ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》   作:黒雲あるる

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第06話

10月05日12時34分

 

《新生アルヴヘイムオンライン コラボイベント攻略スレ》Part13

 

119 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

ようお前等、生きてるかー?第一階層の攻略どのぐらい進んだよ?

 

 

120 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

それが意外としぶとく生き残ってる、まぁその代わり延々と迷路彷徨い続けてるけど

 

 

121 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

俺も第一階層の迷路抜け出せなくて5時間近く彷徨い続けてさっきやっと死ねたわ、ちょっと休憩してくるノシ

 

 

122 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

お疲れさん、良くトラップに引っ掛からなかったな、運が良いのか悪いのかw

 

 

123 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

朝からご苦労様です、今何人で突入してんの?

 

 

124 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

1000人ぐらいじゃね?今は水妖精族(ウンディーネ)の領主が指揮執ってるぞ

 

 

125 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

広いついでにトラップやらボスやらNPCやらが徹底的に邪魔してくるんだもんなぁ、倒そうとしてもすぐに姿消えるし…なんなのあの忍者

 

 

126 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

俺も忍者に倒されたわ、曲がり角覗いたら忍者が居たから慌てて魔法で隠れようとしたら背後からその忍者に襲われたわ、分身の術かなにかですか?

 

 

127 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

くっそウゼェ邪魔ばっかしてきやがるからマッピングが遅々として進まねぇwww/(^o^)\嫌がらせに関してはマジで天才的だなあいつらwww

 

 

127 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

よーし、パパが今から階段見付けて来るぞー(^q^)

 

 

128 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

おう逝って来い、戻ってこなくて良いぞ、そのまま氏ね

 

 

129 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

アンデッド祭りだなこの階層は、大した強さじゃないのが救いか。ここで貢献ポイント稼ぐのも手か

 

 

130 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

アンデッド達はそれ程怖い相手じゃない。問題は第二階層にいる例のあいつだ、SAN値チェックしとけよお前等

 

 

131 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

例のあいつって何よ?怖いんだけど

 

 

132 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

SSは調べたら出て来るかもしれんが、まーまずは初見で行くことをお勧めするぞい

 

 

133 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

俺はアレを見るのは二回目だから耐性は出来てる(耐えられるとは言ってない)

 

 

134 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

なぁ俺大変な事に気付いちゃった、ナザリックの奴等軒並み巨大化してるじゃん?ってー事はあいつも…

 

 

135 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

……ちょっと持病の癪が再発したので第二階層の攻略はお前達に任せた。

 

 

136 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

俺も痔が再発したから病院行って来る、後は任せた。

 

 

137 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

ちょっ、待てよっ

 

 

138 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

棺の中に連れ去られた奴がいたから急いで助け出そうとしたけど蓋開けたら誰も居なかったわ…あいつ何処に行ったんだ…

 

 

139 名前:以下名無しに変わりまして黒の剣士がお送りします。

 

何それ怖い

 

 

 

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「…弐式炎雷さん、うまくやってるみたいだな」

 

 社員食堂で日替わり定食を食べつつコラボイベントの攻略掲示板を覗くこの男の名は、鈴木悟。ナザリック地下大墳墓を治める支配者達を纏め上げているギルドマスターモモンガの本当の姿だ。

 

 コラボイベント初日、数万人の大軍勢が成す術なく全滅した結果を受けて作戦会議を開催した領主達の次なる作戦は──圧倒的な物量に物を言わせてのゾンビアタックである。

 

(ま、予想はしていたよ。デスペが無い上に死んでも入口に戻されるだけだしな)

 

 この手段は目的地と復活地点が近ければ近い程その効果は大きくなり且つそれを長時間に渡り行えるだけの人員も確保されている妖精達にとってこの手段を行わない手は無いだろう。

 

 しかし、モモンガ達はこれを予期していた。佐藤達の説明を受けて必ずこうなるだろうと見越した上でトラップを全て変更し、倒すのを目的としないただ時間を稼ぐ為の嫌がらせトラップで埋め尽くしたのだ。しかし即死トラップも禁止されていたので結果的にはトラップの再配置は余儀無くされていた事だろう。

 

 そして全てのトラップの再配置の具体案を提案したのはアインズ・ウール・ゴウンが誇る大軍師諸葛孔明こと──ぷにっと萌えだ。

 その案に目を通した仲間達は一切の容赦が無い緻密に組み込まれたトラップの数々に戦慄する。確かに即死トラップは禁止された、しかしぷにっと萌えは今回のコラボイベントでは寧ろ無い方が良いと口にする。

 

──それは何故か?

 

 彼等アインズ・ウール・ゴウンの愛するNPC達と会話をすると言う目的は既に達成されている、後はこのイベントを出来る限り長く遊ぶ事、彼等の目的はそれだけに集約されているのだ。

 

 ならばすぐに入口に戻されてしまう即死トラップは邪魔にしかならない、戻った妖精が即死トラップの位置を報告し全体に共有されてしまえば1度起動した即死トラップに引っ掛かる可能性は激減してしまい彼等の攻略スピードが更に勢いを増すだけなのだ。

 

 この状況で有効なトラップは即死ではなく侵攻を遅らせる事が目的のトラップとなる。具体例をあげるならば、混乱等の状態異常を付与する類、ダメージを与え回復アイテムを消費させる類、一定時間その場から動けなくする類、別の場所に転移させる類だろう。要は死に戻りさえさせなければ長い間第一階層に囚われる事になりそれだけ情報の伝達が遅れるという訳だ。

 

 事実この変更は妖精達には大変有効な手段だった、その証拠に第一階層の攻略は遅々として進まず実に5日間もの間突破を許さなかったのだから。だがそれでも確実に攻略は進んでいる、空白だったマップはかなりの部分が埋め尽くされ恐らくは今日中に第二階層への階段が発見されるだろう。

 

(ま、5日間耐えたんなら上出来かな)

 

「係長!隣宜しいですか?」

 

「ん、どうぞ」

 

「ありがとうございます!何を見ていたんですか?」

 

「ああ、今やってるゲームの攻略サイトを少しね」

 

「係長もゲームされるんですか!?」

 

「お、おう」

 

ぐいぐいと身を乗り出して興味津々な顔を晒しているのは自分の部下として配属された新入社員だ。その新入社員に若干押され気味な鈴木悟。

 

「あっ、す、すいません。…あの、ちなみにどういったゲームを?」

 

 さてどう答えたものかと鈴木悟は考える。自分がプレイしているのはALOで間違いない、しかしそれはコラボイベント中のみの話であるし、ましてや使用キャラも妖精ですらない。

 

「ALOだよ」

 

 しかしまあ深く考える必要は無いだろうと鈴木悟はALOの名を口にする。

 

「ほ、本当ですか!?私もやってるんです!ALO!」

 

 飲んでいた味噌汁を吐き出しそうになる鈴木悟、寸でのところで押し留める事に成功し味噌汁を流し込む。

 

「へ、へぇーそうなんだ?じゃあ君もコラボイベントに参加を?」

 

「はい!勿論です!と言っても飛んできた魔法にあっと言う間にやられちゃって…それからはあまり時間が取れなくてやってないんですけど」

 

「…ちなみにその魔法の名前は…?」

 

「?えっと、確かふぉーるんだうんってフレンドが言ってたような…って係長?」

 

(ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいい)

 

 心の中で謝りながら猛スピードで日替わり定食を平らげて、一言断り席を立ちそそくさとその場を後にする鈴木悟。

 

「あ、係長!?…行っちゃった……折角共通の話題になったとに……うぅ、私のアホッ」

 

 背後から微かに聞こえてきた新入社員の言葉に罪悪感を感じながら仕事に戻っていく鈴木悟だがこの時の彼の頭には新入社員が自分の部下だという事実がすっぽり頭から抜け落ちてしまっていたらしい、食事から戻ってきた2人のやりとりがギクシャクしている事に気付いた社員達が好奇心旺盛な視線を2人に送るも鈴木悟は意に介さずテキパキと仕事を片付けてお前達も早めに帰れよと言い残しあっという間に定時退社。

 

──その後、残っていた新入社員に社員達の好奇心の目が向けられ根掘り葉掘り質問攻めにあったのは言うまでもない。

 

 そして、ついに第二階層への階段が見付かったと言う情報が全てのプレイヤーに通達された。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

10月5日19時19分 ナザリック地下大墳墓第九階層 円卓の間

 

「来ましたね」

 

 少しばかり空席は目立つもののそれでも30人以上の席が埋まっている円卓の間。その中でも入口から一番奥、壁面に飾られているギルド武器の前に座っているモモンガが中央に映し出されている映像に注目しつつ発言する。

 

「やはり時間を掛けて集めただけはあるな、15000人以上いるぞ」

 

 ウルベルトが映像に映っている妖精達を見て口にする、その中には要注意グループとしてマークされたキリト達の姿もあった。

 手を抜いていたとは言えシャルティアの障壁を半分程度削りペロロンチーノの攻撃を受けても生き永らえていたキリト達一行。目を付けられるのは必然だと言わざるを得ないだろう、今後彼等を発見した場合は最優先で戦闘不能に追い込めと全NPCに通達されているようだ。

 

「しかし本当に良かったのかモモンガさん。恐怖公とあいつだけに迎撃を任せてしまって」

 

「確かに少々不安ですが本人が乗り気だったのでつい…それにあの部屋に入りたくありませんし…」

 

「「「同感」」」

 

 第二階層に恐る恐る突入を開始する妖精達を見ながら何処か遠い目をする支配者達。《ユグドラシル》時代は現実のサイズと変わらない大きさだったが《アルヴヘイムオンライン》では違う、奴等もモモンガ達と同じ様に例外なく巨大化されているのだ、それに外装もよりリアルになっており現実の奴等と比べても遜色は一切無い、そんな恐怖公達を再現する為の作業を担当した者達はこう言った。

 

『作業している内になんか愛着沸いてきた、あ、あれ?可愛い…?』

 

──そして、一番先頭にいる集団がついに恐怖公の守る領域へその足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

同日19時32分 ナザリック地下大墳墓 第二階層 黒棺付近

 

 先頭集団がとある一角に入り何かが這い摺り回る音がすると風妖精族(シルフ)の誰かがそう言い出した。その言葉を受け周囲の者達が耳を澄ます。

 

──カサカサ…カサカサ…カサカサ…

 

 確かに何かが動く音がする。警戒心を露にし武器を構える者達。その時ふと誰かが何かを口走った。

 

「……やっぱり配置変わってねぇのか…」

 

──カサカサ…カサカサカサ…

 

 この口ぶりから察するに彼はこの音を出している存在の正体を知っているのだろう。知っている者が居ても不思議ではない、この領域を守る恐怖公は過去に1度だけその姿を目撃されているのだ、口走った者はその時の参加者なのかそれともネットで存在を知ったのか。同時期に起きた《オーグマー》の発売に塗り潰された事に加え1500人のプレイヤーを一瞬で壊滅に追い込んだ第八階層のあれらに話題が集中していた事もあり恐怖公の事を知っている者は存外少ない、更に恐怖公の姿を目撃した者は殆どが口を噤んでしまいどれだけ姿形を聞かれても決して口にする事は無かった。

 

──人間は自分が本能的に恐れている事を第三者に教える場合その姿形を曖昧に表現する傾向にあるのかもしれない。

 

 更に先に進む一行、暫くすると一際大きな空間に到達する。その空間に灯りは無く不気味な音が響き渡るのみ。

 

「うわあああああああああああああああああ!!!!」

 

「いやああああああああああああああ!!!」

 

 その空間を視界に映した瞬間に暗視に長けた複数の闇妖精族(インプ)が悲鳴を挙げ一目散に逃げ出していく、突然の悲鳴により他の種族達にも動揺が伝播していき先頭集団はパニックに陥ってしまった。

 

──その時パニック状態に陥る集団に投げ掛ける声が集団の間を駆け巡ると同時に灯りが燈された。

 

「よく来たな!!妖精諸君!黒棺へようこそ!!!俺の名はるし★ふぁーだ!」

 

「我輩はこの地をモモンガ様達至高の御方々より賜る者、恐怖公と申します。お見知りおきを」

 

 

──自己紹介するは2人の異形。

 

 

──その足元には銀色に輝く巨体が眩しい奴が。

 

 

──そしてその周囲には人類にとって天敵とも言える奴等が。

 

 

──壁と言う壁、床と言う床一面にびっしりと隙間無く蠢いていた。

 

 

 想像して欲しい、一体何匹居るのか皆目見当もつかない奴等が一斉にこちらに向かって飛んで来る光景を。

 

──阿鼻叫喚の地獄絵図とは正に今の状況の事を言うのだろう。

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