この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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93話

 

 

 

 ※

 

 

 白い床、黒い空間、目の前には絶世の美女。

 ここに来るのも随分ご無沙汰である。最近は死に掛ける事も少なかったしね。

 

 向こうでクリスの姿が無かったから予想は出来ていたがやはりこっちに来てくれていたか。

 大方、どうせまた死に掛けるんだろうとか失礼な想像をしていたに違いない。残念、それは外れで本当に死んじゃいました〜。

 

 

「というわけで、ようエリス。その姿じゃ久しぶり」

 

「………………………」

 

 

 おや、無視は悲しいな。

 

 エリスは挨拶に返事をする事もなく真顔でこちらを見るばかりだ。どうしたと言うのか。

 

 

「………ゼロさん、冒険者ゼロさん。今の私の気持ちを当ててみて下さい。確か分かると言っていましたよね?」

 

「………なんで怒ってんの?」

 

「わかりませんか?」

 

 

 いやわかんないけど。怒ってるらしいってのは見た瞬間にわかったけどその理由まではねえ。こちとらエスパーでもなんでもないんだ。

 大体、褒められるならまだしも何故怒る。俺ぁアルカンレティアの住民の命を救った英雄よ?もっと褒めてよ。

 

 

「私は以前約束したはずですよね、無茶はしないで下さいと。今回のあなたは無茶をしていないと言えるんですか?言えるなら言ってみて下さいよ、ほら、遠慮せずに」

 

「イヤミか貴様ッッ‼︎」

 

「嫌味ですが何か」

 

 

 こいつも言うようになったもんだな。出会った頃はまさかここまで打ち解けるとは思いもしなかった。一体誰の影響で……あ、俺か。俺だな。

 

 

「まあ無理無茶無謀は俺の専売特許みたいな」

 

「どうしてあなたはそうやって自分を大切にしてくれないんですか……?」

 

「ところが……あー………」

 

 

 目を伏せ、声を震わせるエリスに言葉が詰まる。

 

 どうも彼女は誤解をしているようだな、俺ほど自分を大切にしてる奴はそういないってのに。

 自分のやりたいように行動して、自分の心に嘘を付かない。俺は一度も自分を殺してまで何かをした事はない。

 人を助けるのは言わずもがな、魔王軍と戦うのだって最初は誰かから唆された物でも最終的にはちゃんと納得してやってるんだ。正直そんなことを言われる筋合いは無い。

 

 

「………その結果として死んでも良いって言うんですか」

 

「しょうがあんめぇよ、心を殺して生きるならそっちのがマシだ」

 

「あなたを心配している人の気持ちは考えてくれないんですか、人の気持ちがわかるというあなたが。

 ………それは、ただの怠惰です。何が努力ですか馬鹿馬鹿しい」

 

 

 吐き捨てるようにそう言うエリス。

 

 

「…………………」

 

 

 これ今までん中で一番ブチ切れエリスさんじゃない?

 怠惰って聞いて発狂しようと思ったり、馬鹿馬鹿しいで綺羅星の人の真似しようと思ったけど流石の俺でもできねーわ。さてどうすんべ……。

 

 

「何も言わないって事は反省もしてくれないんですね」

 

「う?なんでそうなる」

 

「じゃあ私に謝れますか?」

 

「ごめんなさい」

 

「気持ちが籠もってない‼︎ほら見たことですか!もうその態度でわかりますよ、私は詳しいんです!」

 

 

 こいつとんでもなく面倒な事言い始めやがったな。気持ちの多寡なんざどうやって量ってんだよ。女神の力かなんかです?

 

 ……大正解。俺は反省も後悔もしてないんだからそんな異物混入の余地なんかどこにもありません。

 なんとまあここまで見透されるとはねえ。この手玉に取られる感じは初めてかもしれん、新鮮だ。

 

 それはそうと。

 

 

「じゃあどうすりゃ良かったんだよ。俺は自分の命欲しさに街を見捨てて逃げりゃ良かったのか?

 お前はそういうずる賢い人間がお好みかよ、初めて知ったな」

 

「う。それは………。でも、何か他に手は無かったんですか?何もあなたがあんなにボロボロにならなくたって……」

 

 

 怯んだな?金を払え。この俺に弱味を見せるとはなんたるウカツ。ここで畳み掛けてやろう。

 

 

「だったら誰がやる?少なくともあの場に俺以外であいつに対抗できる奴は見当たらなかった。

 確かに俺以上の適任者はどっかにいたかもしれねえさ。でもそいつ待ってるうちにどんだけの人が犠牲になるかもわかんねえんだぞ。

 ………どうせ誰かがやらなきゃならねえんだ。なら、俺がやってやろうと思っただけだよ」

 

「…………!」

 

「こういうアツい台詞、結構好きだろお前」

 

「もっ、もう!何ですか急に!確かにそうですけど!ちょっとかっこいいって思っちゃいましたけど!」

 

「ちょっとかあ。それは残念だ」

 

 

 ああ、残念だ。

 まあ今のはただ『踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損』を言い換えただけの言葉だけどね。

 

 顔を赤らめながら手をパタパタ振るエリスを見てほんの少し、救われた気分になる。

 

 今回は我を通した結果、力が足りずに命を落とすハメになった。が、街の人間に危害が及ぶ事もなく……いや、正確には子供の尊い命が二つほど失われたが、おそらくアクアのお蔭で無かったことになり。

 ……つーかこうして考えるとアクア凄えな。やっぱり壊すだけの俺より治す力の方が偉大ってはっきりわかるわ。

 とにかく全て元通りになり、俺には報酬としてエリスとの時間がある。充分な成果だ。

 

 

「………うん、全て満足とは行かない。遣り残した事もある。けど及第くらいは取れる人生だったかな」

 

「…………………」

 

「これ以上ここに居たら未練が膨らむだけだ。そうなってからじゃ流石の俺でもキツいから、一つだけ質問に答えてから行かせてくれねえかエリ………」

 

「………ていっ」

 

 

 エリスの姿がふっ、と消える。

 

 

「ス……ってなあべしっ⁉︎」

 

 

 脚のむこう脛辺りに嫌な気配を感じてジャンプしようとするも、それを許さぬとんでもない速さの足払いで派手に転倒させられてしまった。咄嗟に頭を庇おうと手を伸ばしかけたが、それより先に頭が何か柔らかい物に触れる。

 

 

「おっ、とと……。今のに反応するなんてさすがゼロさん。避けられるんじゃないかとヒヤッとしました」

 

「…………………」

 

 

 えっ、マジで何今の。

 

 可愛らしいかけ声からは予想も出来ない威力だったんですけど。俺の眼で捉えられないってどういうことや。

 

 

「ふふん、どうですか。ここへ送られてくる方の中にはたまーに暴れる人もいますからね。そういった方に対抗できるようにここでは私、凄く強いんですよ。ここでならゼロさんにも負けませんよ?」

 

 

 茫然とする俺の目の前には逆さまになったドヤ顔のエリス。普段よりも位置が近い気もする。

 

 寝転んだ俺に逆さまに見えていつもより近いって、この体勢はいわゆるアレじゃないですかね。それについての説明は無いんでしょうか。いや俺としてはご褒美に他ならないので全然構わないんですけどね?はい。

 

 

「………それはわかったけど何故に膝枕?」

 

「あれ?約束してましたよね?私は誰かさんと違ってした約束はちゃんと守るんです」

 

 

 今、俺の頭の下にはエリスの膝がある。これは俗に膝枕と呼ばれる体位……ごめん素で間違えた、体勢だ。ちょっといい匂いがしてドキドキします。

 エリスは約束したと言うが、一体いつの話であろうか。少なくともここ数ヶ月間でそんな会話をした記憶はない。

 

 俺がそう言うと、エリスは少しむっとして。

 

 

「まさか本当に忘れちゃったんですか?ほら、王城で国王様と手合わせした時に言ったじゃないですか」

 

「………あれまだ有効だったの⁉︎」

 

 

 忘れちゃったんですかとか不機嫌になってんじゃねえよ。いつまで経っても履行のりの字すら無いもんだから完全に踏み倒されたモンだと思ってたぞ。

 

 確かに一年近く前に死にかけた時、同じこの場所でそんな事を言ったような言わなかったような。しかしその後その話題に触れる事もなく、こっちこそてっきり忘れてしまったのだとばかり。

 一緒に住んでて機会なんかいくらでもあっただろうに何故今までしてくれなかったのか。

 

 

「え……、それはほら。クリスの状態でした約束でもありませんし、この姿でないと約束を果たした事にはならないかなーと。

 ここで逃したらもうこんな機会も無いでしょうしね」

 

「ああ………、最後だもんな」

 

 

 そら律儀なこって。まあ俺は死んじまったわけだし、この機会逃したらってのは理解できるからそこは良い。

 

 そうか、最後だもんなぁ……。

 

 

「………………………」

 

「………………………」

 

 

 そのまま暫し、無言の時間が過ぎる。

 

 

「………………………」

 

「………………………」

 

「………な、なあ。あの後、俺が死んだ後ってどうなった?ハンスは倒せたんだよな?」

 

 

 なんかエリスが俺の顔を見てきて恥ずかしいし無言でいるのにも耐え切れなくなってきたので、とりあえず誤魔化すために疑問を投げる。

 倒せてなかったらそれこそバッドエンドだからそこは頼むぜ。

 

 

「え、あ、あの後ですか?えっと、ゼロさんが使った魔法でデッドリーポイズンスライムは沈黙していますよ。死んだかどうかはともかくとして動く気配は無さそうですね。

 あなたが助けた子ともう一人の子はアクア先輩の回復魔法が間に合って死なずに済みましたし、本当にめでたしめでたしで良いと思います」

 

 

 言いながら、嬉しそうに笑う。

 

 それは本当に良かった。エリスもそうだが、俺だってバッドエンドよりはハッピーエンドが好きだからな。というか大好き。まあ俺は何エンドかと聞かれたらデッドエンドなんだが。

 

 

「上手くもなんともないですよ」

 

「………俺って死んだわけじゃん?ここからどうなるのかね。教えてエロい人」

 

「あなたが死んだら、ですか?好きに選べますよ。

 天国でのんびり過ごすも良し、また産まれ直して新しい生を謳歌するも良し。その場合、どういった家庭に産まれたいかとかの希望はありますか?」

 

「またこの世界に同じ記憶と身体を持って転生したいです」

 

「そ、それはちょっと………」

 

 

 でしょうね、知ってた。正直俺という人格が意味を成さなくなるんならどっち選んでも一緒だし、好きにしてくれ。

 

 さてどうしよう、もう聞きたいことってのも無くなってきたな。これが最後の質問になるか。

 

 

「お前から見て、さ。俺はどうだった?最初に会った時の返事をくれると嬉しいんだが」

 

「まあそうですよね、そうなりますよね……」

 

 

 そんな照れ臭そうにしてないではよ。何ならキスするか否かで当否判定してくれても構わないんやで。

 

 

「どっ、どうしてすぐそっちに持って行くんですか⁉︎」

 

「しかしだな、この膝枕はあれだろ、国王様に勝った時のご褒美としてだ。今回も私めはかなり頑張ったんだから、それについても何か要求してもよろしいんじゃあないでしょうか」

 

「………えーっと、返事というか所感なんですけど……」

 

「あ、はい」

 

 

 この面倒臭くなるとシカトに走る対応も慣れたもんよ。

 

 

「結論から言わせてもらうと、まだあなたの求めに応じることは出来ません」

 

「うん」

 

「恥ずかしながら私、こういう経験が今まで皆無でして、誰かを好きになるというのがよくわからないんですよね。

 ですので、その判断をもう少し待って欲しいと言いますか……」

 

「……………………」

 

 

 真剣そのものなエリスの返事を聞いて苦笑する。

 

 おそらく真面目に考えて答えてくれてるとは思うのだが、いかんせん空回りしていると言わざるを得ない。

 俺も俺だ。もう死んでいるというのに今更結婚も何もあったもんかね。

 なのに返事をくれだの、もう少し待ってくれだの。こんなものはただ俺がスッキリするためだけの的外れな茶番に他ならない。

 

 それでも返事は聞けた。茶番に巻き込んでしまったエリスには悪いと思わなくもないが、死に行く者の我が儘故に見逃していただこう。

 

 

「ウィ、返事はしかと受け取った。そろそろお暇させてもらうわ。………どっから出ればいい?もちっと待ってりゃ良いのか?」

 

「え、もう少し……あ、いえ、ちょうど良さそうですね。それではゼロさん、『お帰り』はあちらです」

 

 

 膝枕を名残惜しく感じながら立ち上がると、空間が四角く切り抜かれる。光が漏れ出して向こう側は見えないのだが入ると天国に行ったり生まれ変わったりするのだろう。

 

 エリスの言い方に多少引っかかる所があったような気もするな。けれどそれも俺には関係ない事だ。だって、もうこれで終わりなんだからな。

 

 そう、これで終わり………。

 

 

「……………………」

 

「何ですか?もしかしてゼロさん………泣いてるんですかぁ?」

 

 

 後ろにいたのにわざわざ俺の前に回り込み、煽るような事を言いながら非常に腹立たしい顔をしてくる。

 

 こいつに対して腹立たしいとか思う時が来ようとはな。その煽りスキルはアクアから教わったのか?悪い事言わないからポイしなさい。

 

 俺は見られたくない顔を腕で擦りながら。

 

 

「うるっ……せえな……!急に、泣きたくなる時だって、あらあ……!」

 

 

 もう終わりだって実感が湧いてきたんだからしょうがないだろ。死んだ後に意識が残ってりゃこうなる奴だって多いはずだ。

 死にたくて死ぬ奴なんか一人もいない。日本だと自殺という手段を取る人も居るらしいが、そいつも最初から死にたかった訳じゃないだろう。それ以外にどうしようもないからそうするんだ。

 それは責められた事じゃない。どっちかというとそう追い込んだ周囲に責任がある。

 

 

「ふむ、という事はゼロさんも死にたくはないんですよね?」

 

「ったりめえだろ………」

 

 

 話聞いてなかったのかよ。

 

 くそ、どうしても声が震えるな。みっともない。

 

 

「いえ、それを聞いて安心しました。それなら今からする事にも意義が見出せるってものです」

 

「…………?」

 

 

 こいつは一体何を言っているんだ。何をするって?

 

 

「こほん、冒険者ゼロさん。一つ、あなたがしているだろう思い違いについて訂正させてください。

 以前天界規定の事をお話しましたよね?一度転生した方はもう蘇生する事は出来ない、と」

 

「……ああ。だから俺はここでこうしてるんだろうが」

 

 

 頭の上に疑問符を乗せて頷く俺に対し、指を立て、笑みを浮かべながら。

 

 

「私、あなたが蘇生出来ないなんて一度も言ってませんよ?」

 

「は?」

 

「せいっ‼︎」

 

 

 ドゴン、と腹部に強烈な衝撃。

 

 話の流れからは想像もできなかったまさかの攻撃に反応すらままならず、先ほどエリスが開いた出口に弾き飛ばされた俺の耳に。

 

 

「神は言っている……ここで死ぬ運命ではないと……‼︎

 ………えへへ、一度言ってみたかったんですよね、これ」

 

 

 

 そんな声が聞こえてきた気がした。

 

 

 

 

 ※

 

 

 

「神は言っている!ここで死ぬ運命ではないと!」

 

「…………………」

 

 

 目の前には青い髪の女神。さっき聞いたような台詞を吐いているが、こっちの方が数段腹立つな。

 

 いや、そんな事はどうでもいい。何が起こったのだろうか。

 

 何故かびしょ濡れの全身に辟易しながら起き上がり、周囲を見回す。

 

 

「ゼロ、大丈夫ですか?どこか痛い所があればアクアに言って治してもらうといいですよ」

 

 

 めぐみん。

 

 

「すまない、お前が戦っているというのに間に合わなかったようだ。

 しかしデッドリーポイズンスライム、しかもこれほどの巨大な物を倒すとはな。………何故少し残しておいてくれなかったのだ!毒抜きしてペットにしたかったのにぃっ……!」

 

「お前こそ少しぐらい雰囲気を維持できないのかこのドM!」

 

 

 ダクネスとカズマか。アクアはさっき見た。

 

 カズマのパーティーが全員と、見知らぬ人がたくさんいるな。所々に残っている氷に火属性の魔法をぶつけて溶かしているのを見るに、どうも彼等が氷漬けの俺を救い出してくれたらしい。そして俺が濡れてるのはそのせいか。

 それはいい。見れば大体察せる。

 

 

「……………は?」

 

 

 俺が理解できないのは、何故俺が生き返っているのかだ。本当は死んでませんでしたとかいうオチではないだろう。

 あの状態であの状況、あれで死ななかったらそれこそ人間辞めてるわ。

 

 

「………?ちょっと、何呆けてんのよ。せっかく蘇生してあげたのにお礼の一つも言えないワケ?」

 

 

 ほら、こいつも蘇生って言ってる。という事は俺は間違いなく死んだはずだ。それはそうと確かに。

 

 

「………ありがとうございます」

 

 

 むふーっと満足そうにするアクア。こいつならどういう事かもわかるんだろうか。

 近くにいるめぐみんやダクネスにも俺の素性がバレてしまうだろうが、この際聞いてみるのが早かろう。

 

 そう思い、アクア含めた面子に聞かれているのを承知で全てを話す。

 それを聞いたアクアの第一声がコレだ。

 

 

「………ねえ、天界規定って……何?」

 

 

 信じられるだろうか。これが女神様のありがたいお言葉である。

 

 マジかよこいつ。反応からめぐみんやダクネスでも知ってたみたいだぞ。なんでそれを女神であるこいつが知らないんだ。気にしてないとかそういう次元じゃねえぞ。

 

 

「なあ、俺はその……天界規定ってのを詳しくは知らないんだけどさ」

 

 

 天界規定と無関係ではないカズマは初耳の単語に何か思うところがあるようだ。

 でも俺だって詳しく知ってるモンでもないし、一番詳しいハズのアクアがこのザマじゃあ答えられる奴がいるかどうかーー

 

 

「その天界規定ってさ、お前って当てはまるの?」

 

「それもさっき言っただろ。天界規定ってのは」

 

「貴族だろうが王族だろうがこの世界に生きる人間なら二回目の蘇生は許されない。逆に言えば一回目なら誰にでも蘇生の権利がある。だろ」

 

「聞いてたんじゃねえか。だから俺はもう蘇生はーー」

 

「お前っていつ死んだの?」

 

「………………?」

 

 

 こいつの言っている意味がわからず首を傾げてしまう。俺は馬車の中でもつい今も、俺が転生した事を話した筈だ。なのにいつ死んだのは無いだろう。

 転生というのは蘇生の一種だ。そうである以上ーー

 

 

「違う違う、そうじゃなくてさーー」

 

「………………………」

 

 

 

 

 ーーは?

 

 

 

 

 

 


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