ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》   作:黒雲あるる

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インフルA型に掛かってくたばっておりました( ⁰▱⁰ )






第22話

10月27日21時32分 ナザリック地下大墳墓第八階層 荒野

 

 見渡す限りの荒野が広がる第八階層、動く事の無い夕日が照らすその荒野には自動POPするモンスター達の姿は無く草木の一つも生えていない。その光景はまるで戦争によってこの世のありとあらゆる文明が滅び去り全てが砂に帰った死の世界を妖精達に連想させた。

 

 そして此処第八階層はナザリックの者達にとっても、嘗てナザリックに攻め込んだ事のある者達にとっても特別な意味を持つ場所でもある。

 

 アインズ・ウール・ゴウンの面々にとってはこの第八階層が最終防衛ラインであり此処を突破されると言う事は即ちナザリックの崩壊を意味する、そしてナザリックに攻め込んだ者達にとっては、嘗てこの第八階層で朽ち果てる結果を齎した場所でもあるのだ。

 

 ちなみに今でもその際に撮影された映像はインターネット上に無数にUPされておりかなりの再生数を記録しているようだ、更に当時は違法改造なのではないかと公式アカウントにメールが殺到しパンクするほどの騒ぎになったという。

 

 そして、攻略に加わらなかった者はUPされた映像を見てその姿を目撃し、またある者は一瞬で満タン状態のHPを奪われホームポイントに戻る僅かな時間にその姿を目に焼き付けて、またある者は次々と倒されていく仲間達を呆然とした様子で眺めながらその姿を美しいと見惚れ、自分の順番が来るまで無我夢中でSSを撮り続けていた。

 

──各々の脳裏に焼き付いて離れないその存在の内の一体が今、再び彼等の前に降臨する。

 

 機械の部品が寄り集まって形作られた三対六枚の翼、女性らしい丸みを帯びた機械仕掛けの体とアルベドとニグレドに似た美しい顔を持つそのNPCの名は、ルベドと言う。

 

 ニグレド、アルベド姉妹に続く三番目の姉妹として姉達とはまったく違う方法によって創造されたルベド、その実力はワールド・チャンピオンであるたっち・みーをも凌駕しており〝個〟としてはナザリック内で最強を誇っている。1500人の大侵攻の際にも〝第八階層のあれら〟と呼ばれている存在達と至高の41人と共に迎え撃ったルベドはその驚異的な実力で侵入者達を蹴散らしナザリックの防衛に貢献したのだ。

 

「出やがったか…」

 

 当時の事を覚えていた妖精が夕日を背にこちらを無表情で見詰めるルベドを見て呟く。しかしあの時と違って今回はルベドしか見当たらない、その点では心底ほっとした様子であった。そのルベドが侵入者達である妖精達の姿を捉え無表情だった美しい顔に変化が現れ明確な敵意を妖精達へ向ける。

 

「来るぞっ!!」

 

 キリトが剣を構え周囲の妖精達に警戒を促すがそれよりも早くルベドが動き始める、巨体ゆえの重さを一切感じさせない、否、まるで瞬間移動したかのように妖精達の視界から消え失せ、キリト達から少しばかり離れた位置に出現するや否や右手に持っていた剣を横薙ぎに振り抜く。

 

──たったそれだけの動きだ。

 

 妖精達から見ればなんて事は無い唯の通常攻撃に見えるその攻撃で、範囲内に居た全ての妖精達が──全滅した。

 

「……はっ!?」

 

「おいおいありかよそれ!?」

 

「まさか弱体化もせずに実装したんじゃないだろうな運営!?」

 

 弱体化ギミックの効果によりバフを掛けての通常攻撃や魔法またはスキル等ならモモンガ達でも十分に可能ではある、だが唯の通常攻撃で一撃で死ぬような攻撃を繰り出す事は今のモモンガ達では不可能となっている、だがルベドにとってはそれは当て嵌まらないようだ。

 

 元々の攻撃力が強すぎるせいで弱体化ギミックの効果を受けていたとしても全ての攻撃手段の威力が軽く妖精達の体力ゲージの上をいっているからだ。過去の1500人の大侵攻の際も《ユグドラシル》プレイヤーを一撃で死に追いやっていたルベドの攻撃力がそっくりそのままこのイベントに反映されているのである、モモンガ達でさえ耐えられないものに妖精達が耐えられる筈が無い。

 

「やるしかないっ!皆絶対に攻撃を食らうな!!」

 

 キリトが檄を飛ばすもルベドの瞬間移動に等しい移動速度に反応出来る筈も無い、次々と一撃で成す術無く倒されていく妖精達。

 

「くっそぉ!早すぎて攻撃すら出来ねぇぞッ!!」

 

「もうこいつがラスボスで良いだろ!?」

 

「\(^o^)/オワタ」

 

「落ち着けお前達っ!」

 

 縦横無尽に荒野の空を瞬間移動し攻撃を繰り出すルベドによってすっかり統率は乱れに乱れてしまい、このままでは全滅するのも時間の問題だろう。

 

 この状況を何とか打開する為にルベドを監視していたキリト。攻撃のモーション、移動するときの動作に攻略の糸口となるヒントは無いかと必死に目を凝らしてその姿を追うがキリトの反応速度を以ってしてもルベドの移動速度はそれすら上回っており残像を追うのがやっとであった。

 

「くそっ!ダメだ!早すぎて目で追いきれない…!」

 

 目で追うのが出来ないのならば他の手段を模索しなければならない、第七階層に新たな転移装置があるとは言え、溶岩地帯という灼熱のスリップダメージの中を潜り抜けて来なければいけない事を考えるとそう何度も全滅するのは控えたいと考える妖精達。

 

 そうこうしている内に妖精達の人数も減り徐々にキリト達の元へルベドが近付いて来ている、そして四苦八苦するキリトや指揮を取るのに必死な領主達にもついにその矛先が向けられるのであった。

 

「ッパパ!!」

 

 寸前でルベドの攻撃を察知したユイが胸ポケットから上半身を出して警告を促すも、その声と同時にルベドがキリト達の目の前に出現、幾多の妖精達を一撃で葬り去った剣の一撃がキリト達を襲おうとしていた。

 

「──マ、マズッ!!」

 

 次の瞬間に自らを襲うであろう衝撃に備えて目を瞑り身構えるキリト達、しかしその瞬間がキリト達を襲う事は無かった。

 

「………あ、あれ?」

 

 恐る恐るといった様子で片目を開けて目の前の様子を探る、すると真っ先に飛び込んできたのは目と鼻の先に突き付けられた剣の切っ先であった。

 

「──くっ!」

 

 思わず後方に飛び退いてルベド本体を視界に収める位置まで下がるキリト達、そして明らかになるルベドの全体像、剣を振り抜こうとしたモーションのまま微動だにしないルベドの姿が其処にはあった。

 

「…な、なんだァ?急に止まったぞ?」

 

「これは…?」

 

 突然の出来事に困惑の色を隠せない妖精達、一体ルベドの身に何が起きたのか?誰一人として言葉を発せない中、逸早く状況を整理し動き始めたのはサクヤであった。

 

「チャンスだっ!!罠である可能性も否めないがこの好機を逃す手は無い!!皆掛かれっ!!」

 

「あ、ああ!」

 

「よっしゃー!やったるぞ!!」

 

「「「突撃ーーーー!!!」」」

 

 サクヤの言葉を受け突撃を敢行する妖精達、確かにサクヤの言うとおり動きの止まった今がチャンスなのは間違いないだろう。再び動き始める前に出来る限りのダメージを与える、今やらなければならない事は其れを置いて他には無い。だがサクヤは考える、果たして彼等(・・)がこんな無防備な状態のルベドを放置したままにするだろうかと。

 

「………私の推測が正しければ──」

 

「…サクヤちゃん?」

 

 勘の良い者やゲームに慣れた者ならばルベドが突如としてその動きを止めたその理由に辿り着けるかもしれない、そしてサクヤもまた重度のゲーマーとしてだけでなく優秀な頭脳も併せ持っている、そんな彼女が答えに辿り着くのに然して時間は掛からなかったようである。

 

──彼女の推測が正しいのならば…、ルベドを守る為に必ず彼等が来るだろう。

 

「………此処から先は私達がお相手しよう」

 

「…やはり来るかっ!!アインズ・ウール・ゴウンッ!!」

 

──上空から聞こえたその声に妖精達が夕空を仰ぐ。

 

 飛来するは六体の巨大な影、ルベドを守るかのようにその周囲に着地した彼等はすぐさま戦闘行動に移る。

 

「さあ往くぞ!!戦いは此処からだ!!」

 

 たっち・みーを筆頭にした六体のラスボスが降臨し戦闘を開始する、ルベドを巡る戦いはより一層激しさを増していくのであった。

 

 

 

 

 

──コラボイベント終了まで、あと四日。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

10月27日21時38分 ナザリック地下大墳墓第九階層 円卓の間

 

「皆さんそろそろ三分経過します、準備はよろしいですか?」

 

「ええ、何時でもどうぞ」

 

「わらわも何時でもいけるでありんす」

 

 映像に映し出されているルベドの様子を逐一確認しながら転移門(ゲート)を開くタイミングを窺うモモンガとシャルティア、そしてルベドがキリト達の目の前で動きを止めたのを確認した後、瞬時に転移門(ゲート)を唱えたっち・みー達を第八階層へと送り込む。

 

「御武運をっ!!」

 

「行って来るぜモモンガさん!」

 

「よっし、暴れてくるぞー!」

 

「御武運をお祈りしてるでありんす!!」

 

 意気揚々と転移門(ゲート)に雪崩れ込む六人の支配者達、転移門(ゲート)を閉じ再び映像に注目するモモンガ達の目にはキリト達と対峙するたっち・みー達の姿が映し出されている。

 

「さて後は最終日まで此処で足止めしなくてはいけませんね」

 

「そうですね、…しかしもう少し時間が欲しかったですよ、せめて四…いや五分は欲しいところでした」

 

「まぁまぁ…これ以上我侭言えばルベドまで出禁食らっちゃいますよ、それに他ならぬタブラさんの提案なんですから」

 

「…まぁそうなんですが」

 

 モモンガが愚痴を口にするぷにっと萌えをやんわりと宥めつつ、イベントが始まる前に佐藤達がナザリックを訪れた時の事を思い出す。

 

8月25日 ナザリック地下大墳墓第九階層 円卓の間

 

 ギルドメンバー達を交えての会議は順調に進んでいく、しかし第八階層に配置されているNPC達のところで順調に進んでいた会議は止まる事になる。

 

──そう、ナザリックの秘密兵器である〝第八階層のあれら〟とルベドの調整と交渉が難航したのだ。

 

 過去の1500人の大侵攻の際も違法改造だと苦情のメールが殺到した事を考えればそう簡単にイベントに登場させる訳にはいかないとして佐藤達は〝第八階層のあれら〟は規制するか、または大幅な弱体化を施してからの実装のどちらか、そしてルベドだけは個体と言う事もあって制限付きで実装しても良いという条件を提示する。

 

──勿論モモンガ達は抗議した。

 

 秘密兵器でもある〝第八階層のあれら〟を大幅な弱体化を施して登場させたとしてもそれは最早秘密兵器とは呼べないし呆気なく撃破される姿も見たくはない、強さはそのままに制限時間を設けるなどして調整出来ないかと佐藤達に交渉するもそれは難しいと佐藤はきっぱりと否定する。

 

 一体だけならまだしも複数存在する〝第八階層のあれら〟を強さはそのままに実装してしまえばハッキリ言って攻略は不可能に近くなるからだ、制限時間を設けたとしても攻略するには膨大な時間を要してしまうのは明らかであり、しかも第八階層まで到達したとなればイベントが始まってからかなりの時間が経過していると予測される、残り時間が少ない中〝第八階層のあれら〟と戦闘して攻略が間に合わないと判明すれば妖精達が諦める恐れがあるし運営会社にもマイナスイメージがついてしまいかねない、それだけは何としても避けなくてはならないのだ。

 

 佐藤の言葉にモモンガ達は、渋々と言った様子で了承する、そして会議の内容はルベドに移り変わる。〝第八階層のあれら〟と同様にルベドもまた扱いに困るNPCであると佐藤は苦悩する、唯一の救いは複数では無く個である事だろうか、それでも圧倒的な実力はどうにかしなければならない問題である事に変わりは無いのだが。

 

『佐藤さん、一つ私から提案があるのだが』

 

 悩める佐藤にルベドの創造者であるタブラ・スマラグディナが一つの提案を提示する、その内容は驚きの内容であり佐藤にとっては魅力的な提案に思えるものであった。

 

 一つ、稼働時間は3分。

 

 二つ、稼働時間を過ぎれば強制的に機能停止状態となり、再度稼動させるには30分の冷却時間が必要となる。

 

 佐藤が提示しようとしていた条件よりいくらかナザリック寄りにはなっているが、それでも今までの条件に比べたら破格である。

 

 提示された条件にモモンガ達も驚いており本当にそれでいいのか?と何度もタブラ・スマラグディナに確認しているが本人は問題は無いと言い放つ。そうでもしないとこのままではルベドまで出禁になる、三姉妹全員をどうしてもイベントに連れて行きたかったタブラ・スマラグディナ苦肉の策であった。

 

 こうしてルベドは大幅な弱体化は免れたものの三分という時間制限が加えられ妖精達の前に舞い降りる事となったのだ。

 

10月27日

 

 たっち・みー達六人のラスボスとの激戦の最中に、ルベドの活動時間に一定の時間が定められている事に気付いたサクヤにより、ルベドが動いている間は回避行動を優先しつつラスボスを徹底的に叩く作戦に出る、この作戦によりたっち・みーを除いた五人のラスボスが撃破されルベド本人にも二割程のダメージが刻み込まれる。

 

──コラボイベント終了まで後四日。

 

10月28日

 

 前日と同様の作戦を展開しつつルベド攻略を狙う妖精達、しかし活動停止したルベドを攻撃しようとした妖精達を突如として襲った無数の矢がそれを阻む。この攻撃によりルベドへの攻撃を断念、この攻撃の発生源であるペロロンチーノを撃破しに向かうもそれこそナザリックの軍師ぷにっと萌えの罠であった。見晴らしの良い荒野へ誘い込まれ四方八方から魔法、スキルが妖精達を襲いトドメに再び活動を再開したルベドにより全滅を喫する妖精達、しかし諦める事の無かった妖精達は再び侵攻を開始し結果として、チグリス・ユーフラテス、ばりあぶる・たりすまん、ベルリバーが撃破されルベドに三割のダメージが与えられる。

 

──コラボイベント終了まで後三日。 

 

10月29日

 

 あまのまひとつ、死獣天朱雀、獣王メコン川の三名及び二人のラスボスの撃破、ルベドに一割のダメージが与えられる。

 

──コラボイベント終了まで後二日。

 

10月30日

 

 最終日前日、ルベドの残りの体力は四割を切り増援に現れたウィッシュIII、ガーネット、ク・ドゥ・グラースが撃破される、そして連日に渡って妖精達を苦しめ続けたルベドがついに最期を迎えようとしていた。

 

 ナザリック最強の戦力として特殊な方法で生み出されたルベド、後に公表された様々なデータによると最も妖精達を倒した存在として記録されていたようである、ちなみに二番目に倒した数が多かったのはモモンガだったという。

 

 そしてコラボイベントは遂に最終日を迎える、ここまでモモンガとぷにっと萌えのスケジュール通りに事は進んでおり後は有終の美を飾るだけである、…しかし彼等は一つだけ忘れている事があった。

 

 自動受注以来全く動きの無かったサブクエストの存在を。

 

 人知れず静かに胎動を始めていたサブクエストの存在を。

 

 

 

 

 

 それがモモンガ達に何を齎すのか、それを知っているのは現状《カーディナル》ともう一人…。

 

 

 

 

 

《生贄》クエスト進行度…98%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






もう粗方やりたい事やり尽くしたんで巻き巻きで行くぞい、…やり残しないよね?無いな、うん。


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