ALO コラボイベント開催!《ナザリック地下大墳墓を攻略せよ!》 作:黒雲あるる
10月5日20時26分 ナザリック地下大墳墓第九階層 円卓の間
「これより裁判を始める、罪状はギルドの共有財産であるヒヒイロカネを無断で使用した事だ」
縄で亀甲縛りされたるし★ふぁーが床に転がっている、この亀甲縛りを実行した人物は驚く事なかれ、ぶくぶく茶釜である、一体彼女は何処でこの縛り方を学んだのだろうか。
「モモンガ裁判長」
裁判長を担当するモモンガに挙手して立ち上がる原告ウルベルト。
「この男のやった事は許される事では無いと考える、酌量の余地はないだろう──死刑だ」
「よろしい。これにて閉廷とする、速やかに罪人を処刑台へ」
「( ゚Д゚)_σ異議あり!!この裁判は最初から仕組まれている!!!横暴だ!不正だ!悪逆だー!」
「黙れ腐れゴーレムクラフターがぁぁぁぁ!!!FFが解禁されていれば超位魔法をお前にぶち込んでいた所だ!!」
モモンガの怒りが爆発する、その矛先は勿論ギルドの共有財産であるヒヒイロカネを無断でちょろまかしたるし★ふぁーだ。
「ヒソヒソ…こんなに怒ったモモンガさんは初めて見るね、やーちゃんあんちゃん」
「ヒソヒソ…そうだねかぜっち、でもこんなに怒ってるモモンガさんは中々見る機会が無いから貴重だとボクは思うよ」
「ヒソヒソ…2人共、普段からあまり怒らない人は怒らせたらヤバイって聞くから怒らせないようにしようね」
「「ハーイ」」
「姉ちゃん達全然内緒話になってな「黙れ、弟」…その
数少ない女性プレイヤーである3人+変態の和やかな内緒話を余所にモモンガは反省の色がまるで見えないるし★ふぁーの姿に益々ヒートアップしていくが、ここで白銀に輝く鎧が眩しい聖騎士という言葉がピッタリな男が挙手する。
──この男の名は、たっち・みー。《ユグドラシル》でも三本の指に入る程の実力者でありナザリック内最強の男だ。
「モモンガ裁判長、一つ良いかな?」
転がったまま顔をたっち・みーの方へ向けるるし★ふぁー、その光景が可笑しかったのか観客であるギルドメンバー達に笑いの渦が巻き起こる。
「「「wwwww」」」
「弁護人の主張を聞こう」
「感謝する、本人の弁明も聞かずに死刑にするのは些か早計かと思ってね、どうかな?」
「おお!たっちさんは俺の味方なんだね!?」
「死刑なのは確定事項だが」
「弁護人が弁護していないぞおい!!」
「「「wwwwwwwww」」」
味方かと思われたたっち・みーだったがそれは間違いだったようだ、今この場にるし★ふぁーの味方は皆無と言って良いだろう。
「わ、わかった!今からあいつら追っ払ってくるから!それで許しっ」
-System Messages- 領域守護者 恐怖公 が撃破されました!
るし★ふぁーが謝罪の言葉を言い掛けた所で恐怖公が撃破されたとの報がナザリック側に通達される、反応は様々で安堵の息を漏らす者(主に女性)、怒りを示す者(製作者)といった感じだ。
「恐怖公がやられたか…だが奴は五大最悪の中でも最弱…」
「ウルベルトさんウルベルトさん、恐怖公以外の五大最悪は禁止されたでしょう」
「そうだったよちくしょう!!おいるし★ふぁー!恐怖公の仇を取って来い!追い返すまで帰って来るなよ!!」
「、(>Д<)ゝ”ラ,ラジャー!!」
そう言うや否や何時抜け出したのか亀甲縛りの縄はいつの間にか解けておりダッシュで円卓の間から姿を消した。
「完璧に縛り上げた筈なのに…どうやって抜け出したの…」
ぶくぶく茶釜が余程ショックだったのかピンクの
「本当もう戻ってこなくて良いぞマジで…なんなのあいつ…ブツブツ」
そしてモモンガの様子がおかしい、ブツブツと独り言を呟いており何やら体中から黒い靄が出ている、ような気がする…。
その様子を見ていたぷにっと萌えはこのままではモモンガの胃が持たないかもしれないとその身を案じ一計を講じようとるし★ふぁーに
(このままではモモンガさんの胃に穴が開いてしまいかねません、そうなると今後のイベントに参加する事は絶望的。ストレスの塊である、るし★ふぁーさんには申し訳ありませんがここで脱落して貰うとしましょう)
何やら物騒な事を考えているぷにっと萌え、彼はモモンガの事を高く評価しており、彼曰くモモンガが加わったパーティは最強になると明言するぐらいその実力を高く評価しているのだ。そしてギルドメンバーもそんなモモンガに唯一無二の信頼を置いている、そんな中心的な立場のモモンガがいなくなればナザリックは瓦解してしまうだろう、それだけはなんとしても避けなくてはならない。
(るし★ふぁーさんの事です、我々に悪戯を仕掛けられなくなれば次のターゲットを探すでしょう、となると次にその矛先が向けられるのは…)
そこまで考えて次のターゲットである
人によってはぷにっと萌えの判断は非情だと非難するかもしれない、しかしこの冷酷さと冷静な判断が過去ナザリックを幾度と無く救って来たのは間違いようの無い事実なのである。
◇◆◇
同日20時34分 ナザリック地下大墳墓第二階層 黒棺最深部
恐怖公を撃破したキリト達精鋭部隊、精神的ダメージの原因でもあった恐怖公を撃破した事により彼等の心には若干の余裕が生まれていた、そして進軍を開始した彼等はある物と遭遇する。
──恐怖公が守護していた黒棺の最深部に安置されている紫色に妖しく輝く水晶に。
「こりゃあ一体何だぁ?」
エギルが皆が思っているであろう事を代弁する、恐怖公が守っていたと思われるこの水晶は何かしらの褒美なのではないかと領主達は考えるが万が一と言う事もある為に迂闊に近付くという真似は控えているようだ。
「ふむ…このままでは埒が明かないな…」
「確かに…んでどうする?」
「…例えトラップだったとしても我々のデメリットは入口に戻される事による時間の浪費だけだ、ならばここは恐れずに突っ込んでみるべきだろう」
悩む一同にサクヤが進言する、確かにデメリットはサクヤの言うとおり時間の浪費だけだ、他に意見も無かった為サクヤの案を採用する一同。万が一別のトラップ、例えば敵をPOPさせる類のトラップだった場合に備えて遠距離から殲滅できるように攻撃態勢を整える妖精達。
──そして、問題の水晶に近付く役目を自ら志願したのはこの案を提案したサクヤ本人であった。
「…ふう、落ち着くんだ私。もうあのゴキブリ共はいない…大丈夫だ…」
恐る恐る水晶に近付いていくサクヤ、もしかするとゴキブリの生き残りがいるかもしれないと考えるサクヤだが彼女の背後には精鋭部隊が何時でも攻撃可能な体制を維持している、もし居たとしても瞬く間に殲滅してくれるだろう。
そしてついにサクヤが手を伸ばせば触れる距離にまで水晶に接近する、そんなサクヤを心配そうに見守るアリシャ・ルー。心配そうに見詰める友を安心させようと振り返り笑顔を向けるサクヤ、そして覚悟を決めたサクヤが水晶に手を伸ばす。
──異変は直後に起きた。
サクヤの手が触れた箇所を中心にヒビが入る、それは瞬く間に広がっていき全体が覆われていく。そして…水晶が一際大きな音を出し砕け散るエフェクトと共に光の粒子となって闇の中へ消えていくのであった。
-System Messages- 黒棺の水晶が破壊されました。領域守護者、階層守護者、支配者41人の全ステータスに-5%の永続デバフが付与されます。
-System Messages- 黒棺の転移装置が解放されました。この転移装置はナザリック地下大墳墓第一階層入口と繋がっております。今後突入する際は、第二階層 黒棺から開始する事が出来ます。
-System Messages- サブクエスト《世界の終焉》が発生しました。このサブクエストは強制参加となります。
そう、これこそ佐藤がバランス調整の為に絶対に導入すると言っていたギミック群である、そして解放された転移装置、これは妖精達にとって広すぎるナザリック地下大墳墓の移動時間を短縮する為のギミックだ。勿論そんな重要なギミックをタダでやる訳にはいかないので何処に設置するかはナザリックの面々に一任されていた。
「お、おおお!!」
「こいつぁ助かるな!」
「希望が見えてきたぞ!」
予想外の報酬に喜び沸き立つ妖精達、恐怖公という苦難を乗り越えた先と言う事もありその喜びは一入であった。
「驚いたな…弱体化ギミックはあるとは思っていたが、まさか第二階層にあるなんてな…いやそれよりサブクエスト…?」
キリトが驚きに満ちた言葉を紡ぐ、転移装置もそうだがもう少し深い階層にあるとキリトは考えていたのだ。そしてキリトは最後の通達の内容が気になっていた。
「これで第一階層の長い迷路を突破する手間が省けたな!」
「だなっ!キリの字よぉ、アスナ達を呼びに行くか?」
「ん、ああ…そうだな、それにこのままこの
シルバーゴーレム・コックローチを撃破した際に入手したとある2つのアイテム、これらのアイテムを完全に自分の物とする為には1度ナザリック地下大墳墓を脱出する必要があるのだ。その旨をユージーン達に伝えるキリト達、どうやらユージーン達も1度脱出して《恐怖公の髭》の獲得条件を満たそうとしているようだ。
そしてサブクエストについては1人で考えていても仕方がない、脱出した後にでも話せば良いだろうとキリトは思考を切り替え転移装置へ飛び込んでいく。
──時を同じくしてキリト達妖精側にサブクエストが発生したと同様にナザリック側にもあるサブクエストが発生していた。そのサブクエストの名は…《生贄》。
◇◆◇
「あ、お兄ちゃん!おかえりー!」
「ただいまスグ」
入口に戻ったキリト達を出迎えたのはキリトの妹リーファもといスグであった。
「アスナ達は?」
「アスナさん達?えーっとあっちでまだ沈んだままで…あはは…」
スグの指差した方向には確かにアスナ達の姿が見える、…突入前と同様の姿勢で。
「ま、まだ立ち直れていないのか…」
よく見るとユイがアスナ達の周囲を飛び回っている、励ましているのかもしれない、キリトもユイの応援に加わろうとアスナ達の方へ進み始める。
「アスナ、ゴキブリは退治されたぞ。もう怯える必要は無いよ」
「本当!?」
キリトの言葉に勢い良く顔を上げるアスナ、朗報を聞いて少しは元気が出たようだ。リズやシノン、シリカも同様で小さくガッツポーズしている。
「あ、ああ。それに転移装置を発見してな。次からは第二階層から始められるようになったよ」
「へぇー随分と大盤振る舞いね」
バランス調整の為に導入されたギミック群に感心したようにシノンが呟く。
「ああ、多分ほかにも同じ転移装置と弱体化ギミックが何処かにあると思う、後…サブクエストの内容、見たか?」
「「「「サブクエスト?」」」」
この様子だとまだ見ていないらしい、各々が自分のメニューを弄りクエストを検索している。
「あっ、あった。《世界の終焉》…物騒なクエスト名ね…」
「ああ、ギミックを破壊した瞬間に発生してな…内容も何も書かれていないからどんなクエストなのか分からないんだ」
スグがサクヤ達にも確認したところ、どうやらこのサブクエストはこの場に居る全員が強制参加となっているようだ、ナザリックに突入していなかったアスナ達も参加している事から恐らくはALOプレイヤー全てが対象の可能性が高い。
「ユイ、何か分かるか?」
「…すみませんパパ、このサブクエストには高度なプロテクトが施されています。私の権限ではこのプロテクトは突破できません」
「そうか…ユイでも分からないとなるとお手上げだな…」
サブクエストについて悩んでいるキリト達に近付くサクヤ、アリシャ・ルー、ユージーン。今日のこの後についてどうするかを聞きに来たようだ。
「キリト君、君達はどうする?私達は再突入して第三階層への階段を探そうと思っているが…」
「もうこわぁ~いゴキブリはいないからニャ~」
「参加するしないは自由だキリト、強制はしない」
3人の言葉にキリトは仲間達の意思を確認しようと振り返り、問い掛ける。
「だそうだ、どうする皆?」
「俺はいけるぜぇ~まだまだ元気有り余ってるしな!」
「俺もだ、まだまだいけるぞ」
クラインとエギルは参加する意思を見せておりやる気も十分あるようだ、そしてアスナ達はというと…。
「私もいけるよキリト君!それに私全然活躍出来てないし…挽回しないとっ!」
「そうねぇ~愛しのダーリンに良い所見せないといけないもんねぇ~?ニヤニヤ」
「も、もうリズ!そんなんじゃっ!」
「アスナさん達が行くなら私も行きます!」
「私もー!」
「私も参加するわ、今日の予定は何も無いし」
アスナとリズが参加する意思を見せたのを皮切りにシリカ、リーファ、シノンも参加する意思を決める。
「ふふ、分かった。全員参加だな、君達が来てくれるのは正直心強いよ、では行こうか!」
◇◆◇
再度転移装置を使い第二階層に潜り込んだ一同を待っていたのは…
「ドーモ!黒棺へようこそ!るし★ふぁーだ!!」
──再び姿を現したるし★ふぁーと…領域守護者グラントとその眷属達であった。
「く、蜘蛛ニャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「「「いやああああああああああ!!!!」」」
──一難去ってまた一難…妖精達の苦難はまだまだ続く…。