この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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再投稿ラスト。



作者:「終わった……!終わった!終わったよな?終わった!作者は遂にやったんだ!全話完全復活やでえええええええ‼︎」

ゼロ:「おめでとう」

作者:「ああ、ありが」

ジャック:『おめでとう』

カズマ:「おめでとう」

アクア:「おめでとう」

めぐみん:「おめでとうございます」

ダクネス:「おめでとう」

クリス:「おめでとう」

ミツルギ:「おめでとうございます」

作者:「お前らええ加減にせえよ⁉︎これ本当に完結パターンじゃねえか!ふざけんな、お前らの話は魔王討伐まで絶対に書き切ってやるからな!
何のために1話からここまで復旧して来たと思ってんだ!作者の精神は絶対に折れねえって事を証明してやるぁ‼︎」

全員:『おめでとう』



※年内最後の投稿になりますが、この話は汚かったり汚かったり汚かったりします。

苦手な方や、お食事中、年越し蕎麦を食べながら読む方はその点だけご留意ください。





95話

 

 

 

 ※

 

 

 街の外れ。魔王軍幹部、ハンスはゼロの魔法によって氷漬けにされた位置から動かされる事なくそびえ立っていた。

 少し前まではアクシズ教徒エリス教徒問わず様々な人間がその場を行き交っていたようだが、今はそれも落ち着いている。

 

 そのハンスの巨大な氷像の元、小さく蠢く何かがいた。

 

 

「クソが!なぁにが観光名所だ、人様の苦労も知らずに!俺様が何十年かけてあれだけ成長したと思ってやがる!」

 

 

 それは見紛う事もない、デッドリーポイズンスライムのハンスであった。

 サイズは人の手に収まる程に小さく、コンパクトになっているが、長年の成長によって巨大化していたのであって、これが本来の大きさなのかもしれない。

 

 さてそんなハンスだが、彼は意識が覚醒すると同時に自身が敗北した事を理解。誰にも見つからないように何とか自分の『核』を切り離し、逃げ出すタイミングを計っていたという訳だ。

 おそらく誰もいないこの時は千載一遇の好機であろう。

 

 

「今に見てやがれ、この状態でも源泉に漬かればてめえら人間ぐらいぶっ殺すには充分なんだよ……!」

 

 

 どうも彼の中では自分が負けたという印象は薄いようで、尚もアルカンレティアを滅ぼすのを諦めてはいないと見える。

 この結果は二度と無いような偶然が重なり合ったまぐれによるものだと思っている様子である。

 

 ある意味それは正しい。ゼロに記憶を初期化してもう一度全く同じ勝ち方をしてみろと言ってもおそらく出来ないだろう。あの戦闘に偶然の要素があった事は否めない。

 

 ただし。

 

 

「お、ホントにいやがった」

 

『な?なーんか動く気配がするなって思ってたんだって』

 

「……ゲッ⁉︎てめえ、『死神』……‼︎」

 

 

 今の彼にそんな物(偶然)が必要かどうかはまた別の話である。

 

 源泉に向けて移動しようとしていた矢先の敵との遭遇に驚いたハンスだが、すぐに。

 

 

「(しめた!)」

 

 

 そう内心でほくそ笑む。

 

 今の自分は『核』が剥き出しになった状態。出来る事なら今すぐに肉体とも言うべき毒を補充したい。

 そんな折に自分に触れればそれだけで死んでしまうような脆弱な餌がノコノコと自ら歩いてやって来るとは、自分はなんとツイているのか。そう思ってしまったのは無理からぬ事だろう。

 

 しかし彼は功を急かない。ハンスはゼロの速さを憶えている。あの速度で動かれては今の自分では捉えるのは不可能だ。ここは慎重に会話を続けて油断を誘い、隙を突いて………

 

 

「なんだぁ?逃げるかと思ってたのに、つまんねえな」

 

「なっ⁉︎」

 

 

 そんなハンスの思惑は良い方向に皮算用に終わる。あろうことかゼロが手の平サイズのハンスに手を伸ばし、そのままヒョイッと持ち上げてしまったのだ。

 

 馬鹿かこいつ。自分の毒の強さを理解していないのだろうか。

 まあいい。相手の身体に直接触れさえすれば絶対に逃さないのだから。喰らい付いて、少しずつ消化してやろう。

 

 先ほどからの降って湧いたような幸運の連続に戸惑いながらも、自身を包むゼロの手を溶かす事に集中する。

 身体の小ささ故に溶かすのに時間がかかるのは仕方がない。昔はこれを何度も何度も繰り返して来たのだ、むしろ懐かしい感覚でさえある。

 

 …………………………。

 

 …………………………。

 

 …………………………。

 

 

「………………………」

 

「……………………?」

 

 

 一向に溶けない。何の変化もない。

 

 

「……てっ、てめえ……っ⁉︎」

 

「あん?」

 

 

 我慢出来なかった。

 

 

「てめえ、何で溶けねえ⁉︎何で俺様の毒が効かねえ⁉︎」

 

 

 こんな事は今まで無かった。どんな頑丈な生物だろうと、生身の部分に触れていればいずれ必ず自分の腹に収まっていたのに。

 それがどうだ。ゼロの手は自身が溶かせない無機物、まるで石か何かのように、あまりに何事も起きない。

 

 

「………何でって言われてもな。理由は分かるが理屈は解らん。ただ、俺の体は一度喰らった攻撃は二度目以降は効果が薄くなるんだよ。

 お前の毒は何度も受けちまったから、流石に抗体とかも出来てんだろ」

 

「ふざっ、ふざけるな‼︎」

 

 

 そんな訳のわからない理由で自分の猛毒を打ち消せる筈がない。

 ないのだが、現実にゼロの手はビクともしない。

 

 

『いやマジでその能力はどうかと思うよ。初見で殺せなかったらもう倒せないとかほんとクソチート』

 

「……お前が選んだ能力なんだろ?」

 

『え?そういう事になってんの?』

 

 

 ゼロが何事か一人で呟いている内に、溶かせないならばせめて脱け出そうと捥く。しかし、ゼロの握力から脱出するにはあまりに今の自分は小さ過ぎた。軟体ではあるが、隙間があればどこからでもすり抜けられるほどの軟度はないのだ。

 しばらく抵抗した後、自分はここまでなのだと悟る。

 

 

「……俺をどうする気だ。殺すならさっさと殺せ、この状態なら幾らでも方法はあるだろ」

 

「なに、お前が死ぬかどうかはお前の態度次第よ。魔王軍について色々聞かせてもらいてえなってな」

 

「バーカ、くたばれ」

 

 

 言えるわけがない。曲がりなりにも幹部を務めた組織だ、そんな事をして命を繋ぐのなら潔く死ぬ。それがハンスの意地だ。

 

 そんなハンスの宣言を受けたゼロは。

 

 

「………何が可笑しい」

 

 

 嗤っていた。

 

 ニヤニヤと、よくぞ言ってくれたと言わんばかりに。

 

 

「いやあそこまで言うならしょうがねえなあ。こっちとしても気が引けるが、情報を引き出す為なら鬼になるしかないもんなあ」

 

『あ、こういうのはオレに任せてくれよ。その道五年くらい』

 

「中級者もいいとこじゃねえか。……このくらいの大きさならアレがいいかな」

 

「ま、待て。お前、どこに行くつもりだ」

 

 

 独り言を大きめの声で話しながらどこへ向かってか歩き出すゼロに、言い知れぬ悪寒を感じる。

 

 

「ちょっとそこまでな。ちょっと歩くだけだから。……何時間持ってくれるかな」

 

『うーん………、三時間は遊べそうだけどなぁ。オレらも早めに見切り付けた方が良いぜ?他人に見られたらドン引きされるし』

 

「正直本心からやりたくねえんだけどなー。臭いし汚いからなー」

 

 

 親切に答えているようでその実、具体的な事は何一つ答えていない。それが逆に恐ろしい。

 

 

「クッ、おい離せ!何をしようと俺は何も言わないぞ!ここで殺すなり何なり好きにすりゃいいだろ!」

 

『はいはい、くっ殺くっ殺』

 

 

 もう答える必要も無いと判断したのか、何も言わずに歩き続けるゼロ。

 

 まさか、滅するならともかく毒の塊である自分をどうこう出来るとは思えない。そう自分に言い聞かせて後から後から湧いてくる不安を落ち着かせていると。

 

 

「なあハンス。比喩表現じゃなくてさ、肥溜めに飛び込む気持ちってどんなだと思う?」

 

「はあ?肥溜めって……あの肥溜めか?バカかてめえ、そんなもん知るかよ」

 

 

 肥溜めとはその名の通り、中に家畜や人間の排泄物を溜めておいて畑などで肥料にするというあれの事だろう。ハンスはその特性上排泄は必要ではないので、聞いたことがある程度だが。

 見る機会すらないのにそんな気持ちが分かるはずもなし、ましてや飛び込む気持ちなど、実際に飛び込んだ者にしか分からないだろう。

 質問の意図が分からずに訝しむが、ゼロは元よりその答えを予想していたのか。

 

 

「まあそりゃそうだ。じゃあ後から教えてくれな」

 

 

 さらりと言う。

 

 

「………………?」

 

 

 その言葉を呑み込むのにしばらく時間がかかった。

 

 後から教えてくれ?意味が分からない。まるでこの後自分がそんな憂き目に遭うかのようではないか。

 

 先からの要領を得ないゼロの発言内容を繋ぎ合わせて答えを出そうとするが、その前に。

 歩いていたゼロが唐突に立ち止まり、何かを探すように辺りを見回してこんな事を言う。

 

 

「………どこだったかな。確か街の外周沿いのどっかで見たと思うんだよな、畑」

 

「………………………」

 

 

 いや。いやいやいやいや、まさか。まさか、いくら何でもそんな事はしないだろう。

 こちらは魔王軍幹部なのだ、いくら敵同士と言えどもある程度払う敬意というものがある。情報を引き出すためと言ってもまさかそんなーー。

 

 

「………ん。あった、畑はあれだな。つーことはあの辺に肥溜めが」

 

「待て『死神』‼︎よし分かった、とりあえず話し合いの場を設けないか⁉︎」

 

 

 ハンスは全てを察した。しかしそれを受け入れることは到底出来ない。

 当然だ。地獄にダイブしたい者などそうそういまい。それを許容できるのは極少数の特殊な性癖を持つ者だけである。そしてハンスはそんな性癖はあいにく持ち合わせていない。

 

 大体自分を何だと思っている。デッドリーポイズンスライムだぞ。物理にも魔法にも耐性を持ち、繁殖の必要も無い上位種族。

 それが事もあろうに下等な人間の汚物に塗れるなんてあっていい訳がない。

 

 

「そっ、そうだ!今の俺は捕虜だろう⁉︎捕虜に対する扱いと同等の物を要求する!

 捕虜だ捕虜!分かるか⁉︎捕虜に暴行と汚辱を与えるのは御法度のはずだ、違うか⁉︎」

 

 

 我ながら良い案を思い付いた!これならこいつも自分の想像通りの暴挙には出られまい、最悪魔王軍の情報を幾つか渡してもいい!

 

『それ』はハンスが数分前の発言を撤回し、そんな事を考える程に耐え難い行為であった。少なくともハンスにとっては。

 そんなハンスの会心の名案を受けたゼロの反応は。

 

 

「…………おい、何故歩みを止めない。おい、『死神』。俺の話を聞いてたか?」

 

『ははは、こいつぅ。スライム如きが捕虜として人間様と同じ扱いしろとか片腹痛し』

 

「あんま笑うなよ、この世界じゃスライムってのは本当に上位種族なんだ。そいつからしてみりゃ今のはプライドをかなぐり捨てた最後の抵抗だったんだろうさ」

 

 

 何も変わらなかった。何も変わらず歩き続け、そしてある場所でピタリと止まる。

 それはいかにもといった甕型の容器。既にハンスにも分かるくらいに香ばしい匂いが漂って来ている。

 

 

「待て待て待て!お前本当にいい加減にしろよ⁉︎そんなに魔王軍の事が知りたきゃ話してやるからそれだけは本当によせ!何が知りたい⁉︎魔王軍の総数か⁉︎魔王様の娘、お嬢様の名前なんかはどうだ⁉︎」

 

 

 ここまで来ては出し惜しみするだけ損だ。なり振り構わず情報を売ろうとするが、前提が違う。

 ゼロはそもそも、ハンスが情報を言おうとタダで済ませるつもりはなかったのだから。

 

 

「いや〜、さっきはああ言ったけど実はそこらへんの情報はいらないというか、お前があの中にダイブするのは確定だから今言っても意味ないよ」

 

「何でだよ⁉︎」

 

「………今回の件でさ。誰も犠牲になってないと思ったらそうでもないんだよね。

 先日にお前が喰ったっつー冒険者は蘇生出来なかったからさ」

 

「ぅぐっ……」

 

 

 それはそうだろう。あの男はハンスが消化して栄養にしてしまったのだから、蘇生なぞ出来るはずがない。

 

 

「だから、負けたお前が何もナシで逃げ帰るのはちょっと違うだろ?あいつはお前との戦いに負けたから仕方ないってのは差っ引いてもな」

 

「っだ、だからって何でよりにもよって肥溜めだ!それだけなら普通に俺を殺しゃ済む話だろ⁉︎」

 

「いやお前の殺し方とか知らんよ、俺魔法使えねえし。お前に嫌がらせできればそれで良いし。楽観視だけど俺の力で何度も何度も叩きつけてりゃ爆散して、いくらお前でも死ぬんじゃねえの?

 まあ一回じゃ無理でも死ぬまでやればいつかは死ぬさ」

 

 

 要するに情報を言った所で逃すつもりは無いらしい。

 

 

 「そんな訳で行くぞハンス!覚悟決めろ!」

 

 

 ゼロがハンスを野球の投球フォームのように振りかぶりながら跳ぶ。狙うのはもちろん肥溜めだ。

 

 

「よくも俺を殺してくれたなゴルァ‼︎」

 

「てめっそれが本音だろ、あちょっ、まああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

 その日、街中にハンスの断末魔が響き渡ったが、それを気に留めた者は誰一人としていなかった。

 

 

 

 

 






ルーラー:???[仮称:ジャック]


絆Lv2で開放:

○武芸百般C

彼は暗殺者を生業とするにあたり、どんな状況にも対応できるように古今東西ありとあらゆる武術を恐るべき速度で、かなりのレベルまで習得したという。
初見の武術であろうと見た瞬間に一定のレベルまで使用可能になるスキル。ランクが低いのはその先、一流と呼ばれる域まではどれだけ修練しようと絶対に辿り着けないため。


○見切りの極意A

彼が生まれつき備えていたという能力。相手の動きの起こり、さらにその先の筋肉の微小な変化を見て取り、数秒先まで相手がどのように行動するかを把握するスキル。
応用として相手の弱点、病んでいる箇所などを察知する事も出来る。
彼はこれを以ってたった一人、銃弾飛び交う抗争において相手の動きを感知、まるで銃弾を避けるような挙動をして相手を恐れ慄かせたという。


○真名看破(謎)A

SNから始まり、GOまでプレイ済みの彼は既出のサーヴァントであれば見ただけで真名、スキル、逸話の全てを言い当てる事ができるぞ!
Fate世界に転生するオリ主であれば大抵が持っているチートスキルだが、FGOに於いてはド忘れだったりうろ覚えだったりで効果がちぐはぐかつ噛み合わなかったりする、よく分からないスキル。まさに謎。


絆Lv3以降で開放………


これが消去前の話までの全てになりますので、1時間おきの連続投稿は終わりになります。

次回は一月一日、元旦のお昼頃に投稿します!
本当は午前零時、日付が変わると同時に上げようと思ってましたけど、どうせ上げても誰も読まないでしょうし、このくらいが良いかなって。

あ、ちなみに正月とは全然関係ない話になります。だってこれ書いたの正月じゃないですからね。

それでは皆さん、これまで連続投稿にお付き合いいただきありがとうございました!よいお年をお迎え下さい!
また来年からもよろしくお願いします!





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