ゼロの使い魔導書   作:すぴんど

4 / 20
映画の円盤情報まだかなぁ(いけなかった勢)
てか前の読みにくいなぁ!マンガのフキダシに入れるセリフじゃないのに区切りが多すぎる!
というわけで前話後編だけですが一部訂正を試みました
ちょっとだけでも面白くなっていたら幸せ。

こちらも読み返す度にアラが。訂正訂正。

そしていつの間にか評価バーが! ありがとうございます。

グレアム提督って2ndA'sにもいることになってるんだっけ?いや確か完全に関与なかったはず。と思い返したりと穴が多い(´・ω・`)
なるだけ2ndA'sを起点に他の世界線から肉付けしていくつもりですので、致命的な点以外はある程度ごちゃまぜにしてもらえると助かります。


第4話 夢を現実へ

「すまない、車椅子を忘れた!」

 

管制人格はそういうと、先程コルベール先生がもってきてくれていた車輪のついた銀色の椅子(?)を、オールド・オスマンの部屋へと取りに帰ろうと慌てて廊下をかけていく。

 

やっぱりこいつ、本当はお馬鹿なんじゃないの? 合体…ユニゾンって言ってたっけ? それをしてない時は目尻か下がっていて迫力ない気がするし……。と、そんなふうにちょっと低評価をルイズがくだしていると、彼女の主で私の使い魔であるヤガミハヤテを預けに管制人格が戻ってきた。

 

「抱きかかえたまま激しく走っては我が主の体に悪い。すまないが少しの間主を頼む、主の主よ。」

 

そういってヤガミハヤテを私に預けると、またばたばたと走っていく。本当にこんな奴が世界を滅ぼす魔導書の部品、もとい管理者なの? ルイズの中で更に管制人格の評価が下がる。

 

預けられたヤガミハヤテを改めてまじまじと観察するルイズ。軽いし、小さい―――。ルイズは大概今も小さいが、それ以上にヤガミハヤテという少女は小さくて、子供の頃の自分以下なんじゃないだろうかと思ったほどだ。

 

普段出会うことのない、自分よりも小さく幼い存在。その上儚そうなはやてにルイズはなんともいえない気持ちになる。いくら平民の使い魔とはいえ、地面にぽいと置いておくという気持ちにはなれなかった。

 

とはいえ、管制人格(…もうルイズは面倒になり、闇の書と呼ぶことにした。)のようにお姫様抱っこというわけにはいかないので、ルイズも廊下に座りその体の前に彼女を座らせている。

 

「平民の椅子になってあげる貴族様なんて…本当、この子は幸せ者よ。」

 

ひとりそう愚痴るルイズ。しばらくして目を閉じていると、ため息が出た。

 

「はぁ…闇の書かぁ……。あれのせいでこのままじゃ世界が滅んじゃうなんて、急に言われても全然理解できないわよ。」

 

闇の書との会話は、あまりに今まで生きてきた現実とかけ離れすぎている。あそこまで言われれば信じてあげられないわけではないが、納得ができないルイズだった。

 

自分の気持ちに整理がつかず、もやもやとしたものをどうにかするために目を閉じ、頭の中を整理していたのだが―――

 

「えっ? 闇の書って、そんな危ないものだったん?」

 

ふいにどこからか声が聞こえてきた。

 

頭の整理と沈静化に考えを割き過ぎていたルイズは、特に深く考えず相づちをうつ。

 

「そうよ? しかも全部のページが集まりきっちゃうと勝手に暴走して、最後には主を殺して転生。まったくとんでもないものね。しかもそれが完成間近だったなんて…私が召喚しなかったらどうなってたのかしら。」

 

「完成間近!? シグナム達、私は何もいらへんって言うたのに…いったいみんな何してたんや!!」

 

「誰よシグナムって。でもそうじゃなきゃ闇の書の人格は、物質世界? ってのに出て来れなかったって言ってたわよ。」

 

妙なイントネーションと言葉づかいの声と、目を閉じたまま話し続けるルイズ。

 

「闇の書の人格? え…えっ? 闇の書って話せるんか!?」

 

「そうよさっきまで色々と話を…って―――」

 

ようやく思考が会話へとはっきり向いて、疑問を感じるルイズ。待って、今…私は誰と一体話しているの?

 

目を開けると、そこにはからだを少しねじってこちらを見ている女の子。深い青色の目をした自分の使い魔の、ヤガミハヤテが視線を向けていた。

 

「はじめまして、桃色のお姉さん。ええと…その闇の書のマスターの八神はやてと、私はいいます。」

 

「あっ…ここは外国みたいやしなぁ。それだとはやて・八神になるんかな?」

 

ひとり自己紹介をして話を進めていく少女。なるほど、ヤガミハヤテは単なる名前かと思っていたがどうやら違うらしい。苗字と名前だったのね…と、改めてはやてのことを知ったルイズは、とあることが脳裏に過り顔が青ざめた。

 

「ん? みょ、名字…?」

 

そして嫌な汗が背中と顔から吹き出していく。

 

「わ、わわ!? どないしたんやお姉さん!?」

 

ルイズにつられてはやてもあたふたと慌ててしまう。

 

「ハ、ハハハヤテ…あなた、メイジなの…? ど、どどどこの国の貴族?」

 

「め、明治? 私は平成生まれですけど…それとも森永とかお菓子の方? えと、それにキゾクってあの貴族ですか? それなら多分違うと思います。あと、私の生まれたところは日本っていうとこの海鳴市って街ですけど……?」

 

律儀にすべて答えたはやての回答に、はっと正気にルイズが戻されて気がついた。そう、闇の書は言っていたではないか。彼女たちは別の世界から来たと。そんなあるかもわからない遠い世界にハヤテが居るのなら、そもそもこの質問がナンセンスだ。何故なら、そこに住む人たちがこのハルケギニア大陸と同じ価値観、観念をもってるとは限らないのだから。

 

ニホンとかヘーセーってのは良く解らないが、ひとまず貴族ではないという点に、ほっと胸を撫で下ろしたルイズだった。

 

よそ様の国の貴族をサモン・サーヴァントで呼んでしまったということはなく、やはりハルケギニアのどこからか呼び出したわけでもないようだ。

 

安堵のため息がルイズから漏れたが、まだ完全な安心はできない。同じ価値観でないのならば、貴族ではないとしても問題になる可能性がないとは言えないのだから。

 

尤もハルケギニアの外、世界を跨いだ存在など今まで聞いたことがない。よって、早々にハヤテの居た世界の誰かが来て国際的問題に…ということはないはずである。そうよね? そうよ。ないと思いたいな。ルイズはそう願った。

 

「えと、ハヤテ。重ねて質問をして申し訳ないのだけど、あなた…両親とかは?」

 

この質問をされて、はやては少しだけルイズを警戒し始めてしまう。じとっと観察するような目でルイズを分析していった。

 

貴族かと聞いてきたり、両親の話をしてきたりと、私以外のことばかりを聞いてくる。

それはつまり、この目の前の桃色、自分より幾ばくか年上の女の子は自分のことを詳しく知らないし、自分より周辺の環境の方が大切のようだと、そうはやては結論付けた。

 

強盗や誘拐の類いなんやろうか? せやけど闇の書のことは知っとるみたいやしと、そんな風にはやては考えを巡らせ、今ある情報で推理を始める。

 

まさか、魔法の使える泥棒さん? 闇の書を盗みにきたんやけど…さっき話してたことを知って、私の身代金に切り替えた。とかなんやろうか? でもでも、とてもそうは見えんよなぁ。などと普段本を読んだりテレビを昼に見たり、学校に通えない体な故に手にした知識のせいで、妙な方向へと考えて話が逸れそうになっていくはやて。

 

う~ん、まずはお話を聞かへんと。そう思うと同時に、これ以上ひとりで考えてもまとまりそうになかった。

 

はやては、仕方なく質問されたことを素直に話す。

 

「両親は何年も前に亡くなってしまって、もうおりません。親戚はおじさんくらいやね。」

 

それでも、少し前まで一人で生きて生活していたということは伏せた。どうやらルイズが強盗という疑惑はまだ消えていないようだ。若いのに髪をピンクに染めてる人やし…と、心の中で少しだけ変なことを思ったのも、はやての内緒だ。ルイズの髪はそもそも地毛なのだが。

 

「そうだったの…その、ごめんなさいね。失礼なことを聞いちゃったみたい……ほっ。」

 

謝りつつもなぜか不思議に、完全に安心しきった顔をしたルイズ。そのせいではやての頭の中には更なる混乱が注がれてしまった。話の進展のために自身の事情をさらしたのに、余計に訳がわからなくなってしまう。

 

はやての頭のなかでまた疑問と疑念が、ぐるぐると渦を巻いていく。またこれ以上の推理はさすがに無理と判断した。

 

今度はこっちのターンや! と、少しルイズとの会話を楽しみだしているはやては、ルイズにする質問を考え始める。

 

病院のベッドから目が覚めてみれば、見知らぬ石造りの廊下だというのにこの余裕は、病院と自宅を行き交う毎日しかなかったからこその、世間知らずがなせる技だろうか。

 

それは怖い目に遭っていないからなのか、それとも将来大物になれそうな器の片鱗か、はたまたおっとりのほほんとした、優しい性格ゆえだろうか。恐らくすべてなのであろう。

 

「ええと、私からも聞いてええですか? あなたのお名前と、なんで私は気がついたらここでだっこされてるんやろかとか、聞きたいんですけど…。」

 

じっと、ルイズの瞳をみるハヤテ。力強い目と柔らかい目、赤と青。なにもかも反対のような目と目が合う。

 

「ええと、そうね。構わないけれども―――」

 

顔を覗きこまれたせいか、少し顔を赤くして横に向けたルイズの方をみると、はやてには見覚えのある、というよりそろそろ親の顔よりみたんじゃないだろうか? などと思えるくらいに、深くお世話になっている自分の生活必需品を持って、こっちへかけてくる女性がいた。

 

「あいつに聞いた方が詳しく教えてくれると思うわ。」

 

銀色の髪をした、今までみたことのない筈の人なのにどこかでみたような女性。懐かしく、会うのをずっと待っていたような感覚をその女性から感じ取るはやて。

 

「我が主!お目覚めになられましたか!!」

 

その女性、闇の書が目を覚ましたはやてをみると、彼女のもとへ向かう足を早めた。

 

「あなたが…まさか闇の書なん? ほわ~…ものすごい美人さんやったんやねぇ。」

 

目の前まで来た闇の書にはやては素直な感想を述べたが、長い時を経たせいなのだろうか。驚いたり焦った時以外にまだあまり感情を強く出せていない闇の書は、特に大きな反応を示さず、シグナムが普段していたのを思い出して、見よう見まねではやてを抱きかかえて車椅子へと座らせる。

 

「えっとな? 闇の書…今そこのお姉さんにも聞いてたんやけど、いったい何がどうなってるん? ここ、どこなん?」

 

「ええとですね、主はどこまで覚えているのでしょうか? 何からお話ししましょうか―――」

 

車椅子を押されて進んでいく使い魔と使い魔の従僕。あわててルイズも追いかける。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ご主人様を置いてどこにいくつもりなの!!」

 

思わず無視して廊下を進む二人に荒声をルイズはあげた。何より二人は私の部屋を知らないのに、どこへ行かせるつもりなのかと、また闇の書の評価が下がる。

 

「だいたいアンタ、なんでそんなのに乗って動くのよ。」

 

私を差し置いて――と、言おうとしてはやてをみたルイズは、彼女の顔からどこか哀しい感情を感じ取って、言葉が出なかった。

 

「あはは、かんにんな?」

 

そして、その直感に間違いは無かった。

 

「私、足が動かないんよ。」

 

少し困った顔の笑顔を、自分より幼い者から向けられるのが辛い。また私は聞いてはいけないことを聞いてしまったと、そんな気持ちになってルイズはいたたまれなくなった。

 

同時に、ますます自分の召喚した使い魔が解らなくなる。『メイジの実力を使い魔は現す鏡である』という言葉が本当ならば、足が動かないガンダールヴとはどういうものなのだろうか。

 

伝説の使い魔だというのに動けないなんて、それはまるでお飾りなのではないのだろうか? と、そこまで考えて首をふった。自身のこともあるが、この考えはどこか自分の姉の一人も貶しているようだったからだ。

 

「そんな顔をしないでくれ、主の主よ。あなたが我々を呼び出してくれたからこそ、闇の書の呪いは足までに戻れたのだからな。」

 

「え?」

 

はやてとルイズが聞き返した。まだまだ初耳のことがどうやらあるようだとルイズは思い、この足が動かないのと闇の書は関係があることなのかと、はやては思った。

 

あらためて闇の書の管制人格は彼女たちに説明していく。

 

闇の書は壊れており、完成すると暴走をしてしまう魔導書だということ。

 

それ故生まれた無限転生、無限再生について。

 

そんな暴走直前の時、ルイズにはやてが召喚されたこと。

 

召喚されたはやての左手に刻まれたガンダールヴのルーンによって闇の書の暴走を抑えていること。

 

闇の書は完成しなくても暴走を別の形で起こし、それこそがはやてを蝕んでいたものである体の麻痺であり、このままだと徐々に体を登り心臓に達して、ついには死んでしまうところだったが前述したことのおかげで、そうならずに済んでいること。

 

しかし(恐らくだが)もともと闇の書の呪いとしての存在している暴走部分を、ガンダールヴの武器を使いこなせるルーンの力でも消すことが出来ず、ユニゾン時の症状同様に身体の麻痺を完全になくすことを、今のままでは出来ないだろうということ。

 

ユニゾンのシステムと、ナハトヴァールの説明と、はやてとユニゾンした時のその危うさ。

 

…と、はやて側の過去と今に至るまでの過程を説明をして、続いてハルケギニアの説明を始める闇の書。

 

この世界での目標、闇の書の中のナハトヴァールのシステムの破壊。

 

はやてを助けたルイズの名前や身分。価値観と今おかれている立場。

 

ルーンの条件、消滅時の問題と危険性。などなど、今度はここで生きていくにはどうしたらいいのか、といったことを話す。

 

最後にここが地球どころか、地球から知られている範囲の星ではなく、もしかすると次元すら跨いだ別の宇宙。異世界かもしれないということ。

 

最後の話を聞いた時はそんなあほなと思ったはやてだったが、話しこんでいる内に夜になり、窓からさした月明かりが二つあったことでその考えを改めた。その時の驚きと好奇心の混じる年相応の反応と、丸く大きな青い瞳が見開かれていて、そんなはやてをルイズは可愛いと思えた。

 

こちらでは常識的なことさえも驚きはしゃぐ姿はまさに子供で、ルイズにはまるで妹ができたように感じられたのだ。

 

そしてある程度の自己紹介を終えて、ようやくルイズの住んでいる学生寮の、彼女の部屋へと帰ってきた。

気がつけば夕方どころか夜も大部ふけている。夕餉どころか、入浴の時間すら過ぎている。

 

「はー…びっくりやな。それと、ありがとうございます。えーと…ルイズさま? ご主人様のがええやろうか?」

 

「……ハヤテの好きに呼んでいいわよ。」

 

本来ならご主人様とお呼びなさい! と、はやてが普通の平民ならふんぞりかえっている所である。

 

だが、今日の出来事はあまりにインパクトが強すぎた。なにより頭を回した疲れが、部屋に帰った途端にどっと出て、もうふんぞり返る気力もなかった。

 

それに、ルイズはなんとなくだが、まうはやてを使い魔と見たりすることができなくなっている。はやての足の麻痺と性格の柔らかさのせいだろうか? むしろどちらかといえばそう、先ほど感じた妹のような、そんな感じに思いつつあるのかもしれない。

 

はやてが呼び方を思案している内に、ルイズは一つ一つ改めて頭に情報を刻み付けていった。

 

「はあ…信じられないわ。」

 

「あ――――っ!」

 

何回目かの信じられないわを言い終えた途端、はやてが叫んだ。思わず闇の書とルイズ、ふたりのからだがびくりと跳ねる。

 

「どうされました我が主!?」

 

「ちょっと、話し込んでたせいでもう夜中なのよ! なにがあったかはわからないけれど静かにしなさい!!」

 

いくら甘やかしがちな平民とはいえ、流石に叱りつけた。はやてはそれに対しては申し訳ないと思っているようだが、それでも彼女が気づいたことはどうやらとても深刻そうな問題のようで、そんなことを気にしていたり、反省している余裕はない様子だ。

 

はやてはあたわたと手を動かしながら、何かを言いたそうに考えを纏めている。

 

「闇の書、ルイズお姉ちゃん! シグナム達どうしたらええんや!?」

 

ル イ ズ お 姉 ち ゃ ん

 

ルイズは石化の魔法を受けた。妹と思えそうな感情が芽生えつつある時にこの台詞である。

 

「今頃おらんことになった私と闇の書のこと、必死に探してるんちゃうか!?」

 

石化したルイズに、わたわたと慌てているはやての言葉は届いていないようだ。石化の魔法。それははやてと闇の書がユニゾンした場合、彼女たちの放つ魔法の中ではある意味最も強力なものの一つであるが…今回はそれについては横に置いておく。

 

はやてのいうシグナム達とは、彼女が闇の書の主として覚醒した時に現れ、主として認めて仕えてくれた騎士兼家族の、守護騎士ヴォルケンリッターたちのことである。全員で4人、もしくは3人と1匹。彼女たちは主であるはやてに戦うことではなく、家族となることを望まれた。そしてそのおかげか、闇の書の無限転生の日々に疲れて枯れていた心、それらを彼女の言動や思いやりによって救われた者たちだ。

 

それのはやてより受けた癒しの恩故に、はやてを最も大切に思う彼女達。その思いの程ははやてとの誓い――ヴォルケンリッターたちを自分の利益のために戦わせることも、闇の書のページ蒐集も要らない。そんな約束さえも彼女が死なないですむのなら、ばれたときに嫌われようと破り捨てて動くレベルである。

 

もしも彼女たちを、はやてが居なくなったままの世界――地球に残したままにすればどうなるか。おそらくなりふり構わず行方を捜しているところだろう。先ほどの廊下で、ルイズははやてを探してくる人や親たちは居なそうだと思えていたが、大きな間違いがここにあった。

 

「そのことでしたら…おそらくは大丈夫だと思われますよ。」

 

そして、主の不安を解消するべくしっかりと彼女の話を聞いていた闇の書は、はっきりと安心させる言葉をはやてに告げる。

 

「わが主、闇の書をお持ちください。恐らく…今の貴女でしたらある程度の魔法や権限をそこから引き出すことができるはずです。ガンダールヴのルーンのおかげで。」

 

そういわれて闇の書にはやてが触れる。はやてに害をなすシステム等のみと繋がり、薄く光っていた左手のルーンが輝きを増した。

 

「ほんまや…解る、闇の書の使い方が解る! シグナム達のページも、どうしたらいいかも。」

 

ヴォルケンリッター、守護騎士システムの書かれているページを開くと、つーっとその文字に触れてみる。はやてには、遠く離れている4人を不思議と感じられた気がした。文字から届く不思議な何かが暖かくて、心が熱い。もしかしたらヴォルケンリッターが必死に探してくれてる思いが、はやてへと伝わっているのかもしれない。

 

「待っててな。今、みんなこっちへ呼んだげるさかいな…」

 

でも、まずは呼び出したらちゃんと怒らなあかんな。そのあとお礼言って、ほいで最後に思いっきり抱きしめたる。そう思いはやては魔法を行使する。

 

「守護騎士システム、破損個所修正――帰還転送開始。」

 

一部少しだけおかしくなっている部分を、自身の魔力で修正して4人の騎士たちを自身のもとへ送還する。

 

「おいで、私の…くう……っ。」

 

「我が主!?」

 

いざ呼びだそうとしたタイミングで、苦しみをはやてが襲った。そう、いまだ闇の書のページ蒐集が完全には終わっていない。このせいで、主であるはやてはその自身に宿す全て魔力を、好きにふるうことができなかったのだ。

 

膨大な魔力自体は闇の書とともに暴走回避の為に制御、抑圧されたままである。ただでさえ未発達な上に、ナハトヴァールに浸食されて歪になっているはやてのリンカーコア。そんなものから絞り出せる魔力でハルケギニアに、遥か遠くと思われる地球から騎士たちを呼ぶのは、至難の業だった。

 

「…大丈夫!」

 

リインフォースフォースにはやては力強く答える。

 

「私は、私はみんなのマスターや!! みんなを一緒にしてあげられへんなんてこと…あるわけない!」

 

車椅子の上で気を失うのを必死で抑え、転送のための魔力をリンカーコアで作り続けるはやての体から、汗が噴き出て寒気が襲ってくる。

 

なんやこの程度、最近の入院生活で襲ってきた痛みに比べたら…こんなもんに負けるわけない! もう私がすぐ死ぬ心配はないんや、闇の書も居て…本当の意味で全員が日々を過ごせる。そんな夢の世界がここにはあるんやと、そう自分を鼓舞してぎゅっと入院服のズボンを握りしめて、はやてが吠えた。

 

「おいで! 私の…騎士たち!!」

 

カッと白いベルカ式の四角い魔法陣がはやてから拡がり、その周りに赤、赤紫、緑、はやてとは少し違う色の白。そんな4色の三角形の魔法陣が現れ、しばらくすると4つの人影が現れた。

 

ここで妹宣言を受けたルイズの意識が現実へと帰還する。

 

「な、なになに!? 何なのよこれは!!」

 

突然の眩しい自分の部屋の床に困惑し、その中心のはやてへ説明を求めるが返事はない。魔法陣の光で解りにくいが、はやての顔は土気色で、もはや返事をするどころか、声すら届いていないようだ。

 

「はは…やったでルイズお姉ちゃん。みんなのことも…どうかよろしくお願いします。」

 

はやては車椅子にがくりとうなだれて、意識を手放した。あわてて魔法陣の中にかけよる闇の書とルイズは、はやてがひとまず命の別状がないことを確認するとその場でぺたんと座りこむ。

 

―――この行動が幸いだった。

 

実はこのヴォルケンリッター達、地球では闇の書事件を引き起こしたせいでちょっとした…いや、かなりのお尋ね者である。つまりざっくり言ってしまえば、警察のような組織が、彼らから見て敵対勢力として存在している。はやてが消えようものならば、その敵対勢力を疑い情報を聞き出すために襲いかかることもあっただろう。そう、今ちょうどその真っ最中だったのだ。

 

「誤魔化してないで! はやてを…返しやがれえええぇっ!!!」

 

赤と赤紫の魔法陣。窓と部屋のドアの方にあるこの2つから転送が終わると同時に、膨大な魔力の籠った一撃が現れた人影と共に放たれた。

 

赤の魔法陣のあった、窓側の近くでぺたんと座っていたルイズの頭上をなにかがかけぬけていき、闇の書のいた廊下側の魔法陣からも、彼女の横をなにかが通り過ぎて前へと進んでいく。それは鎚の横薙ぎと、刃のついた鞭のような武器――蛇腹剣が縦に描いた軌跡だった。

 

ルイズの部屋の窓のついた壁と、ドアの先。ちょうど彼女の部屋がある辺りの廊下の壁が、窓の壁と一緒にそれぞれ吹き飛んだ。驚きのせいでルイズは、脳から悩みと疲れが吹き飛んだ錯覚に陥る。正直…今起きた現実の光景も錯覚にしたいな、などと現実逃避も始まりつつあるようだ。

 

そしてやはりこの闇の書、どこか思慮が足りない。送還はこんな部屋ではなくどこか広い屋外で行うべきだったのに、何も考えず室内でしてしまった。ルイズの部屋は決して部屋として狭くはないが、魔法を使うには狭い場所には違いない。

 

冷たい夜風の空気がルイズの部屋へと吹き込んだ。

 

「…あ?」

 

「むっ?」

 

吹き飛ばした犯人ふたりは、突如様変わりした眼前の光景に疑問を覚えた。一人は深紅の衣装に小さな体を包み、大きな帽子を被って刺々しい先端のついた物騒な鎚をもっている。もう一人は、白をベースとした桃に近い赤紫の衣装をめりはりある体に着て、鋭く光っている刃のついた鞭を携えている。

 

「はやてちゃん!」

 

「主はやて!?」

 

特にルイズの部屋に対して罪を犯すことのなかった左右のふたりが、はやての名を呼ぶ。ひとりは薄緑と深緑の奥ゆかしい衣装を柔らかそうな体に纏って、両手の人差し指と薬指から指輪をつけている。もう一人の罪の無い男は褐色の筋骨隆々とした体に、動きやすい拳闘士のような青い服を身に着け、手には鋼の手甲がついていた。

 

慌ててはやてへかけよる突然現れた4人。まるでサモン・サーヴァントのように現れた彼女たちが、はやてがいっていた『みんな』だろうか。物騒この上ない…正直勘弁してほしかったルイズは天を仰ごうとする。

 

しかしそんな行為は許さないとばかりに、ひとりがルイズの方へただならぬプレッシャーを放ってきた。

 

「てめえか…?」

 

「え…。」

 

ぎろり。見開かれた青い瞳に、赤に近いオレンジ色の髪。ドレスのような衣装を纏っている格好の少女は、はやてよりさらに小さく幼い。そんななりとは思えない殺気でルイズを睨んでいる。

 

「てめえがはやてを攫ってこんな目に合わせたのかって聞いてんだよ! うおらあああぁ――――っ!!」

 

そういった次の瞬間、赤い少女は自分がもつ鎚を振り上げて、ルイズへと襲いかかろうとしていたが、そこに大慌てでひとつの影がそんな二人の間に割って入る。

 

「まてヴィータ!! 彼女は違う。我らの主の命の恩人だ!!」

 

「――んなっ!? お前…闇の書の管制人格か? どうしてここにっ!?」

 

ヴィータと呼ばれた深紅の少女は戸惑った。普段は彼女が闇の書と会う時は終わりが近づいた時だけ。しかも古の戦乱の時代の頃に捻くれて、あまり顔を合わせなかった相手。そんな彼女が今目の前にいるのだから無理もない。

 

「そのことについてもこれから話す。ひとまず主は『もう』安心なので、シグナム、シャマル、ザフィーラもいったん武装を解いてくれ。我が主の主が怯えている。」

 

「主の主ぃ? まさか、そいつがか?」

 

ヴィータの視線の先には、もはや部屋と呼べるか怪しくなってしまったこの部屋の主、ルイズが見える。

 

「そうだ、彼女についても話す。色々と情報がたくさんあってな……。だが、どれもひとつひとつすべてが大切なことなのだ。長い話になるからひとまずはだな―――」

 

「いや、解ったし…いいけどよ?」

 

闇の書の話を遮ってヴィータが言う。

 

「そいつ気絶してね?」

 

「…なにっ? わ、我が主の主! 大丈夫ですか!?」

 

闇の書が振り返った先のルイズは目を回し、ぶつぶつとわけの解らないことを言いながら仰向けに大の字で倒れていた。

 

ルイズはもう、今日はいっぱいいっぱいだったのだ。頭も、心も、夕食を食べる機会を損ねてしまった為か、体も。どれをとっても限界いっぱい。そんなルイズを構成する全てがもう嫌、明日にしてくれと、悲鳴を上げてルイズをシャットダウンしてしまった。

 

闇の書は仕方なく主のはやてと、主の主となったルイズ。気絶したふたりを無事残っていたベッドの上に瓦礫をどけて寝かせ、毛布を掛けてから改めて4人と向き合い話し始めた。

 

しかしこのトラブル、はやてたちが気絶してくれたおかげで彼女には話していない部分。最悪管制人格ごとナハトヴァールを破壊するプランをヴォルケンリッター達にも伝え、納得してもらうことができたのだった。




2ndの守護騎士復元時と4人の魔方陣の順番が違いますがどうかどうか御慈悲を。

あれ?原作の場面にまだたどり着けないぞ…。

はやてちゃんの関西弁は一人称をつい変えてしまいそうになるのもそうですが、どこまで普通でどこまで関西弁でどこまで敬語だっけ?と良く解らなくなりがち…。
ドラマCDのお花見辺りみた返したらはっきりわかるかな?

挿絵つくろうかなとか画策中

あ、小説を描いては保存しているる途中で3rdの円盤情報は出てしまいましたね。春かあ…楽しみですね!
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