ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》   作:黒雲あるる

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憶測や捏造で書かれているところ(特にワールドアイテム)があります、今後原作の中で詳しい効果が判明し、作中の効果と違っていたとしてもここでは作中の効果を適用致します、ご了承下さい。




今更ですが戦闘BGMは劇場版ソードアート・オンライン-オーディナルスケール-のラスボス戦。

異論は認めないいいい!!(๑・ .̫ ・๑)





最終話

 ナグルファルから伸び出た無数の骨の手が玉座の間に居たモモンガ達やキリト達を拘束しその動きを奪う、その様は蜘蛛の巣に引っ掛かってしまった哀れな獲物の様だ。

 

「──う、動けないっ!!」

 

 各々が全力で力を籠めて脱出を図ろうとするも骨の手は微動だにせず、更に拘束から抜け出そうともがいている者達に暴れるなと言わんばかりに締め上げていく。

 

「こ、このまま絞め殺す気かっ!?」

 

「……いや、こいつまさか…」

 

 このまま絞め殺すのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。締め上げる力が止まり、代わりに動き出した者達が居た、フェンリルとヨルムンガンドだ。先程までの目にも留まらぬ速さとは違い今度はゆっくりとモモンガ達に近付いていく。

 

「嬲り殺しにする気か…っ!!ヘルヘイムに追いやられて当然の性格だなクソがっ!!」

 

 ヘルの思惑に気付いたモモンガが悔しさを滲ませながら真相に辿り着く、このまま一人ずつ順番に噛み砕いていくつもりなのだ、何と悪趣味な女だろうか、そんな性格だからヘルヘイムに追いやられるんだと悪態をつく。

 

(何か…何か手は無いのか!)

 

 だがそんな悪態をついても状況は良くはならない、必死に頭を捻って何か起死回生の一手は無いかと思案するモモンガ、そしてタブラ・スマラグディナとぷにっと萌えも同様に頭脳をフル回転させるが全員が拘束されているのであれば最早手の打ち様が無いのだ、ロイヤルスイートに一般メイド達が残っているが戦える力は持っていない、今この場にいるアルベドやシャルティアが最後の戦力なのだ、しかしそんな彼女達も骨の手に拘束され身動きが取れない状態であった。

 

「モモンガさん!!」

 

「モモンガ様!!」

 

 キリトとアルベドのモモンガを呼ぶ声が玉座の間を駆け巡る、しかしモモンガは応えたいのに応えられないでいた、彼の目の前に立ち見下ろすその怪物のせいでそれが出来なかったのだ。鋭く伸びた牙、憎悪の炎が絶えず噴出している大きな口と眼。

 

──フェンリルがヘルに対して悪態をついたモモンガを噛み砕かんと眼前に進み出たのだ。

 

「先ずは俺からという訳か…?」

 

 実に効率的な手段だ、先ず指揮を取っている者から始末する、それが出来れば例えこの拘束が解かれる事態になったとしても対処は容易だと言う事だろう阿婆擦れがっ!とモモンガはまたしても悪態をつく、今度は心の中で。

 

 フェンリルが大口を開けてモモンガの頭蓋骨を噛み砕こうと更に近寄っていく、その様を長い黒髪に隠された裏で嗤いながら見詰めるヘル、だが彼女の思惑は思い掛けない者達の登場によりここから脆くも崩れてゆくのであった。

 

「モモンッガ様ッ!!!!!!」

 

 大きく開かれた口が閉じればモモンガの命は無い場面、突如玉座の間に響き渡った声に全員の動きが一瞬止まる、それもそうだ。

 

──声の発生源は自分達の遥か頭上からだったのだから。

 

 全員が頭上を見上げる。ヘルも、フェンリルも、ヨルムンガンドもモモンガ達もキリト達も頭上を見上げその声の持ち主を探す、…──居た。

 

 卵に良く似た形状の顔には目と口と思われる三つの黒い穴、そしてどこかの国の軍服に良く似た服装。見間違える筈もないとモモンガやキリト達は予想外の人物の登場にまったく間逆の感情を抱く。

 

「な、な、なななっ何でお前が此処に居るんだぁぁぁぁ!?」

 

「ま、まさか助けに来てくれたのか!?」

 

──パンドラズアクターが遥か頭上から舞い降りる。

 

 モモンガは宝物殿でキリト達にやられて待機部屋に送り込まれた筈だと疑惑の叫び声を上げ、キリトは単純にこの状況を打破する為に助けに来てくれたのだと喜びを露にする。

 

「宝物殿の最奥に眠りしワールッドアイテムよ!今こそその秘めたる力を解き放つ刻っ!!《幾億の刃》!!」

 

 空中であってもその大袈裟な挙動と言動は健在であり格好良い決め台詞と共にワールドアイテム《幾億の刃》を起動する。

 

「おぉ!?」

 

「何だっ!?」

 

 死の女王ヘルが万の骨の手を駆使するならば──…、それを上回る億の刃で打ち破れば良い。

 

 起動された《幾億の刃》から無数の、ナグルファルから伸びている骨の手とは比べるべくも無い大量の鋭い刃が降り注ぎ器用に妖精達やモモンガ達を避けながら拘束している骨の手を斬り刻み、次々と自由を齎していく。

 

 それだけでは終わらない、次々と頭上から舞い降りてくるナザリック地下大墳墓の支配者達。

 

「全てを癒せ!《ヒュギエイアの杯》!」

 

「餡ころもっちもちさん!?」

 

 餡ころもっちもちが手に持っているワールドアイテムを起動させる、その名は《ヒュギエイアの杯》。

 

 回復魔法がダメージとなるアンデッド系の種族だろうと関係なく体力を全回復させ、更にはありとあらゆる減少した全ての耐久値を完全に回復させる効果を持っているワールドアイテムだ、ヘロヘロの極悪スキルによって減らされた武器の耐久値も、妖精達との激戦によって減少したアインズ・ウール・ゴウンの面々の体力ゲージも障壁も全てが完全に修復されていく。

 

「まだまだ終わらんぞっ!!《山河社稷図》よ!我が求めに応じよ!!」

 

「ウルベルトさん!?一体どうやって待機部屋から!?」

 

 ウルベルト・アレイン・オードルが巨大な巻物を解放する、彼が起動させたワールドアイテム、その名は《山河社稷図》。

 

 全100種類からなる異空間から望んだ異空間を展開させ敵を隔離させる効果を持つワールドアイテムだ、今回ウルベルトが選んだ効果は、『展開時間は短いがあらゆるモノを出る事は決して叶わない異空間に幽閉する、且つ外からの魔法攻撃は貫通する』である。選ばれた効果が発動しフェンリルとヨルムンガンドのニ体を異空間が包み込んでいく。咄嗟に警戒して飛び退こうとしていた二体だが発動されたワールドアイテムからは決して逃げられないのだ、瞬く間に身動きの出来ない狭い異空間に閉じ込められる二体の怪物。

 

「話は後だモモンガさん!まずはこいつらを片付けるぞ!!妖精達(お前達)もぼさっとしてるな!魔法を使える者は叩き込めっ!!」

 

「任されよっ!」

 

 ウルベルトの言葉に呆気に取られていた妖精達が慌しく動き始める、サクヤの指揮により魔法を叩き込む部隊を整列させ体制を整えていく。

 

 時間は有限、如何に強力なワールドアイテムと言えど制限時間という枷からは逃れられなかったのだ、フェンリル達を閉じ込められる時間は、たったの3分。

 

 しかしこのまま黙って成り行きを見届けるヘルではない、魔法の発動を阻止するべく死者の軍勢を差し向ける。

 

「俺達が引き付ける!!モモンガさん達は魔法詠唱に集中してくれ!!」

 

 その死者の軍勢と真っ向から対峙するべく名乗り出たのはキリト達と妖精達の部隊、そして魔法を覚えていないアインズ・ウール・ゴウンの前衛職の面々だ。

 

「分かった!!すまない!」

 

「キリト君、我々で奴等を食い止めるぞ」

 

「はいっ!!」

 

「モモンガさん!これ、持って来たよ!!」

 

 詠唱を開始しようとしたモモンガにやまいこが赤く脈動する玉を手渡す。

 

「こ、これまで持って来たんですか!?」

 

「うん、…ボクとしては余り頼りたくは無いんだけどね…でもそうも言ってられない状況だから…」

 

 何か思うところがあるのだろう、待機部屋からどのような手段で脱出したのかも聞きたいところではあったが今はそんな暇は無い、やまいこに感謝の言葉を送りつつ手渡された赤く脈動する玉を自身の体内に迎え入れるモモンガ。

 

「さて、やりましょうか…!!」

 

 モモンガがとある超位魔法の詠唱を開始する、そのえぐすぎる効果により今回のイベントでは使用する事は控えていたモモンガであったが相手がヘル達ならば遠慮は要らないだろうと無慈悲な決定を下す。

 

 元々の威力だけでも相当えげつない超位魔法だったのだが、先程やまいこから手渡された赤く脈動する玉のお陰なのか威力は更に桁違いに増幅されていた。

 

──その超位魔法の名は…黙示録の蝗害(ディザスター・オブ・アバドンズローカスト)

 

 その頃、たっち・みーとキリトを筆頭に武器を構えた妖精達が怒涛の勢いで迫り来る死者の軍勢を迎え撃とうとしていた。ワールドアイテム《ユグドラシル・リーフ》が起動されアインズ・ウール・ゴウンの面々と妖精達に大量のバフが付与されていく。その増加量に驚く妖精達、弱体化ギミックが発動されていたとしてもそれを補って有り余る程のバフだ、効果時間は3分だが、それでも今回のイベントで使用されていたら恐らく攻略する事は出来なかっただろうと思うには十分な量である。

 

──そしてついに両軍が激突した。

 

 ナグルファルから次々と無数に這い出してくる死者の軍勢を相手に獅子奮迅の活躍を魅せる妖精達、大量のバフの効果により一騎当千の実力を備えるに至った彼等のほぼ全員が並み居る敵を打ち砕く某アクションゲームのような爽快感を味わっている事だろう。

 

「すげえええ敵が紙切れみたいだ!」

 

「気持ち良いいい!!」

 

「この調子でどんどん攻め込むぞぉぉぉ!!」

 

 そしてアインズ・ウール・ゴウンの面々もまたボスの能力に上乗せされた大量のバフにより手が付けられないほどに暴れ回っているのだが、如何せんその巨体のせいで周囲を飛び回る妖精達を度々巻き込んでしまっている、だが自動復活効果により攻撃を受けた次の瞬間には体力が完全に回復しているのでまったく気にもしていないようだ。

 

 そして押し負けていると感じ取ったヘルがすぐに次の行動に出た、ナグルファルからまたもや無数の骨の手を差し向ける、今度は拘束が目的ではなく明確な殺意を持ってプレイヤー達に襲い掛かろうとしていた。更にダメ押しとばかりに死者の軍勢の這い出してくる勢いが増していく、一騎当千の実力を備えたと言っても押し寄せる死者の軍勢を突破してヘルに到達するにはまだまだ足りないのだ、このままでは《ユグドラシル・リーフ》の効果時間が切れ瞬く間に押し潰されてしまうだろう。

 

「敵の数が多すぎる!突破出来ねぇ!!」

 

「また骨の手が来るわよ!」

 

「キリの字!!」

 

「ああっ!!皆!ガルガンチュアを召喚する!!」

 

 そう言い放ったキリトの手に握られているのは…《ガルガンチュア起動キー》。

 

 一度しか使用する事の出来ないアイテムだが今こそ使う時だろうとキリトは迷い無くガルガンチュアを起動させる。

 

 戦闘能力が無い為に一人待機部屋に残っていたガルガンチュアに起動の信号が伝わり即座に玉座の間に転移されその巨体が再びキリト達の前に姿を現した。

 

──今度は頼もしい味方として。

 

《……──Energy Charge 開始》

 

 即座に荷電粒子砲と波動砲のチャージを開始するガルガンチュア、と同時に大量のミサイルを発射し差し向けられた骨の手に直撃させその攻撃を未然に阻止する。

 

 妖精達を散々苦しめたミサイル達が今度は妖精達を助ける為に放たれたのだ、その事実に更に士気が上昇していく。

 

「皆!合図したら退避してくれ!」

 

 《カルンウェナン》の追加効果によりアスナ達に襲い掛かる死者の軍勢を一刀の元に両断していたシリカやフェンリルとヨルムンガンドに魔法を撃ち込み続けているアスナやスグ、サクヤ達に伝えキリトはガルガンチュアの頭頂部に乗り波動砲の照準をヘルに固定させ静かにその時を待つ。

 

《……──Energy Charge 完了…Target Lockon》

 

「退避しろっ皆!!!」

 

 キリトの合図を受け前線で戦っていた妖精達やたっち・みー達が瞬時に左右に飛び退き死の女王ヘルまでの射線を開ける、そして射線が開けた事によりヘルの視界に両肩、そして胸部のコアが脈動しているガルガンチュアの姿が飛び込んでくる。

 

《──っ!!》

 

「撃てっ!!」

 

 キリトの号令と同時に荷電粒子砲と波動砲がヘル目掛けて放たれ玉座の間の中央を波動砲と荷電粒子砲が突き進みヘルへと襲い掛かろうとしている、咄嗟に両腕を絡め防御の姿勢を作るヘル、回避しようにもナグルファルの巨体のせいで身動きできないのだ、結果回避する手段を捨てざるを得なかったヘルは防御するしか道は無かった。

 

 凄まじい爆音と共に大規模な爆発が巻き起こる。

 

「やったか!?」

 

 誰かがそう叫ぶ、その叫びを聞いた者達は皆一様にこう思うのだった。

 

(((フラグやめろ!!!)))

 

 爆発が収まり波動砲と荷電粒子砲の二つをまともに受けたヘルの全貌が露になる、体力ゲージは半分に迫ったぐらいで止まっておりいくらかの損傷が体中に見受けられるものの自分達を一撃で全滅に追い込んだ波動砲を食らっても尚半分も削れていないその事実に驚愕する妖精達。

 

 しかしここで手を止める訳にはいかない。今のガルガンチュアの攻撃で死者の軍勢は全滅しておりヘルを攻撃するには絶好の機会である。

 

「今が好機!!往くぞ!!」

 

 武人建御雷が吼えヘル目掛けて瞬時に間を詰めコキュートスも後に続く。

 

「参ルッ!!」

 

 武人建御雷達が駆け出したとほぼ同時の事、1分間の長い詠唱を終えたモモンガ達が異空間に閉じ込められたままのフェンリル達に超位魔法をお見舞いしようとしている。

 

「唸れ!我が秘儀!降りよ、究極の災厄!絶望と憎悪の涙を溢せ!大災厄(グランドカタストロフ)!」

 

「全てを焼き尽くすが良い!!失墜する天空(フォールンダウン)!!」

 

 ウルベルトが、タブラ・スマラグディナが超位魔法を発動させ異空間内に直接叩き込みフェンリルとヨルムンガンドの体力ゲージを一気に喰らい尽くす。

 

「トドメを頼む!ギルド長!!」

 

 最後にトドメを差すべくモモンガ一人しか使用する事が出来ないと言われている超位魔法を発動させる。

 

「全てを喰らい尽くせっ!!黙示録の蝗害(ディザスター・オブ・アバドンズローカスト)!!」

 

 ヨハネの黙示録にも登場する全てを喰らい尽くす蝗の群れ、ただ今回召喚されたのは普通の蝗ではなく…文字通り全てを喰らい尽くす蝗であった、石だろうと食物だろうと人だろうとあらゆるものを喰らい尽くすのだ、頭上を覆い隠すように現れた蝗の群れが異空間内に殺到しフェンリル達の姿を瞬く間に覆い隠し…、

 

──刹那、周囲に響き渡るのは壮絶な断末魔。

 

「「「う、うわぁ…」」」

 

 なんとも惨たらしい惨劇を目の当たりにしてドン引きする妖精達、そしてドン引きしているのは何も妖精達だけではなく、アインズ・ウール・ゴウンの面々も、そして黙示録の蝗害(ディザスター・オブ・アバドンズローカスト)を放った張本人であるモモンガも余りの強化っぷりにドン引きしていた。

 

「うわぁ…」

 

「む、惨い」

 

(え、えー…まさかここまで強化されるなんて…ちょっとやりすぎたかな…?)

 

 ちょっとどころではない、明らかにやりすぎである。そんな事を考えているとやがて役目を終えた蝗の群れが次第に消えていき異空間内がどのようになっているのか露になる。

 

──そこには体中に傷を負った二体の怪物の姿があった。

 

「ま、まだ生きてやがるのか!」

 

「今の喰らってやっと体力ゲージ半分かよ…」

 

「………よ、よし!!一気に畳み掛けましょう!!」

 

 一連の攻撃によってヘル達の体力ゲージは半分程にまで減少する、更にダメージのせいなのかその動きは鈍い、今が好機だとして総力戦を決行する。

 

「ルベド!!我が娘よ!今一度起動し我が敵を討ち滅ぼせ!!」

 

 タブラ・スマラグディナの言葉により最終兵器であるルベドが起動された、動きの鈍い今ならフェンリルとヨルムンガンドの二体を相手にしたとしても渡り合えるだろう、その隙にヘルへ攻撃を仕掛ける一同。

 

次元…断切(ワールド…ブレイク)!!!」

 

「チェストオオオオオオ!!!」

 

「ついでにこれも喰らえっ!素戔嗚(スサノオ)!」

 

 たっち・みーが次元断切(ワールドブレイク)を放ち、武人建御雷がやまいことぶくぶく茶釜の協力を得て五大明王コンボを叩き込み仕上げに弐式炎雷が、非常に遅い動作で動けなくなったヘルに素戔嗚(スサノオ)を突き刺す。その余りの激痛に暴れまわったヘルによってたっち・みー、そして彼をその身を挺して守ろうとしたセバス、武人建御雷、弐式炎雷が巻き込まれ光の粒子となって砕け散る、《ユグドラシル・リーフ》の効果が切れてしまったのだ。

 

「まだまだァッ!!」

 

「喰らいやがれ!!」

 

 クライン達も続き次々とヘルに攻撃を加えていくが、ダメージを負いながらもヘルの決死の抵抗が激しさを増す。

 

「しぶとい…!!」

 

 復活する事が出来なくなり相撃ちとなって次々と倒れ伏していくギルドメンバーと妖精達。此処に来て後一歩、後一歩と言う所で手が届かない状況となり、既にこちらの奥の手は出し尽くしてしまっている、ヘルの残りの体力は凡そ一割を切っているが時間の猶予は一刻も無い。

 

「くそっ!もう少しなのに…何か手は無いのか?!」

 

 ルベドは二体の怪物を相手取るのに精一杯で助太刀は望めない、しかもルベドの動ける時間も2分を切っている、この2分の間に必ず決着をつけなければならないのだ。

 

 増え続ける死者の軍勢に向けて魔法を撃ち込みこれ以上数が増えるのを阻止するもいずれはMPが枯渇しそれさえも行えなくなるだろう、一同の胸中に敗北の二文字が過ぎる。

 

「待たせたな!!」

 

──そんな時だ、アルベドによって叩き落され地表に戻されていたユージーンが増援を引き連れて駈け付けたのだ。

 

「状況は既に聞いている!!往くぞお前達っ!!!」

 

「「「おおおおお!!!」」」

 

 最前線に突撃を掛けるユージーン達、戦況は再び盛り返し更にヘルに近付いていく。…そして、役目を終えたガルガンチュアの頭に乗っていた英雄がついに動き始めた。

 

「アスナ!往こう!!」

 

「うんっ!!」

 

──黒の剣士キリトと閃光のアスナが一直線にヘル目掛けて突き進む。

 

「二人共突っ込む気か!?」

 

 逸早く気付いたモモンガが二人を止めようとするも考え直す。増援が到着したとは言えまだヘルには到達は出来ていない、強引にでも一点集中して突破する必要があるのだ。キリトはそれに本能で気付いているのだろう。

 

「…流石はキリト君、これが英雄たる所以か……皆の者!二人を守れ!!!」

 

 脇目も振らず、ただ前へ突き進むキリト達を発見したヘルが無数の骨の手と死者の軍勢を差し向ける、しかし同様にモモンガが二人を守る為に号令を発する、様々な者達が二人を守るべく団結していく。

 

「いけぇ!キリの字!」

 

「手出しはさせねぇっ!!」

 

 クラインとエギルが手に持つ武器で骨の手の軌道を逸らし、

 

「イケッ!黒ノ剣士!!」

 

 コキュートスが骨の手をコバルトブルーの甲殻で受け止め、

 

「キリト君達はやらせねーよっ!」

 

「同感ねっ!!」

 

 ペロロンチーノと、その肩に乗ったシノンが矢を放ち迫り来る複数の骨の手を撃ち落としていき、

 

「ぼ、ぼくの魔法で御守りします!」

 

 マーレがマジックシールドを付与させ、

 

「ペロロンチーノ様には及ばないけど…あたしだってやれるんだから!」

 

 身の丈以上の巨大な弓を構えて二人に迫る骨の手を撃ち落すアウラ、彼女のペット達の魔獣も死者の軍勢を相手に勇猛果敢に挑む。

 

「デミウルゴス!幻影魔法だ!」

 

「はっ!」

 

 ウルベルトとデミウルゴスの幻影魔法により複数の分身を生み出させヘルに対象を絞らせないようにし、

 

「モモンガ様の命により助太刀いたしんす!!」

 

「行きなさい、黒の剣士!!」

 

 守護者統括アルベドが自身に攻撃を集中させるスキルを用いて、鮮血の戦乙女シャルティア・ブラッドフォールンが分身を生み出し渾身の力を持って投擲した2本のスポイトランスによって死者の軍勢と骨の手を穿ち穴を開ける。

 

「桐ヶ谷君、結城さん…二人はボクの自慢の生徒だよっ!さあ行って!!」

 

「私もいるぞぉ!」

 

「ここは私達に任せなさーい!!」

 

「「やまちゃん先生!茶釜さん!餡ころもっちもちさん!」」

 

 穿たれた穴を潜り抜けた先にはやまいことぶくぶく茶釜と餡ころもっちもち達の姿。襲い掛かる骨の手を片や殴り、片や盾で受け止め、片やその身で受け止める女性プレイヤー三人組。

 

「キリトさん!アスナさん!」

 

「二人はやらせないわよぉ!!」

 

「お兄ちゃんの邪魔はさせない!」

 

 シリカとリズとスグの三人が迫り来る死者の軍勢をサクヤ達と共に迎え撃ち…、

 

──そしてついにヘルの姿が二人の目前に迫る、しかしこれ以上の接近を許さないヘルが無数の骨の手を展開し二人の行く手を阻む。

 

《──っ!!》

 

「まだ出てくるのか!!」

 

「ダ、ダメ!避けきれない!!」

 

 絶体絶命の状況に二人の前に飛び込んできたのは漆黒のマントをたなびかせ、ギルド武器スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを片手に持ったモモンガの姿であった。

 

「…──二人をやらせる訳にはいかんな」

 

「「モモンガさん!!」」

 

 その身を挺して守ろうとしているのか、二人の目にはそう映った事だろう、しかしモモンガは理想の最後を迎える為にもここでやられるつもりは皆無であった。

 

 そしてモモンガに無数の骨の手が突き刺さる。長い前髪に隠されたヘルの貌が愉悦に染まり、最も邪魔な者を排除出来たと悦びの声を上げるも…、次の瞬間突き刺さっていた骨の手が砕け散る。

 

《─!?》

 

「えっ!?」

 

 モモンガが砕け散るどころか攻撃した骨の手が逆に砕け散る事態となったこの原因、それはやまいこから手渡された赤く脈動する玉が原因である、その名は《○○○○・オブ・モモンガ》、モモンガが装備する事によって真価を発揮すると言うワールドアイテムである。

 

「今だ!キリト君!アスナ君!」

 

「「は、はい!!」」

 

 呆気にとられていたキリトとアスナに渇をいれ、更に魔法の詠唱を開始するモモンガ。完全なるトドメを差すべく三人の攻撃がヘルに叩き込まれようとしている。

 

 そしてヘルもまた残された最後の腕、鋭い刃と化した正真正銘自身の腕を用いて三人の攻撃を阻止しようと最後の抵抗を試みる。

 

「スイッチ!!!」

 

──凶刃がアスナに迫る、しかしその凶刃は寸前で庇うように前に躍り出たキリトによって弾かれるのであった。

 

「力を貸して…ユウキッ…!!」

 

 とある少女から託された11連撃のOSS《マザーズ・ロザリオ》を発動させヘルに叩き込むアスナ、その姿を間近で見ていたモモンガの目にはアスナの背に寄り添う謎の少女の姿が垣間見えたという。

 

 怒涛の11連撃の《マザーズ・ロザリオ》を受け大きく仰け反るヘル、そこへ詠唱を終えたモモンガとキリトが最後の一撃を叩き込もうとしていた。

 

「これで終わりだっ!!現断(リアリティ・スラッシュ)!!」

 

「はあああああああっ!!!」

 

 ワールド・チャンピオンのスキル《次元断切(ワールドブレイク)》には劣るものの第十位階魔法の中でもトップクラスの威力を誇る現断(リアリティ・スラッシュ)を叩き込むモモンガ、そしてキリトはデスゲームの中で幾度と無く使用した二刀流ソードスキル《スターバースト・ストリーム》をシステムアシスト無しで再現する、動きは完全に染み付いているからこそ出来る荒業だろうか。

 

 既にフェンリルとヨルムンガンドはルベドと共に死力を振り絞り戦い抜いたユージーン達とギルドメンバー達により討たれている、残るはヘル一人、そして次々と刻み込まれる連撃によってついにこの戦いに終止符が打たれる時が訪れた。

 

──キリトの最後の一撃がヘルの顔面に刻み込まれ…死の女王ヘルは神々の黄昏(ラグナロク)を完成させる事叶わず、七色の爆発を伴い四散した。

 

「…終わったか……」

 

 ヘルが出てきた空間の割れ目が徐々に修復されていき全てが元通りになっていく、それを見届けた後、背後を振り返ったモモンガによって勝ち鬨があげられ玉座の間が歓声に包まれる。妖精達も、生き残ったギルドメンバー達も皆が喜びに沸き立っていた。

 

「ふぅ…アスナ、大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫だよキリト君」

 

 歓声に包まれる中お互いを労うキリトとアスナ、そこにモモンガも加わり二人を労う。

 

「二人共、ありがとう。ヘルを倒す事が出来たのは君達のお陰だ」

 

「いえ、モモンガさんが一時休戦を持ちかけてくれたからこそボスを倒す事が出来たんです。きっとあのまま戦っていたら全滅していましたよ」

 

「ふふ、そうかもしれないな……さて、と…コラボイベント終了まで残り時間は後43分だ。…──決着を付けるには十分な時間だと思わないか?黒の剣士よ」

 

 喜びも束の間、突如その身に纏う空気を変貌させたモモンガがキリトに問い掛ける、その様はまさに悪の魔王と呼ぶに相応しい。

 

──そう、まだ戦いは終わっていないのだ。

 

「ふふっ、ああ!決着をつけよう!アインズ・ウール・ゴウン!」

 

「ああ!決着の刻だ妖精達よ!かかってくるがいい!!」

 

 妖精達とアインズ・ウール・ゴウンが再び敵同士となり剣を交える、最後までこのイベントを楽しもうという共通の想いと共に彼等はイベント終了となる寸前まで戦い抜くだろう、その結果がどうあれお互いを尊重しあっているのは間違い無いだろう、彼等は皆ゲームをこよなく愛するゲーマー達なのだから。

 

 

 

 

──そして、日付が切り替わり《ユグドラシル》と《新生ALO》初のコラボイベントは幾多の事件が起きたものの無事に終了を迎える事となった。

 

 

 

 

 自動的にメンテナンスに入り強制的にログアウトされる全プレイヤー達。現実世界に戻っても尚、彼等のほぼ全てがアミュスフィアを身に付けたまま目を瞑り戦いの余韻を味わっているようだ。それもそうだろう、普段味わう事の出来ない貴重な体験をしたのだから必然とも言える。

 

 そんな貴重な体験を齎すのに一役買ったアインズ・ウール・ゴウンの名は再びその名を人々の心に深く刻み込み伝説のギルドとして末永く語られる事となったようだ。

 

 そして最後の戦いである死の女王ヘルとの戦いがネット上にアップされ黒の剣士キリト、そして閃光のアスナの二人もまた有名人となりかなりの数のファンが生まれたのだとか…。

 

 

                                    -Fin-

 

 

 

 

 







終わった終わった!!…随分と長くなってしまいましたが如何でしたでしょうか?もう一話入れようかなと思いましたが最終話と言っちゃってたので強引に詰め込みました、申し訳(´・ω・`)




………後日談いりゅ?




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