この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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作者は最近バーチャルユーチューバーの方を追っかけるのにハマってます。
皆さん面白くて全員応援してるんですが、作者が特に好きなのは電脳少女シロさん。
シロさんのたまに出る「こいつぁヒデェや」とか「おほ〜^」とかほんとすこすこのすこの助。


ゼロ:「どうでもいいけどなんでさん付けなの?あ、ちなみに俺はミライアカリちゃん推し。自分から下ネタぶっ込んでいく所がツボった」


さん付けは別に普通だろ。強いて理由付けするなら中の人が作者より若干年上だから敬称付けないと失礼にあたるかと思って。


ゼロ:「年上とか中の人とか言うなよ、中の人なんかいないから」






『卓』後編

 

 

 

 ※

 

 

「あのクソチートを相手にするにはこの三人で手を組むのは必須よ。まずは何としてでもカズマを親から引きずり下ろしましょう」

 

「賛成ではあるがどうするんだ?正直配牌時点でアガられちゃあどうしようもねえぞ」

 

 

 一旦卓を離れて廊下でカズマ対策会議を開く俺、アクア、ミツルギ。

 

 カズマの豪運の怖さが分かってしまった以上はまともな勝負など出来ない。言ってはなんだが幸運最低値が二人に初心者一人である。個々であの経験者かつ鷲巣様みたいな化け物運に太刀打ちしようとは思わない方が良いだろう。

 

 

「もちろん私だって考え無しに言ってる訳じゃないわ。とりあえずーー『ブレッシング』!」

 

 

 アクアが幸運を上昇させるバフを三人にかける。

 

 しかしこれでもカズマに対抗出来るかというと不足だろうに、その辺も計算に入れてんのかこいつ。

 

 

「これプラス、私が後でカズマに幸運を下げる魔法をかけておくから条件的には五分のはずよ」

 

「ほー、そんなもんあるのか。なるほどね」

 

「本来こういう徒党を組んで一人に敵対するというのは僕の趣味では無いのですが……」

 

 

 ミツルギが不服そうに口を尖らせる。自分の力で勝ちたいという気持ちはわからんでもないのだがな。

 

 

「ミツルギ、ここは割り切れ。俺達は確かに勝負をしていたがそれは勝負として成り立つ前提の話をしてたんだ。

 ここまで差があると勝負にならない。ある程度のハンデというか、そういうのが無いとそれは最早勝敗の決まったゲームになっちまうんだよ」

 

 

 そんな物は面白くも何ともない。

 俺は別に昼飯を奢るのが不満なんじゃねえんだ、むしろアルカンレティアでの恩を考えたら条件抜きで毎食飯代を出してやってもいいとも思ってる。けどゲームで勝負となりゃそれなりに拮抗した展開を望んじまうんだよなあ、贅沢かもしれんが。

 なあに、イカサマをして積極的にカズマを陥れようってんじゃねえんだ、あくまで条件を対等に持って行くだけ……

 

 

「それじゃあ次は通しを決めましょうか。私がこうして口を窄めたら索子(ソーズ)、口を開けたら萬子(マンズ)、イーッてしたら筒子(ピンズ)で、指でそれぞれーー」

 

「待てお前、なにナチュラルに通しとか言ってんだ。イカサマは無しって決めただろうが」

 

『言っとくがサマは絶対に許さんぞ。それについて言及してねえなら特に何も言わんし推奨さえする。けど最初っからナシと決めて裁定をオレに委ねたんだ、そこは譲らねえ』

 

 

 ほら、なんか確固たる意志を感じさせる声でジャックもこう言ってる。言及してないならのくだりになんか闇が垣間見えるのは俺の気のせいであって欲しい。

 

 

「ゼロはホントお馬鹿ね。そこの人ならともかく私達は幸運のステータスが最低なのよ?

 いくら私の魔法が強力だからってそう簡単にカズマとの差が埋められる訳無いじゃない。ここは確実に勝ちに行くためにコンビ打ちするべきなの」

 

「誰が確実に勝ちたいって言ったよ。それじゃあカズマの運だって確実に勝つために必要ってんで容認しなきゃならねえだろ」

 

「申し訳ありませんアクア様、僕もイカサマをするのは反対させて頂きます」

 

『いっぺん、死んでみる……?』

 

 

 総スカンである。

 イカサマで勝つ気満々だったらしいアクアはしばらくハムスターのように頰を膨らませていたが、全員の反対を押し切れるとは思っていなかったようで。

 

 

「いいわよ別に!だいたい幸運さえ対等になれば私の雀力なら負けたりしないんだから!

 あんた達もボッコボコのフルボッコにしてあげるから覚悟なさいな!」

 

 

 と、雀力なる謎の単語を口にしながら卓へと戻っていった。彼女はまずイカサマが悪い事だという自覚を持つべきではなかろうか。

 

 まあ何はともあれ、これで準備は整った。あとはアクアの幸運を下げるとかいうデバフをカズマに使うだけなのだが、当然黙ってそれを受けるカズマでは無いだろう。

 この目論見はカズマにとっては何のメリットも無く、こちらに一方的に有利になるだけの物だ。何かしらの条件ないし特典を用意しなければ納得はしないだろうーー

 

 

「別にそのくらいいいぞ?」

 

「うぇっ?いいのかよ」

 

 

 などと思っていた時期が俺にもありました。

 

 意外過ぎる程にあっさりと自身の不利にしかならない条件を飲んだカズマに驚きの態度を隠さない俺。何かしらの裏を疑ったものの。

 

 

「つーかお前ら弱すぎんだよ。俺は勝つのは好きだがただ勝つ事が決まってるゲームは虚しいだけだし、多少は張り合いが無いと俺としてもつまらん」

 

「あ、どーもすんません弱くて……」

 

 

 完全に上位存在みたいな事を言われてしまった。しかし勝負にならないのは確かなので、ありがたくこの舐めプを頂戴しておくとしよう。

 

 

「あーらカズマ、そんな事言って余裕ぶっこいてて良いのかしらね?

 カズマがさっきアガれたのは冗談みたいな幸運のお陰でしょうに、自分からそれを封じるような真似して大丈夫?三人に勝てる訳ないじゃない!」

 

 

 よせば良いのにカズマの余裕を崩さない態度に勝手に煽られたアクアが喧嘩腰にメンチを切り始める。本っ当にお馬鹿さぁん!

 これではカズマの気が変わってしまうやも、と一瞬思ったがそんな事は無く。

 

 

「まあ?お前ら程度の雑魚にどんだけハンデ戦したって負けるわけねーし。

 むしろ幸運の調整だけで良いの?イカサマだろうが積み込みだろうがなんだってやっても良いんだぞ、そこまでやっても俺に勝てなかった時のお前らの顔を見るのが楽しみだしなァ!」

 

「上等よあんた、そろそろどっちがこの屋敷の真の主か身を以て教えてあげるわ!

 最近はちょおっと大金稼いでるからって調子乗ってるんじゃないの?ほら、ゼロも魔剣の人も何とか言っておやりなさいよ!」

 

「ア、アクア様、気持ちはわかりますがここは少し抑えて下さい!今回譲ってもらうのは僕らなのですから、サトウカズマをあまり刺激しない方が………」

 

「条件が整ったんならどうでもいいからさっさとやろうよお。敗者が昼メシ奢る条件だったのにもうお昼回るんですケドォ」

 

『キミら本当に足並み揃わんね、何で?』

 

 

 好き勝手に喧嘩しだしたりそれを止めたり、ぐだぐだする俺達にジャックが突っ込む。何でと言われましても。

 

 

 

 ※

 

 

「む」

 

『ほー、ええやん』

 

 

 改めてカズマにデバフを掛けた状態で再開した東一局。自分の配牌を見て思わず唸ってしまった。

 

 もちろん役満などを狙えるような手では無い。というかそんな手は本当に来ないのが普通なのだ。精々が四暗刻(スーアンコ)が偶に見える程度である。

 満貫(マンガン)手をアガれればかなりラッキー、跳満(ハネマン)でガッツポーズといったのが通常の反応、役満なんざ張ったら挙動不審になるかもしれん。

 そんな俺の手牌だがーー

 

 

『索子の混一色(ホンイツ)、役牌と赤ドラの一向聴(イーシャンテン)か。ちょっと整えれば一盃口(イーペーコー)も狙えそうだな』

 

 

 ジャックの言う通り、この時点であと一手進めれば満貫を聴牌するという絶好の配牌。

 これはアクアのバフで俺自身の運が上り、更にカズマの下がった分の運がこう、いい感じに分配された結果なのだろうか。これならイケるやろ。

 

 

「おおすげえ、アガってない!しかもこんな安手が来たのなんか産まれて初めてかもしれない!」

 

「チッ」

 

 

 せっかく好配牌を喜んでたのにチート持ちが水挿して来やがる。

 まあいい。今の発言からして二度目の天和は無いようだし、こいつの言う安手が俺と同じ基準かは知らんがそんなに高そうな手では無いーー

 

 

「ほんじゃ、立直」

 

 

 コトン、と千点棒が卓に置かれる。

 

 

「……………」

 

 

 は?

 

 

「……おい、お前今安手とか言ってただろ。もう張ってんの?本当に安い手なのか、それ」

 

「何で?安手だろ」

 

 

 こ、こいつ………っ!

 

 ダブリーかけといて安手だぁ?ふざけんなマジで。どうせノミ手じゃねえんだろ?クソが。

 こんなもん当たったら事故やで。

 

 ミツルギが山からツモり、慣れてないのが見て分かる手つきでツモった一萬をそのまま河に捨てる。カズマの反応は……無し。

 次にアクアが牌を掴み取り、それを手牌に加えながら不要となったらしい三萬を捨てた。カズマに反応は無い。

 

 

(ぐっ……!)

 

 

 そして北家の俺だが、どうするべきか。

 

 ツモった牌は索子。しかも俺に必要な牌だったのでこれで俺も張った事になる。ここでリーチをかければ最低でも跳満、ガッツポーズ。

 しかしこの牌を手に加えると浮いてくる牌は筒子なのだ。

 今、カズマはミツルギとアクアが萬子を捨てたというのにピクリとも反応しなかった。となるとカズマの待ちは索子か筒子の可能性が高い。

 俺の手牌は暗刻になった白と索子と筒子で構成されており、まさにカズマの待ちドンピシャ。安牌が、一つも無い。

 選択肢としては完全にオリて当たる可能性の低い白を切っていくか、放銃覚悟の追っかけダブル立直で攻めまくるか、立直をせずに待ちを変更してダマで行くか。

 俺は迷った末に。

 

 

「………どうせ死ぬなら、強く打って死ぬ!立直だ!」

 

『とっ、東郷さん⁉︎』

 

 

 不要牌である筒子を横にして河に置き、さらに千点棒を置く。

 

 そうとも、こんな絶好のチャンスを逃しては勝てる物も勝てん。ここで攻められない奴がこの化け物に勝てるかよ!

 さあカズマよアガるならアガれ、次こそは俺がーー

 

 

「あ、それカン」

 

「ーー何?」

 

 

 カズマに集中していたばかりに、予想だにしない方向からの声に虚を衝かれた。カンをしたのはアクアだ。

 

 アクアが俺の捨てた筒子を拾い、手牌と合わせて右に並べてから流れるような動きでドラを一つひっくり返して嶺上牌から牌を一つツモり。

 

 

「もいっこ、カン!」

 

 

 さらにその牌でカン、同じ動作を繰り返す。そして。

 

 

「ツモ!嶺上開花(リンシャンカイホウ)にドラ二つで三翻(サンハン)だけど満貫払いね」

 

「………………」

 

 

 ………あれ?大明槓(ダイミンカン)?この場合って確か……。

 

 

「ちょっと、何してるのよゼロ。責任払いでしょ?点棒出しなさいよ」

 

「てめっ、咲さんみてえなアガり方してんじゃねえぞ⁉︎そもそも俺達は仲間じゃなかったのかよ!」

 

「残念でした!あんたが協力を拒否した時点でそんな同盟破却よ破却!全員ぶっ飛ばしてやるから覚悟しておくことね!ほら払って!点棒早く払って!」

 

「クソッタレが、持ってけ泥棒!」

 

 

 悪態と共に行儀悪く点棒をぶん投げる。

 

 そうだった。大明槓で嶺上開花されると、ツモであろうとそのカン材を捨てた奴が一人で払わなきゃいけないとかいうルールがあったんだった。一応ローカル扱いの筈だが、最初に全部アリって決めちまったし今回はしょうがねえか。

 しっかしそういやこいつらも居たんだったな。カズマばっか気にしてたから完全に油断してたぜ。

 だがもう俺に油断は無い。今の跳満手をフイにしちまったのは惜しかったが、流れはキている。今度こそこいつらを喰ってやるさ。

 

 

 

 ※

 

 

 ここから先はあまり思い出したくないのでdieジェストでお送りさせて頂こう。

 誰だって自分がカモにされている場面なんか詳しく描写したい訳が無いだろう。

 

 

 

 ※

 

 

(来た!ちょっと手が遅くなっちまったが綺麗な門前(メンゼン)断么(タンヤオ)平和(ピンフ)、ドラ一の満貫!)

 

 

「通らば立直!」

 

「あ、すみませんゼロさん、これ多分ロン……ですよね?」

 

「……えっ。いやまあ……アガってる、けど、何でこのタイミング?俺が切った牌って二巡前にアクアが捨ててるじゃん」

 

「それがその、僕も今張ったんですよ……」

 

「間あ悪っ!」

 

「ププー!ゼロさんダッサ!初心者の単騎待ちにカッコつけて立直で振り込んじゃった気分は如何な物かしらね?

 私なら耐えられないわー、今すぐ降参(サレンダー)して全員に豪勢なご飯を奢るまであるわー。ていうかそうしない?私もうお腹空いたんですけど」

 

「うるせえ、黙って牌崩せ!」

 

 

 舐めやがって!今に見てやがれ、すぐに逆転優勝だし!

 

 

 

 ※

 

 

(今度こそ、今度こそ来た!三暗刻、ドラが見えてるだけで四つ!跳満確定&立直+ツモなら門前まで付いて倍満、しかも浮いた牌は全員捨ててるから振り込みの心配も無し!勝った!第三部、完!)

 

 

「今度こそ立直ぃ!」

 

「ハッ!甘いわねゼロ、ロンよ!カズマには勝てないかもしれないけど、これで私の二位の座は不動の物となったわ!」

 

「お前はフリテンという言葉を知らねえのか⁉︎てめえこの牌開始直後に捨ててんだろうが!」

 

「………あらほんと。これは私のチョンボね、三千オールで良いかしら?」

 

「………!………!」

 

『どうどう、相手に悪気はねえんだから手え出すなって。賭け麻雀の席で暴力は御法度よ』

 

 

 こんのクソ馬鹿、よりにもよって高目アガれそうな時に流してんじゃねえよ!

 

 

 

 ※

 

 

「ツモ、字一色!」

 

「ほんでお前は俺の親番の時に思い出したかのように役満アガんじゃねえ!もうこいつらヤダ!普通の麻雀させてーな!」

 

『普通って何だよ(哲学)』

 

 

 

 ※

 

 

 こんな感じの局が続き、ついに。

 

 

「はい!という訳で最下位はゼロに決定!罰としてみんなにすっかり遅くなったお昼を奢ること!」

 

「おかしい!こんなの絶対におかしいよ!」

 

 

 俺は油断も見落としもしていなかった筈だ。

 全員の捨て牌を読み、スジや裏スジまできちんと見て打牌していたというのにその悉くがアガられる。カズマはともかくとしてアクアや初心者のミツルギにまでだ。一体何故。

 

 と、不可思議な現象に頭を悩ませる俺にジャックが。

 

 

『あー、大将。オレは途中で気づいて不公平だろうと黙ってたんだが、もう終わった事だし教えとくぞ』

 

 

 なんと、この俺にも分からないというのにジャックには理由が分かるという。素直に講釈に傾聴する。

 

 

『お前の打ち方は普通ならそうそう振り込みはしないだろうけどさ、この面子じゃあ意味ねえよ。

 だってよく考えてみろ、他家の内二人が初心者&バカだぞ?スジも何も考えちゃいねえし、待ちなんかはツモ牌でフラフラ変えちまうもんだからそれがいい具合に迷彩になっちまってんだよ。カズマ君のはただの事故。お前の運が悪かっただけ』

 

「もっと早く教えてくれる⁉︎」

 

『ハハ、まあアレだ、お前だってなんだかんだ言うても多少知識があるだけの初心者だろ?考える頭はあるんだから次がありゃその辺考慮すりゃ大丈夫大丈夫』

 

「あるか無いか分からん次の機会なんか要らねえから今勝ちたかったよ!」

 

 

 悔しがりながら、それはそれとして負けたんだから飯は何を奢ろうか考え始める。

 

 

「なあ、お前ら何が食いたいーー」

 

「あれ?私ちょっと大変な事に気付いちゃったんですけど」

 

 

 皆の意見を聞いた方が良かろうと三人の方を向くとアクアが何かに気づいた様子。なんだろう。

 

 

「今の対局でゼロだけアガってなくない?」

 

「あれ?そういえば……」

 

 

 ……確かに。中々の大物手を張ってはいたもののそれをアガった記憶が存在しない。

 あれ?もしかして俺って……。

 

 気づきたくなかった事実に気づいて戦慄する俺の肩にカズマが手を置き。

 

 

「ゼロ、初心者がいる卓で焼き鳥になったからって気を落とすなよ。ほら、運が、運が悪かっただけだから……プフッ」

 

 

 馬鹿にするように小さく吹き出しやがった。

 

 焼き鳥とはその対局中ロンアガりもツモアガりも出来なかったお間抜けさんの事を言う。つまり俺の事だ。

 

 

「……………」

 

 

 ……ふっ、落ち着け。たかだか麻雀で負けただけ。例え不名誉な称号を付けられようと事実はそれだけなのだから、馬鹿にされても怒ってはいかん。

 

 

「ちょうど、タバコに火ぃ……欲しかったとこだ………」

 

 

 

 昼飯は誰の意見も聞かずに勝手に焼き鳥のような物にしてやった。せめてもの皮肉である。

 

 

 

 

 






次回は連載開始から100話目!ということで本編とは全く関係の無い訳では無さそうで実は伏線、的な茶番回を丸々1話書きたいと思ってます!(手付かず)




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