FGO-ファイナルデッド・ゴルドルフ-   作:アマシロ

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トラツグミさんに頂いたアイデアにより 当カルデアは 新所長を 歓迎します。


take4-1:それは、盛大に

Take4

 

 

 

 

 

 すべてのサーヴァントは、カルデアから退去した――――。

 ただ一人、所長代理を務めるレオナルド・ダ・ヴィンチを除いて。

 

 人理を護るための力、レイシフトは人理への反逆にも用いることができるために凍結され、メインの動力をも封じられたカルデアは“人理を守護する最後の砦”の役目を終えた。

 

 

 

 

『―――――以上、44名。登録認証 オールクリア。』

 

『安全性審査:教会規定 特別免除により、全員のカルデア入館を許可します』

 

『正面ゲート 開放。 ようこそ、ゴルドルフ・ムジーク様。』

 

『並びに国連査問会の皆様。 当カルデアは 皆様の入館を 歓迎します』

 

 

 

 

 

「ほ――――う!

 ほほ―――――う!」

 

「いい! いいではないか! こんな地の果ての工房に期待などしていなかったが、まさか、これほど近代的な施設だったとは!」

 

 

 

 

 胴間声を静寂の中に響かせながら、ゴルドルフ・ムジークはカルデアを歩く。

寒い外から温かい場所へと移った安堵もあったのだろうか。後ろに40名の兵隊を従えて、さあこの場所を奪い取ってやろうと意気揚々と人影に近づき―――――気づく。

 

 

 

 

「ほほう。そして、そこに堂々と立っているのが報告にあったサーヴァントか……ん?」

 

 

 

 

 

 言ってから、ゴルドルフは気づいた。

 ダ・ヴィンチと聞いていたものの、なんというか、その人物は小柄で。ダ・ヴィンチっぽさは欠片も無かった。

 

 

 

 

 

「ふっふっふ。――――あえて言わせてもらうぞ、否である! そして早速ではあるが時間が押しているのでな―――――歓迎するぞ、盛大にな! 我が才を見よ!」

 

 

 

 

 そして、その横に立っているのは明らかに露出過多で、おまけに尻尾のようなものまで生えた少女で。

 

 

 

 

「私たちのラストライブ――――ちょっとだけ、本当にちょっとだけ寂しいけど、派手に決めるわよ!」

「――――万雷の喝采を聞け!」

 

 

 

 

 敵意とか、そういうものは一切感じられなかった。

 ゆえに反応が遅れたのだろう。地味に神父とコヤンスカヤは全力で退避していたのだが、ゴルドルフのような魔術師にそれを望むのは酷だった。

 

 

 

 

 

「サーヴァント界最強のデュエットソングを、聞かせてあげる!」

「しかして讃えよ―――――黄金の劇場を!」

 

 

 

 

「――――来なさい、スペシャルチェイテアンプ! 鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)!」 

「――――招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)!」

 

 

 

 

 

 

 それは、黄金に輝く劇場だった。

 この世の財と楽を集めんとした皇帝の、偉大なる建造物。建造者の情熱と執念が築き上げたその劇場の素晴らしさは、金持ちであるゴルドルフには正しく伝わった。

 

 

 

 

「おお! こ、これは……素晴らしい!」

 

 

 

 

 そこには「これ奪い取りたいわー」というような邪念もあったが、今まさに開演しようとしている皇帝陛下はその欲望を良し(ローマ)とした。

 

 ローマ故致し方なし。

 そんなことよりも観客が自身の建造物に感嘆したことで皇帝陛下のテンションは天元突破した。

 

 

 

「行くぞ、エリザベートよ!」

「ええ、派手に決めるわよ!」

 

 

 

 

 二人が大きく息を吸い込み――――。

 

 

 

 

 

『『ぼえええ~~~~~~~~ぇえええッ!』』

 

 

 

 

 

 それは、まさに芸術の無駄遣い。

 皇帝陛下が自分のために作った劇場は、その自ら望む状態(ルール)を相手に押し付ける効果もあってその殺人的なエリザベートの声量と、宝具なアンプのパワーを高め、普段は音量そのものはそこまででもない皇帝陛下の声量すらも殺人的に昇華させる。

 

 

 

 

 

 

 

「おおごごごごごごごごご!?」

 

 

 

 

 

 超音痴攻撃―――――片方だけでもアフリカゾウ一万頭を再起不能にするともまで言われる激しい音の大瀑布が劇場に反響し、しかし宝具の効果で鼓膜が破れることも気絶することもない。お願いだから一切ダメージを与えないでくれとマスターが頼んだ結果だが、それはそれで拷問だった。

 

 

 

 

「くっ、マスターに頼み込んで残した魔力も残り少ない…! エリザベートよ!」

「フィナーレね!」

 

 

 

 

「「Laaaaaaaaaaaaaaa!!」」

 

 

 

 

 

 絶妙に音程を外した高音域と無駄に大きすぎる音量と反響させる劇場が、よく通る本来なら良い声を殺人的なデスボイスに変える。

 

 

 

 

 

「ありがとーう! ありがとーう! 最高のライブであった!」

「これでもう悔いは無いわ………ありがとー! 子イヌー! ブタどもー!」

 

 

 

 

 

 

 光の粒子となって、二人のサーヴァントが消えていく。

 それを見て、ゴルドルフはどれほど安堵しただろう。鼓膜が破れてほしいなどということを一瞬でも考えてしまったのはこの時限りだろう。

 

 

 

 

 

 

「ぐ、ぐ………ぶ、無事か……?」

 

 

 

 

 何はともあれ、自身の戦力を確認しなければ身を守ることもできない。

 振り返れば死屍累々。誰一人として無事ではない黄金劇場を見渡し、ゴルドルフは気づいた。

 

 

 

 

(……この劇場、何故まだ残って―――――)

 

 

 

 

 僅かに、この劇場が手に入るのではという希望がもたげ。

 そして、声が聞こえた。

 

 

 

 

『む。むむむ? むむむむぅ? 声が聞こえぬぞ……?』

『困ったわね。アンコールができないじゃない』

 

 

 

 

「……アン、コール…?」

 

 

 

 

 

 

 既に意識が朦朧としていたゴルドルフがなんだかものすごく恐ろしげなその言葉を、よく理解しないままにつぶやいたその瞬間。

 大変、とても、ものすごく嬉しそうな皇帝陛下の声が響いた。

 

 

 

 

『―――――聞こえたぞ、そなたの呼ぶ声が! よかろう――――此度のライブは出し惜しみ無しで行くぞ! 三度、落陽を迎えても(インウィクトゥス・スピリートゥス)!』

 

『更に―――――エリザ、チェーンジ!』

 

 

 

 

 どかーん。

 派手な爆発音と共に、劇場の中心に降り立つのは三人の人影。

 全く同じ顔、違う服装の三人は決めポーズと共に言った。

 

 

 

「―――――エリザベート・バートリー!」

「―――――ハロウィン・エリザ!」

「―――――勇者エリザ!」

 

 

 

『ふっふっふ。これで終わりではないぞ――――あれは誰だ? 美女だ? ローマだ? もちろん―――――ぜーんぶ、余だよ!』

 

 

 

「―――――ネロ・クラウディウス!」

「―――――奏者のために歌うぞ! ネロ・ブライド!」

「―――――劇場は、海より来たる! 予の水着を刮目するがいい!」

 

 

 

 

「「「「「「これぞ――――カルデア限定スペシャルライブ!!」」」」」」」

 

 

 

「「「「「「余(私)たちの歌を聞けぇええええええええええッ!!!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 そして、途中から何者かの宝具によりネロとエリザに魔力が無限供給されたことにより、六時間にも及んだ壮大なネロ・エリザライブは全員の心をへし折って幕を閉じた。

 

 コヤンスカヤはいつの間にか、最初からいなかったかのように消失。

 カルデアの、とある場所に隠された部屋で狐の笑い声が響いたとか。

 

 

 

 

「―――――水天日光天照八野鎮石・無限音痴地獄! なんちゃって♪ ふふふ、私に逆らおうなんて10000年くらい早かったですねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




take4-2へつづく。
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