この悪ふざけに、ここまでお付き合い下さった方に感謝を。
明日が終わるまでに完結するつもりです。
―――――――――ワタシ、悪イ子にナッテしまうわ。
それは、一対の輝く/昏い玉虫色の球体だった。
神秘的な/冒涜的な その輝きは万物の真髄が宿る/何もかも存在しない無限の虚無 を現しているかのようで。
果てのない存在にして自己。
それを見たゴルドルフは識った。宇宙の果ての叡智を視た。
それは、とても、『 』のようで――――。
識るべきでなかった/知ろうとしていた ナニカを視たゴルドルフは、無限の幸福/苦痛 にのたうち回り、幸福な絶叫と共に果てた。
「ぐ、がああああああああっ!?」
―――――――――――――――――――――――――
冷蔵庫を開けると、そこには
「――――――これこそが我が愛! わが愛は爆発するぅぅううう!」
「ぐぎゃああああああ!?」
――――――――――――――――――――――――――
殺菌! 消毒! 緊急治療!
「貴方の命を救いたい―――――貴方の命を奪ってでも! 切除!」
「ぎゃあああああっ!?」
―――――――――――――――――――――――――――
これが、人間の歌か……!?
「アン……コール?」
「うむ、うむ……! 聞こえたぞ、余たちを呼ぶ声が!」
「最高のフィナーレよ!」
「「「「「「これぞ――――カルデア限定スペシャルライブ!!」」」」」」」
「「「「「「余(私)たちの歌を聞けぇええええええええええッ!!!!」」」」」」
―――――――――――――――――――――――――
「アナタもワタシも、ここでは皆が平等なの。だから、何も気にしなくていいわ。―――――そう、ワタシたちのティーパーティーを、終わらせようとさえしなければ」
ああ、私の名前は、なんだっただろうか。
でも、きっと。もう、かんけいがナイ――――――――。
―――――――――――――――――――――――――――――
「今こそ力を、取り立ての騎士よ! 其れはもう一振りの星の聖剣――――かつ、負債を回収するもの!」
「……はァ!?」
「――――――
「ぎゃあああああっ!?」
わ、私のATM残高がぁああああっ!?
――――――――――――――――――――――――――――――
黄色い眼が、こちらを見ていた。
ゴルドルフの、からっぽになった腹の中から。
「は、はははははははは―――――」
『ねぇ―――――お腹いっぱいになったら、満足したかしら? 欲張りな、新しい、所長さん?』
――――――ぐちゃり。
湿った音が響いて、止まった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「……貴方ですね。わたくしと、ますたぁの仲を裂こうとするのは……シャアァアアアアッ!」
「―――――
「牛王招来―――――天網恢々!」
―――――――――――――――――――――――――
「タマモ地獄を見せてやろう―――――これが手加減だ! 燦々日光午睡宮酒池肉林!」
「うふふふふ。随喜自在――――顎の如き天井楽土、快楽天・胎臓曼荼羅」
「――――ドロドロに溶けて、経験値になってしまいなさい」
―――――――――――――――――――――――――――――
「――――――ハッ!? ゆ、夢か………」
死ぬ夢を見た。
幾度も、幾度も、何通りもの可能性で死に続けた。
発狂、爆発、切除、音痴、消滅、借金、料理、恨み、あと何かよく分からない理由で死ぬこともあった。竜でないのに竜認定されてバルムンクされたことすらあった。
酷い悪夢だった、と思いながら顔を上げ―――――“ソレ”はあった。
「どうも。僕は聖杯君――――とでも名乗っておきましょうか」
それは、趣味の悪いキグルミのようだった。
というか思い切りキグルミにしか見えなかった。
「な、何だ貴様は!? 私を誰だと思っている!? 私はカルデアの新所長、ゴルドルフ・ムジークだぞ――――!」
「知っていますとも。―――――ですが、ここ最近よく死ぬ夢を見るのでは? 予知夢でしょうか。怖いですね」
「ぐっ、き、貴様何を――――」
何を知っている? あるいは、何を言うつもりか。
「――――それ、本当に起きる可能性があることですよ」
「なっ――――」
「まあ、信じないのでしたら止めはしません。どうぞ、良い旅を」
「―――――ま、待て!? 貴様は―――――!?」
目が覚めれば、そこは出発直後のヘリコプターの中。
最早吹雪はなく、雪が降るだけのそれは、カルデアになんとかたどり着くだろうと推定されていた。
「わ、私が……死ぬわけがない」
そして―――ヘリコプターは、無事にカルデアの入り口にたどり着く。
『―――――以上、44名。登録認証 オールクリア。』
『安全性審査:教会規定 特別免除により、全員のカルデア入館を許可します』
『正面ゲート 開放。 ようこそ、ゴルドルフ・ムジーク様。』
『並びに国連査問会の皆様。 当カルデアは 皆様の入館を 歓迎します』
「こ、これは……!?」
「……ゴルドルフ様? どうなさいましたか」
「こ、コヤンスカヤ君……」
これは、あの夢と同じ……?
怪訝そうなコヤンスカヤ君になんでもない、と言って。
時折私の死因になった神父に一瞬だけ視線をやってから、前に向き直る。
そう、あれは所詮夢だ。夢なのだ。現実であるはずがない。
ゴルドルフ・ムジークはカルデアを歩く。
温かい場所に移ったというのに、未だに若干の震えを残しながら。後ろに40名の兵隊を従えて、なんとか無事にここを奪ってやろうと人影に近づき―――――気づく。
――――――まさか、これは。と。
それは、四角いカタチをしていた。
それは、部屋のど真ん中に堂々と鎮座していた。
それは、木の板と布を組み合わせたような奇妙なもので―――――。
「――――あっ、ノッブ。みかん取って下さい。みかん」
「うむ、是非も無し。もうこれ箱ごとコタツに乗っけちゃって良くね?」
東洋に伝わる、凄まじい知名度を誇る結界宝具―――――その名は、KOTATSU。
そしてそこに足を突っ込んで限りなくグダってるのが血反吐サムライこと沖田と、焼き討ちノッブことノッブであった。
「……………まさか」
「あれー。ノッブお客さんですよお客さん」
「えー。正直面倒なんじゃがー。宗教とかお断りしてるんでー」
――――――瞬間、ゴルドルフの脳裏に電撃走る。このままでは死ぬ、と。
「―――――…すまないが君たち、所長代理のレオナルド・ダ・ヴィンチを探しているのだが」
「所長代理ぃ? 知らんのぉ、他を当たってくれい」
「そうそう。沖田さんたちはみかん食べるので忙しいですしー」
―――――こいつら絶対に知ってるだろう!
怒鳴りたい気分を抑える。まさか夢では知っていたからなどという理由で怒鳴るのは魔術師らしくもない。
「ええい、ならば自分で探す!」
と、ふとコタツに置かれたカレンダーが目に入った。
12月19日――――吹雪で半月以上足止めされたことを思い出し、若干腹立たしいものを覚える。
どこかにいる所長代理を見つけ出して、一刻も早くここを掌握しなければ!
というか何故まだサーヴァントの退去が終わっていないのだ!
「あー、じゃあジュース取ってくださいよジュース」
「そうじゃそうじゃー!」
「知るか!」
「あ、おい!? 外は危ないぞ!」
こんな奴ら、無視するに限る!
――――――ガチャリ。
「GUAAAAAAA」
「…………」
ある日、カルデアで。でっかいワンコに、出会った。
「は、ハロー?」
―――――――がぶり。
ゴルドルフは死んだ。