この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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再投稿。







81話

 

 

 

 ※

 

 

「あいつらはお前が呼んだようなもんだろうが!さっさと何とかして来い、バレる前に!具体的には全部ぶっ飛ばして来い!」

 

 

 そんなに責任を取らされるのが嫌なのか、馬車の扉から俺を蹴落とそうとカズマが躍起になっている。

 俺はそれに抵抗しながら、最近ギルドから受けた忠告を思い出していた。

 

 

「いやいやいや、少し待て。俺少し前にバニルと一緒に『あまり生態系を壊さないで下さい』ってギルドから注意受けてんだって。

 アレ全滅は流石にアウトだろ。あんま注意無視するとギルドに入れてくれなくなるらしいから困るんだけど」

 

「はぁ⁉︎……いや、そんなもんハッタリに決まってんだろ。

 ギルドだってお前がいなくなったらクエスト片付かなくて困るんだからそんな事できやしねえよ。

 つーかいいから早く行けっての、今日は野宿するらしいからそこで落ち合うぞ!」

 

「分かったから人の顔を踏むなって……ちょっとお!」

 

 

 問答無用でカズマに馬車から追い出されてしまった。まったく………。

 しかしその考えは無かったな。考えてみりゃ確かにそうだ。ギルドの連中め、大袈裟に脅かしやがって。

 

 そうと分かればカズマに言われなくても分かってるっつーの。

 リスクが無いなら原因である俺が黙って知らん振りを決め込む訳にもいくまいて。

 

 馬車の扉から飛び降りて並走していると。

 

 

「⁉︎おっ、お客さん何してんですか!危ないですから戻って来てください!

 冒険者の方達に任せておけば安心ですから、お客さんが危険を冒す必要なんてありませんよ‼︎」

 

 

 おっちゃんが今まで以上に焦った様子で必死に俺を引き留めようとしてくる。

 

 いや、この対応はとても正しいんだがな。

 もし俺が旅行関係の仕事をしていて、自分が受け持った客が危険行為をガンガンやる奴だったら俺だって是が非でも止めるだろう。

 もしそれで客が怪我でもしたら責任が誰に行くかを考えれば当然の帰結である。

 本当の客というのはその辺りを踏まえた常識のある人間の事を言うのだ。ただ『面白いから』『楽しそうだから』と危険行為をする輩は客とは呼ばんよ。それはDQNと言う。

 ちなみに暴れ回る子供を窘めもせずに放置する両親もこれに該当する。これに関しては子供に非はない。子供は元気なものであり、それについての責任は親にある。

 

 まあ今まさに俺がそのDQNや親に該当している訳だが。

 これにはちゃんとした理由があるので許して下さい。これ以上罪悪感を与えられるとゲロ吐きそう。

 

 

「止めてくれるな親父さん」

 

「あ、あんた……!」

 

 

 被ってもいない笠を指で押し上げる動作をする俺を見て何かを察した表情を浮かべるおっちゃん。

 

 ……うん、誤魔化す為にとっさにRP(ロールプレイ)入れちゃったけど何だこれ。

 

 

「男にゃ、死ぬと分かってても往かなきゃいけねえ戦場だってあるのさ。

 あんたも男なら……いや、漢なら分かんだろ……?」

 

「あんたまさか……、あっしらの為に……⁉︎」

 

 

 いやなんであんたも一人称寄せて来てんだよ。ノリが良いのは結構だけどわりとピンチだからね?もう走り鷹鳶の群れが近いからね?この茶番始めたあっしも悪いんだけど。

 ……おっと、俺にも移っちまったい。

 

 

「早よ行けや!」

 

「はい、すんません!」

 

 

 痺れを切らしたカズマにも怒られてしまったのでそろそろこの不思議空間からおさらばさせてもらうとしよう。

 というか本当に何だこれ。

 

 

「あばよおやっさん、縁があったらまたどこかで会おう。………オタッシャデー!」

 

「お客さん!お客さああああああん‼︎」

 

 

 なんだこれ♪L( ^ω^ )┘

 なんだこれ └( ^ω^ )」

 

 

 出鼻の茶番のせいでもう本当にギリギリまで走り鷹鳶の大群が迫ってきている。

 

 俺が馬車から離れるようにスピードを上げると。

 

 

「お、お。やっぱり着いてくるな」

 

 

 やはりこのダチョウ擬きはデュランダルに引き寄せられてここまでいらっしゃったらしい。

 あとは付かず離れずの距離を保ちながら馬車から離れるように誘導して………。

 

 

「………あん?」

 

 

 上手く誘導できていると思っていたのだが、何故か全体の四分の一ほどの走り鷹鳶が俺には目もくれずにクリス達の馬車の方向へ走っている。

 何でやねん。キミらデュランダルが目的じゃないのん?

 

 助けに向かうにしても俺が後方に引き連れている大群がまた厄介だ。

 幸い、護衛の冒険者が乗った馬車が追い付いて迎撃してくれている。大した数ではないし、対応も出来そうなのでここは任せておくとしよう。

 護衛の仕事を全部奪うってのも気が引けてたからちょうど良い。金を払った分の仕事はしっかりしてもらおう。

 

 しかし、残りの走り鷹鳶達は何故あっちの馬車に向かって行ったのだろうか。向こうの馬車にも特に荷物があった記憶は無いけど………、まさかダクネスが硬すぎて、などという展開ではないだろう。もしそうなら今後それをネタに弄りまくってやるのだがね。

 

 

 走り鷹鳶にデュランダルが見えるよう掲げながらに馬車から離れ続けて、もう良いだろうという所まで来る。

 本来であればここらで切り返して全力で振り切ればそれで解決………なんだけども。

 ふとブレーキをかけて停止する。かなり加減したつもりだが、気がつくと大分群れを引き離してしまっていたので小休止も兼ねて。

 

 ………右見てー、左見てー。

 

 見るまでもなく広い広い草原だ。ついでに通行人などの邪魔も入る余地は無さそうである。

 これは神様からのお告げではないだろうか。『たまには本気出さないと身体鈍るよ?』というお声が聞こえた気がする。

 ※気のせいです

 

 実際これだけ条件が揃うのはいつ振りだろう。

 ・周りが開けている。

 ・周りに誰もいない。

 ・全力を出してもすぐにいなくならない数の相手がいる。

 完璧だ。

 

 走ってきた方向を見やると、走り鷹鳶達が砂塵と共に迫って来ていた。数は百、二百………そのくらいだな。

 本来は鳶だか鷹だか忘れたが、とにかくそのような鳴き声をしている走り鷹鳶だが、遠くにいる事と数が多い事が相まってピャーピャーという甲高い音にしか聞こえない。

 

 ………ああ、なんか気乗りしないと思ってたらあれだ、オーク(クソ豚)の群れに追い回された時を思い出すからだこれ。思えばあれももう一年近く前なのか。

 

 あの時との違いといえば相手があれほど醜くないこと、追い付かれても舌を噛み切らずに済むこと、あとは。

 

 

「俺があの時みたいに逃げ惑うほど弱くないってことか」

 

 

 一騎当千系のゲームって楽しいよね。

 

 

 

 ※

 

 

 少し遊び過ぎたのか、もうじき日が沈んでしまいそうだ。

 正直暴れてた時間よりも道に迷っていた時間の方が遥かに長いけど。広大な平原でなんの目印も無しに数台の馬車を見つけるとかとんだ無茶振りでしたわ。

 しかし日が暮れそうになれば火を焚く。それを見つけられればこっちのものである。というかちょうど見つけた。

 

 

「ただいま〜」

 

「うん?……あ、ゼロ君だ」

 

 

 火を囲んで一塊になっていた集団を見つけて声をかけると、その中の一人が反応して振り返ったのでそちらに歩み寄る。

 火の逆光で見難いが、背格好と声から察するにあれはどうやらクリスだな。

 

 

 

「ただいま。何体かそっちに行っちまったけど平気だったか?」

 

「おかえり。こっちはこっちで何とかしたけど……、そっちこそ大丈ぶふっ⁉︎ケホッ、どうしたの⁉︎なんかあった⁉︎」

 

「は?何が?」

 

 

 お互いの顔が確認できる位置まで近づいた瞬間、クリスが何故だかむせる。

 

 なんかあったはこっちの台詞だ。人の顔を見て吹き出すなど失礼千万。何がそんなにおかしいと言うのだ。俺の顔なんか毎日見てるだろうに。

 

 

「明らかにおかしいって!君にしては珍しいくらいの笑顔だよ⁉︎いつもはあんまり笑わないのに!」

 

「む」

 

 

 クリスに言われて頰を触ると、確かに笑顔……というよりはにやけ面になっているようだった。

 まさかとは思うが戦闘中から平原を彷徨っている時も、ずっとこの顔だったのだろうか。

 想像するととんでもねえ絵面だな、亜音速で走るにやけ面の男。

 確実に通報案件ってか都市伝説的な何かだろ。なんかいなかったっけ、そんな感じのヤツ。……ダッシュババア?

 

 

「………ん?でも俺いつも普通に笑ってるだろ?」

 

「いや滅多に笑いませんよゼロは。その滅多な時も人を小馬鹿にしたような嘲笑か愛想笑いばかりで、純粋な笑顔なんか見た事無いまであります」

 

 

 俺の質問に答えたのはクリスとの心温まる会話に割り込んで来た邪魔者、めぐみんだった。

 

 

「お前にゃ聞いてねえよ。そしてそれはお前の主観でしかないね。なあ、そう思うだろ?」

 

「「「………………」」」

 

「あるぇ?」

 

 

 周りに同意を求めるも、クリス含めたその他のメンバーはめぐみんの言う通りとばかりに頷いている。

 マジかよ。自分では普通に笑っているつもりだったのだが、周囲からはそう見られていなかったらしい。

 まさか俺に無表情設定があったとは知らなんだ。それを知ったところで別に変わろうとは思わんが。

 

 

「おう!あんたがさっき群れの大部分を自分を囮に誘導してくれたって人だろ?ありがとうな、助かったよ!」

 

「………?ああ、あなた方が護衛の冒険者さんですか。その節はどうも」

 

 

 そうしてカズマ達と話していると、護衛の冒険者パーティーのリーダーと思しき人物がいきなり肩をバンバンと叩いてくる。と思ったら、そのまま腕の力だけでそちら側まで引っ張り込まれてしまった。

 

 急に色黒のむさいおっさんに馴れ馴れしく話しかけられるとビビってしまうのでやめてくれないかなあ。かなりのマッチョメンなので圧迫感ヤバい。もっと段階を踏むとかなんかあるだろ。

 あ、お礼の言葉はしっかり受け取らせてもらうが報酬の方は要らないです。今回は俺が災厄の元だったからね。

 

 走り鷹鳶を引き受けたのが俺なら、引き寄せたのも俺だということを知らずに無駄に声を張り上げる元グリーンベレーの軍人さん。試してみるか?俺だって元コマンドーだ(強者の余裕)

 

 

「いや〜、あの規模の走り鷹鳶の群れ見た時はとんでもねえ依頼受けちまったって後悔したもんだ!

 あんたがいなかったらこの商隊を放っぽり出してたかもな!ウハハハ!

 見たとこ、あんたも冒険者なんだろ?それもかなりの腕と見たね!」

 

「はあ、それはどうも」

 

 

 どんどん喋り倒す為に口を挟む隙が無い。こういう奴は苦手だからさっさと会話を終わらせたいのだが……。

 

 

「俺たちは決まった場所を拠点にしてねえんだ。

 ここみたいな商隊の護衛を引き受けながらグルグルと色んな街を渡り歩いてっから、運が良きゃまた会うかもな!

 そん時ゃ一緒にクエストでも受けようや!」

 

 

 おっと事情が変わった。ビジネスチャンス到来だ、こういう機会があるから遠出ってのは油断できない。

 

 

「そうでしたか、俺は基本的にはアクセルで傭兵みたいな事をしてますので、もし近くに寄ることがあればギルドにお出向き下さい。

 ごく稀に王都にも行きますが、まあそちらで冒険者稼業をすることはあまり無いので関係ありませんか」

 

「ハッ!さては兄ちゃん真面目か?そんなに肩肘張ってたら息苦しいだろうが!」

 

「……いえ、別にそんな事は」

 

 

 はて、俺は初対面の人間に対してごく当たり前の対応をしていたつもりだが、リーダーはあまり面白く感じなかったらしい。

 鼻を鳴らして俺の頭やら肩やらを叩きながら。

 

 

「冒険者ってのはいつ死ぬか分かんねえんだから、もっと気楽で良いんだよ気楽で!

 死ぬその瞬間までそんな窮屈な思いしてたら絶対後悔するね!

 これは俺の持論だがなぁ、良い人生ってのは最期に笑って死ねるような生き方の事を言うんだよ。

 兄ちゃんはどうよ、固っ苦しい態度取ってていきなりモンスターに襲われて死んだら未練が残ると思わねえか!

 俺を見ろ!そんなの御免だから敬語なんざ使った事ねえよ!」

 

 

 そのような事を言った。

 

 多分こいつが敬語を使った事がないというのは本当だが、使わないのではなく使えないと見たね。後ろで他のメンバーが苦笑している。

 

 俺は普通に敬語を使っていただけで態度まではそんなに丁寧にしたつもりはないし、その理屈は無理があるだろ、敬語関係ないだろと思わなくもないが、その考え方自体は何となく気に入った。

 

 

「……中々良い事を言いますね。覚えておくとしましょう」

 

「まずはその敬語を止めねえかい!冒険者同士でそんな畏まってどうすんだっての、他に聞いた事ないぞそんなの!ほれ、言いたい事でも何でも、どーんと言ってみな!どーんと!」

 

「初対面で馴れ馴れしくするんじゃねえよ筋肉ダルマ。俺の肩に置いた指を一本ずつあり得ない方向にねじ曲げるぞ」

 

「本性ひでぇな兄ちゃん⁉︎」

 

 

 リーダーの悲痛な叫びにパーティーメンバーからどっと笑い声が上がる。

 

 ひとしきり談笑して、後から来た御者の人達から「走り鷹鳶を追い払ったお礼がしたい」と言われたが、そんなマッチポンプ的なお礼など受け取れるはずもない。

 ボロが出ても困るので適当に受け流しながらカズマ達の方へ帰ると。

 

 

「まさかあんな特技が………」

 

「そういえば……王都で会った時………」

 

「私とカズマとも………」

 

「お前らは何をやっとるんだ。さっきから俺の方チラチラ見てただろ」

 

「別に」「別に」「別に」

 

 

 嘘つけ絶対見てたゾ。

 

 五人で丸まってヒソヒソやっているカズマ達を見下ろす。

 さっきから気になっていたのだ。御者のおっちゃんや冒険者の色黒リーダーと話している俺をチラチラと見てきやがって。

 

 

「えっと、今みんなでゼロ君って悪っぽい顔してる割に話しかけやすいよねって言ってたの」

 

 

 仲間外れはかわいそうだと思ったのか、クリスが教えてくれる。

 悪っぽい顔とか地味にショック。こんなイケメン捕まえて………まあ目付きが悪いとかは結構言われるけどさあ。

 

 

「ほら、ゼロって初対面の人ともよく喋るだろ?あの冒険者達ともさ。

 そういえば俺達の時もそうだったなって」

 

「私は恥ずかしながら人見知りをするタイプなのだが、王城でお前に対しては気負わずに話しかけられた事を思い出してな」

 

「紅魔の里でもそうでしたね。………まあ、あれは私とこめっこ……妹にとって死活問題だったのですが」

 

 

 それぞれ褒めているのか何なのか、よく分からないことを口にするカズマ、ダクネス、めぐみん。

 

 初対面の人ともよく喋るって、別に俺は好んでそうしてるわけじゃないんだがね。

 今のだって話しかけられなければスルー安定だったのだ。向こうから来た以上、対応しなければ失礼にあたるから会話したのであって、必要もないのに俺から話題を振る事などまず無い。

 その辺を勘違いされると一気に軟派な男というイメージ付きそうだから止めてよね。

 

 しかし仲の良いハズの面子は俺のささやかな意見などガン無視で再びヒソヒソ話を始めてしまった。

 思ったんだけど俺の扱い雑じゃない?俺一応王都じゃ英雄的ポジにいるんですけど。その輪に俺のスペースが無いのは気のせいじゃないよね?

 今回は話の中心に俺がいるからハブられるのは助かりはするので良いけど。友人同士が自分の過去話してるとか拷問だろ。

 

 クリスも熱心に俺がアクセルに来る前の出来事を聴いているが、こいつはエリスとして俺の旅路を見ていただろうに一体何がそんなに面白いのだろうか。

 記憶をまさぐってみると大体は俺が苦労したり、死にかけたり、集られたりと、そんなものばかりなのだが。

 

 ……………生きてるってすばら。

 

 

「めぐみん妹なんていたの?ちょっと、今度紹介してよ。

 あ、それとロリマさんは会わせちゃダメだからね。妹ちゃんの身が危ないわ」

 

 

 一方でアクアは俺の話などよりも、めぐみんの家族構成について興味深々といった様子で食い付いている。なぜかカズマを罵倒しながら。

 

 

「……おいアクア。大事な話があるの思い出したから、そこの岩の陰に行くぞ。あそこなら誰にも見られないだろ」

 

 

「なに?カスマったら人目に付かない所へ行ってこのアクア様に何しようってのよ。

 まさかニートの分際で不相応にも麗しき女神たる私に劣情を催しちゃったってワケ?

 言っとくけど、もし変な事しようとしたら聖なるデンプシーでこうだからね、こう!」

 

「まっくのうち!まっくのうち!」

 

「…………………」

 

 

 シッ、シッ、と中々のスピードでシャドウを始めるアクアを連れて近くの大岩へと無言で歩いていくカズマ。

 この後の展開は想像に容易いので、そろそろ幕内コールをやめて離れた場所で早々に寝ることにしようかな。

 

 そうして歩き始める。この長い長い、登り坂をーーー。

 

 

「あれ?キミどこ行くの?寝るんだったらみんな一緒の方が良くない?」

 

「………目敏いな」

 

 

 話に夢中になっている内に離れておこうと思ったのだが見つかってしまったか。

 クリスに釣られてめぐみんとダクネスも俺を見る。

 

 

「経験則だよ。毎度そう(・・)ってんじゃねえが警戒しておくに越したこたねえ。

 何かあったらここから俺を呼べ。よっぽど小さい声じゃなきゃ速攻で起きるからよ。……そんじゃお休み」

 

「?」

 

 

 首を捻る三人を背にまた歩く。

 

 離れた場所で寝ようと思ったのはここにいないアクアの泣き声を警戒したのも事実だが、俺が危惧しているのはそれだけではない。

 俺の不運は普段は鳴りを潜めてるくせに、こういう時はよせば良いのに張り切るからな。

 

 あまり離れすぎるのも不便なので、立ち上がれば即同行する面々が一望できる位置に陣取り、忘れないように手頃な石を耳に詰めて仄かに熱を発する火竜のマントに包まる。

 程なくしてアクアの大声らしき振動が伝わって来たが、我関せずと放置。

 大泣きが収まった時を見計らって耳栓を外した。

 

 

 

 

 


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