ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》 作:黒雲あるる
10月16日21時58分 ナザリック地下大墳墓第五階層 氷結牢獄
「スイッチィッ!!」
「デデーン!キリト-タイキックー!!」
手に持っていた宝箱を前を飛ぶエギルに投げ渡すキリト、直後に自身に対してふざけた台詞と共にタイキックが放たれたのを見て即座に受け流しの体勢を作る、しかしこのタイキックの威力がかなり高くキリトの体力ゲージが半分以上削られてしまった。
「任せろっ!」
投げられた宝箱を後方を振り向いて受け取ったエギルがキャッチし前へ進む、先程から同じ様なやりとりを行いつつ迫り来るゴーレム達を上手く避けながら氷結牢獄の出口を目指す一行。
当初は足を止めて倒してから戻ろうとしたキリト達だったが如何なる攻撃を加えようとも謎のポージングの前に全ての攻撃が無力化されてしまい相手にするだけ無駄だと言う事を悟った一行はこうして鬼ごっこを強制的にやらされていた。
ユイの解析によるとどうやらあのポージングをしている間は無敵状態になるらしい、るし★ふぁーはとんでもない物を置き土産にしていったようである。
「ホンット気持ち悪いわねこいつら!!」
シノンが心の底からの嫌悪感を口から吐き出していく、女性陣にとってはほぼ全裸の筋肉だるまが追いかけて来てるのだからちょっとしたホラーだろう。
「エギル!!左だ!!」
「──やべっ!!スイッチィッ!!!」
「応っ!!」
「ハークイシバレー!イクゾー!」
キリト達を包囲するべく左右から複数のゴーレムが猛ダッシュして左右に躍り出ると同時に繰り出された某年末番組でのド定番のビンタがエギルを襲うも間一髪のところで宝箱をクラインに投げ渡す事に成功する、しかしその代償としてエギルはビンタの一撃をまともに受けてしまい吹き飛ばされてしまった。
「ぬおおおおお!!」
「エギルさん!!」
瀕死のエギルに即座にアスナが回復魔法を施す、宝箱を持っている者と邪魔をした者以外には見向きもしないのでこうやって安全に回復を行える事が救いだろうか。
「いってて…あの問題児め…とんでもないもん遺していきやがって!」
「皆もう少しで出口だ!リズ!スグ!扉を開けてくれ!!」
「任せて!」
「分かった!」
「キリの字!スイッチィ!」
キリトの言葉を受けリズとリーファが先行して扉を蹴飛ばして開け放つ、そしてクラインから宝箱を受け取ったキリトが幻惑範囲魔法を唱えてゴーレム達の隙を作り出しその間に開け放たれた扉を潜り抜ける事に成功した。
「此処まで来れば大丈夫か…?」
即座に後方を窺うキリト、しかしその希望的観測は脆くも崩れ去る。扉を渾身のタックルで粉々に破壊したゴーレム達が様々なポージングを決めながら外に出てきてしまったのだ、となると恐らくこのナザリックから脱出するまでこの逃走劇は続くのだろうとキリトは辟易としながら溜息をつく。
「……で、ですよね…皆逃げるぞ!」
「ガッデム!!!」
◇◆◇
10月16日22時13分 ナザリック地下大墳墓第五階層 氷河
凄まじい速度で氷河の空を駆け巡るシャルティアに蹂躙されていく妖精達、何とかその動きを止めようとするもシャルティアの動きをフォローするべくアウラやマーレ、デミウルゴスの軍勢がそれを阻む。
──そんな時、ふと眼下から響いた大きな爆音にその場にいた全員が視線を移す。
「な、何アレ…?」
「体中から湯気出てる……」
「へ、変態だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ソウデス、ワタシガヘンナオジサンデス」
何度もテレビで聞いた事のある台詞を放つ10体のゴーレム達、当然妖精達はナザリック側の敵NPCなのだと当たりをつけるのだが、それはアルベド達も同じであった。
「見覚えの無いシモベね…
ナザリックに属する全てのシモベを把握しているアルベドだがあのようなシモベは見た事が無い、ならば妖精達の使役する魔獣か何かだろうかと推測するもそれも間違っているとすぐに理解する。
ポージングを解いたゴーレム達が同じく氷結牢獄から出てきたキリト達を追い掛け始めたからだ。しかしだからといって味方であるとは限らない、今のところその矛先はキリト達に向けられているが、下手に手を出してこちらに標的を変えられては面倒な事この上ない。
ここは静観するべきと結論を出したアルベドが指示を出そうとするも…、キリト達の姿を発見したシャルティアが後先考えずに我先にと突撃を敢行する。
「見つけたでありんす!」
「ま、待ちなさいシャルティア!──あのバカ!」
「げえっ!?」
「こ、こんな時にっ!!」
アルベドの制止の声も聞かず特攻したシャルティアが加わった事により、キリト達は絶体絶命の窮地に陥ってしまう。
「くそっ!!」
「ど、どうしようお兄ちゃん!」
背後からはゴーレムが、前方からはシャルティアが迫りこのままでは全滅は必至。どうにか撒けないかと周囲を見渡すも味方である妖精達は広範囲に散らばり各個撃破されている為応援は望めないだろう。
──最早これまでかと思ったその時、夥しい数の巨大な矢がゴーレム達に次々と命中しバランスを崩して顔面から氷河の地面に沈み込む。その矢に見覚えがあったキリト達、飛んできた方向に視線を向けると其処にはコラボイベント開始初日に刃を交えたペロロンチーノの姿と…。
「この俺の矢からは逃れられな「黙れ弟」あっはい…シャルティア!戻れ!」
「は、はいでありんす!」
──モモンガを筆頭とした支配者達の面々の姿があった、即座にその姿を認めたアルベドが駆け寄っていく。
「お父様!モモンガ様!なぜ出て来られたのですか!?」
「話は後だアルベド、今はあのゴーレムをどうにかしなければならん」
「し、しかし!」
「説教なら後で幾らでも聞こう、解ってくれアルベド、アレを放って置く訳にはいかんのだ」
「──っ……わ、分かりました…」
有無を言わせぬタブラ・スマラグディナの言葉に渋々と言った様子でアルベドが従う、そして創造主が向けている視線を辿るとその先には倒れていたゴーレム達が丁度起き上がろうとしている場面であった。
「あのゴーレム達は一体…お父様は何かご存知なのですか?」
「ああ、あれはるし★ふぁーがこのナザリックを陥落させる為に創り上げたゴーレムだ」
「なっ!?る、るし★ふぁー様が謀反を!?」
タブラ・スマラグディナの言葉に衝撃を受けるアルベド、実際のところるし★ふぁーはあのゴーレム達を用いて妖精やナザリックに悪戯しようとしていたので強ち間違いという訳ではない、しかしその思惑も理由は分かっていないがあのゴーレムが暴走した結果、るし★ふぁーの計画は未然に防がれたので不幸中の幸いと言える。
しかし問題はまだ残っている、キリト達を逃がす為にもあのゴーレム達の矛先をこちらに変更しなければならない。どれだけの実力を持っているのか現段階では分からないがこれだけの戦力が集えば然して問題は無いだろうとタブラ・スマラグディナは推測する。
「しかし…妖精達も相手しつつあの実力の分からないゴーレムも相手にするのは少々骨が折れますね」
「大丈夫だよモモンガさん。どの程度の実力なのか殴ってみればすぐに分かるよ」
「………そ、そうですね」
やまいこの殴れば分かるさ理論にタジタジになりつつキリトにアイコンタクトを送るモモンガ、それに気付いたキリトが頷き仲間を伴って再び動き始める。
「デデーン!ペロロンチーノアウトー」
「はぁ!?」
どうやら攻撃してきた者に対して報復するように行動が設定されているらしい、この性質を利用すればキリト達からゴーレム達を引き離す事も可能だろう。
「出番ですよぶくぶく茶釜さん!」
「まっかせてよモモンガお兄ちゃん!」
ぬいぐるみの体を器用に動かし胸を張るぶくぶく茶釜、その両手に盾を装備しペロロンチーノに迫る10体のゴーレム達に立ち向かって行くが走る際に『ポヨンポヨン』となんとも可愛らしい効果音を発しながら駆け出していくその後ろ姿に仲間達からは堪えきれない笑いが零れていた。
(は、恥ずかしい…!!!)
「ウルベルトさん、タブラさん!守護者達と共に妖精達の相手をお願いします、遠慮なくやっちゃっていいですから!指揮はぷにっと萌えさんにお任せします!」
「ふふっ、任されたぞ」
「お任せを」
「ナザリックの諸葛孔明と呼ばれる所以、妖精達に教えてあげるとしましょうか」
頼もしい台詞と共に守護者達、そして数人の支配者達も加わり妖精達と対峙するべくモモンガ達から離れていく。
「たっちさん、ぶくぶく茶釜さんと一緒にヘイト管理任せます!弐式炎雷さん、武人建御雷さん!強烈な一撃期待してますよ!」
「承知したモモンガさん」
「よっしゃ!任せろ!」
「応っ!!」
モモンガの迅速且つ冷静な采配により即座に動く支配者達、その動きには一切の迷いは無くモモンガを心底信頼して動いているのが分かる。
「やべっ!こっち来た!!」
ペロロンチーノに迫るゴーレム達、近付けさせないように更なる追撃の矢を放つも例のポージングにより一切合切が無効化されてしまう。
「ちょっ!タ、タンマ!」
「コイヨペロロンチーノ!ユミナンテステテカカッテコイ!」
「下がれ弟!」
瞬時に距離を詰めてきたゴーレムの一体が渾身のタイキックを放つがそれはぶくぶく茶釜の盾によって防がれる、しかし攻撃を防がれたにも関わらずゴーレムのターゲットは未だにペロロンチーノに向けられていた、やはり攻撃してきた相手に一撃を入れないと気が済まないらしい。ぶくぶく茶釜としては別に弟がどうなっても構わないのだがモモンガの指示となると話は別のようだ。
「ヨユウノキンニクダ、バリキガチガイマスヨ」
「大先輩の台詞使って何言ってんの!?」
尚もペロロンチーノに向かおうとするゴーレムをぬいぐるみの小さな体で押し留めようと力を籠めるもずるずると後退するぶくぶく茶釜。その間にも他のゴーレム達はぶくぶく茶釜を無視してペロロンチーノへ殺到する。
「ぐぬぬっ…!!」
確かに彼女1人では1体のゴーレムを相手にするのが精一杯だ、しかし今此処にはナザリックの支配者(1名除いて)が全員集まっている、1人でダメなら、──全員でやれば良い。
「此処から先は通行止めですよ」
──その背には『正義降臨』の四文字のエフェクトが浮かんでいた、──ちなみに一文字50円である。
鎧や盾と同じ純白に染まった剣を鞘から引き抜き構えるたっち・みー、その剣の名は《ワールドチャンピオン・オブ・アルヴヘイム》。ギルド武器にも匹敵する力を持つ剣と鎧を持ったこの男の前ではどれだけ腕に自信を持とうが太刀打ちする事は出来ないだろう、対抗するには同じワールドチャンピオンの職業を取得している者でないと止められない。
そして、仁王立ちするたっち・みーに並んで前衛職の支配者達がずらりと並ぶ。──弐式炎雷、武人建御雷、ヘロヘロ、ぬーぼー…、頼もしい前衛職達の後方に控えているのがモモンガ達後衛職の者達だ。
「さあ、皆さんいきますよ!」
「「「「了解!!」」」」
◇◆◇
「…黒の剣士一行は行ったみたいだな」
──ウルベルトが遥か遠くに見える転移装置へ向かうキリト達を見ながら呟く。
「そうですね、あのゴーレム達さえいなければ出口までは然程難しくない道程でしょう」
ウルベルトの呟きに反応したぷにっと萌えがそれに答える、モモンガに指揮を託された彼は妖精達の猛攻を凌ぐべく迅速に陣形を構築させていく、仲間達もモモンガに匹敵する指揮能力を持つぷにっと萌えに全幅の信頼を置いている為、その指示に何ら不満を抱く事も無くテキパキと指示通りに動いていく。
「アルベド、タブラさんの超位魔法で妖精達を一網打尽にする為に妖精達をなるべく一箇所に集めなければならない、守護者達を率いて私の指示通りに動いてくれ」
「はっ!」
「おい待てぷにっと萌え、俺も魔法を撃ちたいのだが…」
「《
「ぐぬっ…あと12時間程必要だ……」
「では超位魔法を発動するまでの1分間、足止めと妖精の誘導に専念して下さい」
「ちくしょう!分かったよ!」
「…では、タブラさん」
「了解した」
タブラ・スマラグディナの足元に巨大な魔方陣が展開されていく、10体のゴーレム達に注目が集まっていた事もあり余り注目されていなかったのだが、巨大な魔方陣の中心に立つ彼の姿に妖精達が気付きその姿にドン引きしていた。
──頭は
「ナザリックは変態しかいないのかよ…」
妖精達の呟きが耳に届いたのか、誘導に専念していたウルベルトがそれに反応する。
「あんなのと一緒にするな!!俺は変態では無いぞ!」
軽く口論しながら妖精達の攻撃を上手く避けつつ誘導していく支配者達と守護者達。タイミング悪くユージーン含む領主達は少し前にシャルティアにやられてしまっており現在はこちらに向かっている最中であった、指揮する者が居らず纏まりのない集団等ぷにっと萌え達の敵ではない。
「……──今です」
「………
──剣の舞が咲き誇る。