持ちサーヴァントでいろいろ妄想してみた   作:砂岩改(やや復活)

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クリミアの天使 《二章 サーヴァント退避編》

No.2クリミアの天使《フローレンス・ナイチンゲール》

 

 

「おつかれさまです」

 

「…感謝します」

 

 カルデアの医務室。オキシンドールやら消毒アルコールやらの匂いに支配されたこの空間の主であるフローレンス・ナイチンゲールは今日担当の医務員から完全滅菌されたマグカップを受け取りコーヒーを注ぐ。

 

「貴方がいなければ、凍結されていたマスターたちの治療はまだ続いていたかもしれません。本当にありがとうございます」

 

「いえ、冷凍保存による延命処置。大変興味深く研究させていただきました」

 

 このカルデアで一番最初に召喚された星5サーヴァントであるナイチンゲール。約二年近くという時を経て彼女は普段生活ならば一般会話が可能な状態になっていた。

 特異点Fにて召喚された彼女は帰還後、即刻多くのスタッフの治療作業に貢献したおかげで彼女の人望はかなり厚かった。

 

「こちらが2年間の治療記録、それを統計し傾向と頻度を纏め上げたのが緑のファイルに纏めてあります」

 

「はい、お任せください」

 

 ナイチンゲールがおこなっていたのは引き継ぎ作業。カルデアに残る医療班に対して円滑に作業が続行できるように様々な書類を纏めていたのだ。

 

「では往診に向かいます」

 

 自分用の黒いファイルを片手に医務室を後にするナイチンゲール。往診といってもカルデア内部の見回りである。彼女自身が直接目で見て回るのは特異点へのレイシフト時を除いては日課になっている。

 

「司令官…」

 

 休憩所で一息ついていたマスターを見つけたナイチンゲールは立ち止まり声をかける。マスターの手には果実の柄が描かれた缶がありそれを飲みながら休憩所のベンチに座っていたのだ。

 

「糖分の過剰摂取はおすすめ出来ません。体を動かしている時ならまだ容認できますが、平時では控えるように」

 

 マスターに歩み寄ったナイチンゲールは軽く注意をいれると座っていた自身の司令官の目を見つめる。しばらく見つめていると向こうがたじろぎ悪いことをした子供のようにオドオドする。

 

「どうされました?」

 

 そんなマスターを横目にナイチンゲールは声のトーンを優しいものにして隣に座る。狂ってはいてはいるが多くのサーヴァントの中でもかなり古い付き合いをしてきた彼女なら心の機微ぐらいすぐに分かる。

 

「貴方のカウンセリングは最重要事項です。せっかく重荷が取れたのにその眼、少しは喜んではどうです」

 

 今日は優しいねっと言わんばかりの顔に彼女は表情を一切変えずに答える。

 

「貴方の心身の衛生管理は私に任されています。常に健全に、常に清潔に、日によってその質が変わることはありません」

 

 なぜか安心したかのような表情を見せるマスターを見た彼女はまっすぐと前を見つめ直し言葉を繰り出す。

 

「時代は常に変化を続けるものです。それは治療行為も同じこと、常に移ろいゆくものです。魔術による治療は認めませんが…」

 

 魔術という側面を強く持っているカルデアにおいて魔術による治療を真っ向から否定するのは彼女ぐらいだろう。何年たってもそれは絶対に変わらないらしい。

 

「そして私たちも同じこと、どのような治療施設においても人員転換は大切なことです。組織を長く続けさせるには換気は大切です」

 

 苦楽を共にしてきた仲間たちとの別れ。それはとても辛いと感じているのは当然の反応だ。だが看護師として、マスターを支えてきた者の一人としてここは放っておくわけにはいかない。

 

「医療も多くの犠牲と積み重ねによってここまでの発達を遂げました。貴方も多くの経験のもとにこうして存在し成長したと私は思います。誇りなさい、貴方は私たちの期待に応え続け成し遂げたのですから」

 

 人からの想い、願い、期待に受け止め、背負い、応えるのは並大抵の精神力が必要となる。人は自身の願いではなく、他人の願いによって押し潰される。

 だが英霊のほとんどは自身の想いや願いを最後まで貫いた者がほとんど、そんな我の強い英霊たちと供に駆けたマスターは少しだけ勘違いしている。

 

「他のマスター候補の方々を我々は知りません。その他の方々が私がここに所属した時点において貴方より優秀であったというのは数字から見ても明らかです」

 

 ナイチンゲールの言葉に少しだけ落ち込むマスター。最初からそれは分かっている事だったので申し訳なさそうに笑うだけだったが。

 

「ですが、今日まで多くの方々と歩み、駆けていったのは他でもない貴方です。貴方であったからこそ、あの時、ギルガメッシュ王が続きを託したのではないでしょうか」

 

 ティアマト神の冥界落とし、あの王ですら最期はマスターに託そうと決めた。

 

「貴方が必死にまっすぐと手を伸ばし続けられる人間であったからです。貴方であったからこそこの偉業を成し遂げたのだと私は思っています。これを…」

 

 彼女の真っ直ぐな言葉に思わず笑みをこぼすマスター。そしてナイチンゲールが手渡したのは医療ポーチ、それは彼女が腰に吊っているものと似たデザインのポーチだった。

 

「すべて、現代の素材で製作されています。ヴラド卿に依頼していた代物です」

 

 それを受け取り中身を見ると中には薬ビンを含む医療セットが入っていた。この中身はすべて現代の素材で調達、製作されており魔術的な要素は全く含まれていない。

 

「ビンの中身は傷薬です。他にも入れたかったのですがスペースの関係上、その一つだけです。現代、及び東洋医学をさらに研究し調合しました。効果は実証済みです」

 

 開発の経過としては様々な医療サーヴァントも関係しているのだが最終的には彼女が作り上げたものだ。

 それを聞いたマスターは喜び、腰のベルトに吊る。予想通りしっかりとぶら下がってくれた。

 

「……」

 

「……」

 

 隣に座っていたナイチンゲールは体をマスターから背けるように小さく移動する。現在、マスターからは彼女の背中と顔が本の少しだけ見える状態だ。

 

「私がいなくなっても。無理を、しないように。貴方に何かあれば、私は、悲しい。貴方を治療、看護する喜びは、あなたが傷ついた悲しみに打ち消されてしまう」

 

 ほんの少しだけ恥ずかしそうに告げられた言葉にマスターは驚いたように彼女を見つめる。その視線に耐えかねたのか、彼女は立ち上がると数歩進み顔だけ振り返る。

 

「貴方のご健勝を心から祈っています」

 

 それだけ言うとナイチンゲールは足早に去っていった。

 

 

 マスターが視界から消えしばらく歩み続けたナイチンゲールは金色の粒子を目にする。ふと体をみると少しだけ透けているのがよく分かる。

 

「……」

 

 それを予期していた彼女はなにも言うことなくカルデアから静かに退去するのだった。

 

ーーーー

 

そしてナイチンゲールさん、再召喚。

 

「し、司令官!?」

 

 再び目を覚ました彼女が見たのはあの医療ポーチを腰に吊ったマスターの姿。彼女にとってあの別れは数分前の出来事。綺麗に別れたと思ったらこのザマだ。

 

「そうですか、まだこの世界には病原菌が蔓延っているのですね!つまり、私の治療行為はまだ完遂していないということ。患者を途中で投げ捨てることはあり得ません!」

 

 一見、いつものナイチンゲールに見えるが目の前にいるマスターだけが何か面白そうに笑っていた。そんなマスターが口を開こうとした瞬間、彼女は手でそれを抑える。

 

「私は、完全治療遂行者と成っています。これからも、全ての負傷と疾患を滅ぼす者となって見せましょう、どうか安心を!えぇ、安心してください!!」

↑恥ずかしすぎると言葉が止まらなくなるタイプ

 

 

 

 

 

 

 




思い出的なもの

作中通り、FGO途中参戦組の私は第5章開始と共に参戦。リセマラなしでナイチンゲールが登場。最初はよく分からなくて捨てようとしてた自分が恥ずかしい。
ジャンヌの全体防御とナイチンゲールのスタン解除&回復コンボは円卓戦において猛威を振るいました。ケイネス先生参戦後にさらなにチート化そのおかげで戦闘ターン数がすごいことに。
うちのカルデアでは唯一の100レベ、スキルマ、そしてガチの古参メンバー。

私の相棒です。
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