ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》 作:黒雲あるる
10月6日23時18分 ナザリック地下大墳墓第四階層 地底湖
《……32458名no侵入者の存在ヲ確認……迎撃モーどヘ移行……》
地底湖の天井に届きそうな巨体がゆっくりと動き出す、鉄の塊の至る所から大量の蒸気が吹き出して妖精達の視界を遮りその漆黒の巨体を覆い隠していく。
漆黒の装甲に走る無数の翠色の流星。赤く脈動する胸元のコア。某ファンタジーRPGの某召喚獣を参考に魔改造が施された巨大ロボット、ガルガンチュアが侵入者である妖精達に牙を剥こうとしていた。
《………Target Lockon》
突き出た巨大な肩の部分の装甲が音を立てて動き出し変わりにその場所から顔を覗かせたのは弾頭部分にお茶目なアート(ホワイトブリム渾身の力作)が描かれた大量の小型ミサイル群。小型と言っても妖精達にとっては全長は自分達と然程変わらない大きさだ。
《…──Fire》
32458発のミサイル群が一斉に発射され妖精達目掛けて凄まじいスピードで迫る。
「死に物狂いで避けろっ!!」
「「「出来るかぁっ!!」」」
地底湖の空に綺麗な花火が咲き誇る、一撃で死に至る程の威力こそ無いがこのミサイルの恐ろしいところは強烈なまでのノックバック効果だ。弾頭に当たればそのまま地底湖の壁まで一直線、例え避けられようとも対象の近くで爆発するよう設定されておりその爆発を受ければこれまた地底湖の壁まで一直線である。この二段構えの難関を突破するのは簡単なことではないだろう。
では防御魔法を掛けて凌ぐというのはどうだろうか、その場から動けなくなるとは言えノックバック効果を受けずに凌げるというのは有効な手段だと言える、実際今この場でそれを試した者が居た。ではその者がどうなったかと言うと…──他の妖精達と同じ様に壁にめり込むという哀れな姿を晒していた。
「しょ、障壁魔法掛けたのに貫通してくるなんて…」
このミサイル群、なんと魔法を貫通するのだ。どれだけ防御魔法や障壁魔法を重ね掛けしようとまるで其処に何も無いかのように素通りしてくるお茶目なアートの描かれたミサイル群。
──魔法に頼らず己の力のみでこのミサイルを避けてみろ、というアインズ・ウール・ゴウンからの挑戦状である。
では実際に避ける事は可能なのか?その答えは壁にめり込んでいる妖精達の前にすぐに現れた。
《32457発の命中ヲ確認………》
「ウオオオオォォォォッ!!!」
──小規模な爆発が周囲に巻き起こっているその中から飛び出してきたのは一筋の黒い流星。
「キリト君!?」
ブラッキー先生ことキリトである。その類稀なる反応速度と対物ライフルの弾丸すら切り落とす
自身に迫り来るミサイルの弾頭部分に着目するキリト、お茶目なアートは弾頭部分に埋め込まれているセンサー、──対象に避けられた場合に備えて即座に爆発させる為のもの──を隠す為のものだと瞬時に看破する。
しかしそれが分かったとしてもそのセンサーを破壊するのは荒れ狂う強風の中で小さな針穴に糸を通すぐらい無理難題ではないだろうか?しかしこの男はそれすらいとも簡単にやってのけたのだ。
──この男、人間を卒業してしまっているのではないだろうか?
お茶目なアートを切り裂き弾頭部分に聖剣エクスキャリバーを突き立てすぐさま引き抜く、そのまま真横を通り過ぎたミサイルを足場にして踏み込み加速を付け周囲から巻き起こる爆発から逃れたのだ。そのままガルガンチュア目掛け猛スピードで接近する。
(──もっと!もっと早くっ!!)
──しかし、そう易々と接近を許すガルガンチュアではない。
《1名の更なる接近ヲ確認……Phase IIヘ移行…》
胸元の赤く脈動するコアが光り輝き、漆黒の装甲に走る翠色の流星がその色を変え真紅に染まる。
《Energy Charge 完了……荷電粒子砲発射》
胸元のコアから亜光速まで加速された荷電粒子砲が発射されキリトを襲う。
──荷電粒子砲。
様々なアニメやゲーム、映画等でその兵器の名前を聞いた者も多いだろう。そのどれもが強力な兵器として描かれており、勿論このガルガンチュアに搭載されている荷電粒子砲もその名に恥じぬ威力を備えている。
この荷電粒子砲、現実世界でも盛んに研究が行われており理論的には実現は可能である。事実、某大国では試験的ではあるが既に実戦配備されているようだ。どのような仕組み、理論、構造なのかを語るには膨大な時間を要する為此処では割愛させて頂く。
理論的には当たればまず間違いなく蒸発するのだが生憎此処は現実ではなくゲームの中だ、まどろっこしい理論は全て無視されている。
──なんと都合の良い事かと言われるかもしれないがゲームの中でぐらい都合が良くても構わないだろう。
「ウオオオオオォォォッ!?」
荷電粒子砲が右肩を貫きその勢いを保ったままミサイルと同様の強烈なノックバック効果により成す術無く吹き飛ばされて壁に激突するキリト。
「いててっ…レ、レーザーは流石に反応出来ないな…」
まるでレーザー以外ならなんとかなるとも取れる発言をするキリトに駆け寄ってきた仲間達が微妙な顔をする。あんな芸当が出来るのはお前だけだとそれぞれが思うも誰一人としてそれを口にする者は居なかった。
◇◆◇
10月6日23時31分 ナザリック地下大墳墓第九階層 円卓の間
「「「ちょっと何やってるのか良くわかんない」」」
キリトが見せた一連の行動に対して円卓の間で観戦していた支配者達が揃って同じ言葉を呟く。
「あいつ人間やめてないか?普通、猛スピードで迫るミサイルに剣刺せるか?」
「「「(ヾノ・∀・`)ムリムリ」」」
要注意パーティとして認識されていたキリト一行だが、その認識は改められる事となった、キリト一行から『キリト本人』がヤヴァイ危険人物として支配者達に睨まれる事になったのだ。
「プレイヤーネームは…Kiritoだね」
「……黒の剣士か…あの事件以来一躍有名になったよね、この名前」
「今の芸当を見るに本物っぽくね?」
「本物を騙った偽物の可能性の方が高くねえか?」
「……ボクが確認しに行くよ、気になる事もあるし」
(…まさかねー?でもデスゲームを解決に導いたあの子なら出来そうな気はするけど…)
やまいこが教師を務める学校の生徒である桐ヶ谷和人、生徒達の間ではデスゲームを解決に導いた英雄として認識されており、やまいこもその話を生徒達から伝え聞いている。そして授業中に見たあの攻略掲示板、まず間違いなく彼もこのイベントに参加していると考えるやまいこ。
(桐ヶ谷君が参加してるなら結城さんもいるよね、あの2人付き合ってるし)
愛を籠めて創り上げたユリ・アルファをお供にしてラウンジで寛いでいたシャルティアに転移魔法を使用してもらう。シャルティアのユリを見詰める目が妙に血走っているのを不思議に思いつつ第四階層へと転移するやまいことユリ。
「さてとユリ、今日は戦う事はしないから安心して良いよ。ちょっと近くで見たかっただけだから」
「しかし…妖精達が襲い掛かって来るかもしれません!そうなるとボッ…私1人では御身を御守りする事は難しくなります、時間を稼ぎますのでやまいこ様はその間にっ」
転移した先はガルガンチュアの頭頂部。ここからの眺めは絶景だ、大きな楕円形の空洞となっている地底湖の全てを見通すことが出来る、更に常に明るくする為に天井や岩壁には灯りが灯されていた。そして遥か遠くには妖精達の姿。
「大丈夫、そうなったらガルガンチュアが守ってくれるよ、ね?」
まるでやまいこの問いに答えるかのようにガルガンチュアが任せておけと体全体を僅かに動かして応える。
「─おっと、ふふっよろしくねガルガンチュア」
やまいこの言葉に一層気合が入るガルガンチュア、漆黒の装甲の隙間から蒸気が絶え間なく噴出しやまいこ達の姿を覆い隠していく。
「……ガルガンチュア?妖精達の姿が見えないからちょっと落ち着いてくれるかな?」
《──……》
やまいこの言葉に瞬時に噴出させていた蒸気を止めていくガルガンチュア、重低音を響かせどこか気落ちしているかのような印象をやまいこに抱かせる。
「怒ってる訳じゃないよ?ボク達を守る為に頑張ってくれようとしてる君を怒る訳ないじゃない」
やまいこの言葉に一喜一憂するガルガンチュア。胸元のコアはより一層赤く光り輝き装甲を走る無数の流星は虹色に点滅している。
──このいかつい見た目からはまったく想像つかないが仕草は忠犬そのものだ、尻尾があればはち切れんばかりに振っていたに違いない。
「さて、妖精君達はどうするのかな~?」
正反対の位置にいる妖精達だがどうやら作戦会議に入っているらしい。確かにこのミサイルと荷電粒子砲を突破するにはなにかしら策を講じる必要がある、考え無しに突っ込んでも先程と同様に岩壁にめり込むという結果を齎すだけだ。
「追い返さなくてよろしいのでしょうか?やまいこ様」
「う~ん、ボク達が出張ってもいいけど…この子の活躍の邪魔するのは気が引けるし…ここはガルガンチュア君に任せちゃおっ」
◇◆◇
「ミサイルの爆風を利用して一気に近付くって言うのはどうだ?」
「試してみる価値はあるが…問題はレーザーの方だ」
「ああ、ブラッキー先生の話じゃ威力自体は大したことは無いらしいが、しかし強烈なノックバック効果はミサイル同様…との話だ」
「あれだけの高出力のレーザーを連続で撃てるとは思えないが…冷却時間なんかがあるんじゃないか?」
「ミサイルも恐らく再装填時間があると思われる、そこを突くしかないか?」
領主達と一部の妖精達が集まり作戦会議を開いている、キリト達もそれに加わりあの手この手の案を提案しあって、これからいくつか挙げられた作戦を実践してみるようだ。
「……──っ」
ふと作戦会議を開いている者達を一歩下がって笑顔で見詰めていたアスナが何かを思い出したかのように表情を一変させた。
(…そうだ、あの時もこうやって作戦会議を…開いて…キリト君と…)
「ママ?」
──断片的に浮かび上がってくる失われてしまった大切な記憶。
過去、デスゲームと化したSAOを一刻も早くクリアして現実に帰還しようと躍起になっていたあの頃の自分の姿がアスナの脳裏に浮かんでくる。そこで作戦会議に加わっているキリトと口論になったのだとアスナは思い出した。
「アスナ?」
アスナの様子がおかしいとユイに呼ばれたキリトが駆け寄ってくる。
「ママ、大丈夫ですか?」
「あっ、キリト君、ユイちゃん…大丈夫、…SAOにいた頃こうやって作戦会議を開いていたなーってそんな気がして…」
「っ記憶が戻ったのか!?」
アスナの言葉に驚きながらも喜びの感情を露にするキリト。
「うん、まだ断片的なんだけど…あの時、キリト君と口論になったよね?えっと私がNPCを囮にしてーって」
「あぁ…第59層のフロアボスの時か…懐かしいな。あの時のアスナは本当におっかなかったんだよな」
「ええっ!?わ、私そんなに必死だったかな…」
SAOの記憶を徐々に思い出しつつあるアスナ、人によってはその記憶は消し去りたい程に辛い記憶となっているかもしれない、しかしアスナはSAOの出来事の全てが大切な思い出であり忘れて良い記憶は一つもないとそう言ったのだ。
『忘却はより良き前進を生む、SAOサバイバーの多くは辛い記憶を忘れてしまいたいと思っているのではないかね?』
キリトがとある教授に言われた言葉だ。
果たして本当にそうだろうか?過去の辛い事から目を背けて蓋をして、過去の弱い自分を見捨ててその人は本当に前に進めるのか?
キリトは否定する、かつてシノンが過去と向き合い全てを受け入れ前に進めたように、キリトもまた過去と向き合いこうして前に進む事が出来た。
だからこそキリトは過去の自分達を否定し、あまつさえ他者に犠牲を強いる彼等の計画を知った時真っ向から立ち向かったのだ、奪われてしまった想い人の記憶を取り戻す為に、そしてこれ以上の犠牲者を出さない為に。
「でも良かった…記憶が戻って…この調子なら全ての記憶を取り戻せるのもそう遠くないな」
「うん…うんっ!」
目尻に浮かぶ涙を拭いながらキリトの言葉に力強く頷くアスナ。
「よしっ!じゃあ攻略の続きと行こうか!」
しかしこの日以降ガルガンチュア攻略戦は難航する事になる、様々な策を講じてはそれを実践し有効な手段を確立しつつある妖精達。
しかしそれを黙って見ている支配者達ではなかった、その心を圧し折るべくまさに外道と呼ぶに相応しい妨害の数々で妖精達の行く手を阻むのであった。
10月7日21時16分
「唸れ我が秘儀!降りよ究極の災厄!絶望と憎悪の涙を溢せ!──
10月8日20時19分
「
10月9日22時38分
「(*´∀`)つ