「さて、沼のすばらしさを理解したところでオマエたちの受ける試験についての話をしようか、なぁにほんのお遊戯みたいなもんだ。これからおまえ達は森に出向き忌まわしい『ピラー』をぶち壊すんだ。」メタリカは試験の内容を百騎兵とゾンフに伝えた。
「メタリカさまよ、『ピラー』というのを破壊するのは分かったのじゃがその『ピラー』というのは何なのじゃ?それが分からんと吾輩も百騎兵も動きようがないんじゃが。」ゾンフの当然といえば当然の疑問に、答えたのはアルレッキーノだった。
「補足いたしましょう。『ピラー』とは、この世界に点在する『柱』でございます。誰が名付けたのかは存じませんが、正式な名称は『ピラーオブテンペランス』。『節制の柱でございます。……それを破壊することが試験となります。」アルレッキーノの説明が終わると、アルレッキーノはメタリカを横目でみた。
「……まぁそういうことだ。簡単だろう?オマエが伝説の百騎兵ならな。というかそれができないと話にならんぞ、できないと粗大ゴミと同じだ。」メタリカは百騎兵を見て言うが百騎兵は分かっているのかどうか…。
「できなければ、お払い箱ということです。はい。」さらにアルレッキーノがかみ砕いて説明した。
「それで、ピラーの場所だが…それはまぁ、目立つからすぐに分かるさ。それじゃあとの説明は任せたぞアルレッキーノ。」
「かしこまりました。リカ様。」そう言ってアルレッキーノは移動を始めた、百騎兵もそれについていく。
「メタリカだ!!……あん?ゾンフはやくオマエも行け。オマエの試験でもあるんだぞ。」メタリカはその場に残ったゾンフを怪訝な目めで見つつ言った。
それにゾンフは「いや、そのメタリカ様よ吾輩が試験に行くのはいいんじゃがのその…、剣に戻れんのじゃよ。」ゾンフは結構重要なことを言った。
「…なんだと?」メタリカはゾンフを鋭い眼で見た。
「じゃからの、メタリカ様、剣の状態に戻れんのじゃよ。というかどう戻ったらいいのか分からん。剣に戻れるのならば百騎兵に使ってもらえば戦力にはなるが、剣になれなければ何の役にもたてん。」顔をうつ向かせてゾンフは言った。
メタリカも戻れない発言にはびっくりしているようで、場は沈黙で満たされた。
メタリカは、「はぁ…」と溜息をついた、ゾンフはそれにびくっと肩を震わせる。
あぁ、吾輩の人生いや剣生もここまでか、短かったのう…。と黄昏ていると。吾輩はメタリカ様に頭をつかまれ持ち上げられた。
「??!!」いきなり頭をつかまれ、持ち上げられたことで吾輩は混乱し声にならない驚きのこえを叫んでいた。
「なんだ、戻れてるじゃないか」メタリカの発言に「へ?」ゾンフは呆けた声を出した。
どうやら、吾輩は剣に戻れているらしい、というか頭をつかまれると剣に戻るのかなんじゃその戻り方……。もっとカッコいい戻り方が良かった。とさっきの悲壮感はどこえやらそんな益体にもならんことを考えていると。「戻れたのなら、とっとと行ってこい。」ぽいっと放り捨てられ、「むぎゃぁ!!」地面と熱烈なキスをした。これは痛い。
「…ッ!痛いのじゃメタリカ様!何も放りなげんでもよかろう!?」ゾンフは顔を抑えうずくまりながら言った。涙目で鼻声なのは仕方がない。
「うるさいぞ!ワタシがオマエの問題を解決してやったんだぞ!感謝されこそすれそんな文句を言われる覚えはないぞ!」メタリカはどこからか出した箒の上に胡坐をかいて座りゾンフを見下ろしていた。
「とっとと、アルレッキーノのところに行って百騎兵とピラーを破壊してこい!!速くいかないとお前をもっと痛い目に合わせるぞ!!」メタリカの脅しにビビったゾンフは即座に「ハイ!ヨロコンデー!」さっきまで痛がっていたのはうそのように走っていった。
キヒヒ…この試験をパスして見事期待に応えて見せろよ百騎兵、ゾンフ。
そんなことを思いながらメタリカは走っていくゾンフの後ろ姿を魔女らしい笑みを浮かべながら見送った。
「おや、ゾンフ様遅かったですね。何かございましたか?」とアルレッキーノに聞かれたがなんでもないと返しておく。
「そうですか、ではわたくしから説明をば、リカ様は沼からお生まれになられた魔女様なので、沼が三度の飯より大好きでいらっしゃいます。そしてめんどくさいので…いえ、愛ゆえに沼のないところになど足を踏み入れたくはないのです。はい。よって、沼のないところの地理はあまりお詳しくないので、わたくしが独自に調査したこの地図をお使いくださいませ。近辺のみの地図でございますが周辺のピラーの位置も記してございますので百騎兵差様がたのお役に立つことでしょう。」そう言ってアルレッキーノは百騎兵に地図を手渡した、ゾンフは百騎兵の後ろから覗き込んだ、ピラーの位置なども記されている確かにべんりそうだ。
「あと、こちらも…。」そう言ってアルレッキーノ武器を一式手渡した、槍、鎌、鈍器、剣の四つの用だ。
「百騎兵は複数の武器をつかうのか?」ゾンフは、アルレッキーノが渡した武器を見ながら百騎兵に訊いた。
「わきゃ!」百騎兵はいつもの奇怪な声をあげた。…どうやら肯定らしい。
「百騎兵様はどういうわけか知りませんが武器を順番に取り出して使っておられるようです。」とアルレッキーノが補足説明をしてくれた。
「百騎兵、吾輩を装備する空きはあるのか?」
ゾンフはちょっと心配そうに聞いた、ゾンフは今は人の姿になっているが、実際のところは剣だ、誰かに使ってもらえなければ意味はない。なので、百騎兵に装備してもらわないと何の役にもたたいのだ。
「わきゃ!」百騎兵は肯定の意を発した。
「そうかそうか、では百騎兵よ吾輩の頭を掴むがよい。」そういってゾンフは少し、しゃがみながら百騎兵に頭を向けた。
百騎兵は言われた通りゾンフの頭を掴んだ、すると百騎兵の手には真っ白なロングソードが握られていた。
「では、森にある『ピラー』ことタワー・オブ・テンペランスを破壊してきて下さい。」アルレッキーノは特段驚きもせず、百騎兵とゾンフに言った。
「少しは、リアクションせんかい…」ゾンフは不満げに言った。
「申し話ありません、ゾンフ様は元々剣であったためとくに剣になったところで驚くようなことではなかったので…。」アルレッキーノの言うことは正しいのだが、なんだかなぁとゾンフは少しもやっとした。
「まぁいい、百騎兵よどんな事があっても吾輩を手放すでないぞ、おぬしの手から離れると吾輩はあの幼女の姿に戻ってしまうのでな。」メタリカの手から放り投げられたとき幼女に戻ってしまったこと思い出して百騎兵に注意をした。あの時は敵地でなかったから良かったがもしも外で手放された日には自分はすぐに死んでしまうだろうから。
「もう一度言うがの百騎兵、吾輩をどんなことがあっても手放すなよ、吾輩はおそらくはそこらの剣《鈍》よりは切れるからの、それに吾輩にどんな力があるかは知らんがメタリカ様とお前のために発揮しようだからお前も吾輩を手放すなよ。」ゾンフは念のためもう一度、自分の覚悟と共に注意をした。
「わきゃ!」百騎兵は先ほどと同じように元気よく肯定の意を発した。
「よし、では行くかの、百騎兵!」
「わきゃ!」
百騎兵とゾンフは森の中へ走って進んでいった。
なかなか進まないです。
次回もよろしくお願いします。