とはいえ、時間軸や出来事となるチャートに近いものを持つ芯の方をフリーダムに動かすと、完全に話が行方不明に私ではなってしまいそうでどうしたものかと。
寮室に空き部屋なんて本当はなさそう…。
「本気で殴ることねーだろてめーーーっ!!」
「喧しい…今の私は機嫌が悪いんだ。これ以上ふざけるのなら本当にレヴァンティンの錆にするぞ。」
「やれるものならやってみやがれ…こっちこそ本当にグラーフアイゼンの頑固な汚れにしてやるぜ!!」
そんな漫才と言うにはいささか過激なやりとりをヴィータとシグナムがしている頃。オールド・オスマンのもとへたどり着いたルイズたちは、昨晩から今朝に至るまでの出来事の報告と事情を説明していた。
「やれやれ、まさか更に4人も増えるとはのう。しかも一人は亜人、そして部屋が半壊か…。」
「隣のミス・ツェルプストーの部屋には被害がなかったのが幸いですな。反対は空室ですからまだしも、もしその威力が彼女の部屋の壁に向けられていたとしたら…危うく国際問題ですぞ!」
ふたりの会話にまるで叱られているような錯覚を覚えて縮こまる闇の書。なお、そのツェルプストーという女性は現在部屋から出てすぐに飛び込んできた惨状を目にし、ルイズの奴がまた何かやったのかしらと呆れていた。
…正直シグナムの方の斬撃も廊下で止まっていなければ、寮塔は円形の為に対角線上の寮生が死んでいた可能性があるのだが。
「そうじゃの…のう、ミス・ヴァリエール。すまんがおぬしの使い魔、ミス・ハヤテが何か未知のこと…特に魔法に関したことをする時は、今後まずワシに一度報告してからにしてくれんか。」
魔法を行使したためか、それとも苗字があるからか。明確な理由は解らないが、ルイズ同様に敬称を付けて呼ばれたはやては、事故の原因のせいもあってか申し訳なさそうな顔をしている。
「はい…申し訳ありません。」
ルイズは素直に謝った。お姉ちゃんとはやてに言われて石化していたとはいえ、彼女に非は今回ない。しかし使い魔の管理と、その使い魔がもたらした事故は基本的に召喚者にあるのだ。
「ルイズお姉ちゃんはわるないんよ…校長先生でええんやろか? オスマン校長先生、ごめんなさい。」
「はやて、使い魔の責任は主の責任よ。あなたが気にすることじゃないわ。」
せやかてルイズお姉ちゃん…と、それを良しとせず自身が責任を負おうとするはやて。彼女は使い魔であるが、同時に自由な意思のあるひとりの人間である。自身のしてしまった事を他の人に被ってもらうなんてことを、それで良しとするなんてことは出来ないのだった。
「いえ、元を言えば私が軽率だったのだ。主の不安をすぐにでも解消したいばかりにこんなことに…。」
今度は闇の書が自身を責めはじめる。
「そうね。昨日も思ったことだけど、アンタはもう少し視野というか考えを拡げなさい。」
「…主の主。なんだか私には少し厳しくないか?」
昨日のやりとりで闇の書の矯正が必要だと判断したルイズは、闇の書には優しい言葉をかけずに叱った。
後ろでシャマルが苦笑いを浮かべていると、突如彼女の瞳に力がこもる。
『ペンダルフォルム』
シグナムの時のように何処からか声がすると、シャマルの両手の人差し指と薬指から光の糸が伸びた。よく見ると先端には指輪についていた宝石があり、徐々に宝石は大きくなっていく。そしてびゅんと音を立てるようなしなりをきかせて、4つの光の糸は床の一点へと向かい、次の瞬間には白い鼠を拘束していた。
それは彼女のデバイス。風のリング、クラールヴィント。
クラールヴィントは、シグナムの持つ炎の魔剣のレヴァンティンや、ヴィータの持つ鎚である鉄(くろがね)の伯爵、グラーフアイゼンのような目立った外見ではない。しかし癒しと補助を得意とするシャマルには、ぴったりの支援に特化したデバイスだ。ふたりもザフィーラも居ない今では、なにかあってからデバイスを起動させていたのでは遅いと思い、警戒の為に指輪の形態のリンゲルフォルムで持ち歩いていた。なお、待機形態はシグナム達同様ペンダントトップのようなものであり、4つの金色のリングを首に鎖を通してかけている。
「モートソグニル!」
がんじがらめにされて、宙吊りにされた自身の使い魔の名をオスマンが慌てて叫ぶ。
「どういうおつもりかは存じませんが……。」
モートソグニルと呼ばれた鼠を自身の前まで運びつつも、ニコニコとした笑顔は崩さないシャマル。その目を閉じた笑みが余計に怖い。笑顔とは威嚇の表現から生まれたものなのだから。
「はやてちゃんと出会うまでの間、生きてきたそのほとんどを戦争と、騒乱の時間に充てていた私達、ベルカの騎士に背後から程度の闇討ちはできないと思っていただきたいですわ。次はありませんよ?」
実体化している闇の書が気づけていなかったことは責めないであげてほしい。彼女は本来、主との融合時にそういった力を最もに振るえるだけで、決して鈍いわけではないのだ。決して。
一番そういう気配に疎い私ですらこれですからね? そういってモートソグニルを解放すると、その使い魔の鼠は大慌てでオールドオスマンのもとへと戻っていった。
「……わしが悪かった。」
どっと疲れが出たかのように、ずりずりと椅子の背もたれにかかるオスマン。
武器も杖も携えておらず、そして朗らかな顔をしているシャマルを見たオスマン。実はこの爺、つい秘書にいつもしているようなスケベ心をだして、彼女のスカートの中の下着を覗こうと使い魔をついけしかけてみただけだったのだ。
しかし結果は闇討ちと思われ、挙句に数百年共に生きてきたパートナーを失うところであった。シャマルだったからまだ良いものの、これがシグナムだったのなら本当に切り殺されていたかもしれないし、はやてにけしかけようものならヴィータの鎚が中央塔ごと学園長室を叩き潰していたかもしれない。
もっとも、シグナムの普段着は基本動きやすいズボン、パンツルックであり、はやては未だ入院していた時の服…こちらもやはりズボンなのでそう簡単に覗くことはできないのだが。
何より、下着を覗こうとしただけといっても、それは闇討ちと比べて軽いだけである。女性からすればされて良いものではないどころか、ある意味闇討ちよりも最低な行為であることを忘れてはいけない。こちらの理由だと解っていてもシャマルは許さなかっただろう。
コルベールとルイズはまたかこの爺と内心呆れかえり、更にはいい薬になっただろうと思った。使い魔の命を使い潰してまでこのような行為を繰り返すことは早々あるまい。その分誰もいない時、普段から被害にあっている秘書は悲しみと怒りにくれることが増えそうだが。
「…大丈夫よシャマル。オールド・オスマンのこれにそういった意志、敵意みたいなものはないわ。彼の癖と言うか…そう、ちょっとしたおちゃめ程度だから安心して。」
「はーい、わかりました。ルイズ様。」
敬語こそあれどだいぶ砕けた、フレンドリーな口調でルイズにシャマルは返事をする。
ルイズとシャマルはまだあまり話をしていなかった為、ここに着くまでに色々な話をしてある程度の相互理解を試みていた。そんな中に、はやて同様の言葉遣いで構わないとルイズが言ったものがあった。そのおかげで様と敬称こそつけるが、シャマルがルイズに対してかける言葉遣いは基本的にはやてと話す時と同じとなったのだ。
「それはそれとして、寮の件の話はわかったわい。後でいくばくか請求がいくとは思うが、構わんな? ミス・ヴァリエール。なぁに心配するでない、先ほどの詫びとしてはなんじゃがの、侯爵家まで請求がいくような額にはせんわい。」
「…お心遣い痛み入ります。」
やはりこれだけは避けられないことだったが、先ほどの「いたずら」があったおかげか。大分自分たちに有利な交渉となって終わった。
「それと、彼女たちは何か得意なことはないのかね? 流石に今後6人全員をおぬしの仕送りだけで養っていくのは大変じゃろう?」
「ええと、それに関しましては一応親にも相談してみるつもりです。」
オールド・オスマンのいうことはもっともなのだが、自分が死ねば今すぐ、ハヤテが死ねば数年か、数千年か…どれほど先かはわからないが未来のハルケギニアが危機にさらされてしまう。なるべく自分たち二人を守ってくれる力をルイズは近くに置いておきたいようだ。
「そうかそうか、しかし…もしも苦しくなるようなことがあれば言いなさい。彼女たちは頼もしい。衛兵くらいの仕事はくれてやれるじゃろうて。」
「承知しました。その時はどうかお世話になります。」
そういって要件が終わったのでルイズたちは立ち去ろうとした。
「あーこれこれ。まだ話は終わっとらんぞい。ミス・ヴァリエール、おぬしら一体今日からしばらくの間何処で過ごすつもりじゃ。」
そういってオールド・オスマンは書類を取り出してついと杖をふるうと、魔法で浮かせたであろうペンでそれにサインをしてルイズへと渡した。それはルイズの部屋のひとつ隣の部屋の使用許可証である。
「部屋を直し終わるまでの間はそこを使うとよかろう。」
「重ね重ねありがとうございます。オールド・オスマン。」
許可証を受け取ったルイズは、それをはやての車椅子の背中にかけてある布の鞄の中へと入れて部屋を後にした。
「いやはや…昨日の今日でこれとは。のうミスタ・コルベール?」
「そうですね……。しかも先ほどのあなたとのやりとりを見るにですが、全員がかなりの実力者に思えます。ひとりはミス・ハヤテ以上に小さいと聞きましたが…その子が宝物庫ほどではないとはいえ、固定化のかかっている寮塔の壁を鎚で吹き飛ばしたなんて……。正直いまだ信じられませんよ。彼女たちがこれまでにどういった戦火の中に居たのやら、全く想像もできません。ですが全員がマジックアイテムのようなあの武器…デバイスという物の使い手である以上、大抵のことではたじろぎもしないでしょう。」
いつになく饒舌なコルベール。それは未知の魔法やマジックアイテムを知った興奮か。それとも…戦場、そんな世界で育って磨かれた技術を華のような乙女が持っていたことへの悲しみだろうか。
「あんなふうに縛られてはメイジは杖もふるえんしなあ。」
シャマルが得意とする捕縛魔法の類は、この世界の魔法と比べると発生が早かったり、いつの間にか仕掛けておくことが出来たりと、下手をするとメイジにとってはシグナムたち以上に天敵かもしれない。今回は見せていないが、彼女には更に旅の鏡という魔法がある。この魔法は、かなりの空いた距離からでも相手を補足して接触することができるのである。相対している最中、取り出した杖をこれでひょいとシャマルに取られて、先ほどのモートソグニルのように縛られでもすれば、それだけでメイジは積みである。
人間の筋力では彼女の縛る魔法の"バインド"は決して千切れないし、頼みの杖はシャマルの手にある。
いくら魔法の世界とはいえ、発生した後に大半の魔法はある程度三次元空間の法則にとらわれる。そんなこの世界で、その距離というものを無視して干渉してくる彼女の力はかなり恐ろしい。
「あの未知の魔法の数々…わしらにも扱えるようになれば、この国はガリアにも負けぬ魔法大国として躍進するチャンスかもしれんのじゃが…下手をすれば異端と扱われるのが落ちじゃろうなぁ。」
ブリミル教の根強いハルケギニアでは、彼がもたらしたとされるルーンを唱えて行使する魔法以外は異端の魔法と呼ばれ、忌み嫌われる傾向が強い。個人ならともかくとして、模範となる貴族を育てるべき学び舎が進んでこれを広める訳にもいかないのだった。
なんともままならんわい…。オスマンは昨日同様窓に目を向けて思いに更けるのだった。今日はその雰囲気を吹き飛ばす女性は飛んで入ってはこなかった。
とりあえず大切なものだけは新しい部屋に移してしまおうとして、寮塔に戻ったルイズたち。
自分の部屋に戻る途中の階段にて、先ほど話に出たミス・ツェルプストーと言われていた褐色の肌と、燃えるような赤い髪の女性――キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと出会ったはやてたち。ルイズの顔がみるみる不機嫌なものになっていく。
「おはようルイズ。こんな朝っぱらからどこに行っていたのかしら? もしかして部屋のあの惨状の反省文でも書かされていたの―――って、あら?」
よくみると、キュルケにはひとり増えているように見えた。昨日確かヴァリエールがある意味とんでもない平民を呼び出して契約。その後突然本から銀髪の女性が現れて…と、彼女が最後に見たルイズの周りの人間はふたりだったはずだ。ところが今ではもうひとり、自分といい勝負。下手すると負けるかもしれないような胸を持っていそうな女性が一人増えていた。
「なになに?もしかしてまた本から出てきたの? 昨日のそこの銀髪のアナタもそうだけど…ルイズ、あなた随分変わったマジックアイテムを持っていた平民を召喚したのね。」
「っさいわね、朝っぱらから何よキュルケ。私はこれから新しい部屋に前の部屋に置いてあったモノを移さなければいけないの。今アンタに構ってる暇なんてないんだからね。邪魔しないでちょうだい。」
ただの会話に近いキュルケと言われた女性の言葉につっけんどんに返すルイズを見て、なんとなくだがシャマルとはやてはふたりの関係を察した。
「あら怖い。トリステイン貴族は余裕がなくて嫌ね。使い魔の紹介くらいしてくれたっていいじゃないの。」
「ふん、あまり彼女たちのことを平民と侮って馬鹿にしない方がいいわよ。特に使い魔のハヤテをバカにしようものなら…下手すると私の部屋の壁みたいになるんだから。」
え…? と意外そうな顔をして驚くキュルケ。あの壁は『ゼロのルイズ』がてっきりなにかやったものだと思っていたからだ。同時にわくわくと喜びと、そして好奇心にめらめらと火がついて、ぐいぐい湧き上がってくる。自分のライバルの家系はやはりこうでなくては、と。
「ふふ…面白いじゃないの。使い魔になったそこの女の子がハヤテね? よければ残りの後ろの子たちの名前も紹介してよ。」
ルイズに催促するキュルケ。しかしルイズはため息とともに、本当に疲れたような顔をしてこう言うのだった。
「後でまとめてするわ。ここにはまだ居ない子もいるし。」
そういえば壁を壊した張本人である二人をまだオールド・オスマンに会わせていなかったとルイズは思い返して、しまったという気持ちになり、お昼あたりにでも挨拶と謝罪に行かせようと決めた。
その二人はというと、先ほどまで今度は洗い場が破壊されそうなやりとりを繰り広げていて、シエスタの「ひっく、洗い場が壊れちゃう…。」という言葉を聞いて我に返るまで、デバイスなしとはいえ激しい戦いを繰り広げていたのだった。
キュルケは更に呆気にとられている。まだ居るのか…確かに後ろの二人はおとなしそうな顔とやさしそうな顔をしている。壁を理由もなく破壊するようには見えない。何よりハヤテと呼ばれた使い魔はどうみても平民。そんな平民につき従っているように後ろの二人が見えたりと、本当に不思議な使い魔を呼んだものだ。
「本当に面白いわねルイズ。興味が尽きないわ…でも、不思議だったり人間を何人も呼ぶ使い魔も面白いけれど―――」
「使い魔と言ったらやはりこう勇ましいものじゃない? おいで、フレイム!」
そう言って自身の使い魔を自分の前へと来させるキュルケ。彼女の後方からのしのしと、巨大で真っ赤なトカゲが現れる。その尾には彼女の髪の色にふさわしい炎が灯っていた。
「それ…サラマンダー?」
「そうよ、見てよこの炎の色と尻尾! ここまで大きくて鮮やかなのはきっと…火竜山脈のサラマンダーよ。好事家に見せたら、値段なんかつけられないぐらいのブランドものなんだから。」
ルイズは察した。ああ…こいつ私に自慢したかったのね、と。確かに以前のルイズなら羨ましがったと自分でも思った。しかし自分が召喚した者は、ある意味その山まるごと位の力を持っている魔導書を携えた人間なのだ。まだ実際に目で見たわけではないが、慣れとは怖い。自慢するキュルケに対してなんの反応も示さないで、ルイズはただじっとサラマンダーを見ているだけなのだった。
(これは…魔法生物の一種なのかしら? 視た感じリンカーコアがあるわけでもないのに魔法のような力を持っているなんて、面白いわ。)
(この世界と我々が今までいた世界では、そもそも法則がだいぶ違うようだ。ある意味幸いだったかもしれんな。この世界でおそらくページ蒐集はほぼできないだろう。)
代わりにというわけではないが、シャマルと闇の書が念話――テレパシーのようなもので会話をしながらまじまじとサラマンダーを見ている。はやてには聞こえないよう通信は個人同士でのやり取りだ。そんなはやてに至っては地球外生命体のような未知の生物に興味津々で、ほわ~と可愛い声が漏れている。
(しかし、今分かったこのことを話してしまうのはまずい。ハルケギニアのすべての生物にリンカーコアがなかった場合、闇の書は覚醒も暴走もしないままに転生するということになってしまう。オールド・オスマンあたりは私達への協力をしなくなってしまうかもしれん。何より…この世界はそういう世界だからなのか、今まで闇の書がこうして召喚されでもしない限り、敢えて来ていなかった可能性もある。)
(それってつまり、今回の事はイレギュラーで…最初で最後のチャンスかもしれないのね。そして、そんなチャンスの手札を減らすことは今後のことはもとより…この世界ではやてちゃんを護る為にもできない、そういうことね?)
ルイズの反応は少し予想外だったし、シャマルと闇の書は今のやり取りのように、心の中で思っていたことはサラマンダーに対してではなかったのだが、はやてたち八神家の面々の真面目な目つきや興奮に満足したのか。キュルケはこの後にまた朝食でと言って、上ってきたルイズとは逆に階下へと去っていった。
そんな話題が出たせいか、くぅ~と誰かのお腹がなる。聞こえてきた方向を見ると、もじもじとはやてが顔を赤くしていた。ここ数日はおかゆのような簡易で消化に良いものと、点滴の繰り返しだったせいもあってか…食欲に対して随分欲望が溜まっていたようだ。なにより、昨日召喚されてからろくなものを食べていない。育ちざかりの9歳の子にこれはつらい。
「参ったわね…物を取りに行ってる場合じゃなかった。私もはやても昨日のあれから何も食べてないじゃない。」
緊張と驚きのあまり、食欲がどこかへ行っていたというのもあるが。意識した途端にルイズからもお腹がなった。どこかへ行った食欲は二人のもとへ帰ってきたようだ。
「ええと、あんた達も食べたりするわよね? 困ったわ、はやての分はともかくとして、あと更に5人分なんてどうしたらいいかしら。」
ルイズは考え込む。流石にさらに追加で6人分の食事を、というのを厨房に頼むのはいくらなんでも無茶だろう。はやては苗字があるから最悪どうにかできるかもしれないが、シグナム達は名前しかないし。闇の書に至っては名前すらない。
「それなら…なんとかなりそうですよ我が主の主。どうやら将とヴィータ、ふたりは今メイドと居る様です。なんでも彼女たちの賄いをもらって一緒に食事が出来そうだとか。」
「今、ザフィーラと私たちの分もどうにかできないか聞いてもらおうと思っています。」
闇の書はどこかそれが嬉しそうだった。ルイズは訝しんだ。
「なんでそんなこと解るのよ。」
「あ。」
そういえば念話の説明を忘れていた。せっかく便利な機能なのだ、主の主にも教えなくてはもったいないだろう。と、闇の書は説明を始める。
「…すごく便利じゃないそれ! 使い魔との共有感覚より下手したら便利だわ。ねぇ、私とはできないの?」
「闇の書で繋がっていたからか、魔法が使える前から我が主とはできていた様ですが…どうでしょう? 試してみないことには。」
ならしてみろとルイズに催促されて、早速念話による会話を試みる闇の書。
(主の主、この声が聞こえていますか?)
(わ、なんか少しくすぐったいわね、これ。耳元でささやかれている感じ。えと…こうかしら?)
ルイズは反応を返したが闇の書に反応はない。オープンな状態で念話を送っていた為、はやてとシャマルもふたりの会話を聞いていたが、ルイズの声は彼女たちにも聞こえていなかった。
(むう…無理か。いかんな、そろそろ私も空腹になってきた。とりあえず念話は無理なようだし、今は置いといてヴィータがさっきから美味い美味いと言ってやまない食事をしてみたいのだが……。)
ついでに、はやての飯には負けるけどな! と比較の感想も付け加えられている。
「…今は置いといてって、アンタねぇ。」
ルイズの顔に怒りがこもる。
「えっ。」
「私からアンタには送れなかったみたいだけど…。でもね? アンタの声、ちゃあんと届いてたわよ。」
闇の書はまたやらかしたようだ。シャマルとはやてはぷくくと、笑いをこらえている。ただ、彼女のために言っておくと決してルイズをないがしろにしているわけではない。
彼女はもうずっと食事ということをしていなかったのだ。だからそれができることへの幸せと、楽しみがいっぱいで仕方がなかっただけなのである。そして現状出来ないことをしようとしても、原因が解らなければどうにもならないので切り上げようとしただけなのだ。
「アンタ本当に私を主の主って思ってるの!! ハヤテと比べて適当すぎやしない!?」
闇の書へのルイズの説教で、彼女たちは結局部屋に行く暇はなくなってしまい来た道をももどる羽目となった。
その後はやてはルイズに連れられて一緒に食事を。シグナム、シャマル、ヴィータはメイドの賄いをもらい、闇の書はまだ部屋を守るザフィーラへと食事を届け…少しそれを分けてもらった。
いよいよ次は授業だがどうしたものか。使い魔のハヤテはともかくとして、他の全員を授業の部屋に行かせて良いものなのかと、ルイズはパンをかじりながら悩んでいた。
寮塔?寮棟?形からして正しいのはどっちだろう。
念話は便利すぎるのでルイズさんからは禁止の一方通行。
正直結界魔法だ転移魔法だも便利すぎるので頭を悩ませている所です。
胸に関しては基本胴回りは3人とも同じくらい。シグナムがキュルケ同様のロケットタイプで、Z軸では強いのですがキュルケに少し負けるか同じ程度。
横にもある程度あるシャマルはサイズ的には二人より上…と思っています。