それはどこからどう見てもライターだった。

 イメージとしては百均で売っているアレを想像してもらえればそう掛け離れてはいまい。

 差異としては燃料の容器がガラス製ではなく金属製だというところくらいか、よく形まで再現したものである。

 

 

「ライター、と言うんですか?どうやって使う物なのか見せて頂いても?」

 

「ん、ああ。ほれこうやって」

 

 

 シュッ、シュッ、と独特の音を立てて火打ち石を廻して小さな火を灯す。

 原理としては中に入れた燃料を気化させたガスに火を付けるだけなのだが、これを実際に作ろうというその根性が凄い。

 

 

「こ、これは凄いですね!これを持っているだけで誰でも初級魔法の『ティンダー』が使えるようなものじゃないですか⁉︎」

 

 

 ライターを初めて見たウィズは大興奮だ。

 確かにライターがあるのと無いのでは生活レベルに雲泥の差が出るだろう。

 これがあれば毎回火付けに手間取る事もなくなると考えるとなあ。

 俺なんか上手く使えないのを理由に火打ち石も持たずに燃えやすい物を思い切り振って、空気との摩擦で火を付けてたからな、いつも。誰も突っ込んでくれなかったけど。

 

 しかしこれで初級魔法と同じ事が出来ると思うと、ただでさえ覚える必要の薄い初級魔法さんの肩身は狭くなる一方である。

 魔法系統は初級しか使えないはずのカズマは自分でライターを開発して虚しくはならないのかね。

 

 

「あ、魔法と言えば。アクア様からお聞きしたんですが、ゼロさんとうとう魔法を覚えたそうですね、それも上級の回復魔法を。おめでとうございます」

 

「あ?あーそういや覚えたんだっけな。……自力で使用出来ない魔法に果たして存在意義があるのかどうか」

 

 

 確かにね?確かに俺は回復魔法を覚えたよ?

 ここで思い出して欲しいのは、依然として俺の保有する魔力が散々虚仮下ろした初級魔法すら使えないという史上最低クラスなのだという厳然たる事実についてだ。当然ながら上級魔法などとてもとても。

 魔力の消費を肩代わりしてくれる高価なマナタイトを常に持ち歩く以外に活用方法が見当たらない。雨の日の大佐よりひでえや。

 

 

「そ、それでもいざという時に回復出来る手段が出来たのは良いことですよ!

 それに安心しました、私はてっきりあの、なんでしたっけ。聞いた事も無い、やたらと消費するスキルポイントが多いあのスキルを習得してしまうものと」

 

「『一刀両断』か」

 

 

 この設定憶えてる人いるのかよ。

 

 俺が魔法やスキルの習得を渋っていたのには、魔力が少ない事もあるがそれ以外にもう一つ理由がある。

 使用するスキルポイントが変動する謎のスキル、『一刀両断』の存在だ。

 このスキル、どういう訳か俺がレベルアップしてスキルポイントが増える度に同じだけ必要ポイント数が上がるという意味不明な挙動をするのだ。

 習得する為に全てのスキルポイントを消費せねばならないこのスキルは、どんなスキルを覚えたら良いのか迷っていた最初期の俺にとりあえず保留にしておこうと思わせるには充分な衝撃を秘めていた。

 俺が考えた必殺技と名前がまるきり同じだったのもそれに拍車を掛けていたとも言っておこう。

 

 アルカンレティアの件でかなりの量のポイントを使って上級魔法を習得してしまった俺にはもう何の関係も無い話……だと、俺もそう思っていたのだが。

 

 

「そうでもないみたいなんだよねえ」

 

『どうした?冒険者カードなんかじっと見て。前見て歩けよぶつかるぞ』

 

 

 ウィズの店からの帰り道、カードを眺めて首を捻る。

 

 俺が見ているのは話の流れで名前が挙がった『一刀両断』の項目だ。

 記載されている必要ポイントは80。そして俺に残されたポイントもジャスト80。これはもちろん覚えた魔法の分を減算した数値である。

 

 ーー必要ポイントが減っている。

 

 謎である。そもそもポイントに関する数字が変動するスキル自体聞いたことが無いのだから当然かもしれないが。

 

 この世界でのスキルという物は職業や種族に応じた、固有のユニークスキルが無数に存在しているとされる。

 ウィズの『ドレインタッチ』なんかは発生条件がリッチーである事だし、バニルの放つよくわからない光線もそれに分類されると見ている。

 そう考えると未だに発生する条件がはっきりしていないスキルもある訳で、このスキルもそれの一種だと思えばそれはそれで良いのかもな。

 

 ……そういえばバニルで思い出した。

 

 

「ちょっとお前に聞きたい事があんだけど」

 

 

 隣をふわふわ移動するジャックに声をかける。つーかこいつ浮けるんか。

 

 

『おん?お前がオレに?………スリーサイズはひ・み・つ♡』

 

「俺ってバニルと初めて会った時に寄り始めてるとか何とか言われたんだけど、あいつに聞いても詳しい事分かんなかったんだよな。お前何か知らないか?」

 

『………ああ、それなあ』

 

 

 ボケを華麗にスルーしてストレートをインハイ高めに投げ込む。ジャックは不服そうにしていたが、それでも質問には答えてくれるようだ。

 

 ここ数日で分かったけどこいつ、好きにさせておくと回収も出来ないネタでボケ倒すからどうすればいいか扱いに困るんだよな。ある程度こっちでコントロールしてやらないといつまでも頭沸いたような事くっちゃべってそう。

 

 ……ん?特大ブーメラン投げてる?気の所為気の所為。

 

 

『オレもその時側に居たからそれについて考えてはみた。考える時間だけは大量にあったからな。

 オレなりに結論まで出てるから、オレの考えで良ければ答えてやる事は出来るぞ』

 

「お、マジで?なら頼むわ。正直期待してなかったけど」

 

 

 駄目元で聴いたのに既に答えが出ているとはなんたるラッキー。謹んでご静聴しますとも。

 

 止まる事なく歩きながら耳だけを傾ける。あまり口を出すと独り言を割と大きめな声で喋り続ける不審者に見られかねないからね、しょうがナス!……美味そう(唐突)

 

 

『うむ、まず「寄り始めてる」ってのは多分オレにだな。お前あの頃からオレの存在認識してただろ?それが原因だと思う』

 

 

 ほう。

 

 

『お前は昔から何つーか、感受性が高いってーの?良くも悪くも周りに影響されやすいイメージあんだよな。

 だからその所為で一番近くに居たオレに考えとか性格が寄っちまったんじゃねえかと』

 

 

 ふむ?しかしおかしいではないか。

 あの時バニルはこちら(・・・)に寄り始めていると言っていたし、その後アクセルで再会した時も俺の考え方は悪魔に近しいなどと無礼極まる発言をしている。

 その理論だとそれについての説明が一切つかない気ガス。

 

 

『そりゃお前あれだよ。オレってお前ら人間の魂より若干悪魔の魂に近いから、それに寄ってってるお前も自然とそうなっちゃうんじゃねえ?

 考え方だけだから実際に悪魔になるとかそんな事は無い、あくまで精神的な面でな』

 

「…………………?」

 

 

 ……あれ?聞き捨てならねえな、何今の。

 

 悪魔の魂に近い(・・・・・・・)?どういうこった。

 

 

『そうか、お前は知らないんだったな。死んだ人間ってのは基本的に女神の元へ送られる……これはお前も知ってるな。

 けど天界から悪人と判断された奴は女神に導いてもらう事が出来ずに直接地獄に送られるんだと。んで、地獄に堕ちてしばらくすると悪魔になっちまう。

 オレも本来はご多聞に漏れず悪人として地獄に堕とされる予定だった所を、まあ、色々な理由で特別措置として転生させてもらうことになったのよ。

 でもほら、それに失敗してオレ今こんな宙ぶらりんの状態じゃん?だから普通の魂よりかは悪魔に近いんだと推測してる』

 

 

 質量が無いのを良いことに頭を中心にグルグル縦回転し始めた大車輪野郎。回転してるためにほとんどの言葉は明後日の方向に飛んでったが、今のだと特に何か害があるって話ではなかったっぽいな、良きかな。

 

 それよりも俺が気になったのは。

 

 

「悪魔が元人間?じゃあバニルも元は人間だったってのか」

 

『そう言ってる。大悪魔だって言うんだからそりゃもうエライ極悪人だったんだろうよ。

 バニルって野郎に限らず、今まで見てきた悪魔は全員人型をしてただろ?そうである必要は無いのに、だ。あれは人間だった時の姿を自然と取っちまうんじゃないかね』

 

 

 ーー思い返してみるとその通りかもしれない。

 サキュバスのお姉さん達しかりバニルしかり。知り合った中で一番人間の姿形から離れていたのは鬼のような、まさに悪魔といった容貌のホーストだが、あれだって人型と言えなくも無いし。

 

 

「…………………」

 

 

 バニルはそこそこ付き合いやすい部類だ。多少人間を下に見るきらいはあるが、こちらが気にしなければ諍いに発展する事もまず無い。自分から人間に害為す事はしないと公言もしている。

 

 そんなバニルが人間だった時に何をして地獄に堕ち、大悪魔として、地獄の公爵として君臨するに至ったのか。

 

 ふと、知りたくなった。

 

 

 

 

 







これである程度の苗の回収と新しい種の植え付けは終わりましたんで次回は閑話をもう一話挟んで、次々回から新章突入しましょうかね。
ここから先はアニメ組の方は未知のエリアでしょうし、脳内補完しにくそうなんで作者の描写の下手さが際立ってしまうやもと今から胃が痛む思いでございます……。


FGO:


節分イベお疲れ様でした。100階で終わりかと思ってたらまさかその倍あるとは……。
作者は低レアのバサカ組をそこそこ育ててたんでカレスコ持たせてフォイアで結構トントン拍子に駆け上がる事が出来ました。

今回のMVPはやっぱり居ないと困るアーラシュさん、スパさん、きよひー、あとは意外な所で北斎……応為ちゃんが活躍してくれました。
ほとんど等倍で殴れる上にバサカに防御優位取れるのって実は凄い事なんですねえ。
ラスト付近の頼光ママと金時は凸礼装待たせた応為ちゃんの宝具連打でゴリ押してもらいましたわ。
控えなんて要らなかったんやなって。



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