持ちサーヴァントでいろいろ妄想してみた   作:砂岩改(やや復活)

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オフェリア(偽)編 終

 

 

「ちっ、仕方ねぇ。俺たちはこれから進むしかねぇ」

 

「でもオフェリアさんが!」

 

「アイツにはジークフリートが着いてる。お嬢ちゃんの気配を察してもう向かったよ」

 

 取り残されたマシュたちはオフェリア救出を希望するがクー・フーリンに止められる。

 

「そうよ、私たちの目的はあくまでもこの特異点Fの調査。目的地は既に示してある。もし敵の妨害を受けていたとしてもそこで合流できる可能性は高いわ」

 

 彼の意見にオルガマリーも賛成の意思を見せる。一番最悪な事態はなにも出来ずに全員が死ぬということだ。無策な行動は死を招く。

 

「記憶を失った不完全な状態とはいえ、あの子は超一流の魔術師よ。未熟な貴方たちが行っても邪魔になるだけよ」

 

「……」

 

 それでも心配そうにする藤丸に対しクー・フーリンは腕を肩にのせて話す。

 

「あの嬢ちゃん。あのちっこいのを逃がしたくせに自分は手を差し出さなかった」

 

「確かに…」

 

 あの瞬間なら彼女が手を差し出せば穴に落ちなかったかもしれない。

 

「自分が足手まといになることが嫌だったんじゃねぇか?下手したら俺たちまで巻き込まれてたかもしれねぇしな」

 

 あの鋭い眼光はこちらをしっかりと捉えていた。言われてみればもくてきを優先しろと言う彼女の意思が込められていたのかもしれない。

 

「…分かりました。探索を続行します」

 

「先輩…はい、分かりました。探索を続行します!」

 

ーーーー

 

(ジークフリート…)

 

 接近戦においてヘラクレスは無敵に近い戦闘能力を有している。数ある聖杯戦争の中でも第5次聖杯戦争はトップクラスの英霊が集ったあの戦い。その中でも最強とも言われたサーヴァントが今、ジークフリートと死闘を繰り広げている。

 

(ステータスは…だいぶ傷ついているな)

 

 ヘラクレスの不死性もストックはあと4つほど残っている。

 

(くそっ…)

 

 意識が朦朧としている。極度の緊張感と体力を使いきったことによる疲労感で動けない。ジークフリートも善戦しているがバーサーカーの異常な反射速度に押される。

 

(こんなところで死んでたまるかよ!)

 

 死にたくない。まだこんな意味も分からないところで何も知らずに死にたくないんだ。

 眼帯で塞がれた右目に力が入る。魔力が充実したと思えば何をするべきかも分かる。知っているのだ。

 

(いくぞ、ジークフリート!)

 

ーー

 

「■■■■■■!!」

 

「くっ!」

 

 バーサーカーという訳あって剣術というものは駆使しない。並外れた剛力から生み出せる一撃と他の英霊と比較してもなお圧倒する反射神経から繰り出される攻撃スピードは正に剣檄の嵐。

 

 流石のジークフリートと言えどもこの化け物相手に長時間持つとは思えない。だが下がれない後ろにはマスターがいる。護るべき者がいる。

 

(ジークフリート!)

 

 突如、念話で叫んだマスター。それと同時に体の傷が消えていく、これは魔術による回復。さらに身体中に力が湧いてくる。

 

「回復魔術と強化魔術か!」

 

(ジークフリート。真名開帳を許可、宝具を使え!魔力は気にするな全力で放て!)

 

「承知した。その期待に応えようマスター!」

 

 先程、放ったのは瞬間強化と応急手当、更に霊子壌土。オフェリア(偽)は右目を覆っていた眼帯を取り払いジークフリートをまっすぐ見つめている。

 

(俺に勝利を見せてくれ!)

 

 黄金に輝く魔眼。本来なら宝石の如く多彩に偏光する神域の魔眼であった眼はランクが低下し金色に光り輝く魔眼になっている。しかし力は強力だ。

 

附与の魔眼(仮名):マスターが使えるスキルを魔眼に映した者に附与する魔眼。それは魔眼保有者自身も例外ではない。

 

(ガント!)

 

「■■■!?」

 

(今だ、ジークフリート!)

 

 今まで動き回っていたヘラクレスの動きが止まる。今にも動き出しそうな雰囲気だがこれはマスターが作ってくれた勝機、逃す手はない。

 

「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす……幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!」

 

 強大なエネルギーの塊が剣に集まり、視野に映るほどまでに至る。ジークフリートの最大火力、振りかざされた剣はエネルギーの塊と共にヘラクレス目掛けて振り下ろされる。

 

「■■■■■■っ!」

 

 数少ないヘラクレスのストックも消え去り魔力を失ったヘラクレスはその姿を徐々に消していく。

 

(勝ったのか…)

 

 魔力量にはまだまだ余裕があるが色々と疲弊していたオフェリア(偽)は体を支えていた足がガタガタと震え倒れる。その体をジークフリートが支えて心配そうにこちらを見つめる。

 

(ジークフリート…)

 

「なんだ?」

 

「ありがとう…俺の騎士。」

 

「マスター…言葉が……」

 

 ほんの一言。それが限界だというのは彼にも分かっていた、たった一言、されど一言。それが彼にとっては最高の勲章だった。

 

「あぁ、これからも君を護って見せる…」

 

ーー

 

「それで、これからどうするマスター?」

 

(予定通り。冬木の心臓部に向かう、藤丸たちもそこに向かってるはずだからな)

 

「了解した」

 

(ちょ!ジークフリート!)

 

 次の方針を聞くや否やお姫様だっこをされて運ばれる。こっちの体力が回復しきれていないのを分かっての行動だろうがちょっと恥ずかしい。

 

(一応、バフ懸けとこ)

 

「感謝する。マスター」

 

 この魔眼、かなり使い勝手がいい。本来の能力とは明らかに違うが。ただ、連発は出来ない先程までに使った三つのスキルは今だに使えないと体が告げている。

 先程懸けたのはオシリスの塵、無敵状態附与のスキルだ。これからは本格的な原作介入だ。何が起きてもおかしくない、備えあれば憂いなしと言うやつだ。

 

「わが魔術は炎の檻、炎のごとき緑の巨人、因果応報、神事の森!」

 

(セイバーとキャスターが戦っているな)

 

「介入するか?」

 

(いや待て。まだだ、これには黒幕がいる)

 

 出てこいレフ・ライノール。所長を殺させはしない。

 

「聖杯を巡る戦いはまだ始まったばかりだと言うことを…」

 

「坊主、お嬢ちゃん、あとは任せた。あの眼帯のお嬢ちゃんにも礼を言っておいてくれ」

 

(キャスター…)

 

「次があるんなら次はランサーとして呼んでくれ」

 

 言動は本当に軽いやつだったが心底いい奴だった。本音を言えばもっと話したかったが。

 

(ありがとう)

 

 セイバーとキャスターの二人が消滅する。その余韻に浸ることは許されずすべてが終わったはずのこの空間に拍手の音が響き渡る。

 

「いや、まさか君たちがここまでやるとは計画の想定外にして私の寛容さの許容外だ」

 

 響き渡る男の声。その声の主は大聖杯の前に立っていた。

 

「貴方はレフ教授」

 

「レフ教授だって!?」

 

「レフ、貴方も生きていたのね。貴方がいなければ私…」

 

(ジークフリート。ここで待機、合図と共に宝具を奴に撃て)

 

「いいのか?」

 

(遠慮するな)

 

「分かった」

 

 その様子を遠くから見ていた俺は身体強化を使って崖から飛び降りてレフに駆け寄っていたオルガマリーを止める。

 

「なにをするのオフェリア!」

 

「君か、オフェリア・ファムルソローネ。まさか生きているとはね」

 

「オフェリアさん。無事だったんですね!」

 

「オフェリアさん!」

 

 無事を疎むレフと無事を喜ぶ藤丸とマシュ。レフを睨み付ける俺に対して気にくわないといった顔をしていた。

 

「本当に予想外のことで頭に来る。オフェリア、君をバーサーカーの元へと送ったのに生還するとはね。流石はAチームのメンバーだ」

 

「離しなさいよ!」

 

 オルガマリーを必死に押さえ込む俺は奴から目を離さないすぐに対応できるように。

 

「ロマニ、君にはすぐに管制室に来るように言ったのに」

 

「レフ…」

 

「君もだよオルガ。爆弾は君の下に設置したのにまさか生きているなんて。いや、生きていると言うのは違うな。君はもう死んでいる。肉体はとっくにね」

 

「え?」

 

「君は生前。レイシフトへの適正はなかっただろう。肉体があるままでは転移出来ない君は死ぬことであれほど切望していた適正を手に入れたんだ」

 

「うそ…」

 

「だから、カルデアに戻った時点でその意識は消滅する」

 

「消滅って私が?」

 

「だがそれはあまりにも憐れだ。生涯をカルデア捧げた君のためにせめて今、どうなっているか見せてやろう」

 

 真っ赤に染まったカルデアス。改めて生で見るカルデアスは圧巻の一言に尽きる。圧倒されている俺たちを余所目にレフはオルガマリーに向けて手を向ける。

 

(やらせん!)

 

 オルガマリーを庇うように前に出て威嚇のために指で銃を作る。

 

(は?)

 

「健気だ。実にくだらない、既に死んでいる彼女を庇うとは」

 

 脇腹から血が溢れ、遅れてくる激痛に顔を歪めながら倒れる。周りがなにか叫んでいるがそれも遠くに聞こえる。

 

(撃たれた。外見がオフェリアだからって警戒しすぎだろ)

 

「君は本当に邪魔だからね…」

 

(ジークフリート!)

 

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!」

 

「なに!?」

 

 完全な意識外からの宝具による攻撃。流石のレフも驚きが隠せずに攻撃を受ける。

 

「やった!」

 

「あれはジークフリートさん!?」

 

 喜ぶ藤丸とマシュ。だがレフは健在、衝撃に耐えるために膝をついていたが対してダメージを負ってないように見える。それに加えジークフリートも反撃を喰らったようで苦悶の声が念話越しに聞こえる。

 

(くそっ…まだ奴は倒せないのか…)

 

 ポケットから鏡を取り出して眼帯を外しスキル全体回復を使う。止血は出来たが応急手当ほどの回復は出来ていない。

 

(やばい。意識が霞む…)

 

 自分の血で血溜まりが出来ている。危険域に達している血の出方だ。そうこうしているうちにオルガマリーがレフに捕まり空に飛ばされていた。

 

「いや―――いや、いや、助けて、誰か助けて! わた、わたし、こんなところで死にたくない!だってまだ褒められてない……! 誰も、わたしを認めてくれていないじゃない……!」

 

(待て…クソ野郎……)

 

 誰もがなにも出来ない。マシュがロマニの指示の元に治療をしている。俺の事は構うな、所長の事を優先しろ。早くしろ!

 

「どうして!? どうしてこんなコトばっかりなの!?誰もわたしを評価してくれなかった! みんなわたしを嫌っていた!やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない!生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのに!」

 

 せめて死んでいるのなら笑っていて欲しかった。こんな悲痛な叫び声を聞きながら動こうともがく。

 

「止めてくださいオフェリアさん!死んでしまいます!」

 

(あぁ…所長……)

 

 悔し、単純に悔しかった。自分の非力さ、浅はかさを感じながら叫ぶ。

 

「ああぁぁぁぁぁぁ!」

 

 魂の叫びとはこう言うことを言うのだろう。二度目の言葉は俺の絶叫だった。

 

「ふん…」

 

 叫ぶオフェリアを見て満足そうに頷くレフはそのまま姿を消す。世界が崩壊していく中、なんとかレイシフトで脱出した藤丸とマシュ。見事にカルデアに帰還を果たした二人。だがその横にオフェリアとジークフリートの姿はなかった。

 

ーーーー

 

 藤丸たちがカルデアに帰還した頃。オフェリア(偽)とジークフリートは違う世界にレイシフトしていた。

 

(……)

 

「無事か、マスター?」

 

(なんとかな。痛みを感じる程度には元気だよ)

 

 穏やかな風が吹く草原の中。一人の騎士が主を大事に抱えていた。空には穴のような物が存在し我々を飲み込まんと大口を開けている。

 

(特異点から特異点にレイシフトしたのか。ジークフリートに引っ張られたのかな)

 

 彼女たちがレイシフトした先。その正体は第一特異点 

 人理定礎値C+ 邪竜百年戦争オルレアン A.D.1431

 

 彼女は逃れられない人理修復と言う戦争に、これから巻き起こる七つの冒険を越え、四つの事件を解き明かし、七つの戦争を制さなければならない。

 

(これからよろしくな。ジークフリート)

 

「あぁ、マスター。俺はマスターの剣となり盾となろう」

 

 ジークフリートの肩を借りながら立ち上がる。視界一杯に拡がる草原、空を翔るドラゴンたち。

 

 彼女は一体、何者なのか?なんなのか?オフェリア(偽)聖杯戦争が幕を開けるのだった。

 

 





少々、省きましたが取り敢えず一区切りです。

深まる謎、ロマニの心境はいかに?オフェリア(偽)は本当の意味での敵なのか味方なのか?

予想外の大人気に続きは予定しておりますがこの作品は勢いで書きたい物たちの供養用なのでまた別個で書きます。
オフェリア・ファムルソローネのタグは絶対に入れますので出来たらこの作品のタグで見つけられると思います。今後の案とかも纏まってきて、作品を上げ出したら私、個人の活動報告に上げますのでよろしくお願いいたします!

ではありがとうございました!

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