ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》   作:黒雲あるる

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第10話

10月6日13時14分

 

《新生アルヴヘイムオンライン コラボイベント攻略スレ》Part29

 

498 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

一体何時からこのゲームは弾幕シューティングゲームになったんですかね?

 

 

499 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

笑っちまうよな、剣と魔法とファンタジーの世界の筈なのに、ガルガンチュアから飛んで来るのミサイルとレーザーだぜwwwww

 

 

500 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

世界観ぶち壊しすぎワロタ

 

 

501 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

さすがアインズ・ウール・ゴウン!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!

 

 

502 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

んでどうすんのよ攻略は?あのミサイルとレーザーの雨潜り抜けること出来るんかいな?

 

 

503 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

第五階層への転移装置はガルガンチュアの背後の洞窟の中にあるみたいだな、ガルガンチュア攻略は必須やで

 

 

504 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

ボス見た時何こいつらでけぇ!って思ったけどガルガンチュア見てその考えは間違いだったと気付いたわ

 

 

505 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

現実のサイズで判り易く例えるとこんな感じか?

ガルガンチュア=東京スカイツリー、ボス=電柱、俺等=人間

 

 

506 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

東京スカイツリーは言いすぎ、東京タワーぐらいだな

 

 

507 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

それでもでけぇよwwww

 

 

508 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

まぁコラボ始まって6日目で第四階層に行けたし焦らずいこうぜ

 

 

509 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

んだな、とりあえず明日から土日だしその間に攻略法見つけ出さないとな

 

 

510 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

なんか外の沼地広がってね?

 

 

511 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

 

 

           ・

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「──…ヶ谷くーん…桐ヶ谷くーん!」

 

 とある新造された学校の教室にて桐ヶ谷和人が教鞭を執っている女性教員に名指しで呼ばれるも、和人の視線は机の引き出しに隠されている携帯の画面に集中しており一向に気付かない。

 

(ガルガンチュアの攻略法はまだ判明してないか…発見されたのは昨日の今日だしな、無理もないか)

 

「桐ケ谷君!!」

 

「うわあっ!」

 

 耳元で突然大声を出された事によりバランスを崩し椅子から崩れ落ちて床に尻餅を付く和人。その際空中に放り出された携帯を見事に女性教員が華麗にキャッチする。

 

「まったく…ボクの授業はそんなにつまらないのかな?」

 

 そう言いながら偶然にも手に持っていた携帯の画面が目に留まり、開かれていたページを見て一瞬動きが止まる女性教員。

 

「…ほっほう

 

 ショートカットの髪が僅かに揺れ伊達眼鏡を携帯を持っていない手でくいくいっと動かすその仕草を見て周囲の男子生徒達に衝撃が走る。

 

も、萌え~…

 

流石やまちゃん先生…あざとい流石あざとい

 

ボクっ娘こそ至高、はっきりわかんだね

 

 漸く立ち上がった和人が謝りながら席に付き携帯を返して貰おうと手を差し出すもやまちゃん先生と呼ばれている女性はニヤリとして携帯を差し出さずに罰として放課後に仕事を手伝えと命令を下すのであった。

 

「どうせだから結城さんも呼んでくれる?一緒に帰ってるんでしょ?」

 

「な、なぜそこで明日奈の名前が…?」

 

「えーっ?付き合ってるんでしょう君達?中庭でお弁当の食べさせっこしてたよね?」

 

「み、見てたんですか!?」

 

 やまちゃん先生の言葉にそのような事実は無いと反論するどころかあたかも事実であるかのような反応を示す和人に濃厚な殺気を放つ男子生徒達、そんな男子生徒達を見て女子生徒達は呆れた空気を醸し出している。

 

「見てたも何も…あの場所、校舎の中から丸見えだし…ねえ皆?」

 

「「「桐ヶ谷死すべし、慈悲は無い(^ω^)」」」

 

「お、落ち着けお前等!ちょ、ちょっと先生!こいつら止めてください!」

 

 さり気無く教卓の方へ行こうとしていたやまちゃん先生に助けを求める和人、しかし和人の期待していた答えは返ってくる事は無い。

 

「昼休みにイチャイチャを魅せられてボクの心はズタボロだよ…自分でなんとかしなさい」

 

「そ、そんな殺生な!」

 

──和人の叫びと共に授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響く。

 

「はーい、じゃあ今日はここまで!男子生徒諸君は次の授業に遅れないようにねぇ~」

 

 チャイムと同時に教室から慌しく駆け出していく和人、その後を教室内の全ての男子生徒が追っていく。

 

「逃がすなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!……

 

 元気に教室を駆け出していく男子生徒達に廊下は走っちゃダメだよーと注意を促しつつ職員室へ戻るやまちゃん先生。今でこそ仲睦まじい姿を見せてくれている彼等だが、この学校に赴任してきた当時は酷い有様だったと彼女はその原因となった4年前の事件の事を思い出していた。

 

──凡そ4年前の今ぐらいの時期の事だ、衝撃のニュースが日本中を、いや世界中を駆け巡った。

 

 《ユグドラシル》に続いて満を持して発売された《ソードアート・オンライン》。そのVRMMOの開発者である茅場晶彦の手によってログアウト不可、ゲーム内での死亡=現実での死という過酷なデスゲームに強制的に10000人が参加させられた事件。

 

──そして、その10000人の中の大半はまだまだ幼い子供達。…上は大学生から下は中学生や小学生まで、様々な年代の子供達が実に2年もの間、デスゲームに囚われる事となった。

 

 目の前で大切な仲間達が光の粒子となって砕け散る姿を見た男の子が居た。助けが間に合わなかったと、死の恐怖に負け足が竦んで動けなかった自分を激しく責める男の子も居た。そんな悲惨な経験によって心に深い傷を刻み込まれ4年の歳月が流れた今でも苦しめられている子供達は少なからず存在している。

 

──そしてこの学校は、そんな被害者達である子供達の為に新造された学校なのだ。

 

 子供達の為に新たな学校を新造するという話を聞いたやまちゃん先生はすぐにその学校へ赴任する希望を提出した、その結果彼女の意思は尊重されその学校へと赴任する事が決定される。理由としては子供達と年が近いこともあり良き理解者として期待されての事らしい。

 

 何が彼女を突き動かしたのか、それは彼女自身にも分からない。けれど心に傷を負った子供達を放っておけないと思った事、10000台しか販売されない上に当時は高価だった《ナーヴギア》を何が何でも手に入れるという熱意を持った子供達が、この事件でゲームを嫌いにならないでこれからも続けて欲しいと思った事は事実である。

 

──1人の人間の行動によって遊びの場はデスゲームに変貌してしまったが、ゲーム自体に罪は無いのだ。

 

(…ただ我武者羅にこの子達と向き合ってきたけど、ボクのしてきた事は…間違ってないよね?モモンガさん)

 

 立ち止まり窓から差し込む陽の光を全身に浴びつつ空を見上げるやまちゃん先生。そんな彼女に対して生徒達が元気良く挨拶していく、その表情は陽の光に負けないぐらいのとびっきりの笑顔だった、きっとその笑顔こそやまちゃん先生の、いや──やまいこの問いに対する答えなのだろう。

 

(ふふっ、さてもうひと頑張りしないと!今日は金曜日!明日から連休!!)

 

──金曜日。

 

 社会人にとっても学生にとってもその言葉の響きは特別な意味を持っている、時期によっては更に連休が続いたりする事もあるその金曜日のまたの名をこう言う。

 

──花金、と。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

10月6日19時21分 東京台東区 ダイシー・カフェ

 

「「「「かんぱーい!!」」」」

 

 4人の男達が並々とビールの注ぎ込まれたジョッキを片手に盛り上がっている。乾杯したと同時に勢い良くビールを飲み干していく男達、すぐさまビールの追加注文が店主にオーダーされる。

 

「マスター!生中4つ!」

 

「ハイよ!」

 

 180cm近い上背の筋骨逞しい体躯の黒人の店主が追加注文に応える、この店主の名はアンドリュー・ギルバート・ミルズ。

 

──またの名を、エギルと言う。

 

「生中お待ちっ!あとこりゃあサービスだ!」

 

「気前が良いなマスター、何か良い事でもあったのか?」

 

 出来立てのホットドックが4人の男の前に差し出される。アメリカではビールとホットドックを堪能しながら野球を楽しむ、というのがアメリカ人の常識らしい。だがここはアメリカでもなく増してや球場でもないのだが…、そんな事は彼等には然したる問題ではないようだ。

 

「なあに、お前さん達はウチの常連だからな、たまにはこのぐらいサービスしてやんねえとな。だからどんどん飲んでこの店の売り上げに貢献しろ」

 

「聞いたか皆!この男は俺達から更に金を巻き上げる気だぞ!」

 

 黒尽くめのトレンチコートを優雅に着こなす男が芝居がかった演技で周囲の注目を集める。

 

「まぁまぁ良いじゃないですかウル…○○さん、出禁くらうよりマシでしょう」

 

「鈴木さんの言うとおりですウ…○○さん。マスターの城であるこのバーで騒ぎを起こせば私が取り押さえますからね」

 

「ふんっ、判っているさ冗談だ冗談」

 

「へっ、まぁゆっくりしていきな、今日も遅くまで飲んでいくんだろ?」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

 マスターの問いにさも当然とばかりに答える○○さん、そんな○○さんの隣に座っていたこの中では一番若そうな印象の男がその身をテーブルに投げ出した。

 

「……相変わらずこの男は酒に弱いな」

 

「えっ、もうノックアウトですかペロ…△△さん」

 

「あああぁぁぁょぅι゛ょが…ょぅι゛ょがこっちに来いと手招いているぞぉおおぉ……」

 

「「「ダメだこいつ早く何とかしないと」」」

 

 エギルが他の客の相手をしにカウンターに戻ったと同時に昨日の出来事について語り始める3人。

 

「しかしるし★ふぁーの奴も災難だったな、ぷにっと萌えに目を付けられるとは」

 

「ふっふっふふふっふふふ…いい気味です…」

 

 鈴木が邪悪な笑顔に染まる、昨日の妖精達の侵攻を1人で阻止せよとの任務は見事に失敗に終わりるし★ふぁーはボスの中で最初の脱落者となった。

 

「あれだけの人数で攻められたら如何に我々と言えどやられてしまいますか…今後は気をつけないといけませんね」

 

「そうですね、たっ…□□さん」

 

 先程から各々の名前を呼ぶ際に言い直している彼等は普段から別の名で呼び合っているようだ、そのせいか半ば癖となってしまっているらしい、周囲に誰もいなければその名で呼んでも問題は無いが此処は他の客もいる、しかも今の彼等は結構な有名人となっており不用意にゲーム内の名前を呼べばいらぬ騒動に発展する可能性すらあった。

 

即ち○○=ウルベルト、△△=ペロロンチーノ、□□=たっち・みー、そして鈴木悟=モモンガの4人だ。

 

「しかしガルガンチュア初お披露目は奴等にとってはインパクトがあっただろうな」

 

「ええ!ええ!皆で案を出し合って魔改造しましたからね!佐藤さんもノリノリでしたし!」

 

「ふふ、まさしくガルガンチュアは男の浪漫をこれでもかと注ぎ込んだ傑作…少々やりすぎだとも思いますが…」

 

 昨夜、るし★ふぁーを撃破した妖精達は第四階層の様子を一目見ようと地下聖堂の転移装置を抜け第四階層へと降り立った。そこで彼等が見たものは、るし★ふぁーの最後の抵抗として起動されたガルガンチュアが地底湖から派手に登場するという場面であった。そして次の瞬間、侵入者を感知したガルガンチュアの絨毯爆撃によって追い返されてしまったのだ。

 

「佐藤さん自身がGOサイン出したんだ、別にかまわんだろう?」

 

 アインズ・ウール・ゴウンの出した案に食い付いた佐藤達ALO運営チームも加わった事によりガルガンチュアは元の姿形の面影が一切無い程の魔改造を施されたようだ。

 

「そうですね、明日あたり俺もガルガンチュアに乗って失墜する天空(フォールンダウン)ぶち込もうかな」

 

「明らかにオーバーキルな気がしますが…ならば私も次元断切(ワールドブレイク)を…」

 

「ふっ、ならば俺は大災厄(グランドカタストロフ)を御見舞いしてやろうではないか」

 

 男の浪漫に乗って自身の最大の威力を持つ魔法やスキルを妖精達にくれてやろうと盛り上がる3人、酒を飲むスピードも増し会話に花を咲かせていく、一方盛り上がる3人を余所に酔い潰れてしまったペロロンチーノがなにやら魘されている。

 

「や、やめろぉ…姉ちゃんの声で喋るのをやめろぉ…!!」

 

 夜も深まりそろそろ解散しようかという頃、モモンガの携帯にアインズ・ウール・ゴウンの仲間からのメールが届く。そのメールには妖精達の大侵攻を知らせる旨が書かれていた。

 

「皆さん、妖精達の大侵攻が始まりました」

 

「来たかっ!!俺が追い返してやろう!!!おいたっち・みー!アミュスフィア持ってこい!!」

 

「大声でその名前を呼ぶの辞めてください、酔いすぎです○○さん」

 

「今日はお開きとしましょうか、△△さんは俺が送っていきますんで」

 

「了解。ではまた明日、は無理だな…明後日の夜にでも会いましょう。マスターお勘定」

 

「はいよー!」

 

 酔い潰れたペロロンチーノをモモンガが、ウルベルトをたっち・みーが自宅まで送る。毎週決まってこの組み合わせとなるらしく見慣れた光景であった。

 そしてペロロンチーノを彼の実家まで送ると決まって姉であるぶくぶく茶釜が出迎えるパターンのようだ。

 

「おかえりなさい!モモンガお兄ちゃん!泊まっていく?泊まっていくよね?」

 

「と、泊まりませんから!では!」

 

「ちぇー、じゃあまた明日ねモモンガお兄ちゃん!…おい、起きろ愚弟!」

 

 蹴飛ばされるペロロンチーノ、蹴られた本人が幸せそうな表情となっているのを見届けモモンガは家路に付くのであった。

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