この破壊の龍帝に祝福を!   作:超人類DX

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イッセーくんのお好み。

人外じゃない、普通でボインで黒髪でおしとやかな女の子。


これを踏まえてどうぞ。





短気な赤龍帝

 他人を甘やかす事に対して一切の自覚が無いという、驚きの駄目人間製造才能が実はあったりしたイッセー。

 それもこれも生前世界にて転生者により『孤独』である事を強いられて来たのが大きな原因であり、意識の中でやり取りするドライグとは違って、生身の知り合いが出来たせいか、その本来彼の持つ『心を許した相手に対する献身』がこの世界にて開花してしまったのだ。

 

 

「ジャイアント・トードが繁殖期にて作物やら家畜を食い荒らすので、それの討伐を行うべし……か。

一体につき与えられる金も結構良いし、蛙ならお前等にとっても良い経験値になる。おしカズマにアクア、これ受注しようぜ?」

 

「おう、無駄に揃えた装備をやっと使う時が来たぜ!」

 

「さっさと終わらせてご飯食べるわ」

 

 

 その相手が元引きニートと駄女神という辺り、微妙に勿体無いと誰かは思うのだろうが、自覚が無いので指摘したところで無意味だ。

 

 

「それでは何時もの様に、イッセーさんには一切の経験値は入りませんが報酬は入ります。よろしいですね?」

 

「おっす。経験値はどうでも良いから、クエスト終わったらお姉さんとデートを……」

 

「ナンパは後でにしろよ、早く行くぞ」

 

「あ、ちょっと……お姉さーん!!!」

 

「は、はは……本当に変わったすっぴんさんだわ」

 

 

 何せ、分類上は人外となるアクアにすら甘やかしてしまってるのだから……。

 

 

 

 

 経験値が入らない、職柄スキルが覚えられないしポイントも手に入らない。

 そんな理由からか、イッセーは前々から討伐に挑む際について俺と完璧駄女神にこう言っていた。

 

 

「俺は見てるだけだ。だって倒しても経験値が手に入らねぇ……まあ、死ぬ手前まで弱らせた後お前達にトドメを刺すってやり方なら協力できるけどな。後危なかったらすぐ言え」

 

 

 言ってる事は過保護な父親のソレに近いものを感じる訳だけど、イッセーのステータスが解析不能で冒険者としてはある意味落ちこぼれ以下である事とその弊害を考えたら、俺もアクアも金に関する全ての心配事を解決してくれたイッセーに文句なんてある訳も無く、寧ろどんな危険生物の討伐をレベル考えずに受けようが、安全を確約されてると思えば実にイージーゲーである。

 

 ま、今回のクエスト内容は巨大蛙なので命の危険というものはそんなに無いんだけどね。

 ほら、俺装備だけは無駄に金掛けて凄いし――

 

 

「ぜぇ! ぜぇ! ぜぇ!!」

 

 

 なんて思っていた時が俺にもありましたよ……うん。

 

 

「ちょっとカズマ! アンタもうへばった訳!?」

 

「う、うるせぇ! あの蛙共……ボーッとしてると思ってたのに意外と素早いんだよ!」

 

「それじゃあ装備にお金掛けた意味が無いでしょうが! 宝の持ち腐れよ!」

 

 

 ゲームでもそうだが、いくらメタルキングの剣クラスの装備で固めようが、使用者が途方もなく雑魚ならあんまり意味が無い……という基本的な事を俺は不覚にも忘れていた。

 当たれば多分一撃でのせる筈なのに、俺はさっきから固めた装備の重量がリアルに重くて満足に動けず、まるで装備に装備させられてる……みたいな情けない状況に陥っていた。

 

 

「はっはっはっ、頑張れよカズマ~」

 

『今更こんなナマモノを始末した所でイッセーの修行にはならんな』

 

 

 質素な平原にて増殖しまくったジャイアント・トードの討伐。

 ハッキリ言ってレベルで言えば裏ボスである竜王とやらと比べるのも烏滸がましい程の初心者モンスターなのだが、情けない事に俺は一体倒すのに何十分と掛けていた。

 

 

「ひぃ、ひぃ、ぜぇ……」

 

「ったく情けないわねー」

 

「茶がうめぇ……」

 

『餓鬼の頃のイッセーを思い出すなぁ』

 

 

 イッセーとイッセーに宿る赤い龍ことドライグは小さな岩の上で俺達を見守っている。

 くそ、情けねぇ……自覚なんてとっくにあったが、これじゃあイッセーに寄生してるだけじゃねぇか。

 

 

「ふん、私はカズマとは違うわ。

女神の力を――ひゃあ!?」

 

 

 挙げ句の果てには駄目が更に駄目になったアクアも……。

 

 

「ひぇぇぇ!? た、食べられちゃうぅぅ!?」

 

「な、何やってんだばか野郎!」

 

「た、助けてイッセ―――」

 

「駄女神ィィィィッ!?!?」

 

 

 アークプリーストの分際で何を勘違いしたのか、ジャイアント・トードに殴りかかったらそののま伸びた舌で捕らえられ、丸呑みにされてしまった。

 

 

「や、やべぇ! アクアが食われちまった!」

 

「んだよあのバカ! 上位職じゃねーのかよ!?」

 

『回復専門が後ろにつくな』

 

 

 どうしようと焦る俺に、小岩の上に座ってたイッセーが顔付きを若干変えて立ち上がり、岩を降りる。

 

 

「ったく……あれで女神だと未だに言い張れるのが信じられねぇよ」

 

 

 そして適当に拾った……そのまま土に還る予定だっただろう小さな枯れ枝を二本拾い上げ、二刀流の様に両手に持つと。

 

 

「喰らえぃっ!! 地獄のメリーゴーランド!!!」

 

 

 前宙を繰り返しながらジャイアント・トードに突進し、そのまま枯れ枝で切り裂いた。

 

 

「す、スゲー……枯れ枝で切り裂いてるし」

 

 

 無駄に装備に金掛けて、高性能の剣を持ってる自分が恥ずかしくなってくる。

 アレがこの前ドライグが言っていたイッセーの真骨頂のひとつ『ありふれた物を武器にする』というものなのだろうと改めて思い知る訳だけど……。

 

 

「うぇぇぇん!」

 

「生きてたか……」

 

 

 ビームソードやら何やらより、ぶっちゃけイッセーの持つ戦闘技術の方を俺は覚えられたら覚えたいぜ……。

 持っていた成金剣の柄を強く握りながら、俺はイッセーとの差にモヤモヤした感情を覚えるのだった。

 

 

 

 例の物理法則無視技の一つでジャイアント・トードの一匹を三枚下ろしにし、丸呑みにされたアクアを引きずり出したイッセーだが、蛙の胃液……いや粘膜なのだろうか、ベチョベチョのヌメヌメになって体育座りしながらメソメソ泣くアクアに対し、粘膜の異臭が半端ないと顔をしかめていた。

 

 

「えぐい臭いだなオイ」

 

 

 スプラッター状態になってるジャイアント・トードを横に、メソメソと泣くアクアにどうしようかと考えるイッセーに、群れの一匹である蛙がまとめて丸呑みにしてやろうと襲い掛かって来た。

 

 

『Boost!』

 

「ドラゴン波ァァァッ!!!」

 

 

 しかし運が悪いことに、今イッセーは『アクアが丸呑みにされた』辺りから急激に機嫌が何故か悪くなってしまっており、左腕に纏った赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)による倍加により放たれたビームにより、残りの群れごと完全に消し飛ばされてしまった。

 

 

『おい、お前が殺しても意味ないぞ』

 

「あ……」

 

 

 どうやら自分が倒しては意味がない事を忘れてしまう程度にはカチンと来ていたらしく、呆れた声で指摘するドライグにイッセーはハッとした顔を浮かべる。

 

 

「や、やば……ごめんカズマ。消し飛ばしちゃった」

 

「あ、うん……蛙どころか平原が荒れ地になっちゃったけど、問題ないだろ多分……」

 

「おう……しかし、何で俺はイラついてたんだろ?」

 

 

 経験値稼ぎをさせるつもりだったのに獲物を取ってしまったと、カズマに謝りつつイッセーは先程まで抱いていたイラつきについて自分でも分からず首を傾げていた。

 しかし考えても考えても答えは導き出せず、結局はメソメソ泣き続けるアクアを何とかしないといけないという事情も重なり、取り敢えず三人は町に戻ることになった。

 

 

「ヌメヌメが気持ち悪いよぉ」

 

「絶対に風呂入れ……ったく、しょうがねぇ……オラ乗れ」

 

「ぇ……で、でもイッセーの服が汚れちゃう……」

 

「んなもん洗えば良いだろ。何時までもそこでメソメソされても困るんだよ……おら、早くしろ」

 

「うん」

 

 

 怠そうにヌメヌメのアクアを背負うイッセー

 此処に来て最初の頃ならまずこんな真似はしようとも考えなかっただろう事を考えると、やはりカズマとドライグの懸念は間違ってないのかもしれない。

 

 

「これは失敗だな」

 

『あぁ……それも大が付くな』

 

 

 アクアの更生も視野に入れてのクエストが、気付けば余計甘やかす結果になってしまったとカズマとドライグはため息を吐く。

 

 

「は? 二人して何だよ?」

 

「いや……うん、結局お前に寄生してるんだなぁとつくづく」

 

「寄生? あぁ、コイツの事か? 遺憾だが慣れちまったよもう……」

 

 

 甘やかしまくるイッセーの性質改善も失敗であった。

 

 

 

 

「ねぇ臭わないの?」

 

「吐きそうだが、殺しまくって腸ぶちまけた死体の山で暫く寝泊まりしてた経験もあるし、それに比べたらまだマシだ」

 

「うぇ……そんな事までしてたのかよお前?」

 

『俺達のヤサを破壊した連中から目をくらます為に、暫くそうしてたんだ。

勿論それ相応の報復はしたがな』

 

「サバイバルだなぁ」

 

 

 結局討伐した分の金だけしか獲られないというオチを抱えたまま、町を目指して街道を歩くイッセーとカズマ……そしてイッセーにおんぶされるアクア。

 然り気無くアクアが奇跡的に自分のナリを気にしてイッセーにおずおずとした態度で聞くという展開があったのだが、イッセーからしたら腐敗した死骸の山を隣に暫く衣食住の経験をしていた為、今更この程度で吐くだなんて事はせず、ぶっきらぼうに答えていた。

 

 

「なんかすまねぇ……結局碌に経験値も獲られそうないし」

 

「良いさ良いさ、地道にやりゃあ問題無いし失敗の一つや二つで今更どうとも思わんよ」

 

 

 はっはっはっ! と笑って済ませるイッセーだが、この世界に来て――そしてイッセーとアクアというある意味で自分より別ベクトルで駄目な二人を間近に見てきたせいか、生前よりも精神的に成長しており、すっかり自分とアクアにだけは異様に甘い対応をするイッセーに対してかなり申し訳ない気分で一杯だった。

 

 クエストは成功しても、生活パターン改善は大失敗……。

 このままじゃ元から駄目なアクアはともかくイッセーが駄目になってしまうとカズマはカズマなりに日頃の恩を返すつもりで動こうとしたが、結局はこの様。

 

 自分の弱さが実に情けないとカズマは小さくため息を吐いた。

 

 

「あ、いました!」

 

 

 が、しかし忘れてはいけない。

 

 

「ん?」

 

「あ?」

 

「ふぇ?」

 

『なんだ?』

 

 

 イッセーは確かに駄目な部分が異世界に転生して初めて浮き彫りになったのかもしれない。

 しかしそれでも、駄目な部分がカズマとアクアにだけ出てくるだけで、後は殆ど変わっていないという事を。

 

 

「ふっふっふっ、アナタ方――というより、今お仲間を背負っている人の事を見ていました! お見事です!」

 

 

 それが……カズマにとってはある意味久々になるイッセーの対応を見る事になる。

 そう、赤い瞳、黒くて肩口まで届くか届かないかの長さである黒髪の、黒マントと黒いローブを羽織った『如何にも』な魔法使いの格好の少女という『生け贄』によって。

 

 

「……。いや、誰?」

 

「俺が知るわけ無いだろ? おい、アクア……お前の知り合いか?」

 

「ふぇ? ええっと…………あれ、アナタもしかして紅魔族?」

 

 

 すっかりメンタルが壊れて、文字通りイッセーにおんぶに抱っこ状態のアクアが、イッセーの背中から顔を出して少女を見る。

 そして何かに気づいた様に、アクアが少女に問い掛けると、少女は妙に満足そうな笑みを浮かべながら……。

 

 

「如何にも!

我が名はめぐみん、アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者!」

 

 

 こう、カズマにとっては馴染みがあるようで無い言葉……『中二病』全開にひり出した無駄なポーズと共に、少女……めぐみんとやらは名乗り出た。

 

 

「え、めぐみん? まさかそれが本名な訳……」

 

「本名ですけど?」

 

「嘘ぉ!?」

 

 

 驚くカズマにめぐみんの名乗る少女は少し心外だといった表情を浮かべながらも自分のギルドカードを見せる。

 そこには確かに名前がめぐみんだった。

 

 

「紅魔族というのは、生まれついて高い知力と強い魔力を持ち、大抵は魔法使いのエキスパートになる素質を秘めているの。

ほら、紅魔という種族の名前の由来となっている赤い瞳が特徴よ。で、それぞれが妙ちくりんな名前を持っているわ」

 

「へぇ、じゃあ本当にめぐみんってのが本名なんだな」

 

「はい。けど私からすればアナタ達の名前の方が変な響きに感じますけどね」

 

「種族間のギャップって奴か……」

 

 

 気の抜けそうな名前に聞こえるが、アクアが説明した紅魔族とやらの間では立派な名前なのだろう……と内心一応納得するカズマだが、なら何故その紅魔族とやらが一応弱小扱いの自分達の前に現れたのか? と考えていると……。

 

 

「それよりアナタ、先程は凄い魔法を使ってましたよね!?」

 

 

 めぐみんはアクアをおんぶするイッセーにキラキラとした表情を再び向けた。

 そう、どうやら……いや、あろうことかイッセーが巨大蛙を赤龍帝の籠手を使用して討伐するのを見ていたらしく……。

 

 

「わかりますよ! 貴方も私の仲間ですね!」

 

「は?」

 

「何を言ってるのこの子は?」

 

「………」

 

 

 変なシンパシー……つまり同類意識を感じて近づいて来たと、めぐみんはそれはそれはハイテンションであった。

 

 

「あの赤い籠手の様な武具! そして爆裂魔法に匹敵する魔法! 今は赤い籠手は見えませんが、間違いなくアナタは私の仲間です!」

 

「あー……」

 

 

 

 なるほどとカズマはさっきから無言のイッセーに視線を向けながら納得した。

 このめぐみんとやらは、見た目からして中二病を患ってそうなイメージだったが、どうやらマジらしく、自分でも中二心を擽る赤龍帝の籠手……そして魔法と勘違いしてるビームを何処からか覗き見して、同類と勘違いしてしまった様だ……と、カズマはヤレヤレとため息を吐く。

 

「アナタとなら良いパーティを組めそうです、なので私は決心しました! 私をアナタのパーティに入れてください!」

 

「いや、あのめぐみんだったか? それは止めといた方が……」

 

「むむ、何でですか? 先程見てましたけど、そちらのアークプリーストさんと……ええっと冒険者さんでしたっけ? お二人と組んでいるなら私を入れても損は無いと思いますけど?」

 

「いや、確かにそうだけど……」

 

 

 言われてみれば確かに攻撃魔法を扱う者は今仲間に居ない。

 だが問題はそこじゃないのだと、カズマはさっきから本当に無言のイッセーを見る。

 

 

「それに、あなたなら私と同じ爆裂魔法を覚えられる筈、そうすれば爆裂魔法×爆裂魔法で無敵です!」

 

「………」

 

「なので是非私を! あ、それと先程左腕に出していた紅き籠手を近くで見せて――」

 

 

 問題はそう……。

 

 

「さっきからガタガタうるせぇし邪魔だクソガキァ!! 俺はアクアを風呂に連れて行くのに忙しいんじゃボケ!!!」

 

「……!(ビクゥ)」

 

 

 アクアで忘れがちだが、イッセーは基本、『無い』と思った相手には塩を通り越したハバネロ対応なのだ。

 

 

「え……あ……」

 

 

 近寄ろうとしためぐみんに、それまで黙ってたイッセーがまるでヤクザのソレと何ら変わらない口調で怒鳴り付けると、めぐみんはビクッ! と硬直し一瞬でキラキラした表情を引っ込めてしまう。

 

 

「くだらねぇ事をゴチャゴチャと……。ガキは小便してとっとと寝てろドカスが! ぺっ!!」

 

「」

 

 

 子供は別に好きでも嫌いでもない。

 しかし図々しくて邪魔な奴は誰だろうと嫌い。

 アクアを風呂に連れていく所を邪魔するガキ……という認識で完全に固まってしまったイッセーは、ショックまで受けて固まるめぐみんに対し、地面に唾を吐きながら消えろとまで言うと、そのまま通りすぎて行ってしまった。

 

 

「ひ、ひでぇ……予想通りだったけどこれは酷い」

 

 

 予想していたからこそ、めぐみんに対して忠告をしていたつもりのカズマも久々に見たイッセーの人外嫌いに、つくづく自分とアクアは運が良かったのだと思い知る。

 

 

「ふ、ふぇ……ど、どなられたぁ……!」

 

「いや、その……アイツ好みの女と普通の人間以外を嫌ってるからさ……言おうと思ったんだけど間に合わなかったわ」

 

 

 本気で怒鳴られ、見た目相応に泣き出してしまっためぐみんを放置……という訳にもいかずに、先に行ってしまうイッセーとアクアとを見比べながら困り果てるカズマが一応フォローはするが、あんまりフォローにはなってない。

 寧ろ『お前は仲間にはなれない』と事実上の拒否をしたのと同義な為、折角勇気まで出して来ためぐみんのメンタルは粉々だった。

 

 

「うぇぇん! な、なにがいけなかったんでしょう!」

 

「さ、最初からかな……多分」

 

「そ、そんなぁ……ひっく、せっかくなかまができるとおもったのにぃ……!」

 

「ま、うん……アイツの力は確かにアレだしな……」

 

 

 無意識の内に見知らぬ少女よりパーティ組んでるアクアの方が優先順位が高かったが故の酷すぎるオチ。

 

 

「と、取り敢えず町に戻って連れを風呂場に連れていくからさ……そこまで送るよ」

 

「ぐすん……はい……」

 

 

 見ていて流石に不憫に思ったのか、カズマは泣いているめぐみんを連れていく事にした。

 

 

「タイミングが悪すぎたからよ……これはリカバリーが難しいし、諦めて他を当たるべきだぜ?」

 

「………くすん」

 

 

 それが失敗だったと後に後悔するのだが……。

 

 

 

 そして……。

 

 

「ね、ねぇ……良いの?」

 

「なにが?」

 

「いやほら……私もアンタの嫌いな人外だし」

 

「あ? そうだが、テメーの場合アホと間抜けさ具合が上を行ってるからなぁ」

 

「ふーん?」

 

「ま、単なる雌って認識は変わらねーけど。くははは」

 

 

 幼女泣かしの男は呑気だった。

 

 

「変な奴よねアンタ。誰彼構わず殺して回るケダモノみたいな奴だと思ってたのに」

 

「そうしなければ生きていけなかったんだよ俺は……な、ドライグ?」

 

『まぁな……俺としてはお前のその甘やかし癖を何とかしてほしいが』

 

「だから別に甘やかしてなんてねーって。粘液だらけの雌なんて放置する方が衛生的によくねーだろ?」

 

 

 そして相変わらず自覚してなかった。

 

 

「風呂入ったら飯だ飯。

アレだ、失敗なんて誰でもするし、気にせずカズマとどんちゃん騒ぎして忘れちまえ。わっはっはっは!」

 

「……変な奴」

 

『元からこういう奴なんだ……まさか貴様にまで適応するとは思わなかったが』

 

「うん、私も予想外」

 

 

終わり

 

 

 

 アクアを風呂に投げ捨て、服を着替えたイッセーは出てきたアクアと一緒にご飯を食べようとしたのだが。

 

 

「何でそんなの連れてきたの?」

 

「い、いや……見てて本気で憐れに思ってよ? め、飯食うだけなら良いだろ?」

 

「まぁ、別に良いけど……おいガキ、俺はテメーのくだらねぇ質問に答えるつもりもねぇ。

それが嫌ならとっとと――」

 

「オーケーオーケー!! 飯行こう飯!」

 

 

 めぐみんを連れてきてしまったカズマと合流し、嫌すぎる空気での晩餐がスタート。

 

 

「唐揚げもっとたべたーい」

 

「あぁ? チッ、おら口開けろ」

 

「あーん……んっ、おいしー!」

 

 

 

「………。何ですかあのお二人のやり取り。気持ち悪いんですけど」

 

「やっぱそう思うか? そうだよな、それが普通だよ――」

 

「あ、おいカズマも食えよ、ほれ口開けろ」

 

「え? あーいや……んぐ!? ……。もぐもぐ……」

 

 

 イッセーの二人に対する甘やかしっぷり。

 それはめぐみんすらドン引きするレベル。

 

 

「あ、あの……先程は……」

 

「しゅわしゅわのみたーい」

 

「それぐらいテメーで飲めや!…………ったく、俺は何時から親鳥に……そら!」

 

「ごくごく……おいちー」

 

 

 タイミングが図れず無視されるめぐみん。

 

 

「地獄の九所封じのその1! 大雪山落としー!!!」

 

「あぁ……土くれが本物の土くれに……」

 

「わぁ……!」

 

 

 しかしイッセーから迸る同類っぷりが、めぐみんのメンタルをある意味鍛えまくる。

 

 

「ぜ、是非私の爆裂魔法を見てください! 見てるだけで良いので!」

 

「だってさ、見てやれよ……」

 

「チッ、時間の無駄なのに」

 

「エ、エクスプロージョン!!」

 

 

 そして見せる爆裂魔法。

 だがめぐみんは一発で倒れてしまうという弱点があった。

 これにはカズマもフォローができない。

 

 

「あ、あははは……張り切りすぎちゃって……」

 

「だ、だってさイッセー 緊張してたんだろうし……な?」

 

「………」

 

 

 しかしイッセー、ぶっ倒れるめぐみんと必死になって内心『何で俺がこんな事を……』と思いつつもフォローするカズマを横に、何を思ったのか……。

 

 

「ガキ、立て」

 

 

 魔力すっからかんで立てないめぐみんを無理矢理立たせるという鬼畜所業を開始。

 

 

「う……な、なにを―――っ!?」

 

「赤龍帝からの贈り物(ブーステッドギア・ギフト)」

 

 

 そして生前使うことの無かった力を生まれて初めて使用、すっからかんの少女に己の力を分け与える。

 

 

「こ、これは……!?」

 

「おい、もう一度やれ……全力で」

 

「へ? あ、は、はい――エクスプロー―――」

 

 

 言われるがままにタンク満タンになった力で爆裂魔法を放っためぐみん。

 すると結果は……。

 

 

「な、なんじゃこりゃあぁぁぁっ!?!?」

 

 

 質素ながらも広大な森が……軽い都市レベルの範囲が単なる荒野と化した。

 

 

「こ、これは一体……」

 

「………。必要無いと思ってたものだが、ガキ、お前を実験台にして正解だったぜ、くくく、これでカズマとアクアをフォローできるぜ……くくく!」

 

 

 イッセー君、めぐみんを使ってサポート能力開花。

 

 

「ほ、本物です、わ、私の爆裂魔法がイッセーさんの力で最強に!? や、やっぱり仲間にしてください!」

 

「ぺっ!」

 

「嫌です! 仲間にしてくださいぃぃぃっ!!」

 

 

 めぐみん、爆裂魔法の更なる領域を感じなにが何でも仲間にしろとただこねる。

 

 

嘘予報、終わり




補足

しょうがない……だってロリッ子だもの。


その2
無意識にカズマ君とアクア様が危なくなると出張って皆殺しにする危険すぎる保護者になりつつあるイッセー君なのだった。
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