この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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再投稿。





28話

 

 

 

 ※

 

 

 翌日、ホーストから頼まれた魔獣の情報をギルドが把握していないか聞くが、それらしきモンスターは確認していないようだ。

 

 あいつが何のためにそのウォルバクとやらを探しているのか知らんが、それなりに強そうな悪魔にアクセル近辺をウロつかれると大ごとになってしまう恐れもある。さっさと帰ってもらいたいものだ。

 

 俺は悪い事さえしなきゃ何してもらっても構わんけどさすがにギルドから要請されれば討伐に動くしかないからな。

 

 なるべく遠くへ行くクエストを受けておこう。道中でそれらしいモンスターを見かければ儲けものだ。

 

 

 

 ギルドから出てアクセルの外壁へ向かう、その途中。アクセルの外壁には今日も元気に土木工事をする人達。その中に二人並んでレンガを積み続ける見知った顔を見る。

 

 

 

「えっ?お前ら何やってんの?」

 

 

「…?ねぇちょっとカズマ。なんか知らない人が話しかけてきたんですけど。カズマの知り合い?」

 

 

「ゼロだよ!お前この世界に来た時にあんだけ世話になったってのに…、…もういい。おう、おはようゼロ。」

 

 

 

 いやおはようじゃないが。

 

 冒険者になったのに全然ギルドで見ねえな、とか思ってたらまさか二週間経たずに引退していたとは。まあこんな危険な職業辞めた方が良いってのは同感だが…。

 つーか今このクソ女神俺のこと忘れてた?また泣かせてやれば思い出すかね?

 

 

 聞けば、最初は街の近くで簡単なクエストを受けようと思ってたら、周辺のモンスターはだいたい狩られ、採集クエストは難度が高いものしかない。それでも生活するためには金が無いと話にならないのでバイトする、←今ココだそうだ。ヘタレか。

 

 

 

「気持ちは分からんでもないがせっかく冒険者になったんだろ?目標だってあるんだったら明日からで良い、頑張ってやってみろよ。何なら分け前さえ貰えりゃ手伝ってやる。友達だからな。」

 

 

 

 我ながら臭いセリフをよくもまあ言えたもんだ。見ろ、カズマが「お…、おう…。」とか言って照れてんぞ。キメェな。男が男のセリフで照れんな。

 

 微妙な空気が流れた場に駄女神がさらに追い討ちをかける。

 

 

 

「やだ、これが今流行りのBLってやつ?正直リアルで見ると引くわー。カズマもゼロ?ってひともやるんなら向こう行ってくれないかしら。ほら、お小遣いあげるから。」

 

 

 

 てめえは俺を怒らせた。

 

 アクアが積んでいたレンガの部分だけを綺麗にデュランダルの鞘でぶっ壊してやった。

 泣き喚くアクアを放置しつつ、そのうちにカズマとパーティーを組むことを約束してその場を去る。

 朝から嫌な気分になってしまった。

 

 

 

 ※

 

 

 翌日

 

 

 恐れていた事態が起こってしまった。

 

 ついにホーストがギルドに確認されてしまったのである。昨日俺が遠出しているうちにマツルギ?とかミツルギとか言う奴が討伐に乗り出したらしいが、普通に負けたようだ。中途半端な実力で虎の尾を踏むからこうなるんだ。反省するが良い。

 

 しかし一応アクセルでは高レベルに属する冒険者が負けたことで一気に場が緊張してしまった。

 森への立ち入りが禁止されてしまったのだ。当然街の冒険者はクエストの受注が出来ずに困り果て、だったらいっそのこと倒しちまうか、とどっかのバカが勝手に討伐隊を編成し始めやがった。

 

 俺は勝手にやってくれ、と楽観視していたが、アクセルで一番レベルが高く、最近の大連続クエスト受注で名を広めていた俺は了承してもいないのに討伐隊に組み込まれてしまっていた。

 

 

 バカじゃねえの?何で『ホウ・レン・ソウ』が出来ないんだ。一番大事なこと疎かにして何が『討伐隊』だ。これじゃあそれぞれで動くのと何も変わんねえだろうが。

 

 こんなところで名を売った影響が出てしまうとは予想外だったが、こうなったらもうどうしようもない。ホーストには悪いが成仏してもらおう。あいつも上位悪魔なら残機くらい持ってるだろ。滅びることは無いはずだ。

 

 

 

「…ん?そこにいるのはもしかしてゼロか?」

 

 

「はい…?げえっ!ダスティネ…、ぐぶっ⁉︎」

 

 

(ば、馬鹿者!ダスティネス家の者が冒険者をやっているのがバレたら問題になるだろうが!アクセルでは私のことはダクネスと呼べ!)

 

 

 

 は、速え…。

 

 名前を呼ぼうとした瞬間にはもう口を塞がれていた。こいつこの体でなかなか機敏じゃねえか。

 

 そういやダスティネス家はアクセルを治めてるんだったか。騒ぎになるのは嫌だしここは従ってやろう。

……こいつには会いたくなかったなぁ………。

 

 

 

「こほん。しかし、そうか。お前が噂の超高レベル冒険者だったのか。お前がいるなら私も安心できるな…。…この街を頼んだぞ、ゼロ。」

 

 

「お前は誰だ⁉︎」

 

 

 

 やべえ、俺の知ってるダスティ……ダクネスじゃない!こんな真面目な美人が変態なわけがない!

 

 

 

「んっ…!お、お前なかなかやるな…。だが、私だって時と場合ぐらいは選ぶ。そういうプレイをするならこれを解決してからに…。」

 

 

「あ、ごめん気のせいだったわ。」

 

 

 

 ダスティネス家のお嬢様は今日も平常運転だった。

 

 

 

「ダクネスー?戻るのが遅いけど誰か知り合いでも見つけーーーーえっ…。」

 

 

「む。クリスか。すまん、王都での知り合いとちょっとな…。」

 

 

 

 

 ダクネスの名前を呼びながらこちらへとことこと歩いてきたのは銀髪で頰に傷のある元気がありそうな美少女で………?

 

 

 

 ーーーえっ。待って、こいつ何やってんの?

 

 

 

「え…、ええーっと、は、初めまして、だよね。あたしはクリス。そこのダクネスの親友で、盗賊をやってるよ。ダクネス、その…、こちらは…?」

 

 

「ああ、こいつはゼロ。王都では王城の守護をしていてな。私が知る中でも腕利きの冒険者だ。魔王軍の幹部すら倒したことがあるんだぞ。」

 

 

「へええ!すごいね?えっと、ゼロ君、で良いかな?」

 

 

「あ…、ああ…。エ…、クリス…も、討伐隊に参加するのか…?」

 

 

「あー…、ううん。あたしはみんなほど強くないしね。ほんとは悪魔なんて消し飛ばしちゃいたいけど…、うん、大人しく後方支援に徹するよ。ほら、ダクネスも前線に出たいなんてワガママ言わない!ダクネスは堅いけどレベルは全然低いじゃん!」

 

 

「ああ!ま、待ってくれクリス!そんなにすごい上位悪魔ならきっと攻撃もすごいはずなんだ!大丈夫、私が皆を守ってみせる!」

 

 

「かっこいいこと言ってるけど欲望塗れじゃん!さっき聞こえてきた時と場合を選ぶってのはどこいったのさ⁉︎」

 

 

 

 呆然とする俺を置いて去っていく二人。

 

 別人……?いや、この俺が他ならぬ彼女を見間違えるだろうか。

 もし本人だとしたらそれはそれで問題だな。さすがにバレれば貴族がどうのとかいうレベルじゃないし、俺も知らんふりをして普通に接しよう。

 

 しかしあの二人は仲が良かったな。ダクネスの方に嫉妬しちまうよ。

 

 

 

 コツン。

 

 

 

「……なんだよ。」

 

 

「いえ、随分色んな人と知り合いなんだなーと。」

 

 

 

 頭に軽い衝撃を受けて振り返るとめぐみんが微妙な表情で杖を両手で持っていた。

 

 

 

「なんだ?嫉妬か?悪いが俺よりもお前を幸せにしてくれるやつがきっとどこかにいるからそいつを探してくれ。」

 

 

「何いってんですか、最近まで兄気取りだったくせに。ついに私の魅力に気づいたんですか?

 そもそもゼロには心に決めた人がいると言っていたではないですか。なのにあんな美人と関係を持つだなんて浮気と邪推されてもしょうがないと思いますが。」

 

 

「浮気も何も………まあいいか。それで?結局何の用だよ。」

 

 

 

 

 なぜかもじもじして言いづらそうにするめぐみん。どうでもいいけど早くしないと討伐隊が出発するぞ。

 

 

 

「あの…、その、ですね。今から私の部屋に…来てもらえないで、しょうか…?」

 

 

「は?今からか。なんで。」

 

 

 

 もう先頭がギルドを出始めている。討伐隊やなんやは俺は乗り気じゃないからいいが…。

 

 

 

「あなたに見て欲しいものがあるのです。」

 

 

 

 


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