再投稿。
あれ?1話飛ばした?と思ったそこのあなた、飛んでませんとも。話が王都からアクセルに移動してるの仕様です。仕様だからしょうがない(激寒)
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王都での用事を全て済ませてアクセルに帰ってきたはいいが、いきなりトラブル発生だ。いや、エロい方じゃないよ?
やる事があるとかでまた一週間ほど天界に帰るクリスと別れた後、街の正門からギルドの方へ歩いていたらカズマ達を見つけたのだ。
カズマ、めぐみん、ダクネスはいいとしよう。普段通りだ。
……アクアはなんで檻に入れられてんの?ついに売られてしまうのだろうか。
それも分からないし、あの、カズマ達の側で何事かを喚き立てている勇者風の格好した男はどこのどいつだろう。後ろの女二人を見る限り違うパーティーのようだが。
趣味は悪いがしばらく覗かせてもらうことにした。路地裏の影に隠れて聞き耳をたてる。
「サトウカズマ!君は何を考えているんだ⁉︎女神様をこんな扱いして恥ずかしくないのか!」
カズマに怒鳴りながらアクアが入っていた檻をこじ開ける男。
どうやらあいつはアクアが女神だってのを知ってるらしいな。察するにあいつも転生者か?あの腰に下げてる剣が神器くさいーーいやいや、それより話の流れをだな。
抑えが効かなかったのか、名前を呼びながらカズマの胸倉を掴もうとした男の腕をダクネスが弾く。
「おい、貴様いい加減にしろ。初対面で失礼だとは思わないのか!」
「撃ちますか、撃ちますか?」
「いやそれはやめろ」
男はイケメンではあるのだがどうやらカズマ一行からは不評のようである。
そんなイケメンにとってはダクネスとめぐみんがどのように思っているのかなど関係ないのか、何処までもマイペースに話を進めようとしているご様子。
「……クルセイダーにアークウィザードかい?君はパーティーメンバーには恵まれているんだね。大方今までやってこれたのも彼女達に守ってもらってきたんだろう。男として情け無いとは思わないのか?」
「…………………」
………うん?今の発言からすると別にあの男はカズマ達と一緒にクエストに行って動きを見た訳では無いんだよね?
見てもいないのに何を根拠に情け無いだのと言っているのだろうか。カズマだって纏まりのないあいつらを束ねてリーダーとして良くやってると俺は思うんだけど。
そしてカズマを完全に下に見た今の発言を受けてカズマ以外のメンバーの目が剣呑になっていく。おいおいおい、死んだわあいつ。
本来庇われる立場のアクアですら、
「ちょっとこの人何言ってるの?怖いんですけど。ねえ、早く帰ってカエルの唐揚げ食べましょうよ」
などと言う始末だ。
この辺りで前言撤回とか、こう、初対面なのに失礼が過ぎましたーとかの言葉を入れないとそこにいる爆裂狂がヤバいんですけど。眼が真っ赤なんですけど。
しかしその男は頭のおかしい紅魔の娘ことめぐみんの恐ろしさは微塵も知らないようで。
「カエルの唐揚げ⁉︎なんでそんなものを女神様に食べさせているんだ!そんなにいいパーティーメンバーがいるのになぜそんな貧相な……⁉︎
………これで決まりだな。君たち、安心するんだ。今日からは僕のパーティーに入るといい。そんな生活は君たちがするべきじゃないんだよ」
さも当然、といった顔で抵抗するアクアを自分の方へ引っ張ろうとする男。
いやこれは駄目じゃね?アクア達への気遣い通り越してただの因縁になっちゃってるぞ。決まりとか言ってるけど何も決まってないし、あいつら別にそれがしたいとかも言ってないワケだし。
……ゲームだったらここで選択肢発生だな。
例えが悪いが、言うなれば街で友人がチンピラに絡まれている所を目撃しました。チンピラはそれなりに強そうでしたが自分も腕には覚えがありました。さて、あなたはどうしますかって感じか。
流石にここで見捨てるのはCG回収目的以外であり得ないだろう。ましてやこれはリアルで起こってる事だ。
隠れていた路地裏からアクアの手を掴んでいた男に歩み寄る。
「あの〜、すみません。さっきから見ていたんですがちょっと強引過ぎませんかね貴方。
ほら、アクアもなんか嫌がってるみたいじゃないですか?」
「……あら?ゼロじゃない。帰って来てたの?」
俺に反応するアクアに釣られてか、勇者風の男が俺を睨み付けてくる。
「何ですか貴方は。関係ないでしょう、引っ込んでいて下さい」
「………えーっと、俺の名前はゼロって言います。以後お見知り置きを」
俺当たり障りの無い対応したよね?なんでこんなに敵意剥き出しなんだろうこいつ。
あれか、きっと今のこいつには世の中の全てが自分の敵に見えるとか、そんな現象が起こってるのかな。
それはともかく。
「俺に関係ないってことはないんですよ。俺とカズマ達はその、一緒にクエストに行くというかパーティーを組むというか、とにかくそんな約束をしてましてね。アクアやめぐみんを連れて行かれるのは俺としても困るっていうか」
「ん……っ!ご、ごく自然に私を省くとは……!」
「ダクネス!ダクネスも連れてかれるのは困ります!」
こういう時くらい真面目にやれないのかよ。まさかそっち系の反応されるとは思わなかったぞ、びっくりだ。
果たして俺の言葉を聞いた男は。
「……ゼロさんと言いましたね。僕は『ソードマスター』のミツルギキョウヤです。
見た所貴方は相当に高レベルの冒険者のようですが、何故この男とパーティーを?何か弱みでも握られているのでしたら僕が力に」
「あ、メンドくさいので結構です」
油断大敵。
俺に何かを提案しようとしたミツルギの隙を突いてアクアを掴んでいた手を引き剥がし、アクアを無理矢理カズマの方へ投げてやる。
「危ねっ!」
「ぶぎゃっ⁉︎」
てっきり受け止めるもんだと思ってたのに、カズマが普通に避けた為にアクアが派手に地面と激突してしまった。
今のは俺は悪くないぞ。ちゃんと受け止めてやれよ飼い主。
そのままダクネスとめぐみんにアイコンタクトを試みる。
「「……………」」
どうやら通じたようで、頷きあってカズマとアクアを連れてギルドの方向へ走っていく二人。
「あっ⁉︎待てサトウカズマ!僕と女神様をかけて勝負をしろ‼︎」
いくらミツルギが呼び掛けようとも聞く耳など持たずに一目散である。それでも諦めきれないらしいミツルギが追いかけようとするがーー
「ヘイボーイ。俺を置いて何処へ行くのさ!」
「ちょっ、さっきから何なんですか貴方⁉︎」
そこは当然俺が行かせない。反復横跳び、もしくはカバディの要領でミツルギの行く手を阻んでやる。
「なに、今お前言ったろ?女神様をかけて勝負。良いじゃねえか、俺とやろうぜ」
アクアをペット扱いするのは構わないが物扱いするのは気が引けるな。まあ俺が言い出した事じゃないし許してくれや。
ミツルギはやや値踏みするように俺をジロジロと見た後。
「貴方が?それはサトウカズマの代理、ということですか?」
「おう。良いだろ?まさか『ソードマスター』様は相手が最弱の『冒険者』じゃなきゃ戦いません、ちょっと強そうな相手とは穏便にいきますぅ、なんて言わねえよなぁ」
「……良いでしょう」
カチン、と癇に障った表情のミツルギ。
おいおい大丈夫かよ。煽り耐性低過ぎて心配になってくるぜ。
冷静に考えてみれば「いや、それでも貴方が出張って来るのはおかしい」の一言で流せるだろうに、よしんば自分の実力に自信があるもんだから特に問題無いと思っちゃうんだろうな。
本来ならここで充分、だがしかし。ここでさらに煽るのが俺。
「あーでもやっぱりミツルギさんが正しい気がしてきたなー。何だか申し訳なくなってきたなー!」
「………ふぅ。降参するのであれば今の内ですよ。僕だって無抵抗の人間を斬りたくはないーー」
「申し訳ないからハンデとして俺は素手で勝負する事にします!ほら、ミツルギさんは遠慮なく剣で切り掛かって来てください!」
一瞬だけ譲歩しようとしたミツルギが固まる。
「………正気ですか?武装した僕に素手で勝てるとでも?」
「勝てないようなら尻尾巻いて逃げるんだけどな。そうじゃないから俺はここに立ってる」
「…………………」
無言で中々の業物らしき剣を抜いて構えるミツルギ。
もう言葉は必要無いといった雰囲気である。そらこんだけ煽ってやりゃ後には引けんわなあ、男としては。
「キョウヤ頑張って!」
「そんな変なヤツ殺しちゃっても構わないんだから!」
今の今まで完全に空気と化していたミツルギの取り巻きが騒ぎ始める。
変なヤツて。失礼だな。
ハーン!残念だがその声援と期待は裏切られることになるぞ!
何故なら、なんか今のでムカついた俺が目の前の熱くなって短絡的になった男に上には上がいるって事を教えてやるからだ!
………変なヤツて。(;ω;)