FGO-ファイナルデッド・ゴルドルフ-   作:アマシロ

6 / 15
なんか皆さんに帰らないサーヴァントが多いのではと言われたので前日譚を。
ゴルドルフさんが出ないので読み飛ばしていいですよ! ゴルドルフさんの戦いを楽しみにしていた方、すまない…。

あとマスターの回想に1.5部の割とアレなネタバレがあるので注意。

アビーが優遇されてるのはこの二次小説書いた切っ掛けなので見逃して下さい。
あと誤字報告ありがとうございます!


take■:プロローグ/離別

 

 

 

 

 

 

――――――多くの世界を見た。

 

 

 

 外の宇宙も、地球も。

 様々な生き物がいた。人のような生物もいた。あらゆる文明があった。

 

 それでも思い出すのは、やはりあの人類最後の砦で。

 辛い時も、悲しい時も傍に居てくれる――――たったそれだけの事が尊いのだと、誰かと共に祈ることの優しさと、素晴らしさを知った。

 

 あらゆる英知も、あらゆる真理も無くとも人は生きて行ける。

 握った手の温もりと、祈りを捧げる安らかな時間があれば。きっと。

 

 

 

 

「我が手に、銀の鍵あり―――――」

 

 

 

 

 誰もが優しさを持っているはずなのに。

 寒い冬のような時間には誰かを疑いたくなる。誰かのせいで悪いのだと、そうでなければ自分は幸せになれるのだと信じたくなる。

 

 

 

 

「虚無より現れ、その指先で触れ給う―――――」

 

 

 

 

 けれど、そうでない人もいた。

 あの特異点――――セイレムで、ずっと私を信じてくれたヒト。

 

 外の世界の、たくさんの楽しみと味わったこともないパンケーキを教えてくれた。

 

 

 

 

 

「―――――さあ、“門”を開きましょう」

 

 

 

 

 また、『誰かのせいにしたい人たち』によってカルデアは最後の砦では無くなってしまいそうだったけれど。

 

 外なる叡智を知り、見て、答えは出た。

 帰ろう。あの場所へ――――。

 

 それはきっと、望まれていないことで。“悪いコト”なのだけれど。

 それなら、あの時生まれた『魔女としての私』を解き放とう。悪いことだと、封じ込めていた自分を認めよう。

 

 

 

 だって―――――貴方に素直に甘えられるこの姿も、悪くないように思えたから。

 

 少しだけ、我儘になってみよう。

 貴方が信じてくれた“わたし”は、きっと――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――こんにちは、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ。俺は、迷っていた――――。

 本当にこれでいいのかと、疑問を抱いていた。

 

 

 

 数多の戦いを駆け抜けた。

 

 邪竜と竜の魔女によって滅ぼうとしてたフランスを、ローマとローマによるローマがローマしたローマを、海賊たちと共に旅したオケアノスを、霧に覆われたロンドンを、ケルトの波に抗うアメリカを、一人の男の果てしない旅の最後を見届けたキャメロットを、そして神代の暴威に抗う原初の人間たちと共に生き抜いたバビロニアを。

 

 

 

 お団子泥棒を追いかけ、ハロウィンライブに招待され、本能寺が燃え、トナカイとなって聖夜を駆け、チョコレートを死ぬほど食べ、監獄塔に閉じ込められ、モナ・リザの贋作を集め、冬木の聖杯戦争に参加し、羅生門で無心に茨木童子を叩き、天竺への旅に参加し、鬼ヶ島で鬼退治をして、水着でバカンスだと思ったらサバイバルさせられて、うりぼうが可愛くなくなって、魔法少女たちと共に戦い、ネロ祭りに参加させられ、巨大すまないさんの顔が空に浮かび、ジャンヌダルクオルタサンタリリィと靴下を集めて。武蔵ちゃんと下総の国を駆け抜けた。

 

 

 そして、残された魔神柱達。

 新宿では自分に復讐しようとする魔神柱に、アガルタではラップ調の魔神柱に、セイレムでは女の子に情が移った魔神柱もいた。そして、SE.RA.PHではビーストⅢRに取り込まれたゼパなんとかさんもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし国連および魔術協会から伝えられた決定は「所長代理を除くサーヴァントの全退去」である。自分の我儘で、カルデアに生き残った、自分を支え続けてくれた全員を巻き込むことはできない。なんとか穏便に帰ってもらおうと思っていた。

 

 

 

 

『――――良き戦い、良き仲間、良き語らいがありました。人理を救ったマスター、世界と人々を救ったマスターよ。一人のサーヴァントとして、貴方を誇りに思います』

 

 

 

 常勝の騎士王は、その決定に異を唱えることなく去った。

 ………最後の日は、大量に食事を注文してエミヤ’sキッチンに悲鳴をあげさせていたけれども。

 

 

 

『――――まあ、そうであろうな。この程度の雑事、この我が出向くまでもあるまい。だが心せよ、貴様がこれより戦うのは世界を滅ぼす相手のみではない。世界そのものでもあるということだ』

 

 

 

 人類最古の英雄王は、なんだかんだ言いながらも心配してくれているようで。

 

 

 

『貴様にこれをやろう。仮にも我のマスターだ、我のような鎧は不相応としても貴様のような貧弱な装備で事故死されたのでは詰まらん。………まあ、死なぬ分には感知せんがな』

 

 

 

 護符をくれたのだが、死なない分には感知しないとは不吉すぎませんか英雄王。高ランク千里眼持ちの貴方が言うとシャレにならないんですが。

 

 

 

 

 

『はあ、退去だぁ? 早く言えよ、そういうのはよぉ! 宴の酒と飯を用意してねえじゃねーか。猪の一匹でも狩ってくるか。お、そこにいるのは二槍使いの――――おい、一狩り付き合えよ!』

 

『これは……光の御子殿! お声掛けいただけるとは恐縮です。喜んでお供させて頂きます!』

 

 

『うし。お、そこにいるのはフィンだったか。お前も来いよ、猪狩り』

『………ほう。それは面白そうですな』

『INO……SHISHI…?』

 

 

 青タイツ兄貴とディルムッドはフィンと猪狩りに出かけ、その夜は宴になった。ディルムッドは猪に襲われて死にかけた上にフィンに癒やしの水を焦らされたらしく泣いていた。

 彼らはケルト勢で大乱闘を開いた挙句、スカサハが勝ち抜いて敗者から消えていった。勝ち抜いたスカサハの顔はどこか残念そうだったが。

 

 

 

 

『何、退去とな!? ……そこはホレ、聖杯で受肉とかいうわけにはいかんのか?』

 

 

 

 止めてください征服王。貴方凄い英霊なんだから! 普通の聖杯戦争で普通に勝って受肉してください。マジで収拾つかなくなるから!

 

 

 

『むぅ……確かに我らは世界を救わんと集まった者たちよ……余だけ受肉するのでは筋が通らんか――――だがなぁ。このまま手ぶらで帰るというのもちと寂しすぎるとは思わんか!?』

 

 

 

 世界救ったのに手ぶらも何もないでしょ!

 ………仕方ない、英雄王……は無理として、軍勢相手なら……賢王様たちにお願いしてみるか。

 

 

 

 

『おお? なんだ、マスター。お主のそういう羽振りの良さは余も素直に素晴らしいと思うぞ』

 

 

 

 カモ扱いじゃないよね!? ぐぬぬ。

 

 賢王さまー。征服王が帰る前に凄い英霊と戦いたいってー。

 賢王さまの、かっこいいとこ見てみたい!

 

 

 

『何? 我を選ぶとはいい度胸をしているが――――ふむ。エアを抜かぬこの姿ならば勝てると思われるのも業腹よ。良かろう、他ならぬ貴様の頼みでもある。征服王に我がウルクの威光を示してやる!』

 

 

 

 

 結局、天の鎖まで使わされた賢王だったが、隠し玉であるマーリンの「呪文唱えるよりエクスカリバーでぶった斬る方が早いよね」により勝利。征服王が勝ったらまだ帰ってない強力なサーヴァントが初代様、メルトリリス、殺生院キアラとかで大惨事になる予感しかなかったので本当に良かった…。

 

 

 

 

『それじゃあ、私は徒歩で帰るとしようか』

 

 

 

 マーリンは徒歩で帰っていった。

 ……絶対寄り道するよなぁ。女性に迷惑かけそうだなぁ。令呪で命令したかったが、かなり助けてもらったので見逃すことにした。

 

 

 

『戦いは終わった。なおも留まらんとするのならば―――――首を出せい』

 

 

 

 ハサンたちは全員、初代様の威光により我先にと帰っていった。

 静謐のハサンだけは残りたそうにしていたのだが―――。

 初代様が何か呟くと何か安堵したように去っていった。

 

 

 

 

『ああ、安珍様――――これより逃げた大嘘つきを退治します』

 

 

 

 清姫は、アビーことアビゲイルに頼んで安珍のところに送り込んでおいた。

 アビーには「離れ離れになった恋人」と説明したので、良いことをしたと喜んでいたのが微妙に申し訳なかったが。

 

 ほか、頼光さんは金時と酒呑が一緒に、というか酒呑童子にひっつかれて座に帰ろうとするのを見ると鬼の形相で追いかけていった。座は大丈夫だろうか…。

 

 

 

 

 

 そうして、途中までは、迷惑をかけないようにすること――――帰ってくれそうにない人たちに帰ってもらうことに必死だった。

 けれど、賑やかだったカルデアがどんどん静かになっていって――――。

 

 

 

『………来たばっかりのなのに~~~っ!? どういうことなのだわ!?』

『最後はパーッと派手にやろうじゃないか!』

『おかーさん?』

『……退去は悪い文明か?』

『それもまた、ローマ……』

『では、最後にアルジュナと決着をつけるとしよう』

『俺を呼んだな!』

『うーん、今度の旅も楽しかったわ! ありがとね、お弟子さん!』

『私以外のセイバーを全員退去させるチャンス…!』

『読み終えてしまうのは、とても寂しいわ……』

『そういえばイリヤ、マスターと一緒にお風呂に入る約束は? やっとお兄ちゃんが私のものになると思ったのにー』

『な、ななななんでクロがそれを!? って、約束はしてないから! お兄ちゃんは渡さないんだからー!』

『私は悲しい……ですが別れもまた必要なものなのでしょう』

『そういえばマスター、株とか土地に興味は無いかい? せっかく集めたからあげるよ』

『マスター、このフェルグスと一戦交える気はないか?』

『シータには会えなかったが……マスターと出会えたことは、良かった』

『くっ、いいわよ! 帰ってやるわよ! また来てくれって泣いて土下座したら踏んづけて嘲笑ってやりますからね! せいぜい頭を洗って待ってなさい!』

『まだ満足していないのにーーーー!』

『やはり貴方には高さが足りまセーン! ですが、見事な戦いでした。ムーチョ、ムーチョ!』

『フハハハハ、退去? もちろんいいヨ! え、何も企んでなんていないサ! 私を信じてくれ給え、マスター!』

『………ふーん、そう。いいわ、所詮私たちは怪物ですもの。好きにさせてもらうわ』

『BBちゃんは電子の海に帰りまーす! それでは哀れな人類の皆さん、今後の戦いも頑張って下さいねー』

『答えは得た――――人類を救うのは貴重な体験だったよ。ありがとう、マスター』

 

 

 

 

 

―――――ようやく。いつの間にか、あの騒がしく、苦しくて、でも何よりも鮮やかだった日々が無くなることを、想像できなくなっていた自分に気づいた。

 

 

 

 

 世界を救う戦いだ。

 楽しかった、と言うのはおかしいのかもしれない。

 

 けれど――――けれど。彼ら、英霊たちと過ごす日々は。きっと何にも代えられない鮮烈な色彩に満ちた日々で。

 

 

 

 

 

 

「――――――マスター?」

「……ありがとう、アビー。短い間になっちゃったけど、君がいてくれて本当に助かったよ」

 

 

 

 彼女と“銀の鍵”のおかげで、帰れなくなっていた人達も無事に元の世界に戻すことができた。そうでなければもっと困ったことになっていただろう。もちろん、最後まで残ったのには彼女がエレシュキガルを除けば最後に来たサーヴァントということもあるけれど(エレシュキガルはイシュタルに引き摺られていった)。

 

 

 

 

「………ううん、いいの。わたしも、マスターさんと一緒に過ごせて良かったわ。お別れは寂しいけれど――――それは、楽しかったからこそですもの」

 

「そうか―――――そうだね。うん、とても楽しかった」

 

 

 

 

「でもね。辛い時も悲しい時も、貴方は傍にいて下さった――――マスター、貴方が辛い時にはわたしが傍で支えると誓うわ。……そう考えると、この力もとっても素敵に思えるの!」

 

 

 

 

 どんな場所にでも門を開く、与えられてしまった、少女には大きすぎる力――――それでもなお微笑む少女に、負けてはいられない。

 

 

 

「ありがとう、アビー。けどアビーが辛い時も、いつでも来てくれていいからね。……俺も、なんだか思ってたよりずっと寂しいし」

「……マスターは悪い人だわ」

 

 

 

「え゛っ?」

 

 

 

 よくマシュにも「先輩最低です」とか言われてしまうのだが、もしかして空気が読めてないのだろうか、自分は。

 

 

 

 

「………絶対、ぜっったいに遊びに行くわ! だから――――またね、マスター!」

「うん。またね、アビー」

 

 

 

 

 

 門が開き、手を振ったアビーの姿が見えなくなると契約を感じなくなる。

 残っているのは、マシュだけ――――。

 

 

 

 

 そして、新たな戦いの序章が始まる―――――。

 新たな所長を、新たな仲間を、そして絆を結んだ仲間たちを再び迎えて。

 

 人理を救ったマスターの、世界との戦いが幕を開ける。

 

 

 

 

 

 




なんか勝手なことを色々書いてますが、間違ってたら焚書して書き直すのであしからず。二次小説の、しかも短編ギャグだから是非もないヨネ! ギャグのタグ付けます?

え、台詞が多すぎて誰が誰だか分からない……? 想像するのは常に最強の(ry


後付けにしたがい、二行ほど焚書しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。