この破壊の龍帝に祝福を!   作:超人類DX

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これで移行完了。


半身同士でもプラスとマイナスに別れてるせいか細かい違いはある。

例えば――


運命

 取り乱したという意味では、俺は何度か取り乱したイッセーを見たことはある。

 だけど、今回ばかりは勝手が違う。

 

 

「幻実逃否を使う俺と同じ顔をした男なんて決まりきってるがどういう事だ! おいアクア! お前が何かやったのか!?」

 

「ち、違うわよ! 私だって何が何だかわからないわ!」

 

「ならばクリスゥ!! 何処に居る!!」

 

「な、何でクリス?」

 

 

 狼狽、焦り、混乱。

 恐らくそういった感情で支配されているだろうイッセーは今までに無い姿だった。

 だがそれも無理は無いのかもしれない。

 

 何せあの時俺達全員は確かに見たんだ……。

 

 

「イッセーと同じ顔をした男は何故リッチーの女と一緒なのだろうか? そもそも彼は何者だ?」

 

「人外がお嫌いなお師匠様とそっくりなだけに違和感ばかりですよね。もしかしたらあのそっくりさんは人以外の方に抵抗が無いのかも」

 

「でも、それだとイッセーさんじゃないような……」

 

 

 不意を狙い、リッチーの人を庇った際に落ちた変な仮面の下に隠された……イッセーと同じ顔をした男であることを。

 そしてその男は、イッセーが死してアクアに引っ張られた際には失っていたらしい力を持っていた事……。

 

 

「それにしても現実を否定して無かったことにして、自分の思い描く夢を現実に捩じ曲げるスキルって……反則も良いところだろそんな力」

 

「うむ、まさに夢の力というべきだ。

しかしイッセーは『そんな都合の良い力じゃない』と言ってたぞ?」

 

「あぁ、『使っても碌でもない事にしかならない』って言ってたし、あの時の様子だとイッセー程の物理的な力は無さそうだ」

 

 

 使い方次第じゃ残機無限状態の人生等々、応用の幅がえげつない魔法みたいなスキルを持つ代わりに、見た限りだと身体的な力は寧ろ弱いのかもしれないという予測を立てながら、ブツブツと両肩を掴んでこれでもかと揺さぶりまくってたアクアから離れて何かを言ってるイッセーの様子を伺う。

 

 この様子だと直ぐにでもそっくりを探しに行きそうな勢いを感じる訳だが、俺個人としてもあのイッセーそっくりな男の正体が気になるので探すべきだと思っている。

 幸い、あのそっくりから聞いた話が本当だとすれば、冒険者では無くて店か何かを経営しているみたいだし、どの街かまではわからないにせよ、情報を集める手立ては色々とある。

 

 あの探るまでも無く感じた『独特過ぎるドロドロとした雰囲気』も未だに肌に貼りつく様に覚えている。

 案外近くに居たりする……かもしれない。

 

 

 

 

 

 目が覚めた時、目の前に広がるは知らない天井―――じゃなくて普通に知ってる天井と、最近慣れた匂いだった。

 どうやら猛毒にも近い苦しみである破壊の技術によるダメージがやっと消えたらしい……というのは全身包帯まみれで片腕が無い惨めったらしい姿で身体を起こせば何となく理解できる。

 

 

「ベルディアを粉々にした冒険者とひと悶着あったと聞いて来てみたが、取り敢えず一言良いかね? ……………………ザマァ見さらせ」

 

「あ、ごめーん、キミって誰かな? 何かこう、記憶の隅を探ると、串刺しにされた挙げ句俺に向かって額を地面に擦り付けてた能無しだった気がするんだけど……」

 

「……………………………………。その話はもう良いだろ蒸し返さないでくれ」

 

「うん、『俺は悪くない。』」

 

 

 無い腕のお陰で身体のバランスが微妙に片方にズレる感覚を覚えつつ、何時から居て大の男の寝顔を覗いていたのかはよく分からない仮面を付けた男に対して顔を合わせるや否や軽い嫌味合戦をするレベルにまでは既に心身ともに回復してるんだと、自覚したマイナス側の……謂わば陰と陽で云うところの陰に当たるマイナスのイッセーは、目元辺りを隠した仮面を被る男の苦々しそうな表情を見るだけで一気に気分が良くなっていた。

 

 

「それで? わざわざ大が後ろに付くクソみたいな悪魔さんは今日どのようなご用で? 見ての通り只今自分は店主さんから有休休暇貰ってのんびり寝てたのですがねぇ?」

 

「我輩だって好き好んで貴様の顔なぞ見たくは無い。

が、それがそうも言ってられなくなったのだ」

 

「へぇ? どこぞのお家に忍び込んで女性用下着でも盗んだのがバレたのかい?」

 

「貴様と一緒にするなその2だし、我輩はそんな事はしないわっ! チッ、発するオーラは我々にとっても極上の馳走なのに、どうしてこう貴様の性格は腐ってるのか……」

 

「その筆頭主のアンタに言われちゃおしまいだな」

 

「……。まぁ良い、我輩は魔王からの伝言を預かったのでそれを伝える。

だからまずは貴様を店もほっぽって三日三晩付きっきりだったそこのドジを起こせ」

 

「んぁ?」

 

 

 互いが互いを牽制する言葉という名のジャブをしつつ、先に旗色が悪いと話題を逸らした仮面の男……魔王軍幹部……という体になってる本物の大悪魔ことバニルがベッドに上半身を起こして横になってるマイナスのイッセーから、少しだけ視線をずらす。

 

 

「すー……すー……」

 

 

 どこまでも暗く、そして濁っているマイナスイッセーの瞳に映るは、看病疲れをしてスヤスヤと寝ていたウィズ。

 

 

「同じ顔をした男によって満身創痍となった貴様を運び、寝ずに看病をしていたらしいぞ」

 

「ふーん?」

 

「すぴー……すぴー……」

 

 

 バニルからウィズの行動を聞かされ、気の無い声を出すマイナスイッセーが無意識に眠ってるウィズの頭に手を伸ばし掛けたが、そのまま触れること無く肩を揺さぶる。

 

 

「セーイセイ、ウィズさんや。街で下着泥やらかした変態が起きろってよー?」

 

「次また言ったら我輩のリンチ入るからな?」

 

「ん……んぅ……?」

 

 

 イラッとした様子のバニルを無視し、無事な方の腕で軽く身体を揺らして起こすマイナスイッセーにウィズはゆっくりと目を開ける。

 

 

「イッセー……?」

 

「どーも、有休ごちそうさんでした」

 

「………イッセー!!」

 

「ぐべぇ!?」

 

 

 最初こそ寝ぼけ眼だったウィズが、ヘラヘラと軽口を叩くイッセーが『意識を取り戻してる』と認識した瞬間、思わずという様にバッと身体を起こすと、びっくりな勢いでマイナスイッセーに抱き着く。

 

 

「良かった……良かったっ……!」

 

「うひょー! 特盛さんが当たって………がが、がぇぇ!?!?」

 

「おい、折角看病した相手がもう死にそうになってるから離れてやれ」

 

「? バニル……?」

 

 

 人じゃない云々抜かせば陰陽どちらのイッセーにとってもドストライクとも言えるウィズの肢体を身に受けて一瞬の幸福を感じたのもつかの間、あっという間に全身の骨がメリメリと砕けそうな悲鳴をあげ、苦しそうに呻くはめになったマイナスイッセーは、然り気無くバニルが止めに入った事を今だけは感謝した。

 

 

 

 

 

「単刀直入に言う。魔王はベルディアが消えた後釜を貴様にやって貰いたいらしい」

 

「はぁ?」

 

「イッセーが?」

 

 

 色々と落ち着き、三日振りになる食事を口に運びながら、バニルからの予想したくもなかった話を受けていた。

 

 

「良い度胸してるよねあの魔王って? ひょっとしなくてもバカだろ? いやバカだったわ」

 

「否定はせん、アホなのはな」

 

 

 バニルによって伝えられた魔王軍参入話にマイナス・イッセーは果てしないバカだと、この世界の魔王に向かって毒づきつつ、一旦食事を止めてウィズの手伝いで全身に巻かれた包帯をはずす。

 

 

「よいしょっ……と」

 

 

 破壊の技術によりズタズタになった全身から、オートで発動していたスキルがやっと効力を取り戻したのか、包帯の下にあった治らない筈の傷は全て消えており、まるで重い荷物を持つ様な掛け声を放つと、その瞬間もがれて失った片腕が一瞬で、それこそ『最初から失ってなど無かった』かの様に復活する。

 

 

「よぉし、幻実逃否(リアリティーエスケープ)も復活」

 

「相変わらずふざけた能力だ」

 

「良かった、イッセーの腕がちゃんと元通りになって」

 

 

 己の受けたダメージ全てを否定し、全て夢物語であった現実へと捩曲げる事でその全てを無かった事へとするスキル・幻実逃否(リアリティーエスケープ)により、失った腕や粉々に粉砕されていた肋骨の何もかもを否定したマイナス・イッセーは、苦々しく口を歪めるバニルやホッとした様に息を吐くウィズの前で復活した腕の調子を確かめる様に開いたり閉じたりを繰り返しながら話す。

 

 

「俺はもうほぼ目的を達成しているし、魔王に力なんて貸すわけが無いだろう?」

 

「それを知ってて魔王はお前に頼みたいらしい、奴……お前の半身だったかの男に対しての『抑止力』になって貰いたいだとか……」

 

「抑止力だぁ?」

 

 

 あんまり聞かない言葉にマイナスイッセーは失っていた方の肩の関節をポキポキと鳴らしながら訝しげにバニルを見る。

 

 

「貴様は奴と元々は一つの存在だったらしく、戻ることを望んでいる……だったか?」

 

「……。ちょっと待てぃ、誰からその話を……」

 

「コイツ」

 

「セーイセイセイ!? ウィズさんや、何故話しちゃう?」

 

「だ、だって嬉しかったから……」

 

「文句は後で言え、話を戻すぞ。その元の人間に戻った場合、貴様は自身の人格が完全に消滅すると睨んでいるのだろう?」

 

「……………はぁ」

 

「そ、そんな顔しないで……」

 

 

 

 思いの外ウィズがバニルにベラベラと喋っていた事を知り、責めはしないものの無言でウィズを見つつ小さくため息を吐く。

 

 

「寧ろ元に戻った方が厄介者が消えてアンタや魔王にとっては良いことだらけじゃないのかい?」

 

「逆だ。貴様――いや、お前の人格が消えてもし向こうのお前の性格が強く残った場合我々は確実に絶滅させられる。

幻の大地に踏み入り竜王を倒した男にいくら数で掛かろうが返り討ちだろう」

 

「まあ、俺と違って向こうの俺は人外に対する嫌悪感は強いだろうね。異常性がある以上は―――――最近ちょっと疑わしいけど」

 

「だからこそ、お前には今暫く一人に戻るのを……願わくばこのまま永遠に戻ることを止めてもらいたい。

個人的に我輩もお前には仕返しをしなければならん借りもある」

 

「…………」

 

「それに、お前にこのままで居て貰いたいのが居ることだしな」

 

「は?」

 

 

 そう意味深に口をニヤつかせながらバニルはウィズをへと視線を寄越しながら――

 

 

「お前、ウィズに惚れたのか?」

 

 

 見通す悪魔らしく、マイナスイッセーが抱える過負荷(マイナス)の特性を引きずり出した。

 

 

「死にさらせやクソボケ野郎が!!!」

 

 

 その瞬間、基本煽る側のマイナス・イッセーが1900W電子レンジでチンの如く激昂し、右と左の手に其々巨大な釘と杭を持ちながらテーブルを蹴ってひっくり返すと、ニヤ付くバニルの額と喉元目掛けて刺してやろうと突貫する。

 

 

「おっと、落ち着けイッセーよ。

別に笑うつもりは無いんだぞ我輩は?」

 

「お、落ち着いてイッセー!」

 

「ふしゃーっ!!!」

 

 

 キレた猫を連想させるようた怒りを放ちながら、咄嗟に後ろからウィズに羽交い締めにされながらマイナスイッセーはヘラヘラしてるバニルを睨み付ける。

 本人曰く笑ってないらしいが……

 

 

 

「人間以外は嫌いと宣ってたのに、よりにもよって……ぷっくくく!」

 

「キャオラッ!!」

 

 

 愉快極まりないとばかりに笑っていた。

 以前してやられた仕返しとばかりに、これでもかとそれはそれは笑っていたのであった。

 

 

「あのガキァ、言うだけ言って帰りやがって!」

 

「ま、まぁまぁ……」

 

「てかそもそもウィズさんがベラベラと喋りすぎなんだっつーの!」

 

 

 ゲラゲラと笑うだけ笑って去っていったバニルに、今度顔みたらハリセンボンにしてからホモバーにでも投げつけてやる……と復讐の念をふつふつ燃やすマイナスイッセーは、事の発端……というには微妙なウィズに対して文句を言う。

 確かに意識が飛ぶ寸前に変な事を口走った記憶はあるにはあるけど、それを他人に話す内容かというと違う。

ていうか地味に恥ずかしい。

 

 

「思い返してみると確かにあの時色々と口走った様な気はしますけどねぇ、ありゃ別にそういう意味じゃないって事くらいわかります?」

 

「え、わかんない。そのままの意味じゃ……」

 

「…………。じゃあもう良いっすよそれで……」

 

 

 若干気弱になっていたからというのもあったかもしれないけど、それにしたって今になって思い出すとナンパしてる時には感じない妙な恥ずかしさで変な汗が止まらないイッセーは、自分の言葉にショックを受けた顔をするウィズから目を逸らし、諦めた様に項垂れた。

 

 

「そもそも抑止力になれるかっつーの、真正面から仮にぶつかったら虫けらみたいに捻り殺されるわ」

 

 

 一人の兵藤一誠の時は経験すら無かった為に抱かなかった妙な情。

 その情がここまで自分を戸惑わせるとは……マイナスとはやはり肝心な所では勝てないのか……イッセーはため息を再び吐いてしまう。

 

 

「それで、店はどうなってんすか?」

 

「イッセーが倒れてからずっとお休みしてるけど……」

 

「そう……なら明日から出ないと」

 

 

 惚れやすくなるけど気を付けるんだね。と随分昔に変な女に言われた時は当時一人の兵藤一誠として鼻で笑ってやってたが、まさかこんな異世界でその体験をしてしまうとは……しかも相手は元人間のリッチーときた。

 

 

「俺が死にかけてる間、向こうの俺やその連れは来なかった?」

 

「来てないわ」

 

「来てないのか……変だなそれも」

 

 

 休業中の立て札が店の外に貼ってあるウィズの店内を一緒に掃除しつつ、近い内にこの場所を突き止めて来るだろう陽側のイッセーにどう対応しようかと悩む。

 

 

「向こうのアナタがコチラに気付かないとは思わないのだけど……」

 

「だろうね、そろそろ突き止めて来る筈」

 

「そうしたらどうするの……? まさか戻るの?」

 

「……。それを今迷っちゃってるんすよ、アンタのせいで」

 

 

 この感情に苛まれる前は何と言われようが即座に一人に戻り、次元を破壊してこの世界から去ってやろうと考えていた。

 しかし向こうの自分といい、己といい、どうにもこの世界に対して妙な愛着が沸いてしまってる感は否めないし、自分に至っては一番抱いてはいけない感情を芽生えさせてしまった。

 

 

「あ、イッセーはまだ病み上がりだから休憩してて、残りは私がやりますから」

 

「いや別に疲労から何からさっき全部『否定』したから平気――」

 

「良いから、座ってて!」

 

「あ、はい」

 

 

 故に今のマイナス・イッセーは元の一人に戻って自我を消す事を微妙に躊躇ってしまっている。

 

 

「~♪」

 

「流石に棚の品をひっくり返す程間抜けじゃないのは知ってるけど―――う……どうしよう。あの時の気の迷いって思ってたのに全然迷いとかじゃないかも」

 

 

 せっせと叩きで商品の埃をはたくウィズの後ろ姿を見てマイナスイッセーは、ナンパの時にはまず抱かない変な緊張を持ちつつ、自分の胸を押さえる。

 

 

「昔あの女に言われた通り、人であろうが無かろうが、そう思った相手にのめり込んでしまうって意味なのかな……」

「あの女って、前々から言ってたけどそれって誰なの?」

 

 

 今更になってこんな感情に苛まれるなんてつくづく上手く行かないと、かつて忠告(?)をした名も良く覚えてない変な女の事を思い出し、つい口に出した時だった。

 それまで商品を床にぶちまけないようにとしながらハタキを使っていたウィズの手が止まり、何と言うか、微妙に不機嫌そうな顔でこちらへと振り向き、マイナス・イッセーの言う変な女について問い詰めてきた。

 

 

「お友だち?」

 

 

 その雰囲気たるや、陽側のイッセーに半殺しにされる時以前にはまず見なかったので、微妙に驚いてしまうものの、べつに隠す事でも無かったので普通のトーンで話す。

 

 

 

「昔、まだ一人の頃に夢……っての? とにかく夢に何度か出てきて俺に色々な話を聞かせてくれた髪の長い若い女」

 

「美人だったの?」

 

「美人……? いや美人っつーよりは可愛い顔はしてたかなー……多分。何せドラゴンのドライグが惚れ掛けたし。あ、あと一人称が僕だったっけか……アレだアレ所謂ボクっ娘?」

 

「ふーん?」

 

 

 今にして思えばあの女ってなんだったんだろうか……と特にどうとも思わず考えながら答えるマイナス・イッセーにウィズは更に不満げな態度だった。

 

 

「その人はイッセーの好みの女性だったの?」

 

「いーや、おっぱいも少なかったし、当時まだガキだったからどうとも思わなかったんだけど、果たしてあの女は実在した女だったのだろうか……? うーん、これぞミステリー」

 

 

 基本的にウィズは用事で別の街に行く度にはしゃいでナンパに出掛けるイッセーを見るのがたまらなく辛かった。

 何故辛かったのかは最近になって自覚したのだが、その自覚でますますイッセーが呪いでリッチーとなってしまった自分を放置してヘラヘラと街娘に片っ端から声を掛けるのを見るのがますます嫌で、一度背後から氷付けにしてしまった事もあった。

 

 なのでマイナス・イッセーからポンと別の女の話が出てくると嫌で嫌で仕方なく、それが例え本人が興味無かったとしても、此度貰えた言葉もあって少々嫉妬深くなってしまっていた。

 

 

「私とどっちが見た目が好み?」

 

「何すかその質問?」

 

 

 寧ろ元の一人に戻る事に大反対のウィズからじーっと見つめられながら質問にマイナス・イッセーはポカンとする。

 

 

「だ……だから、その変な女の人と私は、種族とか関係無しにどっちがイッセーの好みなのかなーって……」

 

 

 最初は殆ど敬語口調だったのもマイナス・イッセーが嫌がって矯正することで大分無くなっていたウィズがもじもじしながら自分とその女のどちらが見た目好みなのかと聞かれたイッセーは、そのウィズの挙動にドキッと内心しながら、答えようとすると同時に沸き上がる羞恥心を押し殺しながら答えた。

 

 

「いや、まあ……ウィズさん?」

 

 

 ……。何だこの公開処刑を受けた気分は? と小うるさい自分の心臓に釘でもぶっ刺したい気分になりつつ、ウィズと答えた瞬間、もじもじしていた彼女はそれはそれは花が咲いた様に嬉しそうにはにかんだ。

 

 

「そ、そう? ふふふ……♪」

 

「……。なんなんすか」

 

 

 げ、やばい今の可愛い……と内心思うだけで口が裂けても言わないように努めながら、一気にテンションが上がったウィズを訝しげに見るマイナス・イッセー

 

 

「何だよ、この頭が悪そうなカップルみたいな会話……。恥ずかしくなるからやめません? てか掃除やめて気晴らしに人間のおんにゃのこのリハビリ・ナンパでも―――」

 

「…………」

 

「――――――あ、はい。軽いジョークですから……ははは」

 

「……♪」

 

 

 自我を犠牲に元に戻るにはあまりにも多くを手にし過ぎたと、ナンパはやめると言った途端機嫌が回復したウィズのニコニコ顔を見てマイナス・イッセーは何度目になるかわからないため息を吐くのだった。

 

 

「見て、商品落とさずにお掃除できたわ?」

 

「はぁ、そりゃ凄いっすねー?」

 

「……それだけ?」

 

「それ以上何を言えってんだよ?」

 

「ええっと、言ってほしいというより、あの時みたいに頬を撫でて欲しいなとか……」

 

「………………………。これで良いんすか? いや、もう何この空気? ヤバイんすけど」

 

「ふふ……♪」

 

 

 これから来るだろう、半身の自分の事も含めて。




補足

こんな事積み重ねると本当に元の一人に戻ることを躊躇してしまう。けど、頼まれたら断れなくなってしまっており、彼女にしてあげる事に嫌悪感がほぼ薄れ掛かってる為、ジレンマだらけ。

その2
最後のやり取りをパパラッチされてしまってもしょうがない。
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