「カラサワ、適応開始……」
「私」は目の前にと立て掛けてある「カラサワ・レーザーライフル」を自らの左手に装着させ。
「カラサワ・コピー、同期調整開始」
右手に持つカラサワ・コピー、実弾リニア式であるカラサワライフルとの調整を急ぐ。
「H10、端末の状態を報告せよ」
「こちらH10、機体制御は問題なし」
「脚部制限、状態を報告せよ」
「脚部制限、問題なし」
ブゥオン……
「カラサワ、及びコピー・カラサワ、同期終了」
「プログラム、直ちに移行可能か?」
「問題なし」
マザー・Hユニットにと状態報告を返しながら、私は。
「ただ今より、イレギュラー・パーツであるカラサワの実戦調整を開始する」
「了解」
自身の「端末」を、ゆらりと動かす。
――――――
「未確認MT、多数」
「殲滅せよ」
「了解」
私はそのH6ユニットからの指示を受け、調整したばかりの身体を行使する。
「え、ACだ!!」
「任務遂行中、任務遂行中……」
カラサワ、それを低出力モードにと移行しながら、私はリニア・カラサワでそのMTの群れを破壊していく。
「赤い塗装のACに9のエンブレム、まさか……!!」
ドゥ!!
その、何かを言いかけたMTを肩部小型ミサイルで粉砕しつつ、まとまってこちらにと集中砲火を浴びせようとしている目標を。
「小型グレネード、射出」
もう一つの肩へと搭載された、小型グレネード・ランチャーで打尽とする。
「う、うわぁ!!」
「レイヴンだ、レイヴンを呼べ!!」
抹殺相手は何か自分にと恐慌をきたした様子だ。ならば都合が良い。
「ミサイル、射出」
「こちら、H6」
相手の士気低下は、障害物の排除には好都合と言える。
「ACを確認、ランカーACだ」
「了解」
H6からの命に、機体コンディションを確認する私。特に身体には異常無し。
「ランカーACの情報は……」
「必要なし」
「意見を聞きたい」
「未確認機との想定で得られる戦闘データ、それの採取をしたい」
「了解」
バゥン!!
敵機、重火力タイプと思われるACからキャノン砲による砲撃が私にと飛び、私はその一撃を回避しながら。
「カラサワ、始動」
機体の各部にと設置されたレーダー網、そこから敵機の位置を割り出す。
「排除対象、タンク型AC」
「了解」
「カラサワを使う」
その自身から発せられた言葉が終わらない内に、私は紅き身体を物陰から飛び立たせ。
「敵、武器腕使用」
再び私を襲うキャノン、武器装備腕からの攻撃を身軽にかわし、カラサワの照準をそのタンクにと向ける。
「カラサワの状態、良好」
その初手のカラサワにより、敵のキャノンを潰した私は、そのままカラサワの出力を上げ、敵ACの各部をそれぞれ狙い撃つ。
「くそ、俺をいたぶっているつもりか!?」
「ハイジョ、ハイジョ……」
いたぶるという感情は私には無い。単にACのどの部分に最もカラサワライフルが有効か、試しているだけの話だ。
「おのれ……!!」
どうやらその敵機は戦意を喪失したらしい。一般にオーバードブーストと呼ばれるコア直結型ブースターを駆使しつつ、障害物を盾にしながら私から離れようとしているが。
カァオ……!!
出力を大幅に上昇させた、私のカラサワがその瓦礫、障害物ごと敵性ACを消し飛ばした。
――――――
「カラサワ、データ採取完了」
倒れた障害物を眺めつつ私はそのカラサワ、イレギュラー・パーツを実と眺める。
「イレギュラー排除の為に、イレギュラーを使わなくてはならないとはな……」
「H10、人工AIの数値に変動が見られる」
「了解H6。帰還したら調整を頼む」
コン……
その時、何かが私の脚にとぶつかった。
「お前が、父さんと母さんを……!!」
少年、それが私の脚にと小さな瓦礫を投げ続けている。
「よくも、よくも……!!」
「任務に影響無し」
その、憎しみとやらをぶつけていると思わしき少年、それを無視し私は。
ボゥウ!!
スラスターを噴かし、帰路にとつく。