原作とと時間が少し違いますのでご注意ください。
side モモンガ
現在自分は、ギルドの玉座に腰を掛けたところだ。
ギルドメンバーの名前を一人一人のサインが入った旗を数えていた時だった。
全部で41ある自分を含めたギルドメンバーと同じ数の旗。
そんな中、ふと目に付いたのはそんな中に隠すように付けられた……多くのメンバーの賛成のもと残された42番目の旗。
「あの人は、今残っているのかな?」
我がギルド〈アインズ・ウール・ゴウン〉のメンバーは公には41となっている。
しかし実を言うともう一人、42人目がいたのである。
その人はギルドが出来て暫くしてその人は入ってきた。
ナインズ・オウン・ゴールの時から別のクランのメンバーではあったものの付き合いのあった人。
人懐っこくあっという間にギルドメンバーと打ち解けていくその姿は、社会人であったはずなのに良い意味で子供っぽかった。
後にオフ会であの有名な小説家であったと知った時はみんな驚いていた。それ以前にそれまでキャラの姿も相まって女性だと思っていたほどだ。
みんなから愛されていて、あの人もこのギルドとメンバーに強い思い入れがあった。
しかし
「あんな事件がなければ、同じギルドにいたはずなのに……クソが!」
やはり思い出すだけでも怒りと憎しみが湧いてきてしまう。
今の状態の自分ではこの感情を抑えることなど出来ないように感じてしまう。
「あいつらがあんな事さえしなければ今ごろは!」
そこまで叫んで言葉に詰まってしまう。
もしも残っていたらどうなっていたか?今と変わったのだろうか?
変わらなかったとしたら?
今のこの状況はあいつらのせいではない。
あの人が抜けてしまったのは辛いし、今でも後悔しているがそれで今怒りをあらわにして怒鳴り散らそうが、帰ってくることもないし意味のない行為なのだ。
「はぁ……今日の自分はかなりやばいな。」
自分でも分かるほどに、今の精神状態はまずい状況だ。
何か気を紛らわせねばならないだろうが、生憎と今この玉座には出来ることが少ない。
そんな時にだった。
「
突然のメッセージの魔法だが、ギルドメンバーはもう誰もいないはずである。
まさか、移動してから誰か来たのだろうか?
とりあえず確認せねばなるまい。
『お、お久しぶりですモモンガさん。』
その声を聞けば誰かすぐに分かった。
しかし、突然のことに驚きすぎてしまって声すら出なかった。
ずっと自分の中ではその人のことを忘れたことなどなかった。
今はなき42人目のメンバー。
そして現在は、ギルド〈リブール・エトワール(自由の星)〉のリーダー。
「……アストラさん、ですか?お、お久しぶりです。」
さっきまでの感情を隠そうとして慌てて返事をしたためそれだけしか言うことができなかった。
『どうですか?元気にしてましたか?何か困ってませんでしたか?』
どうやら相変わらずのようでとりあえず安心した。
言いたいことははっきりと言うのだが次々と、話してくるため時折聞き逃すこともある程だがそれなのに耳障りでも不快でも無い元気いっぱいな話し方という印象だ。
「いえ、俺の方は特に問題ないですよ。そちらも元気そうで安心しました。それよりどうしたんですか急に。」
『えっと、今日で最後ですし久しぶりに話しでもと思ったんですが残りの時間いいですか?』
突然の連絡で何事かと思っていたが、そう言うことなら問題ないだろう。
自分としても久しぶりなこの人との会話をしたいという意思があったのでここは引き受けることにする。
『本当ですか!ありがとうございます!』
そこからは互いのことを話し合うだけだった。
ここ最近のことには触れず、まだ活気にあふれていた頃のことやその時の面白かったこと、失敗したこと、そしてみんなでワイワイして楽しんでいた頃のことを互いのギルドのことを話し合うだけだった。
……よく考えたら、ここにきた人たちと話したことがほとんどリアルのことばかりだったような気がする。
……こんな風に過去の事だろうとユグドラシルの楽しかった事や悔しかったことを話し合うのなんていつぶりだろうか?
……自分の苛立ちやその他の様々な要因もそこにあるような気さえしてきた。
『……ガ…ん、モモンガさん!聞いてますか?』
彼の声に我に返った。
しまった、聞きそびれてしまったようだ。
「すいません、なんの話でしたっけ?」
『えっと、あれ?すいません叫んだら忘れてしまいました。』
はははと笑ってごまかす彼に、自分も思わず笑ってしまった。
気付けばもう終了10分前である。
楽しいと時間が早く過ぎる感覚も久しぶりのような気がする。
「そろそろ10分前ですけどどうします?」
『そうですね、どうしようかな……」
どうやら考えているらしい。
自分としては最後までメッセージをつなげた状態でいて欲しいがこればかりは相手の都合もあるだろうなどと思っていた時だった。
『あっ!そうだ大事なこと忘れてました!モモンガさんに伝えようと思ってたんですよ。』
突然の大声で驚くが同時に気になることを言ってきた。
「俺に伝えたいことですか?何でしょうか?」
この人が言うからにはよっぽどのことだろう。
どうやら本人は何やら迷っているらしいがどうしたものか。
「あの無理に言わなくてもいいんですよ、言いたくないことなら。」
『いいえ言いますとも!何たってモモンガさんに対して謝らないといけないことなんですよ!」
「は、はぁ そうですか」
余程大事なことらしい。
『実は今月発売する僕の小説のことなんですよ。』
ここでリアルな話が出てきたが不思議とすっきりとした気持ちで聞く事ができた。
『今回の話で敵の能力がわかるんですけど、アイデアがなかったんですよ。』
「ふむふむなるほど。しかしそれで俺と何の関係があるですか?」
そう、自分は彼にアイデアを出したことも無いし、ここ最近は会ってすらいないのだ。
だとすると何が自分に対する謝罪をすることにつながると言うのだろうか?
『本題はここからなんですけど、ちなみにモモンガさんの作成したあのカッコいいNPC覚えてますか?』
「サァ、ナンノコトデショー、ソンナノゼンゼンオボエテナイナー」
はいはっきりと覚えています。
当時かっこいいと思って設定したNPC〈パンドラズ・アクター〉
忘れたくても忘れられるはずがない。
……まてよ、まさかこの話の流れからして
いや、まさかこの優しかった人がこんな鬼畜な真似するはずがない。
『えっ?カッコよかったじゃないですかあの設定に僕も興奮したんですよ。』
『まぁそれはいいとして。それでですね、彼の設定が頭に浮かんでしまいまして〜その〜えっと……』
まさか、この人、いやこの男は……
『敵の能力として殆ど、流用させてもらっちゃいましたー!!」
「お、俺の黒歴史がぁぁぁぁ!!!」
……この感覚は、やまいこさんが一発で当てたその次にきたこの人が日課のガチャで2回で2個シューティングスターを当てた時よりも酷かった。
日課のガチャと言っても、一日2回までの制限を付けていますので、狙わずに当てました。