不死者の王と魔術の王   作:仮面の人

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第一術

西暦2138年現在、地球は人間による大気汚染、土壌汚染、水質汚染によって地球の環境は生物がまともに住めない状況になっていた。そんな環境を世界中の人々はどうやって暮らしているのかは今から説明しよう。先ず、外に出るにはガスマスクを着用しなければならない、ガスマスクを着用しないと五分程で肺が汚染され死に至る。勿論、こんな環境だと、動植物は育たない。よって食料の大半が栄養素を圧縮したサプリメントである。残りの少数は合成された物。この最悪の世の中で最も最悪なのは富裕層が得をし、貧困層が損をする世の中に変わった事。金が無ければ小学校さえ行けない、学歴が無いとまともな職に就けない。雇ってくれる会社は全てブラックを超えた職場。残業は当たり前、残業代は出ない。休み無し、遅刻したら首。この環境が変わる事は無く、貧困層は絶対に富裕層に上がれはしない。そんな絵にも書いた地獄の世界で一人、一人と死人が出る。飢餓、肺炎、疲労困憊、自殺。様々な死因で毎日一人は死人が出る世の中。今日も一人、惨めな人生を歩んできた男が息を引き取った。その男は最後に何を思ったのかは分からない。だが、男の強い思いにより奇跡を起こした。男は死ぬ間際、自分の事を思ったのでは無く。自分が遊んでいたゲームのフレンドーーギルド長ーーの誘いに行けなかった事を悔やんでいた。地獄の様な世の中で自らの最期に他人を思える者は先ずいないだろう。神はそんな男に褒美として、奇跡を起こたのか。それとも、悪魔が遊び半分で起こした事なのかは誰にも分からない。ただし、だだ一つ分かることがある。それは、この男にとって、この出来事は幸運でもあり、不幸でもあった事だ。男は自身の身に何が起こっているかはまだ、知らないだろう。この事に気付くのは気絶から目が覚めた頃だろう。男は何も知らない世界で何を成し遂げるのだろうか。

 

 

 

 

目を開けたら日差しが差し込み、思わず目を手で覆ってしまった。あり得ない。そう、あり得ない事だらけだ。先ず、自分はガスマスクが壊れ、死んだはずだ。それに環境汚染によって地球に日差しが差し込み、太陽光を浴びる事など無いはず。更に、自分の身体がユグドラシルで作製したキャラクターに変わっている。先ず、自分の身体から確認していこう。プレイヤーネーム ゲーティア。一世紀前に流行ったとあるゲームのラスボス。人類を愛する余りに人類に失望し、人理を焼き尽くし、誰も死なない世界を創ろうとした獣。自分はそんな彼等に心底惹かれた。故に、ユグドラシルではゲーティアと名乗り、多額の課金をし、彼等に一歩でも近付こうとしていた。多額の課金とギルドのメンバー達に助けて貰い、彼等にかなり近付けた。運営に専用の職業及び種族を世界級(ワールド)アイテムの永劫の蛇の腕輪(ウロボロス)を使用し要求。結果以下の職業と種族が自分限定で実装された。職業は魔術王、人王、魔神王、冠位(グランド)キャスターの四つ。種族が(ビースト)、人理焼却式、統括局の三つ。ユグドラシル内ではこの計7つの専用職業及び種族を使い、ゲーム中で五本指に入れる程の強さを誇っていた。そして自分はギルド アインズ・ウール・ゴウンに所属していた。アインズ・ウール・ゴウン。ユグドラシルにおいて知らない者は居ないと言われるほどに有名なギルド。アインズ・ウール・ゴウンに加入するには以下の二つの条件が存在する。プレイヤーは異業種でなければならない。社会人でなければならない。この条件の元、ギルドメンバー全員の内半分以上に加入許可を得なければいけない。自分の事は此処までにして、次にこの世界に付いて考えなければいけない。環境汚染が無く、空気が澄んでいて、動植物が生息している。今まで生きていた世界では考えられない事だ。だが、今の現状ではまだ、情報が足りない為、判断が出来ない。先ずは情報収集し、この世界に付いて理解を深めなければならない。だが、今は。

 

「美しい。風の音、鳥の囀りそして土の匂い。素晴らしい」

 

この素晴らしい風景を眺めていたい。

 

「ミロ、ニンゲンダ!ウマソウナニンゲンガイルゾ!」

 

「ニクダ!ニンゲンノニクガクエルゾ!」

 

今まで観ることの出来ない風景を眺めていたら数匹のゴブリン?の様な生き物がこちらに走ってきた。丁度良い、この世界でスキル及び、魔術(・・)が使えるか、実験台になって貰おう。腕をゴブリンらしき生き物の頭の高さに合わせ、額に指を向ける。そして一言、呟く様に詠唱する。

 

「ガンド」

 

指先から黒い球状の魔力の塊が標的の額目掛け、飛んでいく。放たれたガンドは見事に額のど真ん中に命中。ゴブリンらしき生き物は脳味噌をぶち撒け、即死。なんだ、これは、こんなにも。

 

「脆い、脆過ぎる。こんなのでは実験台にさえなり得ない。貴様ら、言葉が理解出来るのならば、早々に立ち去れ。私は忙しい。態々時間を割いてまで、弱者をいたぶる趣味は無い」

 

「ヒィーー!ニゲロ!」

 

「ニゲロ!ニゲロ!シニタクナイ!」

 

ゴブリンらしき生き物は仲間が一人殺されただけで逃げ出した。なんとも仲間意識の無い連中だ。いや、それよりもこの場所を離れよう。ゴミが視界に入ると素晴らしい風景が穢れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ガオレ様の子分を殺シタ人間ダナ?」

 

先程の場所を離れてから数時間後、今度は先程のゴブリンらしき生き物よりマシな喋り方をするオーガに出会った。そして出会って早々に武器を向けられている。

 

「ふむ、貴様の子分とやらは知らないが、先程、あちらの方で一体。ゴブリンを殺した。まさかアレが貴様の子分か?」

 

「ヤハリカ!コノ!グ様ノ子分ヲ殺シタノカ⁉︎」

 

「グ?それが貴様の名か?随分と短いな」

 

「フッ!長イ名前ナド、弱イ者が名乗ル物ト相場ガ決マッテイル。貴様ノ名前ハナンダ?」

 

「私か?私の名前はゲーティア。人理焼却式 ゲーティアである」

「ガッハッハッハッ!ゲーティアダト?長スギル!貴様ハ弱者ダ!」

 

こいつ、ゲーティアが弱者だと?殺す、必ず殺す。彼等を馬鹿にする者は何があろうと殺す。

 

「私が弱者だと?ならば、本当に弱者か、その身で体験しろ!ガンド!」

 

先程と同じ要領でガンドを放ち、グの腹に風穴を開けた。

 

「如何した?貴様の考えならば私は弱者なのだろ?その、弱者に、風穴を開けられた気分は如何だ?」

 

実に良い気分だ。彼等を侮辱したグが地に倒れるのが想像出来る。

 

「グググ、マ、マサカ、コンナニモ強イ魔法ガ使エルトハ。ダガ!コノ!グ様ニハ効カナイゾ!」

 

「再生した?貴様、再生のスキル持ちか」

 

グの腹に開けた風穴が徐々に塞がっていく。再生持ちか、なら、次はより強い魔術で存在ごと焼却してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はイビルアイ。リ・エスティーゼ王国所属のアダマンダイト級冒険者チーム、蒼の薔薇に所属する冒険者だ。嘗ては『国堕とし』と恐れられていた。『国堕とし』、嘗て、一国を堕とした伝説の吸血鬼王候(ヴァンパイアロード)。だが今はだだの冒険者だ。今私は一つの依頼を受けている。特殊個体のオーガの討伐だ。この特殊個体は非常に高い再生能力を持ち、(ゴールド)以上で無いと討伐不可能だ!と、冒険者組合で判断された依頼だ。何故、最高級冒険者の私がこの依頼を受けているかと言うと、暇だからだ。あぁ、暇だからだ!ああ!何度でも言おう、暇なのだ!私は250歳だぞ!なのに!私の外見年齢は12歳かそこらの幼女だ!お陰でまともに酒も飲めないし、夜出歩けない!一日中仮面を被って本を読むだけの毎日だぞ⁉︎暇過ぎる!だからこの依頼を受けた。それにしても。

 

「あのゴブリンの死体、確実に人間の手による死に方だ。あの頭、伝説の神様。ぷれいやーが使っていたと言う、じゅう、なる代物の可能性がある。やれやれ、退屈しないで済みそうだ」

 

暫く森を進むとそこそこ大きい広場か見えた。そこには討伐対象のオークと身なりの良い長髪の男がいた。ふん、身なりから見て金持ちの道楽でオークを見に来たのだろう。

 

「おい!そこの長髪の男!今すぐそこから逃げろ!貴様じゃ手に負えない相手だ!私に任せろ!」

 

今思えば私はこの時は愚かだったのだろう。先程のゴブリンの死体を見て思った事をすっかり忘れていたのだった。男は私の台詞に反応した、いや、反応させてしまった。

 

「小娘、貴様もこの私を侮辱するか。この!私を!ならばその曇りに曇った瞳でよく見るが良い!私の力を!」

 

帰って来たのは憤怒に塗れた怒号と今まで感じた事の無い、とてつもない魔力だった。

 

 

情報室 開廷 過去を暴き 未来を堕とす 焼却式 フラウロス

 

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