ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》   作:黒雲あるる

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第12話

10月10日11時46分 ナザリック地下大墳墓 玉座の間

 

 玉座の間に佇むは美女と形容するに相応しい女性、しかし人間ではないと一目で解る。

 

 腰まで伸びた髪は綺麗に切り揃えられその様は烏の濡れ羽色の如く、腰に生えるは漆黒の天使の翼、こめかみから生えるは山羊の如き白亜の角、縦に割れた虹彩に金色の瞳。それら全ての要素が彼女が人間ではない事を無言で訴えている。

 

「また来たわね…ナザリックの財宝に目が眩んだ妖精(ハエ)共が…」

 

 親指の爪を噛みながら忌々しいとばかりに歯軋りを響かせる女性。彼女の名はアルベド、このナザリックに属している全てのNPCを統べる存在である。

 

「今現在、お父様を含めて至高の御方々は御不在の身…私がなんとかしなければ!」

 

 アインズ・ウール・ゴウンの加入条件は社会人である事と異形種である事が必須条件である、例えギルドメンバーの妹であったとしてもその条件を満たしていなければ参入する事は出来ない。

 

 以上の事からどうしても平日の昼間と言う時間帯には誰もログイン出来ない時がある、その時に備えてアルベドには支配者不在の時に限り全権が委譲されているのだ。

 

「お父様、見ていてください!必ずや妖精(ハエ)共を追い払ってみせましょう!」

 

 決意を新たに玉座の間を後にするアルベド、階層守護者達に召集を掛けながら最前線である第四階層へと向かう。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

同日11時53分 ナザリック地下大墳墓第三階層 地下聖堂

 

 ガルガンチュア攻略戦が開始されてから早くも4日が経過、幾度となくガルガンチュアに挑む妖精達だったが未だにあの巨体を突破する事は出来ていない、それもこれも支配者達による妨害によって撤退を余儀無くされていた為だ。

 

 特に猛威を振るったのは《ワールド》の名を冠するクラスを取得した2人の男。

 

──最強の魔法使いウルベルト・アレイン・オードルの繰り出す超位魔法を凌ぐ威力を誇るワールド・ディザスター固有魔法《大災厄(グランドカタストロフ)》。

 

──最強の騎士たっち・みーの持つワールド・チャンピオン固有スキル《世界断絶(ワールドブレイク)》。

 

 超強力な魔法とスキルの為、1度使用すれば再使用には超位魔法以上のリキャストタイムが課せられている、その時間は168時間。実に一週間は使用する事が出来なくなるのだ。

 

──勿論妖精側にこの事実を知る術は無い筈であったのだが…ある日、何処からともなくふらりと現れたその男、胡散臭い雰囲気を醸し出す音楽妖精族(プーカ)がこう言ったのだ。

 

「ガルガンチュアちゃんはタイミングを合わせればギリギリクリア出来るように設計されてるんだZE★」

 

 更に加えて様々な情報をペラペラと喋っていく音楽妖精族(プーカ)の男、最初こそ誰も信用していなかったのだがその情報が余りにも事細かで如何にもこのナザリックの製作に加わっていなければ知りえない情報らしきものも含まれていた。

 勿論この音楽妖精族(プーカ)の男の言う事を鵜呑みにした訳ではない、妖精達はその情報が正しいのかまずは齎された二つの情報の確認を取る事にしたのだ。

 

──目下最大の壁となっているガルガンチュアのミサイルとレーザーのリキャストタイムについてを。

 

 確かにミサイルとレーザーのリキャストタイムについては調べようと考えてはいたらしい、しかし度重なる支配者達の妨害とNPC達の襲撃によりたった二つの情報を得る事さえ難しい状況が続いていたようだ。

 

 そしてつい先程、手薄となっていた時間を狙って漸くリキャストタイムについて調べる事が出来たのである。結論としては音楽妖精族(プーカ)の男の齎した情報は間違っていなかった。

 

──ミサイルの装填時間は10秒、レーザーについては20秒の充電が必要だと言う事が判明する。しかも1発撃とうが32458発撃とうが撃てば必ずリキャストタイムが発生する仕組みとなっているようだ。

 

 なぜそれらの情報を我々に伝えたのか?その正体について薄々感付き始めていた領主達はその姿を探すも彼の姿は跡形もなく消えた後であった。

 

 仲間達を裏切るような真似をする彼は一体何を考えているのか?我々を罠に嵌めるにしても餌が大きすぎるし見返りを何も求めてこなかった事も不気味である、領主達は警戒は怠らないでおこうと心に決めるのであった。

 

 しかし、ふぁ★しると名乗ったあの男によって齎された情報により、ガルガンチュア攻略作戦に光明が見え始めた事は確かである、そこだけは感謝の言葉を贈ろう。領主達はそう思いつつ新たに考案した作戦用に編成された部隊を第四階層へ送り込むのであった。

 

 平日の昼間という人が集まりにくい時間であるとはいえ、10000人程の妖精が集まり部隊を分けて第四階層へと突入を開始。

 

──妖精達のガルガンチュア攻略作戦が始まった。

 

 まず先行した1000人の部隊がミサイルを発射させて弾切れさせる、次いでミサイルの発射が確認されたと同時に第二次突入部隊1000人が第四階層へ突入、ミサイルが装填されている間に全力でガルガンチュアに接近する。

 

 ある程度の距離を詰めると次に襲い掛かってくるのは荷電粒子砲だ、胸元のコアが激しく発光し接近してきた1000人に対して荷電粒子砲が発射され妖精達に容赦なく襲い掛かる。

 

 しかしこれで荷電粒子砲は20秒間の充電を余儀無くされる。次のミサイルの発射まで残り3秒程だが第三次突入部隊がこれを引き受ける事になっている。

 

 そして本命の第四次突入部隊がその間にガルガンチュアに接近するのだ。この作戦によりこの数日間で最もガルガンチュアに接近した瞬間がやってくる。

 

──いける、後発部隊に後を託して壁にめり込んだままの妖精達の誰もがそう思った。…─しかしガルガンチュアにはまだ最後の攻撃手段が残されていたのだ。

 

 更に距離を詰め魔法の射程範囲内に入ろうかと言うところでガルガンチュアが動き始める。

 

《……1000名の更なる接近ヲ確認。Final Phase へ移行 》

 

 大きく盛り上がっていた両肩の装甲が縦に割れていき中から姿を現したのは胸元のコアと同様の物、しかしその色は赤色ではなく青色に激しく発光している。

 

《Energy Charge 完了………──波動砲 発射》

 

 荷電粒子砲とは比べ物にならないぐらいの極太のレーザーが両肩のコアから発射された。

 

「「「ありなのそれえええええええええええ!!?」」」

 

── 全 滅 。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 …数分後、波動砲により一掃された地底湖にアルベドを始めとした階層守護者達がシャルティアの転移魔法によりガルガンチュアの頭頂部へ続々と降り立つ。

 

「……あら?妖精(ハエ)共がいないわね」

 

 

 悪魔の如き禍々しいデザインの漆黒の鎧に身を包み込んでいる者が侵入者の姿が見えない事に疑問を露にする、女性的なフォルムの漆黒の鎧に身を包んでいるのはアルベドだ、この姿こそ彼女が全力で戦う時の装備となる。

 

──鎧の名はヘルメス・トリスメギストス。

 

 三層構造の作りとなっており一層一層を犠牲にすればどんなに威力があるスキルや魔法だろうと3回まで防ぐ事が出来る鎧となっている。アルベドのスキル構成も防御寄りの構成となっておりこの鎧と合わさって優秀な盾役(タンク)となる。

 

《……──》

 

 ガルガンチュアがアルベドの疑問に答える。ナザリック内で最大の威力を誇る波動砲、それを使い侵入者を撃退したと言っているようだ。

 

「あら…よく追い返しましたねガルガンチュア。御方々が御戻りになられたら貴方の活躍を報告しておきましょう」

 

《……──♪》

 

 ガルガンチュアの言葉に女神の如き微笑みを向けるアルベド、敵に対しては一切の情も持ち合わせない冷酷な一面を見せる彼女だが身内にはとことん甘いらしい。

 

「デハ侵入者ハ第二階層マデ撤退シタカ」

 

 地底湖を見下ろしながらそう言ったのはライトブルーの巨体が灯りに反射して輝いているどこか昆虫を思わせる外見の異形の者。

 

──その者の名はコキュートス、第五階層守護者コキュートスである。

 

「そのようね………戦ってみたいのかしら?コキュートス?──分かっていると思うけれど……」

 

 コキュートスの同族以外では非常に分かり辛い表情が僅かに動いた事を感じ取ったアルベドが制止する。現在至高の支配者達の命令により単独での迎撃は禁じられている為だ、如何に強大な力を持っていたとしても数で攻められればいずれは力尽きる、それが単独での迎撃となれば尚更の事である。

 

「…分カッテイル、出陣スル時ハ武人建御雷様ト共ニト決メテイル」

 

 今この場での最善策はこれまでと同様にガルガンチュアと共に第四階層で迎え撃つ事だ。ガルガンチュアの強力な援護射撃にNPC達が加わればおいそれと突破する事は出来なくなるのだから当然の話である。

 

「…至高の御方々が戻られるまで我等で妖精(ハエ)共を食い止めましょう。…既にるし★ふぁー様が犠牲となられてしまっている現状我等はこれ以上の失態を犯す訳にはいかないのよ、気を引き締めなさい階層守護者達」

 

 アルベドの言葉に緊張感の孕んだ空気が守護者達の間に立ち込める。アルベドの言うとおり至高の41人の1人である、るし★ふぁーは妖精達の刃に倒れてしまったのだ、本来ならば彼女達守護者が身を挺して守らなければならなかったのだが、ぷにっと萌えの命令により一切の助太刀を許されなかった彼女達は断腸の思いでるし★ふぁーの最期を見届けたのである。しかしここで守護者達の間にある疑問が浮かび上がってくる。

 

──そして、それは彼女達AIにとって決して考えてはならない事でもあった。何故ならそれは誰にも証明する事の出来ない〝悪魔の証明〟に繋がるのだから。

 

「…アルベド、なぜグラントはるし★ふぁー様と共に前線に行ったのか分かるかね?」

 

 デミウルゴスがアルベドに問う、その内容とはぷにっと萌えに『助けるな』と命令されたにも関わらず、るし★ふぁーの命令に従い前線に向かった事だ。

 

「…確かにそうね…至高の御方々の命令は絶対…ぷにっと萌え様の命令を守らねばならないというのに…──いえ、るし★ふぁー様の命令も同様…何故?何故?何故?何故?」

 

──それは矛盾であった。ぷにっと萌えの『助けるな』の命令に対して、るし★ふぁーの『助けろ』という命令。

 

 どちらの命令を優先すべきなのか?否、彼女達NPCにとって2人の命令はどちらも遂行しなければならない事だ。ならば今回はどうすべきなのだ?簡易的なAIならば何ら疑問に思うことなく後に命令されたるし★ふぁーに従うのだろう、しかし彼女達のAIはより複雑な思考を可能とした高性能なAIである。

 

 より人間に近い思考を持ってしまったが故に気付いてしまった矛盾。考えど考えど答えが出る事はなく無数のエラー群が階層守護者達を汚染していく。

 

 動きの止まった階層守護者達、自己防衛機能が働いたのかまたは異変を感知した《カーディナル》が修正を施したのか、エラーによって汚染されてしまったプログラムを修正した結果、其処に生まれたのは…《カーディナル》すら予測できなかったモノだ。

 

─人間にとっては至極当たり前なもの、それは『自我』の芽生えであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

《新生アルヴヘイムオンライン コラボイベント攻略スレ》Part36

 

 

891 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

おいおい、おいおいおいおいおい

 

 

892 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

落ち着け、『おい』しか言えてないぞ

 

 

893 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

いやー、たまげたね。どうすんのあれ?

 

 

894 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

∩(・∀・)∩ お手上げ侍

 

 

895 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

ミサイル、レーザーときて更に極太のレーザーと来たか。流石やでアインズ・ウール・ゴウン

 

 

896 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

( ´_ゝ`) 流石だよな俺。←今頃あの音楽妖精族(プーカ)こう思ってる筈やで

 

 

897 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

くっそーあの野郎、三段構えなの隠してやがったな

 

 

898 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

元々信用出来ない人物だったんだから、信用する方が間違ってるって

 

 

899 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

あ、ごめーん★伝えるの忘れちゃってた(∀`*ゞ)テヘッ

 

 

900 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

テメェエエエエエエエエ!!!

 

 

901 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

まー今までで一番接近出来たんだし後は極太レーザーの充電時間調べりゃいけるっしょ

 

 

902 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

だといいけどねー

 

 

903 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

今ちょっと第四階層覗いてきたけど、ちょっと無理くせぇぞこれ

 

 

904 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

どした?

 

 

905 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

NPC達が出張ってきてる

 

 

906 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

はい、解散。お疲れ様でした。

 

 

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