持ちサーヴァントでいろいろ妄想してみた 作:砂岩改(やや復活)
救国の聖女《ジャンヌ・ダルク》
「あ、マスター」
人理継続機関カルデア。特異点の消滅によって人類を脅かす危機は去り、レイシフト技術は凍結。召喚されたサーヴァントたちも一騎、また一騎と退去していく。
そんな中、マスターに声をかける女性。日に照らされ美しく光る雪を背景にこちらに微笑みかけてくれていたのは紺色のマントを羽織ったジャンヌであった。
「ふふっ…」
彼女は微笑みかけながら小さくこっちに来るように手招きをする。呼ばれたマスターはそれに答えるように軽く手を振ると静かに歩み寄る。
「率直に申し上げますと、本当に一瞬でした。フランスの地で貴方たちと出会ってからもう二年近くも経っていたのですね」
少しの沈黙の後、ポツリ、ポツリとジャンヌが話し始める。美しく輝く雪景色を見ながら。
本来、カルデアに所属しているサーヴァントは特異点での記憶はない。しかし時間神殿ソロモンでの決戦の際、特異点から来た自身と繋がった事で特異点での記憶を取り戻したのだ。
「ローマでの進撃、オケアノスの大航海、ロンドン探索、アメリカ大横断、キャメロットでの決闘。まさか、ウルクの地で神殺しをするなんて思いもしませんでした」
フランスの田舎娘がまさかフランスを駆け終えた後に世界を渡り歩き人類を守るための戦いに身を投じるなど誰が思うだろうか。誰も思うまい、人としての生を終えた後にこんな大冒険が待っていたなど。
「最初に訪れたからでしょうか。ローマは本当に素晴らしかったです」
彼女がカルデアに訪れてくれたのはフランスの特異点修正のすぐ後。そのすぐ後に訪れたローマの地で彼女の目は輝いていた。
「人々が輝いていた。ネロ皇帝のもと、あれほどまでに人は輝けるものなのだと。私は感動しました」
ジャンヌ自身もその身と旗を掲げて人々に希望の道標を標し、多くの人の前に立った。だがそれとは全く違うネロの導き方、人々に情熱の薔薇を開かせ先導した彼女にジャンヌは感動していた。
「あの人はすごい人です。あの時間神殿にさえ、彼女を慕う人たちが集まり、咆哮と喝采をあげていた」
どこまでも素直で人を語られる彼女はとても美しい。そんな彼女に笑いかけるマスター、それを見てジャンヌは少しだけ赤面する。
「もう、なんですか。マスター、恥ずかしくなって来るじゃないですか」
ごめん、ごめんとさらに笑うマスターを見た彼女は少しだけ頬を膨らませながらため息をつく。
「仕方ありませんね。許してあげましょう」
そう言ったジャンヌは視線をマスターに向け、全身に視線を広げる。
「立派になりましたね。最初はあんなにオドオドしていたのに、気付けば山の翁やティアマト神相手にすら下がらずに向かい合っていたのですから。正直、最初はそこまで立派に成長するとは思いませんでした。貴方はいつもお礼ばかり言いますがお礼を言いたいのは私のほう」
貴方はいつも護られてばかりだとか、頼ってばかりだと言う。でも貴方がいつも背中にいてくれたから、私も一歩とまた一歩と歩み前進できてきた。
「いついかなる時も貴方と供に、苦難も悲嘆も貴方と共に乗り越えられる。その言葉に嘘、偽りはありません。私が心の底から思っていることです」
ジャンヌの瞳がまっすぐとマスターの瞳を見つめる。心からの感謝と誠意を感じて欲しかったのだ。その瞳を見つめるマスターは恥ずかしそうに頬を掻く。
「私の番が近づいています。もうこうしてゆっくりと話せるのは最後かもしれません」
ジャンヌは感じている。自分が退去しなければならない時期を、だからこそ文字通り、苦楽を供にしたマスターに思いを告げたかったのだ。
「別れは寂しいですが、決して終わりではありません。貴方には未来がある、無限の可能性を貴方は持っている。どうか幸せに、寂しいでしょうがサーヴァントと居なければならないような事態に会わないことを私は望みます」
手甲を外し絹のような美しいくそしてしっかりとした素手を差し出す。それを見たマスターも黙って手を出し互いに握り会う。
「……」
「……」
言葉はもう必要なかった。これ以上の言葉は野暮と言うものだろう、互いが笑顔を再び見せ、笑顔で別れる。そのしばらく後、ジャンヌはこのカルデアから退去した。
ーー
その後、再び召喚された彼女はマスターの顔を見るなり赤面で全力疾走、しまくったのはまた後の話。
思いで的なもの
うちのサーヴァントでは星5での古参サーヴァント。邪竜百年戦争オルレアン後に出てきて本気で驚いたのをよく覚えています。うちでは文字通り全てのストーリーでスタメンを勤めあげ宝具のスタンには苦労しました。かなり思い出深いサーヴァントですね。